目次
建材商社とは
建材商社の仕事とは、一体どのような仕事なのでしょうか。建材とは、住宅を建てるために必要な部材や資材のことをいいます。建材が欲しい建材販売店やハウスメーカーが直接建材メーカーから仕入れをおこなう場合、非常にたくさんの建材メーカーからニーズに合った商品を選定しなければなりません。
一方、建材メーカーが直接販売するにしても、自社の商品にマッチングする顧客を多くの中から見つける必要が生じます。こうした手間を解消するのが建材商社です。いわば建材商社とは、建材を売りたい建材メーカーと、建材を利用したいハウスメーカーや建材販売店をつなぐパイプの役割を果たす企業と言えるでしょう。
建材商社の仕事内容
建材商社の仕事内容は、営業、システムエンジニア、コーポレートスタッフ、一般職に大きく分けることができます。企業によっては、この仕事内容に多少変化がありますが、建材商社での職種は4つほどに分類することが可能です。ここからは、建材商社の仕事内容を職種別にまとめて紹介していきます。
職種によって担当する仕事が大きく変わってくるため、自分に合っているかどうかを確認しつつ仕事内容を把握していくといいでしょう。建材商社への就職を希望する場合に参考にしてみてください。
営業
建材商社以外にも言えることですが、営業職は商社の収入源となる売上を確保する重要な職種です。営業職がなければ、建材商社の運営は困難だといえるでしょう。売上を確保するための営業職は、企業の社員の多くの割合を占めます。営業職のビジネススタイルは企業によって変化することもありますが、基本的に取引先を巡回して商談を進めていくタイプが多いです。
事業所を設けている企業によっては、一般営業職と明確に分別していない場合もあります。その場合は、事業所での接客なども含まれます。営業職は事前の知識が必須でない職種ですが、交渉のノウハウや体力などが要求されるハードな職種です。基本的に初めは営業職の先輩に同伴しての営業となるため、先輩と巡回している間に身に付けられることをマスターしておきましょう。
システムエンジニア
建材商社によっては、システムエンジニアの職種を設けている企業もあります。建材商社におけるシステムエンジニアの仕事内容は、社内ネットワークの管理や、社内の情報を整理して効率よく利用できるようにするアプリケーションの作成などがあげられます。企業によってシステムエンジニアが担当する仕事内容は変わってきますが、基本的に所属する企業のIT関連を管理すると思えばいいでしょう。
ただプログラムを作るのではなく、企業内の他の部署が求めるシステムなどを提供しなければならないため、専門知識を上手くアウトプットできることが求められます。企業によっては、募集条件に情報理工系を専攻した人に限定して募集をかけることがあります。
コーポレートスタッフ
コーポレートスタッフとは、経理や総務、人事、財務、法務などを担当する人のことを指します。コーポレートスタッフがいなければ企業は存続ができません。コーポレートスタッフの形態は企業によって変わりますが、規模の小さい企業の場合は色々な仕事を掛け持ちすることもあります。企業で働く人を陰からサポートする存在のため、入れ替わりが少なく募集をかけることは多くありません。
事前に求められるスキルは多くありませんが、少しでも支障をきたすと問題になりやすい職種のため採用基準は高いです。場合によっては募集条件に専門的な資格を設けることもありますが、多くの場合はコーポレートスタッフの経験があるかどうかを問われます。
一般職
基本的に企業では採用枠に総合職と一般職を設けており、どちらかを選択するかで選べる職種が変化することもあります。一般職は正確には職種に分類できませんが、一般職は総合職との勤務形態や待遇関係の差異を形容するための重要な採用枠のため紹介しておきます。企業の募集要項で総合職と一般職に分けての募集がなければ、基本的に総合職での採用です。
一般職の枠で採用された場合、仕事内容は配属された職種によりますが、給与体系が総合職に比べて低い傾向にあります。また、幹部候補として昇格することはできない代わりに、転勤や配属移動がないことも特徴です。一般職での採用の場合職種によっては、出張などの関係上業務内容に総合職と比べて制限が設けられることもあります。
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建材商社の動向と今後の動き
日本は第二次世界大戦で焼け野原となった国土から再び復興しました。高度成長期の前後に豊かさの反映として、工業・商業施設、家屋やマンションなどの建物が国土を埋め尽くしていきます。建材商社の成長はそうした国内経済の繁栄とともにありました。しかし長く続いた平成不況、世界金融危機などの経済不安を経た現在、建材商社はどのような動向を見せているのでしょうか。
建材商社の動向
建材商社は、外的要因によって業績を左右されることの多い業界です。2008年の世界経済危機によって加速した国内市場の衰退は、建材商社の仕入先である建材メーカーや販売先であるハウスメーカーなどにも少なくない痛手を与え続けています。こうした取引先の営業不振は、その間を取り持つ建材商社にも大きな影響を及ぼしました。
仕入先の不振により再編を余儀なくされたところも少なくなく、その結果として建材商社は安定した仕入先の見直しをする必要に迫られています。販売先も、不振を挽回するためのコストダウンを建材商社に要求しているのが現状です。また、国内の不安材料としては高齢化や少子化、それにともなう需要の減少が懸念されています。こうしたいくつかの問題を抱えているのが、建材商社の現状といえるでしょう。
建材商社の今後の動き
建材商社が今後生き残るために取り組む課題は、大きく分けて2つあります。省いた業務の効率化と、販路の見直し及び新規開拓です。例えば、建材商社が取り扱う商品は多岐に渡りますが、それらの商品管理をより効率化することが急務であるといえます。人件費や資材調達費の高騰に対応するためには、こうした業務の効率化による経費の削減を図ることが大切です。
建材商社は、各社とも経営の見直しを喫緊の課題として精力的に取り組んでいます。高齢化や少子化は、今後国内市場をさらに縮小させると懸念されているのが現状です。そのため国内市場に見切りをつけ、海外への販路開拓に目を向ける企業も少なくありません。一方で国内市場の販路を見直し、独自性による存在感で生き残りをかける企業も見られます。
建材商社の売上高ランキングTOP3
ここ数年、建材商社業界全体の業績は横ばい、あるいは微減傾向にあるといえます。それは経済不況やそれにともなう国内需要の冷え込み、躍進する新興国の進出や円高による為替リスクなど、内外のさまざまな要因からなる複合的なものでした。
現在、建材商社業界は生き残りをかけて、あらたな商品開発や新規販路開拓など事業拡大を進めています。売上高ランキング上位の企業も例外ではありません。トップ企業の取り組みを見ることで建材商社の今が見えてきます。
1位:JKホールディングス株式会社
JKホールディングス株式会社は、住宅建材卸業のジャパン建材株式会社を中核とした住宅関連事業を幅広く展開するホールディングスカンパニーです。総合建材の卸業を始め、合板製造や建設工事事業、倉庫業などもおこなっています。2017年現在、国内の業界では1位の売上高3,399億円を誇る、建材商社のトップブランドの1つです。グループの中核を担うジャパン建材株式会社は、特に事業展開の幅が広い会社として活躍しています。
合板や建材・住宅設備機器など、住宅に関連する何十万点もの部材や資材の販売リストが強みの1つといえるでしょう。その膨大な販売リストは、全国2,000社に及ぶ仕入先との契約で形作られており、また販売先も全国の建材販売店やゼネコンなど1万社以上の取引実績を誇っています。
2位:三谷商事株式会社
三谷商事株式会社は、建設資材の供給を基幹事業とした会社です。3,613億円という2017年の売上高に大きく貢献している事業には、販売量で国内の実績を誇るセメント・生コンクリートの販売が挙げられます。建設資材の販売の他にも、さまざまな事業を手がけているのも三谷商事の特色と言えるでしょう。その1つに情報システム関連事業があります。システム開発、ネットワーク構築を得意とし、国内のみならず海外へも積極的に展開中です。
また、エネルギー・生活関連事業では特に風力発電に力を注いでいます。環境問題やエネルギー問題解決の手段としてクリーンなエネルギー発電が世界的に注目されていますが、その1つと目されているのが風力発電です。三谷商事では風力発電に大きな需要があると見込んで精力的に開発に取り組む姿勢を見せています。
3位:すてきナイスグループ株式会社
すてきナイスグループ株式会社は、ナイス株式会社を中核に据えた持株会社です。2017年の売上高は2,464億円、そのうち建設資材事業の売上高が1,692億円、住宅事業の売上高が694億円と、ふたつの事業が主力となってすてきナイスグループを支えています。建設資材事業では主に木材建築事業に力を注いでいます。耐震性に不安が残る木材建材のイメージを払拭するために全国で住宅総合展示会を開催するなど、地道な努力が事業の成長に結びつきました。
また、住宅事業に関しても、耐震性にも優れた高品質な木造注文住宅に注力するなど、木造建築への強いこだわりを見せています。安全性を最優先しつつも木材などのこれまで培ってきた建材のノウハウを活かした事業に取り組む姿勢を見せているのが、すてきナイスグループの特色といえるでしょう。
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建材商社の平均年収ランキングTOP3
平均年収額は企業選びの1つの目安でもあります。ここで建材商社の平均年収ランキングを見ていきましょう。意外なことに、TOP3のなかに売上高ランキングTOP3の企業は1社しかありません。平均年収が売上高に比例しないのは建材商社業界だけには限りませんが、興味深い現象であるといえるでしょう。ここでは、平均年収TOP3にランクインした企業の紹介と、なぜ高い平均年収を得ているのかの要因についても少し考察していきます。
1位:高島株式会社
高島株式会社の事業内容は主に建材、物流資材、電子部品の販売など多角的なのが特徴です。また、太陽光発電の開発にも古くから注力しており、主力事業として展開を続けています。高島の2017年における平均年収は821万円と非常に高い数字です。一方、高島の同年の売上高は847億円で、売上高ランキングTOP3とは大きな差があります。
もちろん売上高の数字が年収額に直結するものではありませんが、それにしても何倍もの売上高を誇る三谷商事を差し置いての1位獲得は少々不思議です。他の有名建材商社と高島との違いは、労働組合の有無にありました。推察ではありますが、高島では労働組合の活動が高年収の維持を支えているのかもしれません。
2位:三谷商事株式会社
売上高ランキングと同じく、2017年の平均年収ランキングでも三谷商事株式会社が2位につけました。その意味で順当な順位といえますが、778万円と高い平均年収の秘密はどこにあるのでしょうか。そのヒントを三谷商事の過去の有価証券報告書から探ります。2012年、三谷商事は売上高を3,236億円と前年より伸ばしました。そのときの平均年収は735万円で、2017年とほぼ変わりません。
売上高の増加傾向は2011年から2015年まで続いていますが、年収はほぼ横ばいで推移しています。このことは、売上高の減少が即給与に反映するものではないことを示しているといえるでしょう。つまり三谷商事の平均年収の高さは、以前の好調期の給与額を引き継いで今に至るものだといえるのではないでしょうか。
3位:杉田エース株式会社
杉田エース株式会社は建築金物、建築資材の販売を行う企業です。2017年の平均年収は563万円と上位2企業に大きく差をつけられていますが、ここ5年の売上高は微増ながらも増加傾向にあり、堅調な成長を続けている企業だといえるでしょう。杉田エースでは販売経路や取扱商品を勘案して、事業を3つのセグメントに分けています。
二次卸・建材店などに住宅用資材などを販売するルート事業、住宅用資材などを設計・加工などの付加価値とともに販売するエンジニアリング事業、そしてホームセンターなどにDIY商品を販売する直需事業、この3つがその区分です。このうち、2017年は直需事業が前年比11.5%増、エンジニアリング事業が前年比3.7%の売上高増を示しました。
建材商社のランキングを見て就活に活かそう
建材商社の売上高ランキングの上位3社はいずれも高い売上高を誇っています。しかしここ数年の業績傾向からみると、手放しでは喜べない状況といわざるを得ません。一方TOP3企業の平均年収も比較的高い数字を示していますが、今後この水準が維持されるかは不透明な状況にあると言って良いでしょう。
建材商社業界は現在、岐路に立っています。国内需要の減少や環境変化などさまざまな負の要因から、今後の成長への打開策を見つけていかなければなりません。しかしそれは大きな挑戦でもあり、非常にやりがいのある仕事だと言えます。その意味で、意欲的に取り組める仕事を探す就活生にぜひ挑戦してほしいのが建材商社であると言えるでしょう。
※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。