目次
養護教諭とは
養護教諭とは学校の保健室で、児童や生徒のケガや病気などの処置の他、保健衛生に関する啓発活動を行う学校職員です。生徒からは保健室の先生と呼ばれ、養護教諭の資格が取得できる大学または、短大で単位を取得します。
その後公立もしくは私立の教員採用試験に合格してはじめて、養護教諭として働くことができます。養護教諭は、各学校に勤務できる数が決まっているため採用の倍率も高い傾向にありますが、養護教諭の仕事内容はどのようなものがあるのでしょうか。気になる年収についても見ていきましょう。
養護教諭の業務内容
■事故やケガへの対応
養護教諭は学校の保健室に常駐し、ケガや体調が悪い児童や生徒への対応を行います。病院での治療が必要な場合は、学校長の許可を得た後、速やかに病院に引率し、受診した後保護者や担任への報告を行い、その後の体調面や心のケアも行います。
■保健指導・保健学習の実施
感染症の予防や、手洗いうがいの励行など、学校行事で行う保健指導の立案を行います。さまざまな行事を行いながら、保健学習に参加する意欲を高める他、健康に問題がある児童に対しては個別で指導を行います。
■保健室での相談業務
保健室では、授業中に体調不良を訴えてきた児童や生徒への対応の他、友達関係や将来についての悩みなど、相談相手として話を聞くこともあります。状況に応じて保護者や関係機関との橋渡し役になることも大事な業務の一つです。
養護教諭に求められる能力について
- 救急措置に関する基礎知識
- 冷静な判断力
- コミュニケーション能力
養護教諭は、事故やケガが起きた時には迅速に対応しなければいけません。そのため、日頃から事故を未然に防ぐための環境作りの他、病気や感染症の予防や啓発などの基礎知識も必要不可欠です。
冷静な判断力も重要です。精神的に体調を崩し保健室に相談に来た場合、どのような状態で、何が原因なのか、冷静に見極めなければいけません。基本的な知識はもちろんのこと、誰に報告し、今後どのようなスケジュールで解決に導いていくのか冷静な判断力が求められます。
養護教諭は、担任や学年主任との連携の他、学校長への報告・連絡・相談、そして学校医や近隣の医療機関との連絡調整を行っていく必要があります。連携する人が多ければ多いほど、的確にものごとを伝えられるコミュニケーション能力は業務を行う上で非常に重要な能力となります。
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養護教諭の平均年収と他職種との比較
養護教諭の平均年収について
養護教諭は公立と私立、そして小学校・中学校・高等学校など、勤務する場所によって年収の違いがあります。ここでは、高等学校の教員を例に取って考えてみましょう。
厚生労働省の賃金構造調査によると、高等学校教員の年収は661万円でした。
他の職種・平均との比較
養護教諭は公立で働くとすると、公務員という位置づけになるので、日本の平均年収を238万円も上回ることになります。それに対して看護師(DODA調べ)とカウンセラー・臨床心理士(転職会議調べ)は平均年収と同程度の収入を得ることができるので、養護教諭は平均年収よりも安定した職業であることが分かります。
養護教諭のボーナス・昇給事情
ボーナスについて
養護教諭は公務員の給与規定が適用されるため、勤務する自治体によって金額に違いがあります。上記の高等学校教員では155万円のボーナスが支給されています。しかし、あくまでも平均的な支給額なので、経験年数や採用された自治体によっても違いがあることを覚えておきましょう。
昇給について
昇給もボーナス同様、公務員は給与規定に則って昇給があります。私立でも同様に給与規定に則って支給されますが、地方公務員の場合、民間との勤務条件を調査して給与の引き上げや勧告を行う人事委員会により改定となる場合があるので、改定後の給与規定に準じて変動することがあります。
養護教諭の年齢別平均年収推移シミュレーション
養護教諭の年齢別の平均年収を5歳刻みで算出をしました。年齢別の月給と年収の推定値はどのようになっているでしょうか。
年齢 | 年収 | 月給 | ボーナス |
20~24歳 | 412.8万円 | 28.3万円 | 72.9万円 |
25~29歳 | 537.7万円 | 36.9万円 | 95.0万円 |
30~34歳 | 619.4万円 | 42.5万円 | 109.4万円 |
35~39歳 | 678.8万円 | 46.6万円 | 119.9万円 |
40~44歳 | 731.6万円 | 50.2万円 | 129.3万円 |
45~49歳 | 773.4万円 | 53.1万円 | 136.6万円 |
50~54歳 | 805.8万円 | 55.3万円 | 142.4万円 |
55~59歳 | 794.1万円 | 54.5万円 | 140.3万円 |
60~64歳 | 595.3万円 | 40.8万円 | 105.2万円 |
年齢別の平均年収を5歳刻みで算出すると、30~34歳での平均年収は619.4万円、うちボーナスは109.4万円 になると予測されます。40~44歳では平均年収が731.6万円、うちボーナスは129.3万円 になると予測されます。
※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。
養護教諭と日本の平均年収との年齢別比較シミュレーション
年齢 | 養護教諭の平均年収 | 日本の平均年収 |
20~24歳 | 412.8万円 | 263.5万円 |
25~29歳 | 537.7万円 | 343.3万円 |
30~34歳 | 619.4万円 | 395.5万円 |
35~39歳 | 678.8万円 | 433.4万円 |
40~44歳 | 731.6万円 | 467.1万円 |
45~49歳 | 773.4万円 | 493.8万円 |
50~54歳 | 805.8万円 | 514.4万円 |
55~59歳 | 794.1万円 | 507.0万円 |
60~64歳 | 595.3万円 | 380.1万円 |
養護教諭の平均年収は、日本の企業全体の平均年収と比較すると◯◯と言えるでしょう。30~34歳の平均年収は619.4万円で、日本の平均と比較すると220万円ほど高くなると推測されます。40~44歳では731.6万円の予測です。
※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。
あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事を見つけたい人
・簡単に自己分析をしたい人
養護教諭の生涯賃金シミュレーション
養護教諭の平均年収 | 日本の平均年収 | |
生涯賃金 | 2.97億円 | 1.90億円 |
日本の平均的な生涯賃金と養護教諭の生涯賃金を比較してみましょう。養護教諭の平均年収は661万円であることがわかりました。一方、日本の平均年収は422万円です。20~65歳まで勤めたと仮定した場合、生涯で得られる賃金はどれくらいになるのでしょうか。その結果が、上記の表です。
養護教諭の生涯賃金は、2.97億円と予想されます。日本の平均生涯賃金と比較すると1億円ほど多いと推測されます。
※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。
年収以外の魅力
養護教諭として勤務することは、公立学校にて常勤の場合の公務員待遇を含め、同世代の平均年収額が保証されることがほとんどです。しかし安定した年収以外の魅力として、素に戻った子供たちの本音を聞くコミュニケーターとしてサポートできることがあげられます。多感な子供時代を過ごす少年少女たちの良き相談相手として過ごす日々は、大きなやりがいをもたらしてくれます。また、学校運営の性格上長期休暇が入るため、比較的まとまった休みが取得しやすいことも大きな魅力です。
子供と深く関わることができる
養護教諭、いわゆる「保健室の先生」としての職業の魅力は、学校全体の子供たちの頼れる大人というポジションに立つことができます。学年やクラスといった制約を超えて、こどもたちとコミュニケートし、ケアすることのできる立場にあります。クラス内の生徒すべてに責任を持つ担任の教師や、自分の専門科目だけを担当する科目教諭と異なり、学校全体の生徒が「自分の生徒」という感覚で子供たちと接することができます。
自分の成績と関係なく接してくれる立場の保健室の先生は、今を生きる子供たちの本音を聞ける稀有な立場です。知識吸収を手助けする教師たちとまた異なる接点で子供たちをサポートする養護教諭の存在は大きいものです。子供たちと接す日々の中で様々な感慨、刺激を受ける日々を送ることができるでしょう。
専門職待遇としての安定感が魅力
公立学校での養護教諭という職場を得た場合、当然立場は「地方公務員」となり、月々の給与から年金まで非常に安定した内容になることは大きな魅力です。私立学校への就職であっても、専門職である養護教諭は、ほかの教諭と同等の給与水準となることがほとんどです。2016度の調査によると、全国の養護教諭・助教諭約4万人のうち65名の男性養護教諭が働いています。家庭を持ち収入の柱となる男性の立場であっても、生活の安定が感じられる魅力ある職業であると考えられていることがうかがえます。
学校の中で唯一の医療従事者として、生徒や教師を支える立場であることは、医療のプロフェッショナルとしての誇りと喜びを感じることができるはずです。培った技能によって安定した職場を得ている満足感を日々感じながら働くことができます。
学校業界の動向
基本的には養護教諭はひとつの学校につき、一人という採用枠になっています。生徒数が100名に満たない学校であっても1000名に近い学校であったとしても保健室が一つである以上、そこに複数の養護教諭が勤務しているケースはまずありません。そのため、教員採用数が多い都市部を中心としたエリアが最も有利であり、他方学校数そのものが少ないエリアにおいてはなかなか就職先がないことが現状です。また、養護教諭の離職率が極めて低いことも、養護教諭の競争率を高くしている要因になっています。
しかし、昨今保健室や養護教諭の存在を重要視する動きが非常に高まってきています。
今や社会問題となっているいじめなどを原因とする不登校を選ぶ児童や、大人同様にうつ病に似た症状を訴える児童が増えてきていることが背景となっています。心の悩み、心の病を抱えたこどものケアができるプロフェッショナルが、今教育現場に求められているのです。メンタルケアのスキルのある養護教諭をもっと増やしてほしいという父兄からの要望も大きな後押しになっています。
また平成5年にスタートした「第6次教職員定数改善計画(高等学校第5次)」によって、養護教諭の職制確立後はじめて複数配置することが気増しました。具体的には30クラス以上ある学校は、複数人の養護教諭を置くことが定められました。また、2001年から2005年委にかけて実施された「第 6 次公立高等学校教職員配置改善計画」では、小学校は 851 人以上、中学校・高等学校は 801 人以上、特別支援学校 61人以上を配置するようになりました。このように、養護教諭のマンパワー強化対策は進んでおり、全体の採用人数アップの底上げとなっています。
まとめ
養護教諭として働くには、公立または私立の採用試験を受けて合格することが大前提となります。しかし、各学校に配置される養護教諭の数は学校に1人、または2人以上と規定があり、競争率が高く実際に働くには採用試験が鍵となります。
この配置人数に関しては複数配置を望む声が出ていることから、今後配置人数の見直しが行われる可能性もあります。保健室に常駐しながら、学校内はもちろんのこと、関係機関と連携を取りながら行う養護教諭の仕事は、やりがいがあり、なおかつ安定した給与が得られる仕事といえます。
※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。