就活のマナー
「思う」の敬語表現と使い方とは?尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いと例文
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目次
「思う」の敬語とは?
就活をスタートするにあたり、多くの学生がその対策に余念がありません。履歴書やエントリーシートなど、数多くの書類や面接、グループワークなど、企業によって多種多様の試験が用意されていて、内定までの狭き門をくぐり抜けるためには、数多くの難関を乗り越えていかなければならないからです。
しかし、それ以前に、身だしなみを始めとした社会人のマナーやモラルが一貫して問われるのが就活の場でもあります。その中でも、基本中の基本でありながら、実は難しいのが言葉の使い方。日本語には尊敬語、謙譲語、丁寧語というものがあり、日常生活ではこれをしっかりと使い分ける場面にはなかなか遭遇しません。
付け焼き刃では不自然になってしまうのが言葉使いの最も難しいところなので、きちんと理解した上で使いこなせるようになるのが理想的です。中でも、多くの場面で使うことになる「思う」という言葉。その正しい使い方について、今一度じっくりと復習しておきましょう。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い
尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いとは一体何でしょうか。まず尊敬語は敬意を表すときに使う言葉となっていて、自分ではなく相手を立てるときに使用します。例えば会社の上司、取引先などに対して使います。敬語は相手が主体となる言い方ということを覚えておいてください。
次に、謙譲語は目上の人に対し、自分がへりくだって言う時に使用する言葉です。尊敬語とは違い主体は自分となり、自分自身が謙遜の意をもってへりくだる言い方になります。上司や取引先などにも使用することがありますが、自分がへりくだるということを頭に入れておきましょう。最後に、丁寧語とは、上品に話すときに使う言葉といえます。動詞は変わらず、語尾を「です・ます」調に変えると丁寧語になります。
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「存じます」は「思います」の敬語
すでに多くの人がご存知のように、日本語には敬語というものがあります。敬語はさらに「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」という3つの種類に分けることができます。
中には語尾が少し変化するだけで敬語が成立する言葉がありますが、もう一方で敬語になると言葉そのものが変化するものがあります。「思う」というのも、敬語になると言葉自体が変化する単語のひとつ。たとえば「思います」の敬語は「存じます」というのが正しい形です。
「思う」の尊敬語:思われる・お思いになる
【例】
- 今度のプロジェクトの結果を、どのように思われますか?
- 今度のプロジェクトの結果を、どのようにお思いになりますか?
では、具体的に尊敬語、謙譲語、丁寧語のそれぞれにわけて、「思う」の使い方を説明します。「思う」の尊敬語は「思われる」「お思いになる」です。この2つの言葉は、どちらも同じように使うことができます。
例の場合、「思われる」と「お思いになる」のどちらを使用しても間違いではありません。どちらがより丁寧、ということもないので、自身が使いやすい方を選んで問題ありません。また、過去形になると「思われた」「お思いになられた」となります。
「思う」の謙譲語:存じる
【例】
これまでの意見をふまえて、こちらでも十分に検討させていただきたく存じます
次に、「思う」の謙譲語についてです。ここで注意が必要なのは、「思う」という言葉は、謙譲語になると「存じる」という形に言葉そのものが変化することです。
思う、という言葉を使用していても十分丁寧な言い回しに感じるのですが、正確な敬語では「存じる」を使用するのがベターです。しかし、存じる、というのを文章の途中で使用すると、不自然になってしまうことも多いので、これも注意が必要です。また、「存じる」の過去形は「存じました」が正しい形ですが、こちらはほとんど使用する機会がない言葉です。
「思う」の丁寧語:思います
【例】
- 私もそう思います
- 学生時代は多くのことにチャレンジする良い機会だと思います
最後に、「思う」の丁寧語です。これは、すでにご説明した通り「思います」と語尾を丁寧な形にすれば良いので、使い慣れている方が多い言葉です。
ただし、そもそも「思う」という表現は主観であることを限定するものです。ご自身なりの考えを聞かせてください、と促されている場合を除いて、「です」「ます」ではなく「思います」を使用する必要があるのか、ということを一度考えてみましょう。その上で、主観ではなく誰にとっても変わらないような事実を表しているのであれば、「です」「ます」を使用して簡潔に述べる方が望ましいということを覚えておいてください。
「思う」の敬語の使い方ポイント
「思う」という言葉に限らず、一度考え始めると次第に混乱してくるのが敬語の表現です。丁寧語と尊敬語をどのように使い分けたら良いのか、より自然な表現はどれなのか、など、考えれば考えるほど、かえってわからなくなりがちです。
敬語を使用しなければと思うあまりに不自然な表現になってしまっては、普段から使用しているわけではないことが相手に伝わってしまいます。就活に向けての特別な努力や対策自体は悪いことではありませんが、取って付けたようなものでは相手に悪い印象を与えてしまうことになり兼ねません。「思う」という敬語を使用するとき、どのように考えれば言葉の選択がわかりやすいのか、ポイント別にご説明します。
相手が思うのか自分が思うのかによって変える
敬語の正しい表現を選ぶ際には、まずは「誰が」という主語を明確に考えることが基本です。「思う」のが、自分なのか、相手なのかによって言葉を選択すると、どの表現が適しているのかを簡単に見分けることができます。
敬語の中でも尊敬語というのは、相手を敬う言葉です。そして、謙譲語というのは、自分を下に見て表現することです。最後に、丁寧語というのは、その言葉自体を丁寧に表現するための言葉です。つまり、行動の主体が相手であれば相手を敬うための敬語が当てはまります。
そのため、相手が「思う」場合には、「思われる」や「お思いになる」を使用します。行動の主体が自分になり、自分が「思う」場合は、自分を下に見て表現する謙譲語を使用します。そのため、「存じる」という表現が適切です。つまり、「(あなたは)それについてどうお思いになりますか?」「(私は)そのことは存じませんでした。」というように使い分けます。
「お思いになられる」は二重敬語のためNG
敬語の際に気をつけなければならないのが、丁寧に表現しなければ、と思うあまりに丁寧すぎる表現になってしまうことです。文法的には、正確には二重敬語は誤りなので、敬語が重ならないように注意が必要です。
「思う」の敬語を使用するときに、多くの人が「お思いになられる」という表現を使用しています。しかし、これは二重敬語にあたります。「思う」の敬語である「お思いになる」と、「なる」そのものの敬語である「なられる」が重複してしまっているからです。正確には「お思いになる」が正しい表現です。
先ほどの例をあげて説明すると、「(あなたは)どうお思いになりますか?」が正しい使い方で、「(あなたは)どうお思いになられますか?」というのは誤りです。
「思います」は基本的に就活中もビジネスでも使わない
さらに、多くの人が混乱するのが「丁寧語」と「謙譲語」の使い分けです。丁寧語というのは、文字通り「丁寧に表現するための言葉」です。相手が誰であっても、丁寧に表現するときに使用できる言葉なので、非常に万能な表現です。
しかし、明らかに自分の方がしたの立場である場合には、丁寧語ではなく謙譲語を使用するのが適切です。そのため、「思います」という丁寧語の表現は、ビジネス上では基本的には使用しないものだと考えてください。もちろん、就活でも同様に、「思います」という言葉は「存じます」を使用する方がより丁寧で、適切な表現です。
ただし、日常で「存じます」という言葉を使い慣れていない場合、無理に乱用すると不自然になることがあります。丁寧な表現に越したことはありませんが、不自然な言葉を使用しても、取ってつけたような印象を与えてしまいます。どうしても謙譲語と丁寧語の使用に迷った場合は、「思います」という言葉を使用するのもひとつの手段だと考えましょう。
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「存じます」を使うビジネスメールの例文
普段生活をしていく中で「存じます」という言葉を頻繁に使用しているという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。「存じます」の使い方は一見難しそうに見えますが、使い方をマスターするととても使いやすい言葉です。就活の面接はもちろん、今後の社会人生活においても知っておかなければならない言葉遣いといえます。自信を持って使うことが出来るように、例文を参考にして「存じます」の正しい使い方を知っておきましょう。
お伺いを立てるときのメール例文
先日は、説明会に参加させていただきありがとうございました。とても実りのある時間を過ごすことができ、なお一層貴社の一員として働きたいという意欲が増しました。貴社の採用ご担当者様よりお話が合った通り、〇月〇日の面接に参加をさせていただきたいと思っております。お忙しいとは存じますが、何卒よろしくお願いいたします。
こちらは、お伺いを立てるときに使う「存じます」の例文です。「お忙しいとは存じますが」は、「忙しいと思うけれども」といった意味合いになり、そのあとにはお願いや了承を求める文面が付いてくることが多い文章となります。「存じます」という言い方の中では、社会人になってからも多く使われる内容だと言えるでしょう。
謝罪するときのメール例文
先日はお忙しい中、面接の日程を設けていただいたにも関わらず、当日になり日程の変更を依頼してしまうなど、多大なご迷惑をおかけしていると存じます。大変申し訳ありませんでした。こちらの勝手な都合でご連絡させていただいたうえに、面接日の変更まで対応してくださり本当にありがとうございました。〇月〇日〇時より改めてお伺いさせていただきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
こちらの例文では謝罪するときに「存じます」を使用しているケースです。「多大なご迷惑をお掛けしていると思います。」という意味がこもっており、そのあとに謝罪文がつくことが多くなります。謝罪をするときには特に丁重にメールを書く必要があるので、使い方を覚え、間違えのないようにしてください。
お礼をするときのメール例文
この度は、採用のご連絡をいただきありがとうございました。貴社で何事にもチャレンジ精神を持ち、努力を惜しまず、誠意をもって勤めていきたいと考えております。お役に立てれば大変うれしく存じます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
こちらは、採用が決まった後のお礼メールの例文となっております。ただ単に嬉しいですなど、嬉しい気持ちを伝えるのではなく、自分はどうしていきたいかを入れるのがポイントとなります。ここでの「存じます」は自分自身が嬉しいと思うという時に使用します。相手のことを考え相手がこう感じるであろうというのではなく、自分がこう感じたという時に使うことのできる内容となっています。
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「存じます」は「思う」の敬語だけではない
「思う」の敬語を使用する中で覚えておきたいのは、「存じます」という言葉は「思う」という意味だけで使用するわけではない、ということです。「〜についてご存知ですか?」という言葉を思い浮かべてください。
これは、「思う」ではなく、「知っている」という言葉の尊敬語、謙譲語としての表現です。そのため、「知っている」という言葉の敬語として「存じています」や、「存じ上げます」を使用することも可能です。
知っているという意味の「存じます」の使い方
「このようなことがあるということはご存じですか。」「はい、存じています。」「今度取引する〇〇株式会社は、本社を移転するということをご存じですか。」
「ご存じのとおり、弊社は今年〇〇を基本とし、事業を拡大することになりました。」
「存じます」は、「知っている」という意味で使われますが、上記のような形でよく使われます。「存じます」から「存じています」などの言い方が変わる点について知っておきましょう。取引先などだけではなく、上司と部下の関係でも使用することが多い、オーソドックスな例文となっています。基本となるので、使い方を覚えておきましょう。
相手に質問をするときには、「知っていますか」と聞くのではなく、「ご存知ですか」と聞くことでより丁寧な文章となります。「ご存知の通り」は、相手が必ずその事実を知っているであろうという時に、使用することのできる文章となっています。
知っているという意味の「存じ上げております」の使い方
「〇〇会社の担当者が変わることを知っていますか」「はい、存じ上げております」
「〇〇さんの役職が係長から課長へ昇格されるとのこと、存じ上げております」
「〇〇株式会社の社長の趣味は〇〇であると存じ上げております」
知っているという意味の「存じ上げております」は、「存じております」という時と対象が変わります。「存じ上げております」は、対象が人の場合に使用することが出来るということを覚えておきましょう。ただし、上司との会話の中で「後輩のAのことは存じ上げております」というと後輩を敬うことになるため間違った使い方です。商品や建物などのモノに対して使う場合、持ち上げるべき相手がいない場合には、「存じております」を使いましょう。
TPOをわきまえて「思う」を敬語で使いこなそう!
敬語を自然に使いこなすためには、日頃から意識して「尊敬語」「謙譲語「丁寧語」の3種類を使い分けておくことです。まずは、自己PRや志望動機を伝えることを想定して、「思う」の敬語を使用して文章を書き換えてみましょう。
それを繰り返し声に出して読むことで、自然な表現を段々と習得していくことができます。丁寧語でも丁寧な表現であることに間違えはなく、相手に失礼になるわけではありません。しかし、3種類の敬語をしっかり使いこなすことで、ビジネスマナーがしっかりと備わっていることや、誠実なイメージを与えることができるようになるはずです。