筆記試験

もし適性検査で「志望職種に向いてない」と診断されたら? やりたいことが明確な方、業界を変えるべきか悩む方へ

勉強も研究も課外活動も精力的に頑張ってこられた理系大学院生女子のMさんは、研究開発職に就くことを目指して就活をした16卒学生。自己PRのエピソードも実績もたくさん持っていました。

しかし、いざ就活をはじめてみると、エントリーシートと適性検査の時点で、ほぼ不採用。
「私、研究開発職に向いていないのかな」と悩む日々。

就活用のエピソードには困らなさそうなMさんが、選考の初期段階でいきなりつまづいた原因は 「志望企業に対する自分の見せ方」 にありました。

「人を健康にするための研究開発職に」と意気込んでいた就活

― Mさんは、今内定をもらっている食品メーカーの会社に入社されるとのことですが、その企業ではどのようなお仕事をされるのですか?

総合職での採用なので、どの職種になるのかは入社後に決まります。でも最初にたとえ違う職種になっても、そのあとに部署異動する可能性もあります。私は商品開発職希望ですね。

― 就活を始めた当初は、どのような軸で、どのような業界や会社を希望していたのですか?

最初から志望職種は「研究開発職」一本でした。「人を健康にすること」に興味があって、今の研究室でも、病気の改善や予防のために、どの食品がどのように役立つのか、といった研究をしています。業界は化粧品・食品・医薬品に絞っていました。化粧品業界は、健康系のサプリや健康食品をつくっている会社もすごく多いんですよ。とにかく「健康」を軸で企業探しをしていました。

私のおばあちゃんがガンで亡くなるのを見た経験から、「苦しんで死んでいく人を少なくしたい」という想いをもつようになったんです。それが健康に興味を持ったきっかけですね。みんなぴんぴんころりで人生終えてほしいじゃないですか。

― ぴんぴんころりで人生終えたいですね。我が家も代々ガン家系なので頑張りどころです。ちなみに、研究開発職以外の職種はまったく考えなかったのですか? 

そうですね、研究つらいんですけどね(笑)。

― あ、つらいんですね。

つらいですよ!(笑)
研究のなにがつらいかって、結果がね、出ないんですよ。
タンパク質を最低限の量で結晶化する実験で、なにを混ぜれば結晶になるのか分からないから沈殿剤とかいろんなものを0.75マイクロリットルずつ混ぜて1.5マイクロリットルの粒を1500粒つくっt(この実験がいかに過酷で心折れるものかを物語る専門用語のたくさん入った説明がしばらく続いてインタビュアーが一部理解できず茫然としたのち)、結局それだけ苦労して1800粒ぐらいつくっても意味のある結果はたった1粒だけ、みたいな世界なんです。地道に頑張っても報われない努力が多いから研究がつらい。それは研究に関わる人だったら一度は思ったことがありますよ、きっと。

― 1.5マイクロリットルの辺りから(筆者ド文系につき)ほぼ理解が追い付かなくなりましたが、とりあえず「すごくつらいんだな」と感じました。え、研究やりたいんですよね?(困惑)

研究はつらいです。でもある時、大きな研究機構と共同で研修をしていたのですが、私があるデータを記録していたら、教授に「それ世界初のデータだからなくさないでね」って言われて。「えー! じゃあこのデータを知っているのは世界で私しかいないんだ!」ってびっくりして、すごく感動したんです。その時も結晶を出す実験をしていたんですけど、結果が出たときに味わった「この条件で結晶をつくれるのは世界中で私しかいない!」っていう感覚がすごく嬉しくて。

研究って、もう分かっていることを調べても仕方ないから、なんでも1番最初に発見しないと意味のない世界なんです。でも、自分がなにかを発見したら、その発見したものが日本を支えたり、多くの人の役に立ったりしていくんですよね。つらいことも多いですが、「私の見つけた新しい真実が後世にも残っていく」というのが研究のモチベーションになっていました。

ちなみに、研究開発職って「研究職」と「開発職」に分かれるんですね。「研究職」はなにかの商品の元になるようなものを発掘するような作業で、「開発職」は研究の成果を生かして商品をつくる作業です。私は「私がこれをつくったんだ!」と言えるものをつくりたいと思っていて、だからメーカーで商品の開発職に就きたいと思っていました。

開発職については、こちらの記事で詳しく解説しています。

適性検査で、就活連敗の理由に気づく。「自己PRとかで伝えていることが、志望職種に合わない?」

― それだけ明確な軸があって、わりと有名な理系大学院で大きな研究に関わった実績があったら、就活は有利に進みそうですね。

それが、ほぼ最初の段階で落とされました。

― えっ。意外です。最初の段階というと?

ESや適性検査です。わりと大きな企業をたくさん受けたのですが、その中で「エントリーシートと適性検査に通ったら説明会に参加できます」という流れで選考を行う企業も多くて。そのエントリーシートと適性検査の段階で落ちていたので、どっちが悪かったのか分からなかったのですが、たぶん受けた企業のうち7~8割はそこで落とされたと思います。

― 厳しい現実ですね。その状況を突破するための行動はなにかされましたか?

6月くらいに自分で適性検査を受けました。
人事が見る私の個人資料がどんなものか、自分でも知っておいた方がいいかなと思って。でも、それがもうショッキングな結果でした。

― どのような結果ですか?

私に一番向いている職種は、接客やサービス業など「顧客に接する仕事」、という結果が出ました。そして「新しいものを作り出す仕事」は一番向いていないと。そもそも研究って顧客からの距離はすごく遠いから、顧客に一番近いポジションが楽しく感じる私にとっては本当に向いていない職種なんだなって(笑)。

― なるほど、それは確かにショッキングな結果ですね。自分がやりたい仕事に「合わない」と突き付けられたわけですもんね。

あと、その時思ったんですよね。
「エントリーシートで書いていた自己PRの内容まずかったかなあ」って。

― どんな内容を書いていたんですか?

学園祭でパンフレットをつくった話です。

― おお! 研究と関係なさそうだ! 学園祭でパンフレットをつくったエピソードを詳しく聞かせてもらってもいいですか?

私は学園祭の実行委員に入っていて、その中でもパンフレットをつくる部署にいたんです。来場されるお客さんにとって1番重要な情報源になるのがパンフレットだなと思っていたので、「どうすればお客さんにとって一番見やすいのかな」と考えて、お客さん目線でできる限り良いものをつくろうといろいろ工夫しました。細かいところまですごくこだわったんですよ。

研究開発っていう自分のやりたいことからの逆算ではなくて、自分の言いたい話をしちゃっていましたね。 研究関連でアピールできることもあったけど、学園祭のことを書きたかったんですよね(笑)。そこは全然戦略的じゃなかったけど、学園祭でも研究でも、どっちを書いても別に結果はそんなに変わらないかなって思っていました。

でも、適性検査の結果とESをあわせて見たら、企業の方も「この子はサービス業とか接客業に向いているな」「顧客に近いところにいるほうが力を発揮できる子なのかな」って感じちゃうよなって納得しました。

― 確かに。場合によっては「この子、本当に研究開発職に就く気あるのかな」と思われたりもしそうですね。

自己PRの例文については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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志望業界や職種は変えないまま、自己PRなど「相手に伝える内容」を変えた

― 自分がずっと就きたかった志望職種に「向いていない」と分かった後は、どのように就活を進めたのですか? 「適性がある」と診断された職種・業種を目指して方向性を変えるか、方向性を変えずに引き続きメーカーの研究開発職を目指して選考を受け続けるか、2つの選択肢がありますよね。きっとすごく葛藤されたと思いますが、Mさんがどちらを選択したのか伺いたいです。 

最初はやっぱり悩みましたね。「顧客に近い仕事が合ってるなら、営業職で応募したり、接客業の会社を目指すほうがいいのかな」と方向転換することも考えたのですが、それは嫌だなという葛藤がすごくあって。

迷いつつも、引き続き研究開発職で何社か応募をしてみました。その際、自己PR欄に書くことを変えて、研究や卒論のことを入れていくようになりました。学園祭のことも書くことはあったけど、2~3つぐらいエピソードを求められた時には、大学院生時代に研究・勉強した内容を書きました。

― いざ自己PRの内容を変えてみて、結果はどうでした? 

変わりました! 
適性検査後に書いたESは全部通過しました。研究開発職志望っぽくなったのかもしれないですね。自己PRできるポイントはいろいろあるけど、「何を伝えるか」という目的に合わせて切り口を変えていかなきゃだめなんだなと思いました。

― 良かったですね! 結局最後まで研究開発職で応募し続けたんですか?

他の職種でも出した方がいいかなと迷いもあったんですけど、迷っている間に、いま入社予定の会社から内定をいただきました。

― その後は内定までスムーズにいけたんですね。選考では「この仕事をしたいという気持ちを伝えることが大切」という気づきは、面接などでも生きそうですしね。

結果的に2社から内定をいただいたんですが、どちらも総合職での採用で、「研究開発職」での求人には通らなかったんですけどね。

でも入社が決まっている会社では、もし営業職になっても、「メーカーでの商品開発」には関わることができるみたいですし、一応私の就活は成功っていう形で収まったかなと思っています。

― なるほど。「やっぱり適性は総合職だろう」という判断をされたのかもしれませんけど、異動もあるとのことですしね。やりたいことができる会社に入れたのは何よりですね!

適性検査に合格するコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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「適性検査の結果から、志望企業に落ちる理由に気づいた元就活生」Mさんから学ぶ教訓

◇適性診断系のテストを受けてみると「自分は企業からこう見えているんだ」と自らを客観視できて自己PRの参考になるかもしれないです

◇エントリーシートや適性検査で落とされることが多い人は、企業が求める能力や素質と自分がアピールしている内容が合っていない可能性もありそうです

◇自己PRを考えるときには、まず「この業界・職種ではどんな人材が求められているんだろう」と考えて、適性や、その職種を目指している気持ちを相手に伝えることが大切なようです

◇もし適性検査で「やりたい仕事に向いていない」という診断結果が出た場合、志望職種や業界を「変えること」も「変えないこと」もできますが、変えない場合は戦略を考える必要がありそうです

企業の採用担当者の方は、就活生の「こんなすごいことをしてきました」という自慢を聞きたいわけではありません。自社に入って、仕事で結果を出し、会社の発展に貢献してくれる方を求めて、学生の採用に挑んでいます。

自己PRひとつにしても、「その企業がどんな人物を採用したいのか」「志望業界や志望職種ではどのような能力が求められているのか」と、企業側の意図を想像してから、どのエピソードが適しているのか決めてみて下さい。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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