ES(エントリーシート)
【ESのアルバイト歴欄には何を書くべきか】書き方のポイントと例文
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目次
ESのアルバイト歴は重要なアピールポイント
就活において、学生時代のアルバイトは職歴としてはカウントされません。しかし、アルバイトの経験が重要な社会経験のひとつであることも、また事実です。
そこで、企業は応募してきた就活生のことをより深く知るために、画一的な履歴書とは別に企業独自のES(エントリーシート)を作成するのです。そして、その企業にとって必要な情報だからこそ、ESに「アルバイト歴」の欄が設けられているのです。
そのアルバイト歴の欄をおざなりにしていては、内定にはなかなか繋がりません。ESで適当に書いて平気な欄などないのです。では、アルバイト歴の欄には何をどのように書けばよいのでしょうか。企業がアルバイト歴を問う目的から、書き方やポイント、例文まで、詳しく解説していきます。
ESのアルバイト歴から企業は何を知りたいのか
ESにアルバイト歴を記載する欄がある場合、それはその企業にとって「アルバイト歴とその内容」が必要な情報だからです。そして、当然ですが問われているのは「アルバイトをしたか、してないか」だけではありません。
では、企業は就活生のアルバイト歴から何を知りたいのでしょうか。それをしっかりと把握することで、企業の求めに答えられる文章が出来上がるのです。では、企業がESのアルバイト歴から知りたいことを、詳しくみていきましょう。
社会経験の有無
企業がESのアルバイト歴から知りたいことのひとつが、「社会経験の有無」です。アルバイトは、労働の対価として「時給」という形で報酬を貰っています。対価を貰って働くということは、多かれ少なかれ、自分の仕事に責任を持たなければなりません。そういった経験の有無は、社会に出てから少なからず差として表れます。
「学生気分が抜けていない」「責任感が足りない」といった企業や仕事とのミスマッチをなくすためにも、アルバイトを通じた「社会経験の有無」は重要といえます。もちろん、日本の多くの企業では、新卒で採用された社員に対して、はじめに「新入社員に対する教育や研修の期間」が設けられています。しかし、企業の一員として働くうえでの責任や自覚は、入社前からあるに越したことはないということです。
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アルバイトの経験から何を得たのか
アルバイトをする多くの大学生の目的は、お金でしょう。働く上で対価として賃金を求めるのは当然ですし、それ自体は何も間違ってはいません。ただ、就活の場でESにアルバイト歴を書く際には、アルバイトで得たものが「お金だけ」では、何のアピールにもならないのです。
企業側は、ESのアルバイト歴から「アルバイトの経験から何を得たのか」を知りたいと考えています。例えば「接客する上で必要なことが○○であると学んだ」「工夫することの大切さを実感した」といった、技術的、あるいは精神的な成長や学びについて述べましょう。
可能であれば、志望する業界や業種に活かせる学びを挙げるようにすると、よりよい評価が得られる可能性が高いです。
社風に合っているか
ESに記載したアルバイト歴からは、志望する企業の社風に合っているかどうかもみられています。そもそもアルバイトは少なからず興味がある仕事を選ぶことが多く、どのようなアルバイトをしたかによって、職業選択の価値観が分かります。
どのような仕事に興味があるのか、それが自社と何らかの繋がりがあるのかを、企業はみていると考えましょう。もちろん、業種や職種がまったく違うアルバイトでも、何らかの共通点があるなら問題はありません。
例えば、居酒屋などのアルバイトと営業では仕事内容が大きく違いますが、人と接するという点では共通しています。このように何らかの接点がある場合は社風に合っていると認められやすく、選考でも有利に働くことが多いです。
ESでのアルバイト歴の書き方と気をつけるべきポイント
企業がESのアルバイト歴から知りたいことがわかったら、それらを上手に伝えられる文章を作っていく必要があります。せっかくアルバイトで学んだことがあっても、人間的に成長できたとしても、それをしっかりと面接官に伝えられなくては、意味がありません。
アルバイトでの経験を的確に、かつ具体的に面接官に伝えるためには、押さえておくべきポイントがあります。それらのポイントを紹介していくので、しっかりと確認していきましょう。
会社名や店舗名などは書かない
ESのアルバイト歴を書く際に、会社名や店舗名を書くべきか迷う就活生の方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げますと、会社名や店舗名を書く必要はありません。アルバイト歴の欄に会社名や店舗名を書かなくてはいけない決まりはありませんし、逆に書いてはいけないという決まりもありません。
ただ、「守秘義務や情報漏洩に対する意識が低い」と思われるリスクもありますし、たまたまアルバイト先がライバル社や競合相手の系列店である可能性もあります。
アルバイト歴を書く際には「飲食店の調理部門」や「コンビニエンスストアのレジ打ち」のように、何をしていたのかが端的に伝わる書き方で書くようにしましょう。このとき、「ファミレス」や「コンビニ」「バイト」のような略称で書かないように、注意が必要です。
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数字を用いた具体的で客観的な表現を心がける
ESのアルバイト歴に限らず、就活で何かしらのエピソードを盛り込む際に、必ず意識してほしいのが「具体性」と「客観性」です。例えば「大勢のお客様」「売上アップに貢献」といった言葉では、その度合いが全く伝わらず、具体的とはいえません。
人であれば人数、売り上げであれば金額やパーセンテージ、その他、クレームの件数や作業時間など、数値で表せるものは極力数値で説明しましょう。そうすることで具体性と客観性が増し、エピソードにも真実味が出ます。
また、客観的な表現のためには数字だけでなく、他人の意見や評価を盛り込むのも効果的です。ただし、「店長から○○といわれた」だけでは説得力不足です。できれば「店長から○○を見込まれ、バイトリーダーに指名された」といった流れに持っていけるようにしましょう。
成功体験や失敗を軸にアピールする
アルバイトはただ続けたこと、取り組んできたことを述べるだけではなく、印象的な出来事でアピールしなければなりません。アルバイトで成功した体験や、反対に失敗した経験など、採用担当者の記憶に残りやすいエピソードを軸に据えることで、印象的なアピールがしやすくなります。
アルバイトは働いていたという事実そのものではなく、そこでどのような経験をしたかが重要視されています。つまり、どれだけアルバイトに熱心に取り組み、真面目に働いたと伝えても、印象的な経験が述べられていないと高評価にならないこともあるため注意しなければなりません。
成功と失敗はどのようなものだったか、そこからいかなる気づきがあったかを考えると、アピール内容も選びやすくなるでしょう。
アルバイトの経験から得たことや仕事に対する姿勢などを盛り込む
アルバイト歴の欄ではここが本題です。アルバイトの経験からどんなことを得て、どんなことを学んだかを述べましょう。例えば、アルバイトの仕事をする中でぶつかった困難、それを解決するために自分がとった行動、そしてそれにより得られた成果や学び、といった流れにするときれいにまとまります。
アルバイト中、特に困難も問題もなかったのであれば、それはよほどアルバイト先や顧客が優良であったか、問題を問題と感じないほど自身の能力が高かったか、あるいは問題に気づけないほど周囲を見ていなかったか、のいずれかです。
そういった場合は、日々の仕事に取り組む姿勢や、アルバイト中に気を付けていたこと、努力したことについて書くとよいでしょう。
アルバイトを通して何をアピールしたいのか考える
アルバイトの経験は就活で絶対的にプラスに働くとは限りません。これはアルバイトをしていたかどうかではなく、それが仕事にどのように繋がるか、個性をアピールする題材として適格かどうかがみられているためです。
つまり、アルバイトの経験はただ提示するだけではなく、そこから自分のどのような部分をアピールしたいのかを考えなければなりません。アルバイトで培った能力を伝えたいのか、自分の性格的な特徴を伝えたいのか、あるいは仕事への姿勢をアピールしたいのかによって、提示すべき内容は違ってきます。
ただアルバイトを頑張ったというだけでは評価の対象にならないことも多いため、その経験の中でもっともアピールしたいことは何かを明確にしておきましょう。
アルバイト経験がない場合は他に頑張ったことを書く
大学に通って勉強をしながらアルバイトをするというのは、体力的にも時間的にも、決して楽なことではありません。そのため、アルバイトの経験がない就活生もいるでしょう。アルバイトの経験がないからといって、それが必ずしもマイナス評価になるわけではありません。むしろ、無いものを「有る」と嘘をつく方がよほど問題です。
記入欄には「ありません」の一言だけでなく、他に頑張ったことを書くようにしてみましょう。例えば「英語の勉強に時間を費やしていたので、アルバイトの経験はありません。その代わり、TOEICで850点をとることができました」のように、他の人がアルバイトをしている間に自分が頑張ったことを記入すると、好評価に繋がるでしょう。
アルバイトの内容によっては印象が悪くなることもある
基本的にはどのようなアルバイトでもアピールの題材として使えますが、水商売や反社会的に思われる活動などは、イメージが悪くなることもあります。反社会的で法に触れるものは当然NGですが、違法ではないアルバイトでも業種によっては悪印象を持たれかねないことは理解しておきましょう。
特に誠実さ真面目さを求める企業では、これらのアルバイトはマイナスの印象を与えやすいため、別の題材でアピールを考えるほうが無難です。もちろん、違法なアルバイトでないなら、企業によっては評価されることもあります。他の人とは違った経験が印象に残ることもありますが、基本的にはマイナスの印象になりやすいことは覚えておきましょう。
ESに書くアルバイト歴のよい例・悪い例
ESにアルバイト歴を書く際には、企業側が知りたいことを伝え、同時に自分がアピールしたいことを伝えることが重要です。そして、効果的にアピールするためには、前述したポイントをおさえて、分かりやすい文章を心がけましょう。
では、ESにアルバイト歴を書く際の例文をご紹介します。悪い例のどこが悪いのか、自分の文章もそうなっていないかを考えつつ、よい例を参考にして、自分のアルバイト歴の文章を作り上げていきましょう。
よい例①
私は、コンビニエンスストアで3年間アルバイトをしてきました。そこで私は提案力と行動力を身に付けることができたと感じています。私が勤務していた店舗では、弁当類の廃棄量が1日あたり15kgにもなり、店長が常に頭を抱えていました。
そこで、私は弁当やパスタなどの値札付近にPOPをつける方法を提案したのです。「OLに人気」「がっつり食べたい方におすすめ」といった簡単なPOPで、使い回しもできると店長にも褒められました。結果、弁当類の廃棄量も1日あたり7kgまで減らすことができたため、さらに減らせるように他の案を検討中です。この経験で得た提案力と行動力を、貴社でも発揮していきたいと考えております。
この例文では、コンビニエンスストアでアルバイトをしていたこと、そこで食品の廃棄量を減らすために提案・行動し、結果に繋げたことがきちんと伝わります。また、アルバイトの経験から得られたことをはじめに書くことで、話の方向性が見えて、読みやすい文章になっています。成果となる廃棄量も数字で示しており、客観的で具体的なエピソードになっているといえるでしょう。
よい例②
私は2年間、塾講師のアルバイトで、中学生に英語を教えていました。はじめのうちは、英語なんて面白くない、といって授業を真面目に聞かない生徒ばかりでした。そこで、私は生徒たちの話題に上る漫画やドラマを自分でも見て、それらの人物の名前や行動を問題文に織り交ぜるようにしました。
そうすると、生徒たちは授業にも英語にも興味を持つようになり、テストの平均点も60点から82点まで上がったのです。この経験から、私は相手を知ることと歩み寄ることの大切さを学びました。
この例文では、塾講師としてぶつかった壁、それに対処するために起こした行動、そして得られた成果と学びの順で、時系列がきれいにまとまっています。工夫の内容も具体的で、成果もテストの点数という形で数値化できており、的確に伝わる内容となっているでしょう。
悪い例①
私は、コンビニエンスストアで3年間アルバイトをしてきました。私が勤務していた店舗では、毎日大量の弁当類が廃棄されており、店長も頭を抱えていました。そこで私は、「弁当の廃棄を減らすために、できることがあるはずだ」と店長に直談判し、店長もそれに賛成してくれました。
そうして、提案と実行を繰り返し、試行錯誤していくうちに、ついに弁当の廃棄量を半分以下にまで減らすことができました。この経験を活かし、貴社でも提案力と行動力を発揮していきたいと考えております。
この例文では、問題を解決したこと、試行錯誤したことは伝わりますが、肝心の「提案の内容」が書かれていません。もちろん、業務上の事柄なので守秘義務が生じる場合もありますが、そうであれば「守秘義務に抵触するため細かい内容については伏せる」といった旨の記載をしましょう。
また、「廃棄量を半分以下に減らした」という書き方では、10kgが4kg(6kg減)になったのか、1kgが400g(600g減)になったのか、変化の度合いがわかりません。意欲ややる気だけでなく、具体的な内容まで伝えられる文章を目指しましょう。
悪い例②
私は2年間塾講師のアルバイトをしており、中学生に英語を教えていました。はじめのうちは不真面目だった生徒たちも、歩み寄ろうとする私の姿勢に感化されたのか、次第に心を開いてくれるようになりました。
また、生徒たちが興味や意欲をもって授業に取り組んでくれるように、問題の作り方や出し方も工夫して、その結果、平均点が飛躍的にアップしました。この経験から、私は相手を知ることと歩み寄ることの大切さを学びました。
この例文では、全体的に抽象的な表現が目立ちます。「歩み寄ろうとする姿勢」「次第に心を開いて」「飛躍的にアップ」といった書き方では、具体的に何があったのかが伝わりません。ESの文章では具体性を意識しましょう。また、一文が長くて読みづらいです。一文は短く区切り、テンポよく読める文章にしましょう。
ESにアルバイト歴を書く際には「何を得たのか」を明確に述べる
ESでアルバイトの経験を書く際に重要なのは「どのようなアルバイトをしたか」ではなく、「アルバイトの経験から何を得たか」「何を考えて行動したか」です。アルバイトも立派な社会経験であり、新卒の職歴にこそ書きませんが、立派に「仕事をした経験」なのです。つまり、アルバイトで何の学びも得られない人は、企業で事務や営業として働いても、何も得られないと判断される可能性があります。
同じ環境で同じ経験をしても、そこから得るものは人によって違うでしょう。例えばクレーム対応ひとつとっても「面倒なお客だった」と捉えるか「接客の勉強になった」と捉えるかは、人によって異なります。こういった小さな捉え方の差が、いずれは大きな学びの差となって帰ってくるのです。
アルバイト経験を自己PRする方法について、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。