業界研究

化学メーカーとはどのような企業?仕事内容や業界の特徴をチェック

化学メーカーとはどのような企業か

メーカーは新卒に人気の就職先のひとつですが、化学メーカーの実態について、詳しく知っている人は少ないでしょう。メーカーといえば、多くの人は食品や飲料、自動車といった、身近にあるものを思い浮かべます。

化学メーカーは、生活にはほとんど関係しない分野と思われがちです。しかし、身の回りの品物は、化学メーカーが関与していることも少なくありません。化学メーカーもその他メーカーと同じように魅力的な就職先であり、化学メーカーだからこその特徴もあります。

就職先の選択肢として考えるなら、どのような特徴を持っているのか、詳しく知ることが大切です。化学メーカーについての理解を深め、視野を広げて就職先の選択肢に加えましょう。

化学メーカーは3種類に分けられる

ひとくちに化学メーカーといっても幅は広く、企業によってどのような事業展開をしているかは異なります。企業ごとの違いは細部にわたりますが、大まかに分けると3種類です。

化学メーカーは総合化学メーカーと誘導品メーカー、電子材料メーカーの3つに分けられ、それぞれで扱うものが大きく異なります。化学メーカーにはどのような種類があるのか、業界内の分野を知りながら理解を深めていきましょう。

①総合化学メーカー

総合化学メーカーとは、自社で原料の取得から製品の開発まで、全てを一貫しておこなう企業です。化学メーカーが作る製品は企業によって違いますが、基本的には基礎原料と呼ばれる原料を取得し、そこから各部品の開発、部品から製品化の流れが一般的です。

原料取得以降の部品の開発は川中と呼ばれ、製品の開発から販売は川下と呼ばれます。製品を作って販売するところまでを川の流れに例えた呼び方であり、川中から川下まで全て自社でおこなうため、技術力の高い企業といえるでしょう。

総合的な分野で活躍しているため、企業規模が大きく、部署が多数に渡ることも少なくありません。化学メーカーは川中や川下のみという企業も少なくありませんが、これらを包括しておこなう企業が、総合化学メーカーです。

②誘導品メーカー

誘導品メーカーとは、川中の部分を担当する企業です。基礎原料から誘導品、簡単にいえば製品化する際に必要な部品を作り出すことが、誘導品メーカーの仕事です。自社で生産する商品が直接消費者の手に渡るわけではありませんが、メーカーを通じて間接的に消費者とも関わっています。

ビジネスモデルで考えるなら、誘導品メーカーは生産した商品を別のメーカー、あるいは商社に販売して利益を出しています。商社に販売する場合でも、最終的には別のメーカーに商品が渡るため、メーカーのためのメーカーともいえるでしょう。

消費者との関係は間接的であり、基本的には対企業のビジネスモデルになるため、誘導品メーカーはBtoB構図の企業となります。

③電子材料メーカー

電子材料メーカーは、その名の通り電子材料を作る企業です。ひとくちに電子材料といっても幅広くありますが、広く知られているものなら半導体やディスプレイが挙げられるでしょう。

例えば身近にあるスマホにもこれらは搭載されており、他にも生活の至るところに電子材料は使用されています。電子材料メーカーは、基礎原料の取得だけではなく、誘導品メーカーから商品を購入して、自社生産することも多いです。

ただし、電子材料がそのまま直接消費者にわたるわけではなく、そこからさらに電子機器を作るメーカーへと渡ることが多いため、ビジネス構図はBtoBが基本です。化学というイメージからは少し離れるかもしれませんが、電子材料も化学メーカーの一部であることは覚えておきましょう。

化学メーカーの仕事内容とは

化学メーカーを志望するなら、どのような仕事があるのか知ることが大切です。仕事内容を把握しておかなかないと、就職してから困る可能性があり、そもそも下調べができていないと判断される可能性もあります。

志望度の低さを見抜かれて、選考で不合格になることも多いため、事前のリサーチは重要です。また、仕事内容を把握していないと、適性を判断するのも難しいです。仕事内容は多岐にわたるため、それぞれの特徴を知り、自分に適性があるかも含めてチェックしておきましょう。

営業

営業の仕事はその他のメーカーや業界と同じように、物を売る仕事です。化学メーカーの場合は、自社で生産している商品を販売することが大きな役割であり、営業先はメーカーから商社、場合によっては小売店まで幅広くあります。

営業先がどこになるかは企業が生産する商品の性質によって異なりますが、基本的にはBtoBの構図です。個人に対して訪問販売のような営業をすることはないため、取引する商品の量は大きくなりやすく、動かすお金も大きいです。

商品を売り込むという点は他の営業職とも変わりませんが、商品が専門的な部品や材料になるため、ある程度知識を身につけなければなりません。扱う商品の性質上、特定分野に特化した知識が必要であり、就職してから勉強しなければならないことは多いでしょう。

研究・開発

研究・開発は商品を作り出す仕事であり、メーカーの心臓部ともいえる仕事です。新技術や新商品の研究・開発はもちろん、既存の商品の見直しなどもおこない、業務内容は多岐にわたります。

基礎研究から応用研究と、研究職の中でも業務は多彩であり、どこに配属されるかは企業によって違うため注意が必要です。扱う商品が企業ごとに違うのはもちろん、業務内容がどのように区分けされているかも異なります。

業務を細分化してひとつの分野の研究開発をおこなう企業ばかりとは限らず、幅広い業務を担当しなければならないこともあります。業務内容や範囲についても企業ごとの違いが出やすいため、事前に念入りに情報を収集しておかなければなりません。

生産・品質管理

生産や品質管理は研究・開発職と混同されることも多いですが、実際には大きく違うため間違えないよう注意しましょう。商品や技術を作り出すことが研究や開発の仕事ですが、ここでの作り出すとは、いわば設計図の作成です。

実際に商品を量産化し、販売するための管理をおこなうのは生産や品質管理の仕事です。どれくらいの量を生産するか、売れ行きや在庫、社会のトレンドを見ながら管理する必要があり、ただ毎日工場を稼働させて、定量生産をすればよいわけではありません。

また、当然商品の質も重要であり、クライアントの期待を損なわないためにも、万全の状態に仕上げる必要があります。商品の管理をおこない、出荷可能な状態にすることが、生産や品質管理の重要な仕事といえます。

化学メーカーの売上高とシェアランキング

化学メーカーの売上高とシェアランキング

  1. 三菱ケミカルHD     3兆7,244億円
    12%
  2. 住友化学        2兆2,169億円
    7.2%
  3. 信越化学工業      1兆4,414億円
    4.3%
  4. 三井化学        1兆3,285億円
    4.7%
  5. 旭化成【マテリアル事業】 1兆877億円
    3.5%

引用元:化学業界の動向・ランキングなどを研究-業界動向サーチ

化学メーカーは業界規模が大きく、トップクラスの企業だと、売上高は1兆円を超えます。規模は非常に大きいですが、分野が多彩なため、一部の企業が圧倒的に利益を独占しているというわけではありません。

1位の三菱マテリアルHDでも、シェア率は12%であり、2位以下と比較しても、ある程度のばらつきはあるといえます。3位以下はシェア率もほとんど変わらず、企業間による差はそれほど大きくないでしょう。

化学メーカーの企業研究

化学メーカーについてさらに理解を深めるには、企業についても深掘りして知っておくことが大切です。化学メーカーは膨大な数がありますが、ここではトップ5に絞って特徴をみていきましょう。

業界上位の企業を知ることで、その企業についてだけではなく、業界全体についても理解を深められます。就職先の選定では企業研究が必須なため、それぞれの違いを把握して、どの企業が自分に向いていそうか考えることが大切です。

三菱ケミカルHD

三菱ケミカルHDは、傘下に多様な企業を持ち、化学メーカーに留まらない活躍をみせている点が特徴です。活躍している分野は大きく機能商品、素材、ヘルスケアの3つに分けられ、それぞれで数多くの実績を残しています。

直近の実績で見るなら、例えば機能商品の分野では、薬品体制や長期耐久性、環境信頼性を大幅に向上させた「DURABIO」の新グレードを開発しています。新商品の開発はもちろん、既存商品のグレードアップにも力を入れており、品質を高め続けている点が、外部からの評価を受けている理由でしょう。

三菱ケミカルHD傘下には、三菱ケミカルや田辺三菱製薬、生命科学インスティテュート、大陽日酸などがあり、化学から医薬、製薬まで幅広い分野を網羅しています。

住友化学

住友化学は、石油化学からエネルギー・機能材料を始め、情報電子化学や健康・農業、医薬品と幅広い分野で活躍していることが特徴です。工業用の製品から、普段の暮らしの中で使われている日用品や自動車、家電製品、電子機器と、手に取ることが多いものを数多く扱っています。

幅広い分野で活躍する総合化学メーカーであり、国内外で広く活躍している点も特徴です。エネルギーや電子に留まらず、バイオサイエンスの分野でも活躍しており、研究職が活躍できるフィールドが、多彩に用意されています。各分野でも強みを発揮しており、総合力の高さで業界2位にまで上り詰めた、実力のある企業といえるでしょう。

信越化学工業

信越化学工業信越化学工業は、塩ビやシリコン、電子材料の分野に強みを持つ企業です。事業内容は多岐にわたり、塩ビ・化成品事業から半導体シリコン事業、シリコーン事業や電子・機能材料事業を展開しています。

さらに機能性化学品事業から加工・商事・技術サービス事業まで事業範囲は幅広く、メーカーの役割に留まらない活躍を見せていることが特徴です。特に強みがあるのは、シリコーンやセルロース誘導体、フッ素系やシリカ製品であり、数多くの商品を生産しています。

独自の技術に裏付けられた品質の良さと分野の多彩さで活躍し、業界3位の売上高を誇っています。特定の商品に強みを持ちますが、総合力も高いため、活躍できる分野が幅広い点は大きな魅力でしょう。

三井化学

三井化学は、ヘルスケアやモビリティ、フード&パッケージングや基盤素材事業で活躍しています。分野は幅広く、それぞれで特定の商品に強みを持っている点が特徴です。例えばヘルスケア事業なら、ヘルスケア材料やパーソナルケア材料、不織布に強みがあります。

モビリティ事業なら、エラストマーや機能性コンパウンド、機能性ポリマーと、自社製品を数多く生み出している点も特徴です。化学品はもちろん、自動車や家電、電子機器、さらには印刷や土木、建築といった分野にも関与しています。

領域の広さは特徴的であり、各事業部門ごとに自社ならではの製品を生み出している技術力の高さが、三井化学の大きな魅力といえるでしょう。

旭化成

旭化成はマテリアルから住宅、ヘルスケア、その他の領域と幅広い分野で活躍していることが特徴です。企業全体の規模は巨大ですが、化学メーカーだけに絞って考えるなら、マテリアル領域が該当します。マテリアル領域は旭化成の主要分野であり、さらに基盤マテリアル事業、パフォーマンスプロダクツ事業、スペシャリティソリューション事業、エレクトロニクス事業に分けられます。

基盤マテリアル事業では、基礎原料や誘導品の生産、パフォーマンスプロダクツ事業では繊維や高機能ポリマー、合成ゴムといった幅広い商品展開が特徴です。技術力の高さはもちろん、幅広い事業展開を活かした領域の多彩さも特徴であり、ひとつの領域だけでも巨大な規模を持っている点は大きな魅力でしょう。

化学メーカーは文系でも就職できる?

化学メーカーは理系のイメージが強く、事実採用の多くは理系学生です。これは研究や開発には専門的な知識やスキルが必要だからであり、応募条件として学部を指定されることも少なくありません。

しかし、理系が大半を占める化学メーカーですが、文系学生がまったく就職できないわけではありません。営業職のように、直接商品の研究や開発に携わらない仕事なら、学部に関係なく挑戦できます。

他にも人事や事務、法務といった、どの業界や企業にも存在する基本の部署もあり、これらも卒業学部は関係ありません。ただし、営業職は文系だけがチャレンジできるわけではなく、理系学生も応募するためライバルは多いです。同じ営業職なら、少しでも知識のある理系学生を採用したいとすることもあるため、チャレンジ可能=簡単に就職できるわけではありません。

化学メーカーが関与している商品は多い

化学メーカーが製造した商品が、直接消費者に渡るというケースはまずないため、化学メーカーの存在はあまり知られていません。商業や工業だけに関係し、実生活にはあまり関与しないとイメージする人も多いですが、実際には多くの場面で化学メーカーの活躍の恩恵を受けています。

例えば自動車や普段使っているスマホ、日用品の多くには化学品や電子材料が使用されており、これらを作っているのは化学メーカーです。間接的ではあるものの、人々の生活に関与し、暮らしの豊かさを実現しているのは確かです。

イメージが持ちづらい化学メーカーですが、実は生活に大きく関与している身近な存在ともいえます。業界や企業について細部まで理解を深めて、化学メーカーも就職先の選択肢に入れてみましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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