業界研究

【物流業界動向を徹底解説】現状の課題から将来性まで知ろう

物流業界の動向を知りたい

物流業界は経済を支える重要な業界です。普段の生活で関与するため仕事もイメージしやすく、就職を希望する人もいるでしょう。物流業界の幅は広く、個人に関係するものから、法人、社会全体に関係するものまであります。

多様な特徴を持っているため、就職先の選択肢にしたいなら、細部まで理解を深めておかなければなりません。特に動向を知るのは重要なことであり、今後業界がどのような道を辿るか、そこに将来性があるかを判断することが大切です。

就活は就職先を決めて終わりではなく、むしろそこからが始まりです。長く続く社会人生活をスムーズに送るためにも、物流業界について、今後の動向も踏まえて理解していきましょう。

物流業界の現状

今後の動向や将来性の有無を知るには、まずは現状を理解しなければなりません。「物流業界の現状は?」と問われて、すぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか。生活にも関係するイメージしやすい仕事ですが、実際にどのような現状なのかと問われると、細部までは説明できない、理解でていないという人は少なくありません。

現状を正しく把握し、物流業界では現在どのようなことが起きているか、何が問題視されているかを知ることが大切です。物流業界の現状についてみていきましょう。

ネットショッピングによる個配の増加

インターネットの普及によってネットショッピングの市場は拡大し、現在では通販サイトだけでも数多くの種類があります。ネットショッピングによる宅配需要は爆発的に増加しており、個配の分野の需要の増加が著しいです。

これはスマホの普及による影響が大きく、老若男女誰もが簡単にインターネットを利用し、買い物ができるようになったことが関係しています。スマホがあるならどこでもインターネットに接続可能でき、外出先からでも注文が可能です。

気になったものをその場で購入決定できる手軽さがネットショッピングの需要拡大の大きな理由であり、この波を受けて個配の業績が拡大している企業は多いといえます。現在は一時期ほどの爆発的な伸びはなく、緩やかに安定していますが、かつてに比べると需要が高くなっていることは確かです。

人口減少や労働者の減少による人手不足

個配の分野で需要が伸びているのは喜ばしいことですが、反面人手不足による問題も生まれています。人手不足の原因は大きく2つで、少子高齢化による人口減少と、劣悪な労働環境による人材流出に分けられます。

日本は少子高齢化を迎えて人口全体が減少しつつありますが、特に働き手となる世代が減っており、特にドライバーの人材不足が問題です。また、人手不足に陥ることで一人当たりの業務量が増加し、さらに個配の需要は爆発的に増加しているため、ブラック化している企業は少なくありません。

法改正や労働環境改善の動きによって多少は緩和されましたが、現在でも問題が完璧に解決できているとはいえないでしょう。人手不足の問題は依然として残っており、人材の獲得が業界全体の急務といえます。

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新設の物流施設の増加

物流業界では個配の需要の増加や業界全体での業績の好調により、新たな物流施設を設置する企業も少なくありません。物流施設は預かった荷物を一時的に保管する倉庫や管理センターなどであり、商品のストックの増大が施設新設の大きな理由です。

例えば個配の需要が増えると、一時的に管理する荷物の量は多くなるため、保管するためのスペースが必要になります。需要が爆発的に増加したことで従来の施設だけで管理しきれなくなり、新しく設置場所を設けているのです。

また、オンラインショップのように倉庫に在庫を持つ店舗も多く、消費者のニーズに素早く応えるために、できるだけ多くの在庫を用意していることも多いです。商品在庫の大規模化やストックスペース拡張の必要性などが相まって、物流施設の新設は進行しています。

物流不動産開発の競争が激化している

物流施設の新設に伴い、物流にまつわる不動産事業も活発におこなわれています。特に物流不動産開発の競争は激化しており、大手ディベロッパーによる競争は続いています。物流施設は物のインフラの中心になる場所であり、社会全体の物資の流通から、個人の生活の細かいところに至るまでを支えている点が特徴です。

つまり、需要は確実に高く、ディベロッパーとしては利益獲得のために確実に抑えたいポイントであるといえるでしょう。また、物流施設が増加することで物の流れが円滑になり、街全体の活性化に繋がることもあります。

ディベロッパーはエリアの開発や成長を目指して事業に取り組んでいるため、その一端を担う物流施設の新設に力を入れる企業は増えています。

改正物流総合効率化法案が可決された

物流業界では急激な需要の増加による仕事量の増加やそれに伴う人手不足などが叫ばれています。政府はこの流れを受け改正物流総合効率化案を発表し、可決に至りました。改正物流総合効率化案では、トラック配送から別の配送方法に切り替えることを推進したり、他社同士での共同配送の取り組みなどを促したりすることが大きなポイントです。

トラックによる輸送は運転手のなり手が少ないため人手不足に悩まされていますが、これを鉄道や船による輸送に切り替えることで、問題を解決しようという策です。また、共同配送は2社以上で連携することを指し、保管している倉庫からの納品先が同じである場合は、バラバラに運ばず、まとめて輸送をおこないます。効率化を目指すために輸送網を集約することも考えられており、物流業界は法改正によって動いています。

物流業界の今後の動向

現状を踏まえた上で、抱えている問題を解決するために今後について考えることが大切です。現状から考えて、物流業界ではどのような対処法を取るべきか、実際の動きも知りながらチェックしておきましょう。

今後の動向を知ることで、業界がどのように変化するかが分かります。仕事内容や労働環境にも関係する重要なポイントのため、今後の動向は特に念入りにチェックしておくことが大切です。

人材獲得に注力

人手不足が嘆かれている物流業界では、人材の獲得に注力する企業が多いです。正社員だけに関係なく、派遣やアルバイトでの採用に力を入れる企業もあり、自社育成枠でポテンシャル採用を拡大する企業も少なくありません。

物流業界はどうしてもマンパワーが必要な業界であり、ひとり減るだけで大きな痛手となることも多いです。労働条件を改善して募集を呼びかける企業も多く、人材を獲得するだけではなく、今の働き手を逃さないための取り組みも進められています。

人材の獲得はもっとも素早く解決しなければならない問題です。そのため、どの企業も注力している問題であり、企業単体で取り組む問題というよりも、業界全体で一丸となって立ち向かっている問題といえます。

ITやAI技術の導入

マンパワーは必要ですが、なかなか思うように人材が獲得できないことも少なくありません。そもそも物流業界を志望する人が少ないケースも多く、募集を出しても人が集まらないのも実情のひとつです。

人材獲得の難しさを緩和するための策として、ITやAI技術の導入による、業務の効率化が考えられています。物流業界は荷物を受け取り、配送するというアナログな業界ですが、最新技術の導入によって抜本的な改革が急がれています。

すでに導入されているもので例を挙げるなら、個配の分野では荷物の追跡やネットでの配送時間の変更などが該当するでしょう。まだまだ導入されている技術は多くありませんが、今後も随時導入が予定されており、技術の導入、浸透によって問題が解決に向かう可能性は高いです。

ドローンや自動運転による配達

今後導入が検討されている技術では、ドローンや自動運転の車による配送です。ドローンを使うことで遠隔操作での配送が可能であり、オートパイロットの機能を使えるなら、作業が完全自動化となり、作業効率は格段に上がります。

軽い荷物に限定されるものの、車ではなかなか入りづらい入り組んだ場所への配送が可能となり、機械の性能が上がるなら対応重量も増えるでしょう。自動運転の車も同様であり、実施されるとドライバーの人手不足問題は一気に解決されます。

ただし、これらはまだまだ準備段階であり、海外では実験が進みつつありますが、国内での導入はさらに遅くなる見込みです。直近での導入は難しいですが、5年後、10年後には期待が持てる技術でしょう。

法改正による労働環境の整備

物流業界では人手不足や需要の爆発的な増大からくる業務量の急増が問題となっており、特にブラックな労働環境が問題視されています。国内でも配達員による荷物の扱いや労働環境の過酷さが問題になっており、これを改善するために法改正が進んでいます。

宅配の送料値上げに伴い、賃上げを検討、実施する企業も増え、労働者の金銭的な問題の解決は少しずつ進んでいるでしょう。また、最新技術の導入も法改正のタイミングを待って実施される可能性が高く、改正に伴い労働環境の改善が見込まれています。

ただし、法改正によって現行の制度が変わるからといって、どこまで変更されるかは企業によって異なります。現状を受けての動きは企業によって大きく違い、企業間格差が出ている点には注意しなければなりません。

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物流業界の現状の課題から見る将来性とは

物流業界への就職を目指すなら、現状の課題を知った上で、将来性についても考えなければなりません。課題はあるものの、解決できるなら問題はありませんが、重要なのは本当に根本的な部分が改善されるかどうかです。

また、そもそも業界自体に将来性が残されているかも重要なポイントであり、将来性の有無や程度によって、就職すべきかどうかは変わります。現状は課題が山積みであるからこそ、問題としっかり向き合った上で、将来性についても考えなければなりません。

需要が高いため将来性はある

物流業界全体の将来性で考えるなら、需要の高さから見ても将来性は十分あるといえます。個配の需要は落ち着きつつありますが、今後極端に減るとは考えづらいです。むしろ高齢化の進行によって買い物に行くのも難しい人が増えると、ますます個配の需要は高くなると予想されます。

また、ネットショッピングによる需要の増加によって個配の分野が注目されていますが、実際の仕事は個人に向けたものだけではありません。法人に向けたサービスもあり、物流業界全体で見ると、陸送から空輸、海輸、倉庫の分野と幅は広いです。

各分野とも個人、法人両方に向けたサービスが実施されており、物の流れは社会全体で必要なシステムのため、需要が完全になくなるという心配はないでしょう。

人手不足になって激務になりやすい点には注意

物流業界の動向としては高い需要による将来性は見込まれているものの、需要に対応するだけの業務の過酷さは残る可能性が高いため注意が必要です。新技術の導入による業務効率化は考えられていますが、まだまだ未実装であり、ブラック化したままの企業も少なくありません。

効率化が見込まれているとはいえ、実際に導入してみないとどこまで作業が楽になるかは分からず、現状とそれほど変わらない可能性もあります。人手不足に陥ると、人材の獲得と流失は繰り返し起こり、いたちごっこになって人材が充実するまでには時間がかかります。

そのため、将来性は高いですが、激務になる可能性も高いため、就職するならハードな仕事になることは覚悟しておかなければなりません。

技術やシステムの導入が労働環境改善のカギ

物流業界への就職を目指すなら、将来性だけではなく、働きやすさも考えなければなりません。今後働きやすい環境が実現するかどうかは、新技術やシステムの導入にかかっており、これが実現されるかどうかで結果は大きく変わるでしょう。

現状のまま何も変わらないなら、高い需要に対して人手不足の状態が続き、激務になる可能性が高いです。テクノロジーの導入や、現在の物流を大幅に改善できるシステムが導入されるなら、労働環境が改善される可能性もあるでしょう。

企業単位というよりは業界全体、社会全体の問題であり、どこまで労働環境の整備がおこなわれるかが、今後重要視すべきポイントです。物流業界に就職するなら、法改正や技術導入の動きは念入りにチェックしておかなければなりません。

物流業界の動向は明るい方向に向かっている

高い需要や人手不足の問題によって、労働環境がブラック化している企業は少なくありません。過酷な労働環境は業界全体で問題となっており、就職するならある程度激務の可能性は覚悟しなければならないでしょう。

しかし、法改正や新技術の導入に向かう流れはあり、業界の未来がまったく暗いわけではありません。抜本的な改善を目指せる技術、システムの導入によって大幅な改善が見込める可能性もあり、動向としては明るい兆しが見えつつあります。実際にいつ改変されるかは不確定ですが、物流は社会に必須であり、注目されている業界のため、数年のうちに何らかの動きがある可能性は高いです。

現状は複数の課題を抱えていますが、改善に向かう動きは確実にあるため、物流業界の今後の動向は明るいといえるでしょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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