業界研究

【物流業界とは】主な業務内容や動向、採用でのポイントを解説

毎年人気の高い物流業界

世の中には様々な業界がある中で、物流業界は毎年志望する人も多く、人気の業界の一つです。どこか安定しているイメージや、将来性があるような印象があることから、憧れの業界とされています。

しかしながら、漠然と「安定しているから」「将来性があるから」というイメージで選考に進んでしまうと、理想と現実のギャップに苦しんだり、選考で落とされてしまう可能性もあります。

本記事では物流業界の基礎知識から内定を得るためのポイントまで解説しております。物流業界の業務内容や動向、福利厚生などを知ることで、業界研究や企業研究を進めることができ、自分に合っているかどうか判断することができます。

また求める人物像や内定を得るためのポイントをしっかりと理解することで、企業に対して的確なアピールをすることができるため、選考も有利に進めることができます。

物流業界の基礎知識から内定を得るためのポイントまで理解し、就職活動を優位に進めましょう。

物流業界とは

物流業界はその名の通り「物の流れ」を扱う業界で、商品の運搬を行い生産者から消費者まで届ける仕事です。例えば、石油や天然ガスなどの資源などの運搬で主に「BtoB」で活躍する海運の日本郵船や、顧客の自宅への輸送などトラックや車を用いた輸送しかできないような地域への輸送が得意で、「BtoC」「CtoC」で活躍する陸運の日本通運などがあります。このように物流業界の企業は、企業や個人の様々な間を取りもって、取引を支えています。

商品を運ぶ際は「陸運」「海運」「空運」「鉄道」と幅広い方法を用い、また扱う商品によって様々な形で我々消費者に届けられます。また商品を保管するための「倉庫」も物流業界の重要な役割です。このように「物流業界が何を行っているのか」「どのように利益を出しているのか」を知ることで、物流業界の業界分析や企業分析がしやすくなるため、ぜひ理解しましょう。

ビジネスモデル

物流業界のビジネスモデルは以下の通りです。

物流業界のビジネスモデルを表した図

物流業界は生産者から消費者に商品を届けるため、運送や倉庫の貸し出しを行うビジネスモデルです。生産者や依頼者に商品の輸送や配送を依頼され、その仲介手数料や輸送料、配送料で収益を出すビジネスモデルです。後述しますが、3PLのような物流業者の中には、依頼から輸送まで全て1社で行う企業もあれば、配送専門業者や倉庫管理専門業者など様々存在します。

また輸送の方法も「陸運」「海運」「空運」「鉄道」と幅広く、扱う商品によって様々な形で我々消費者に届けられます。

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物流業界の3つの職種と仕事内容

物流業界の3つの職種や仕事内容を表した図

次に物流業界の業務内容について解説します。物流業界はその名の通り「物の流れ」扱う業界で、商品の運搬を行い生産者から消費者まで届ける仕事です。

その中でも「営業」「管理」「SD職(セールスドライバー、宅配員)、パイロット、航海士、電車運転士」と3つの職種と仕事内容に分かれています。3つそれぞれが重要な役割を担っておりますので、しっかりと理解し業界研究を進めましょう。

1.営業

営業では主に法人を中心に、物流会社のサービスを活かし、「輸送手段の提供」や「倉庫での保管」を行うことで、顧客の物流課題を解決します。

近年、Amazonや楽天等のECサイトで商品を販売しつつも、自社内で商品を保管できない企業が増えてきました。そのため、そういった自社内に保管機能を持たない企業は、物流会社へ保管業務を委託し、物流センターに商品を納入します。そして、その商品を物流センターから各ユーザーに配送するといったケースが増えてきました。このように物流業界の営業は、保管機能がない企業への新規開拓や既存顧客のサポートを中心に行う業務となります。

また保管とともに、「配送手数料割引」などのDM(ダイレクトメール)を配信することで、輸送手段提供の新規開拓営業を行うケースもあります。このように物流業界の営業の形は、多様化しているといった特徴があります。

「営業」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「営業」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

2.管理

管理では生産者から預かった商品の入荷や保管、出荷までを管理する仕事になります。商品が適正な状態かどうかを検査する「検品」、商品が適切な方法で運送の準備するための「梱包」、その他「仕分け」「ピッキング」「荷役」「商品管理」など多岐にわたります。

物流業界で一番作業量が多い業務となっており、人員コストがかかると言われています。そのため近年では、これら業務を全て機械やシステムによる自動化にする動きが進んでおり、コスト削減や従業員の負担軽減がはかられている業務になっています。

・検品とは、商品が適正な状態かどうかを検査する仕事
・梱包とは、商品が適切な方法で運送の準備する仕事
・仕分けとは、倉庫に届いた荷物を管理しやすいよう、企業ルールに基づいて分ける仕事
・ピッキングとは、倉庫の中から必要な品物を集める仕事
・荷役とは、トラックや船舶等に商品を上げ下ろしする仕事
・商品管理とは、商品が適正な状態で保管されているかを検査する

3.SD職(セールスドライバー、宅配員)、パイロット、航海士、電車運転士

生産者から受注した商品を実際に消費者に届ける仕事になります。輸送や配送の業務が物流業界のメイン業務であり、各企業でコスト削減や効率化をはかりながらしのぎを削っています。例えば、輸送する手段としては「陸運」なら長距離トラック、「空運」なら航空貨物、「海運」なら貨物船、「鉄道」貨物列車などがあり、配送では「陸運」の宅配トラックがメイン手段として機能しています。

また物流センター等の大きな施設に届けることを「輸送」、顧客の自宅など個別の消費者に届けることを「配送」と言います。以下、それぞれの職種に就くうえで必要になる免許を記載していますので、ご参照ください。

SD職に就くうえで必要になる免許
・普通自動車免許
・中型自動車免許
・大型自動車免許
・牽引免許
・玉掛作業者
・フォークリフト運転技能者
・危険物取扱者
・運航管理者

パイロットに就くうえで必要になる免許
・操縦士技能証明
・航空身体検査証明

航海士に就くうえで必要になる免許
・海技士免許

電車運転士に就くうえで必要になる免許
・動力車操縦者運転免許

物流業界の5つの事業領域

物流業界の5つの事業領域を表した図

物流業界の領域は「陸」「海」「空」に分けることができます。特に「陸」に関してはトラックなどを利用する「陸運」、鉄道による貨物輸送を行う「鉄道」、商品管理を含む物流業務全てを行う「倉庫」が存在します。それぞれ扱う商品やニーズが異なるのでしっかりと理解を深め、業界研究を進めましょう。

1.陸運

「陸運」とは主にトラックを用いた陸上輸送のことをさします。

陸運のメリットは細かなニーズに対応できるといったところです。例えば顧客の自宅への輸送などトラックや車を用いた輸送しかできないような地域への輸送が得意です。反対にデメリットとしては、他の輸送手段と比べて大量輸送と長距離輸送ができないところがあげられます。

そういった物流における細かなニーズに応えることができるといったことから、「陸運」は消費者に一番近い「配送」を担っている場合が多いです。代表的な陸運会社は日本通運、日本郵政、ヤマトHD、SGホールディングス、日立物流などが該当します。

「陸運」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「陸運」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

2.空運

「空運」とは主に飛行機を用いた航空輸送のことをさします。

空運のメリットは輸送時間が早く長距離輸送ができるといったところです。例えば小型かつ軽量な精密機器や「生花」や「生鮮食品」なでの劣化が進みやすい商品などの輸送に便利です。反対にデメリットとしては重量がある商品が輸送できず、輸送コストが高いといったところがあげられます。航空機の制限重量は同じ長距離輸送が得意な船舶と比べても軽く、また輸送燃料などは景気によって変動を受けやすいことから景気が悪い際には海運に切り替えられる場合があります。

そういった意味で、「空運」はとても大きな一長一短がある輸送手段と言えます。代表的な空運会社はANAホールディングス、日本航空、近鉄エクスプレス、名鉄運輸、AIRDOなどが該当します。

「空運」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「空運」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

3.海運

「海運」とは主に船舶を用いた海上輸送のことをさします。

海運のメリットは大量の商品や重量の重い商品を長距離輸送できるということです。例えば石油や天然ガスなどの資源や自動車や重電機などの超重量の商品を大量に輸送することができます。反対にデメリットとしては、輸送に時間がかかるところです。石油輸出国であるサウジアラビアから日本まで石油を輸入しようとする際、原油の積み下ろしに5日、航海で割いてでも20日かかるとされています。

船舶でしか輸送できない商品も多いため、とてもニーズがある輸送手段であるといえます。代表的な海運会社は日本郵船、商船三井、川崎汽船、NSユナイテッド、飯野海運などが該当します。

「海運」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「海運」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

4.鉄道

「鉄道」とは主に貨物列車を用いた貨物輸送のことをさします。

鉄道のメリットは時間通りに商品が輸送でき、環境にも優しいというところです。貨物列車では、定められた走行速度とルートによって時刻表通りの運行ができます。また電化された区間はCO₂の排出量がなく地球環境に優しい輸送ができます。反対にデメリットとしては陸運に比べ運送時間や頻度の融通がきかないところです。運行時間が正確に決まっているからこそ、様々な顧客のニーズに100%応えきれないというデメリットが存在します。

しかし近年のモーダルシフトによって注目されており、今後変革の可能性を秘めた輸送手段となっております。後述しますが、モーダルシフトとは輸送による環境負荷を考慮し、トラックによる輸送から鉄道や船舶による輸送に転換するといった取り組みで、現在多くの企業で実施されています。代表的な鉄道会社は日本貨物鉄道などが該当します。

「鉄道」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「鉄道」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

5.倉庫

「倉庫」とは主に倉庫での商品管理業務を行います。食品などの身の回りの商品から、危険品や毒薬などの特殊貨物まで、生産者や輸送業者からの依頼により、様々な商品を管理しています。

しかし近年では3PLに伴い保管だけではなく、物流の「輸送」から「配送」まで関わるようになりました。後述しますが、3PLとは依頼者や生産者に代わり最も効率的な輸送手段や物流戦略を提案し、物流にかかる全ての業務を1社で行うというサービスです。3PLによって生産者にとっては、「輸送の依頼」「倉庫での商品管理」「配送の依頼」など、様々な企業を介して輸送することがなくなります。これによって多くの企業と取引することもなくなるため、金銭と時間の両方のコスト削減になり、自社の生産や事業に専念することができるといったメリットがあります。

反対にデメリットとしては、輸送業務を外部に丸投げするので運用管理ができないということです。運用管理が原因で、トラブルが発生するケースも少なくないと言われており、事前に委託先の対応方針を理解しておく必要があります。代表的な倉庫会社は三井倉庫ホールディングス、三菱倉庫、日新、住友倉庫、キユーソー流通システムなどが該当します。

「倉庫」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「倉庫」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

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物流業界の動向

次に物流業界の動向について解説します。物流業界の動向について理解することで、「業界全体ではどんな課題があり、どのような人物を求めているのか」「今後の展望により、就職することでどのようなメリットやデメリット」などが分かります。そのため、自分にあった企業を探すための業界研究や企業研究を進めることができます。物流業界を理解するためにも、現状の課題や今後の行方にもしっかり注目しておきましょう。

今までの変革

物流の概念が登場したのは戦後と言われており、当時の物流先進国であったアメリカを参考にし、日本のインフラ整備が始まりました。当時の日本はオリンピックや万博の開催により、高度経済成長期であったため、大量生産と大量消費によりどんな商品も作れば作るほど売れる状況でした。

そのような状況から生産者はものづくりに、流通に関わる企業はものを売ることに専業することにより、「物流」という概念がでてきました。例えば人力で行なうことが多かった荷役を機械化へシフトしたり、物流センターや倉庫といった物流拠点が整備などがあげられます。生産から消費に繋がる効率的な流れが「物的流通」という言葉に訳され、のちに「物流」と呼ばれるようになりました。

このように物流業界は生産者と密接に関わる業界である、多くの人と関係を構築しなくてはならないため、現在でも「マネジメント能力」や「コミュニケーション能力」をもった人物を求める傾向があります。

現状の課題

物流業界には現状、2つの課題があります。

・人手不足
・燃料の高騰化

国土交通省が発表した「トラック運送業の現況について」によれば、2018年のトラックドライバーの有効求人倍率は2.76倍と、全職業の1.52倍と比較しても高く、陸運を中心に深刻なドライバー不足になっております。

またトラックドライバーにとどまらず、厚生労働省が発表した「労働力経済動向調査」によれば、運輸業全体として60%以上の企業が「労働力が過剰に不足している」と回答し、物流業界全体で人手不足であるという課題があげられます。Amazonや楽天を始めとするネットショッピングが拡大しており、物流全体の需要が増していることが原因です。そのため、物流業界の求人が多くなっています。

さらにトラックや航空機を動かすための燃料費が高騰している現状があります。例えばイラクでの紛争など、産油国の政情不安があります。これにより原油の供給がストップし、原油の価格が上昇してしまうため、景気によって輸送コストが変動しやすいといった課題もあります。

今後の行方

今後、物流業界は2つの展望が予想されます。

・モーダルシフトの促進
・3PLのさらなる普及
・新型コロナウイルス感染拡大による影響

モーダルシフトとは輸送による環境負荷を考慮し、トラックによる輸送から鉄道や船舶による輸送に転換するといった取り組みです。現在環境負荷の低減は社会的責任と位置づけられ、多くの企業で実施されている取り組みとなっています。例えば2015年に国連サミットで採択された「SDGs」があげられます。このSDGsにおいて、クリーンなエネルギーの利用や気候変動問題についてあげられており、環境負荷の低減が世界的な努力目標となっています。

また国土交通省の「環境:運輸部門における二酸化炭素排出量 - 国土交通省」によれば、1トンkmあたりの自家用貨物車のCO₂排出量は1,162g、船舶は39g、鉄道は22gとなっており、船舶と鉄道が環境に配慮した輸送手段であると見直されています。

また3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)という、陸運や倉庫など物流に携わる企業が、生産者に代わり最も効率的な輸送手段や物流戦略を提案し、物流にかかる全ての業務を1社で行うというサービスが普及しています。

今までは輸送を受注する企業、倉庫を貸し出す企業、配送する企業と1つの商品が生産者から消費者に渡るまで、様々な企業と連携する必要がありました。しかし、3PLによってそれら全てが1社にまとまることで、生産者や依頼者は輸送コストの削減や自社の事業に専念できるといったメリットがあるため、今後も需要が拡大していくと言われております。

そして新型コロナウイルス感染拡大により、物流業界でもリモートワークが推進されました。そのため今まで現場で行っていた倉庫業務などが、在宅で管理できるようになりました。また紙やFAXでやり取りされていた受注の帳票が電子化され、オンラインストレージなどを使用することで情報共有がスムーズになるといった動きもありました。

このようにアナログで行っていた業務を一部デジタル化やオンライン化の実現が成功しました。今後もこのような流れが普及すると考えられ、ITに強い人材を求めているとも言われています。

物流業界の待遇

物流業界の待遇について解説します。「年収」「勤務時間」「福利厚生」のカテゴリーに分け、それぞれの詳細を見ていきます。物流業界の気になる待遇面を理解し、納得いく就活にしましょう。

年収

物流業界の各領域トップの売上高の企業をまとめました。各企業の「有価証券報告書」による社員の平均年収は以下のようになります。ただし臨時雇用者(パートタイマー、アルバイト、人材会社からの派遣社員など)は含まれていない場合があります。

日本通運 586万円
ANAホールディングス 736万円
日本郵船 934万円
日本貨物鉄道 527万円
三井倉庫ホールディングス 774万円

サラリーマンの平均年収が441万円であり、物流業界の平均年収がかなり高いことがわかります。特に「海運」や「空運」の社員は規模が大きい商材ということで、扱う金額と責任も多くなります。そのため、物流業界の中でも高い平均年収となっています。また後程解説しますが、物流業界は夜間の勤務もあるため、これほどの年収になると言われています。

勤務時間

物流業界の1日は事業領域や業務内容に違いがあるため、今回は陸運の受注業務の1日で説明します。9時に出勤し、12時に休憩が入ります。そして18時には退勤するといった流れになります。

朝に出勤して夕方には退勤するので一般的な企業と似たようなスケジュールとなります。しかし物流業界の特徴として上記のスケジュール以外にも、ドライバーや取引先とのやり取りで夜勤になることもあるため、事業領域や業務内容によって様々な働き方があります。

福利厚生

企業によって福利厚生に違いはあるものの、以下の福利厚生は充実しているようです。

・社宅や独身寮がある
・産休や育休はもちろん、職場復帰する人がかなり多い
・1週間の長期休暇が取れる

一般的な福利厚生は充実していると言えます。高い年収の他にもこれらの福利厚生が充実しているので待遇面はかなり良い業界と言えます。物流業界での仕事は、肉体労働や夜勤で働くことも多いため、仕事のリフレッシュをするためにも「1週間の長期休暇が取れる」など他の業界にはない福利厚生が充実していると言われています。

物流業界の売上高ランキング

物流業界の売上高のランキングは以下の通りです。事業領域ごとに集計しているので、どの領域にどのような企業が位置づけいるか把握し、企業研究を優位に進めましょう。なお各企業の売上高は2020年3月のデータで統一しております。

陸運

日本通運 2兆803億円
日本郵政 2兆698億円
ヤマトHD 1兆6,301億円
SGホールディングス 1兆1,734億円
日立物流 6,722億円
セイノーHD 6,271億円
近鉄エクスプレス 5,445億円
山九 4,102億円
センコーグループHD 5,770億円
鴻池運輸 3,108億円

空運

ANAホールディングス 1兆9,742億円
日本航空 1兆3,859億円
近鉄エクスプレス 5,445億円
名鉄運輸 1,170億円
AIRDO 445億円
ソラシドエア 418億円
スターフライヤー 404億円

海運

日本郵船 1兆6,683億円
商船三井 1兆1,554億円
川崎汽船 7,352億円
NSユナイテッド海運 1,484億円
飯野海運 891億円
栗林商船 459億円
川崎近海汽船 443億円
明治海運 438億円
乾汽船 217億円
共栄タンカー 125億円

鉄道

日本貨物鉄道 1989億円

倉庫

三井倉庫ホールディングス 2,410億円
三菱倉庫 2,290億円
日新 1,973億円
住友倉庫 1,917億円
キユーソー流通システム 1,721億円
トランコム 1,634億円
日本トランスシティ 1,016億円
澁澤倉庫 668億円
キムラユニティー 543億円
ケイヒン 477億円

物流業界の3つの求める人物像

物流業界の3つの求める人物像を表した図

物流業界の求める人物像を解説します。求める人物像を知ることで物流業界についてより理解が深まり、業界研究や企業研究を有意義に進めることができます。

1.マネジメント能力がある人

マネジメント能力とは「物事をうまく管理したり運営すること」と定義されることが多いです。

物流業界の業務では生産者やドライバーなど、様々な業界や職種の人とやり取りをします。そのうえで一つの業務での遅れやミスが事業全体の失敗に繋がる場合も多くあるため、商品を受注から消費者に届くまでを、しっかりと管理する能力が必要になってきます。

例えば、生産者の依頼を受けた日時で運送を受注したが、実際にその日時に運送を行えるドライバーがいなければ、商品を輸送できず、大きく信用を失ってしまいます。物流業界は自分が携わる事業や行う業務に対し責任感がないとできない仕事が多いです。

そのためマネジメント能力を備えた人物を求める傾向にあります。

2.コミュニケーション能力がある人

物流業界では、人との関わりや信頼関係を構築できる人材に重きをおいています。例えば生産者や依頼者、トラックドライバーや船舶を運転する航海士など、物流業界の事業では、他業種や他職種はもちろん、様々な立場や年齢の人とのやり取りも非常に多くなります。

そのため、うまくコミュニケーションを取らなければ事業が失敗してしまうこともあり、大きな損益を生んでしまう可能性があります。物流業界では、どんな人ともうまくコミュニケーションがとれる人物を求める傾向にあります。

「コミュニケーション能力」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「コミュニケーション能力」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。

3.体力がある人

荷物の運搬はもちろんですが、現場を統括する上でも体力が必要になります。数多くの人とコミュニケーションを取らなければなりませんし、たくさんの業務をマネジメントしなくてはいけません。単純な肉体への負荷に対する体力とは別に、人間関係や運航トラブルなど様々なストレスに対する体力も必要になります。

そのため、心身ともに体力がある人を求める傾向にあります。

物流業界で内定を得るための2つのポイント

物流業界で内定を得るための2つのポイントを表した図

物流業界で内定を得るためのポイントを解説します。ポイントは2つあり、しっかりとおさえることでより内定へ近づくことができます。

1.なぜ物流会社なのかを明確にする

「なぜ物流会社なのか」を明確にしましょう。物流会社には様々な事業領域があり、それぞれに異なる業務内容があります。そのため自分の志望動機が「物流会社以外でも実現できる内容になっていないか」とチェックする必要があります。

まず「なぜ物流業界なのか」を明確にし、そして「なぜその物流会社なのか」という順番で明確化しましょう。そうすることであなたの志望動機に一貫性ができ、より納得感が増します。「なぜ物流会社なのか」というポイントは、物流会社が一番重要視するポイントであるためしっかりと準備をしましょう。

また「なぜ物流業界なのか」や「なぜその物流会社なのか」を明確にするためには、自己分析をすることが重要です。自己分析をすることで「自分の強みや弱み」「適性や興味のあること」「やりたいことややりたくないこと」を見つけられます。物流業界を志望するヒントを探すために、まずは自己分析を行い、自分の特徴を理解することから始めましょう。

2.正しい就活スケジュールの把握

物流業界の採用スケジュールを表した図

正しいスケジュールを把握しておきましょう。基本的に経団連に加入している物流会社は、経団連の定める就活スケジュールに沿って採用活動が行われます。物流業界の採用スケジュールは以下の通りです。

企業によって採用スケジュールやフローについては違ってくるので、自分が目指す企業の詳細をしっかりと確認するようにしましょう。

物流業界に就職するメリットとデメリット

物流業界に就職するメリットとデメリットを解説します。メリットとデメリットを予め把握していないと、入社後にミスマッチを生む原因となります。そうならないためにも、しっかりと物流業界に就職するメリットとデメリットを把握しておきましょう。

2つのメリット

物流業界に就職する2つのメリットを表した図

1.今後の需要が高い

物流業界は今後の需要が高い業界の一つです。

例えばEC事業の増加によって、消費者が直接お店に出向いて商品を購入するのではく、web上で商品を購入し配達によって消費者の手元に届くようになりました。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)」によれば、日本国内のBtoCにおけるECの市場規模は19兆円にのぼり、建設業界(16兆円)や鉄道業界(15兆円)などよりも大きな市場になっています。また毎年右肩上がりで成長している分野であり、市場規模の拡大により、web上での消費者が増えることから、物流業界の需要も高くなると言われています。

今後の需要がある産業に就職することによって、倒産や減給などのリスクが低くなるため、安定した就職先を志望する人にとってはメリットです。

2.インフラとして日本を支えることができる

物流業界は幅広い領域から様々な消費者のニーズに応えています。電力やガスといったエネルギーインフラと同じく、日本を支えるうえでなくてはならない産業の一つです。市場規模も24兆円と石油業界(22兆円)や電力業界(21兆円)より大きく、そういったスケールが大きい産業から日本を支えることができるといった特徴があります。

スケールが大きい産業に携わることで「社会に貢献できる」「達成感を得られる」などのメリットがあるため、このようなやりがいを感じたい人にはおすすめな業界です。

2つのデメリット

物流業界に就職する2つのデメリットを表した図

1.時間やノルマが厳しい

物流業界は様々な業界や職種と連携して成り立つ事業です。その分納期や受注などによるノルマや締切時間がとても厳しいです。

特に繁忙期などは普段から物事の処理速度が早い人にとっても辛いと感じるくらい業務量が多くなり、時間とノルマに追われてしまうと言われています。例えば「母の日やクリスマスなどのイベント」では、プレゼントを贈る人が多く、通常の32倍程の荷物の料が増えると言われています。

そのため、そういった時間やノルマの制約が厳しい環境が苦痛に感じる人にとっては難しい業界になります。

2.計画通りにいかないことが多い

物流は様々な手段を用いて商品が消費者のもとに届けられますが、その輸送や運送の過程の中でトラブルが起きることも少なくありません。

例えば、交通渋滞など人為的な事象から、豪雨や台風、地震など自然災害によって物流がストップしてしまうこともあります。その際は計画していた運行予定が狂い、状況に応じて計画を練り直さなければなりません。このような状況は災害の多い日本では、特に多くなります。

そのため臨機応変な対応を迫られるケースが少なくないため、計画通りに物事が進まないことにストレスを感じてしまう人にとっては厳しい業界であります。

物流業界について理解し就活に挑もう

物流業界について、以下に簡単にまとめます。

・物流業界の職種と仕事内容は「営業」「管理」「SD職(セールスドライバー、宅配員)、パイロット、航海士、電車運転士」の3つに分けれらる。
・物流業界の事業領域は「陸運」「空運」「海運」「鉄道」「倉庫」の5つに分けられる。
・物流業界は今後、「モーダルシフトの促進」と「3PLのさらなる普及」が予想される。
・物流業界は「マネジメント能力がある人」「コミュニケーション能力がある人」「体力がある人」を求めている。
・物流業界へ内定を得るためには「なぜその物流会社なのかを明確にすること」と「正しい就活スケジュールの把握」である。
・物流業界に就職するメリットは「今後の需要が高い」「インフラとして日本を支えることができる」であり、デメリットは「時間やノルマが厳しい」「計画通りにいかないことが多い」である。

いかがでしたか。物流業界について、自分の憶測や思い込みでイメージしてしまっているところも多かったのではないでしょうか。物流業界も毎年就活生にとって人気の業界です。しっかりと業界研究をして、就職活動に挑みましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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