ディベートの柱は大きく3つ
そもそもディベートとはどのような事を意味しているのでしょうか?非常に簡単な和訳をすると、「議論」または「討論」という意味に捉えられます。ディベートはテーマなしに行うことは非常に困難です。もしもテーマがないディベートがあったとすれば、それは単なる話し合いや雑談となってしまうからです。
では、具体的な議論をおこなうにあたってはどのようなテーマが必要となるのでしょうか?テーマそのものは簡単に言い換えますと「討論の題名」ということですので、簡略化して言うと「論題」となります。また、テーマの種類は大きく次の3種類に分かれています。
①価値論題
価値観を議論する。ただし、個人的好き嫌いは全く価値観の中に入れない。
②推定論題
ある事実に対して、その是非を議論する。より正しいことを導く方向性で討論する。
③政策論題
日本国の責任者になった立場で、政策や法案を議会で可決か否決かを討論する。
種類によって考え方や結論の出し方が変わる
では、実際にディベートを行う場合は、先に挙げた3種類のテーマによって考え方や結論の出し方がそれぞれ変わってきます。
①価値論題では、問われるものが「価値観の高低」または「善悪」と考えます。ある物事に対して、道徳や価値観に関する内容を議論します。主な論争の争点が定義についてとなります。この論題では、論理的に議論が難しく結論を導くのが困難なものとなりやすいです。
②推定論題では、問われるものが「真偽」となります。このことは論争の争点が多岐にわたり、論理的に検証することが難しい論題と言え、結論を出すのは非常に難しくなります。
③政策論題では、問われるものがメリットとデメリットと考えます。言い換えれば「損得」ということになります。損得がどうして重要かやなぜ発生するのかが論争の一番の争点になります。このことをいかに論理的に議論できるかが結論の出し方に大きく影響します。
ディベートする前に確認すべきテーマの種類
ディベートをする前には、必ず事前にテーマの種類と内容を確認しておかないといけません。なんの理論武装もなく臨んでしまうと必ず失敗する原因となります。
テーマの種類は3種類ですので、きちんとそれぞれについて内容を確認して準備を怠らないようにすべきです。各論題に関して、難易度を分析する必要があります。なぜなら当然難易度の高いものが時間をかけて研究しておくべき論題となるからです。3種類のテーマについては、難易度の低いものから「政策論題」「推定論題」「価値論題」というように考えられます。
価値観を対比させディベートする「価値論題」
価値論題は、一見するともっともディベートしやすい論題のように思いがちですが、実はもっともディベートしづらいテーマとなります。個人的な価値観は反映させずに価値観の高低や善悪を討論するわけです。このことは自由に議論ができることを示しているわけです。
しかし、そのために議論が非常に広範囲になって、答えも相当数想起されてしまう可能性が高くなります。そうなると議論をかみ合わせることが難しいことになります。よって、導き出すべき結論が一度に求められない場合があります。
価値論題で扱われやすいテーマ例10選
1.昭和仮面ライダーと平成仮面ライダー、本当に強いのはどっち?
2.うどんとラーメン、日本の代表的な国民食といえばどっち?
3.ご飯とパン、日本人の朝食といえるのはどっち?
4.人間はその人の心と見た目、どちらで判断すべきなのか?
5.映画を鑑賞するなら、字幕と吹き替えのどちらがいい?
6.ペットを飼うなら、犬と猫のどちらを飼う?
7.スマートフォンとデジタル一眼カメラ、写真を撮るならどっち?
8.企業にとってん必要としているものは、お金か人材か?
9.バレンタインの義理チョコに、お返しが必要か必要ないか?
10.LINEを使っていて、既読スルーするのか有りか無しか?
是非を問う「推定論題」
推定論題は、難易度ではちょうど中間にあたるものとなります。物事の是非や真偽を検証していくことになります。自由に議論できるテーマである反面、議論する内容が非常に多岐にわたる場合が多いので、簡単に結論を導き出すのが難しい側面を持っています。
推定論題で扱われやすいテーマ例10選
1.宇宙人は存在するのかどうか?
2.タバコは人体に有害である?
3.小学校英語教育は効果があるかどうか?
4.学校にスマートフォンを持ってきて良いかどうか?
5.男性専用車両は今後作る必要があるかどうか?
6.タバコの値段を1,000円にすべきかどうか?
7.民泊の法規制強化は必要かどうか?
8.超能力はこの世に存在するものかどうか?
9.邪馬台国は九州に存在していた説は本当か?
10.学校生活に制服は必要かどうか?
政府や国家の立場から法案についてディベートする「政策論題」
政策論題は、日本国の中枢に位置づけされた自分を想定して、色々な法案等を議論するものとなります。難易度では比較的分かり易いもので、ディベートではもっとも人気があり、テーマとして使われているものとなります。
メリットとデメリットを議論して損得を考えていきます。どうしてその政策が重要なのか損得がなぜ発生してしまうのかを積極的に議論することで結論を導き出すことができます。
政策論題で扱われやすいテーマ例10選
1.日本は首都機能を東京から移すべきかどうか?
2.日本の救急車の利用を有料化するべきかどうか?
3.日本のごみ収集は全て有料化するべきかどうか?
4.日本は道州制の導入が必要かどうか?
5.日本は首相公選制を導入すべきかどうか?
6.日本は司法取引制度を導入すべきかどうか?
7.日本は消費税率を上げるべきかどうか?
8.日本はTPPに参加すべきかどうか?
9.日本は高速道路を全面無料化すべきかどうか?
10.日本は死刑制度を廃止すべきかどうか?
ディベート型ディスカッションの流れ
ディベート型のディスカッションを上手に進めるためには、どのような流れで進めていけばいいのかを知っておくことが大切です。全体の大まかな流れを知らなければ上手に進めることはできませんし、本番で困ってしまうことも多いです。
流れを知っておくことで、次に何をすべきかなど余裕を持つことができるので、本番でも落ち着いて取り組むことができます。全体の流れをしっかりと把握して、上手にディスカッションを進めていきましょう。
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グループディスカッションに苦手意識を持っている就活生はたくさんいます。面接官から何を評価されていて、どうやって対策すればいいか分からないですよね。
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①対立する二組にグループ分け
ディベート型のディスカッションは、お互いに意見をぶつ合うことで議論が進みますので、対立する二組にグループ分けがされます。グループ分けをした上で、それぞれがどちらの立場で主張するかが決められ、自分でどちらに属するかは選べない事が多いです。テーマに対して自分なりの意見があった場合でも、試験では逆の立場から意見を主張しなければならないこともありますので、視野を広く持って物事を考えることが大切です。
立場が決まっている以上、相手の有利になることを主張することはできませんし、自分の考えと逆の立場でも積極的に意見を出していかなければなりません。どちらの立場でも回答できるように、日頃から物事をさまざまな視点から考えるようにしましょう。
②自分の属するグループに合った意見を主張
グループ分けがされれば、それぞれの立場ごとに意見を出し合いますが、必ず自分の属するグループに合った意見を主張しなければなりません。ディベートでは勝ち負けがあり、自分の立場が有利になる発言をすることが大切です。もちろん勝ったからいい、負けたから悪いというわけではなく、結論に結びつくまでの過程や、そこで出た意見が大切ではあります。
しかし勝ち負けにあまりにもこだわりがないと、相手に意見を譲ってばかりになってしまい、議論を盛り上げることができません。ある程度は意見を戦わせて、さまざまな意見を出すことが大切ですので、自分の属するグループの立場で考えて、有利になる発言を積極的にしていきましょう。
③相手の主張を踏まえつつ論理的に結論に繋げる
ディベート上手に進めるためには、相手の主張を踏まえつつ論理的に結論に繋げることが大切です。討論ですので、意見を戦わせて、時には論破をする必要もありますが、反論ばかりしているのでは、ディベートになりません。ディベートの目的は相手の意見を論破することではなく、意見を戦わせることによって議論を活性化させることです。
最終的な結論が出ないままにいつまでも議論をしていても意味がありませんし、二つのグループで一つの結論を導き出さなければなりません。もちろん結論を出すからといって、自分の属するグループに有利なように勝手に結論付けてしまうのはNGです。それぞれの意見を集約した上で、お互いに納得できる結論を提示していきましょう。
ディベートの進め方の例
ディベート型ディスカッションを上手におこなうためには、実際に経験してみることが大切であり、どんなテーマがあるのかを知っておくことが大切です。議論のテーマの例を知っておけば、自分でも練習することができますし、テーマの傾向を知ればどのように考えればいいのかなども理解することができます。
必ずしも同じテーマが出されるとは限りませんが、2つのテーマ例を参考にして、どのように考えていけばいいのかを知っていきましょう。
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テーマの例①朝食はパンかごはんどちらがいいか
ディベート型のディスカッションのテーマ例としては、「朝食はパンかごはんどちらがいいか」が挙げられます。朝食でパンかご飯かは個人の好みによっても違いますし、習慣によっても異なりますが、個人的な考えだけで考えるのはNGです。どちらが好きかではなく、どちらがいいかですので、個人的な嗜好で答えるのではなく、それぞれのメリット、デメリットから議論を進めていきましょう。
話す内容としては、「パンのほうが手軽⇔和食のほうが脳に良い」などが挙げられ、ここからそれぞれのデメリットを考え、相手の意見を崩していくことになります。最終的にどちらがいいかを決める必要はありますが、正解はありませんので、過程の議論でどこまで説得力を持たせることができるかが重要です。
テーマの例②年功序列と成果主義、どちらが優れている?
テーマ例の2つ目としては、「年功序列と成果主義、どちらが優れている?」が上げられます。これも個人的にどちらに賛同するかではなく、採用した結果どちらがメリットが大きいからを考えることが大切です。話す内容としては、「年功序列は退職率が減る⇔人件費がかさむ」「成果主義のほうがモチベーションが上がる⇔社内のチームワークが乱れる」などが考えられます。
それぞれのメリットとデメリットを考えた上で、どちらを採用すべきかを決めていきます。メリットとデメリットは必ず両方にありますので、メリットの大きさを重要視するのか、デメリットの小ささを取るのかなども考えることが大切です。実際の企業に当てはめて考え、どちらの方がより利益を出しているかなど、データを提示するのもいいでしょう。
ディベートのテーマは価値・推定・政策によって変わる
ディベートのテーマは価値・推定・政策によって変わります。また、それぞれがテーマの種類となっており、ディベートの難易度も比較的簡単なものから非常に難しいものまであります。まず、価値は価値観を対比させて議論するものです。そのテーマは価値論題と呼ばれています。難易度については一番難しいものとなります。
次に、推定は事実の是非を議論するものです。そのテーマは推定論題と呼ばれます。難易度は中間的なものとなります。そして、政策は日本の法整備等に関して議論を行うものです。そのテーマは政策論題と呼ばれます。難易度は一番簡単なものとなり、ディベートのテーマでは最も取り組みやすく人気もあり、よく使われています。
気をつけないといけないのは、それぞれ与えられる内容に沿ってテーマの意味をきちんと把握しないと、議論が違う方向性に導かれてしまう可能性が高くなってしまいます。出される結論が意味不明なものにならないためにも、3種類のテーマを事前に把握・研究しておく必要があります。