就活のマナー
「存じます」の意味や正しい使い方|便利な言い換えパターンもご紹介
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目次
知っていると便利な「存じます」の使い方
日本で社会人として過ごす上で、「敬語を使う」というのはマナーの基礎です。しかし、「正しい敬語がよくわからず、何となく使っている」という人も多いのではないでしょうか。「敬語を正しく使うべきだ」と徹底して正しい敬語にこだわるのは大変かもしれません。しかし一方で「自然に正しい敬語を使える人」はスマートに見られます。
日常よく使う代表的な敬語の中に、「存じます」があります。使う頻度の高い敬語なだけに、正しく使うと相手にスマートな印象を持たれます。そこでこの記事では、「存じます」の正しい使い方や注意点について紹介します。
「存じます」という言葉の意味
「存じます」とはそもそもどのような意味なのでしょうか。「おっしゃる通りだと存じます」、「ご覧いただけましたら幸いに存じます」、「先日お引っ越しをされたと存じております」など、いろいろな使われ方をしています。
いろいろな使われ方をしているからこそ、「本当に正しく使われているのか?」と気になる人も多いでしょう。「存じます」が正しく使われているかどうかを判断するには、まず「存じます」の正しい意味を知ることが必要です。
そこでここからの項では、「存じます」の意味や正しい使い方を紹介します。正しい意味を押さえ、疑問を解消していきましょう。
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「存じます」は「思う」の謙譲語
「存じます」は「思う」という動詞の謙譲語です。もっと厳密に言えば、「思う」の謙譲語の「存じる」に、丁寧語の「ます」が付いた言葉です。謙譲語は、「目上の人に対して自分をへりくだり、結果として相手を持ち上げる言葉」のことです。
つまり、「私は〜と思います」という表現を「私は〜と存じます」という表現に変えることで、より相手を立てた丁寧な言い方になります。
もともと「思う」という言葉は自分の考えや気持ちを表す際に多く使われる言葉であるため、「存じます」も必然的に多くの場面で使われることになります。
目上の方に対して使う
「存じます」はどのようなシーンで使うべき言葉なのでしょうか。先ほど紹介した通り、自分をへりくだって相手を持ち上げる謙譲語です。ということは、「目上の人に対して使う言葉」と言えます。
目上の人とはすなわち、会社の上司やお客様などです。これらの人たちと話すときに、「思います」ではなく「存じます」を使うのが正しい使い方です。一方で、目上の人ではない相手に「存じます」を使うと不自然な印象になってしまいます。会社の同僚や後輩など、目上の人以外と話をする際には使わず、「思います」と伝えるようにしましょう。
「存じます」の使用例
それでは実際に、「存じます」はどのようなシーンでどのように使われるのでしょうか。ここから先は、実際に「存じます」がよく使われる具体的なシーンと例文を紹介していきます。
これまで、「正しい伝え方がわからずモヤモヤした」、「本当にこの使い方で合っているのかな?と不安だった」などの経験を持っている人も多いでしょう。これから紹介する例を参考にし、ぜひ自分の日常生活に応用してみてください。
正しい使用例を押さえておくことで、自信をもって「存じます」を使えるようになるはずです。そして周囲の人たちにスマートな印象を与えることが可能になります。
自分の意見を述べるときに使う
①私は、この案件については一度保留にするのが適切かと存じます
②まさに部長のおっしゃる通りだと存じます
「存じます」は、「私は〜と思います」というように、目上の人に自分の意見を伝える時に使います。2つの例を紹介しましたが、2つとも「目上の人に自分の意見を言っているケース」です。
①のように謙譲語を使わずに表現すると、「私は、この案件については一度保留にするのが適切かと思います」となります。同僚や後輩など、目上でない人と話す際にはこのように表現するのが適切です。
②部長に直接話しているか、もしくは部長以外の目上の人と話しているシーンで使われる表現です。もし、同僚や後輩を前に話す場合は、「まさに部長のおっしゃる通りだと思います」と表現するのが適切です。
要望を伝えるときに使う
①お手すきの際にご覧いただけましたら幸いに存じます
②お手数ではございますが、今月中にご連絡いただきたく存じます
「存じます」は、相手に何かをして欲しいなど、要望を伝えるときにも使うことのできる言葉です。2つの例はともに、相手への要望を丁寧に伝えています。
①は「見てください」、②は「連絡をください」という要望を伝えています。「〜してください」という要望を、「〜してほしいと思います」、さらに「〜していただきたく存じます」と丁寧に表現することで、目上の人に柔らかく伝えることが可能です。
お礼を伝える
①ありがたく存じます
②光栄に存じます
「存じます」は感謝の気持ちをあらわすときにも使用できます。①の「ありがたく存じます」は、相手の好意に感謝する気持ちを表現している言い方です。手紙やメールなど、かしこまった場面で仕様されるのが一般的です。
②の「光栄に存じます」は、就活シーンでは内定を貰った際の手紙やメールで使用されます。内定の手紙やメールは、感謝の気持ちを丁寧かつかしこまった表現で伝える必要があめ、「存じます」という表現が適しているといえるでしょう。
謝罪をする
①この度は私の不注意でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。今後同じミスを繰り返さぬよう、チェック体制を強化し、善処していきたいと存じます
②この度は多大なご迷惑をおかけしてしまい、心から申し訳なく存じております
「存じます」は相手に対して謝罪する際にも使われます。謝罪のシーンでは、自分に非があったことを謙虚に受け止めて相手に応じるため、謙譲語の「存じます」を使うのが一般的です。
①では、最初に「申し訳ございませんでした」と謝罪した後、具体的にどうしていくかというところで「善処していきたいと存じます」と使っています。
②では、「申し訳なく存じております」という風に、謝罪自体で使っています。「存じます」はこのように複数の使い方ができますが、一度に複数回使うとくどい印象になるので注意が必要です。
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「存じます」は使い方に注意する
「存じます」は使い方に注意が必要な言葉です。なぜなら、「存じ上げます」や「存じております」など、似通った表現が存在しているからです。
もし使い方を誤ってしまうと、せっかく相手を引き立てて好印象を与えるはずの言葉が、相手に違和感や、場合によっては不快感を与えてしまうケースもあります。そういったミスを防ぐためには、「存じます」と似通った表現との違いを正しく理解し、使う上での注意点を知ることが必要です。
そこで、ここからは「存じます」の使い方についての注意点を紹介していきます。注意点を参考に、正しく使っていきましょう。
「存じます」と「存じ上げます」の違い
例文①
就活未来さんが来週からこの部署に来るってご存知でしたか?
はい。就活さんの異動の件は存じ上げております。
例文②
このお菓子、京都ではかなり有名なお菓子だって知ってる?
はい。存じております。
実は、「存じます」には「思う」の謙譲語以外に、「知っている」の謙譲語として使われるケースもあります。
そして、知っている情報が人に関するものだった場合には例文①のように「存じ上げます」、人以外に関するものだった場合は例文②のように「存じます」を使うことになっています。
なぜ、人に関する情報と人以外の情報で使い分けるのでしょうか。それは、「存じ上げます」の「上げます」が、謙譲を強め、人を持ち上げる働きをするからです。
人を持ち上げることはありますが、人以外を持ち上げるのは不自然です。そのため、人に関する場合は「存じ上げます」、人以外に関する場合は「存じます」という風に使い分けましょう。
使い過ぎはスマートではない
「存じます」は相手に丁寧な印象を与える謙譲語ではありますが、連続して使いすぎると、逆に違和感を与えてしまいます。場合によっては嫌味な印象を相手に与えてしまいかねません。なぜでしょうか。相手からすると、「私はあなたに対してへりくだっていますよ」ということを何度もアピールされているような気分になるからです。
また、同じ表現を繰り返し使っていると、「覚えた言葉をひたすら繰り返し使っているんだな」と思われてしまします。せっかく相手に好感を持ってもらうために使う敬語も、このように受け取られてしまうと逆効果です。
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「存じます」の言い換え表現
続いてここからは、「存じます」の言い換え表現を紹介します。どういった意味で「存じます」を使うのか、どのようなシーンで使うのかによって言い換え方は異なります。
例えば、「知っている」の謙譲語として「存じます」を使う場合、「承知しております」、「心得ております」、「認識しております」といった言葉で単純に言い換えることが可能です。
ただし、もし「思います」という意味の謙譲語として使う場合は、単純に言い換えることはできません。その都度どのようなニュアンスで使用したいのかに注意して言い換えることが必要です。
「~であります」
このような講演会にお招きいただきましたこと、身に余る光栄に存じます。
↓
このような講演会にお招きいただきましたこと、身に余る光栄であります。
名詞を使って自分の感情・気持ちを表す時には、「〜であります」という言葉で言い換えることが可能です。例では、自分自身の感情を「光栄」という名詞で表現しています。感情を表す名詞には、「光栄」のほか、「幸甚(こうじん)」、「遺憾(いかん)」などがあります。
ただ注意して欲しいのは、「嬉しく存じます」のように、自分の感情を表す際に「嬉しい」といった形容詞を使っている場合、この言い換えは使えないという点です。
「〜でございます」
以上が私の考えですが、いかがでしょうか。
まさにおっしゃる通りだと存じます。
↓
まさにおっしゃる通りでございます。
相手の言っていることに同意したり、先ほど同様、名詞で自分の感情を表現している場合、「〜でございます」で言い換えることが可能です。
相手の考えに同意するために「存じます」を使っているケースです。謙譲語を使わずに表現すると、「おっしゃる通りだと思います」となり、「おっしゃる通りです」というのと同じ意味になります。そこで、「おっしゃる通りです」をより丁寧にすることで、「おっしゃる通りでございます」という表現になります。
「~です」
お手すきの際にご覧いただけましたら幸いに存じます。
↓
お手すきの際にご覧いただけましたら幸いです。
相手に要望を伝えたい場合、「〜です」を使った言い換えもできます。もともと「幸いに存じます」は、「幸いに思います」の謙譲です。「幸いに思います」は、「幸いです」と言うのと同じ意味です。そこで「思います」の部分を外し、そのままストレートに表現しています。
幸いに思うのは自分自身なので、特にへりくだった表現を使わなくても不自然にはなりません。もし、もっと丁寧に表現したい場合は「幸いでございます」を使っても良いでしょう。
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「思う」や「知っている」という、日常よく使う言葉にたくさんの表現方法があり、大変だと感じる人も居るかもしれません。しかもあまり使い慣れない言葉ばかりなので、戸惑ってしまう人も多いでしょう。
しかし、複数の表現方法があるということは、それだけ細かくいろいろなニュアンスを相手に伝えることができます。「存じます」を完璧に使いこなすのは確かに簡単なことではありませんが、もしスマートに使いこなせたとしたら、周囲に非常に良い印象を与えることができるでしょう。
少しずつでいいので、「存じます」の使い方に慣れていきましょう。他の就活生との違いを見せられると、それだけで魅力的な人材に見られますよ!
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