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ディベロッパーへの理解を深めることが大切
「ディベロッパー」という業種のことを、よく分からないと感じている就活生も多いでしょう。ここでは、ディベロッパーとは何なのか、深く掘り下げていきます。特に不動産業界を志望する方にとっては、必読の内容となっています。主に不動産開発者のことを指すディベロッパーですが、近年さまざまな分野で使われている言葉です。
「不動産ディベロッパー」と「ゼネコン」の違いを明らかにし、不動産ディベロッパーとゼネコンとの関係、多岐にわたるディベロッパーの種類など解説します。後半では、ディベロッパーを志望する方々のために、履歴書の志望動機の例文を提案していますので、参考にしてみてください。少しでも自分の志望する職種への理解を深めましょう。
ディベロッパーとはマンションの不動産開発などに携わっている会社
ディベロッパー(デベロッパー)は、英語の「develop(開発する)」の派生語です。その英語の意味の通り、ディベロッパーは開発する人のことです。特に、不動産開発者のことを指します。
例えば、駅前の開発、リゾート開発、六本木ヒルズのような巨大オフィスビル建設、マンションの不動産開発などに携わっている会社です。代表的なディベロッパーは、財閥関係であれば三井不動産や三菱地所、メーカーであればトヨタホームや旭化成ホームズなどが挙げられます。
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ディベロッパーの事業内容
ディベロッパーの企業の事業内容は、具体的にどのようなものなのでしょうか。日本では、不動産開発などに関わる企業をディベロッパーと呼ぶことが多くなっています。主な事業内容としては、インフラ設備、周辺住宅の新築工事、商業施設開発などが挙げられます。
このような事業は、ディベロッパーだけでなく、さまざまな事業者が協力して進めていきますが、中心となるのはディベロッパーです。ディベロッパーのそれぞれの事業内容を詳しく解説していきます。
インフラ整備
街を再開発する際に欠かせないのが、インフラ整備です。道路や歩道の拡張・整備、線路の地下化などがインフラ整備にあたります。街の利便性の向上や、景観の向上がインフラ整備の主な目的です。例えば、ひとつ路線が地下化されると、駅が新装され、歩道も整備されます。また、周辺の道路が整備されたり広がったりすることもあります。交通の利便性を向上させると、再開発として周辺のインフラ整備もおこなわれます。
インフラ整備は国土に関わる開発となるため、国が主導する公的デベロッパーが中心となる場合が一般的です。そして、公的デベロッパーの下に協力会社として、民間デベロッパーが参加し、ゼネコンと共に建築管理をしていきます。再開発全体図の作成や管理などもデベロッパーの仕事です。
周辺住宅の新築工事
再開発はインフラ整備と平行して、周辺住宅の新築工事をおこなうことがあります。例えば、大型商業施設ができると、デベロッパーがその周辺に土地を確保し、新築分譲マンション開発をおこないます。再開発に伴う周辺住宅の新築工事は、通常の住宅開発よりも規模が大きく、多くの土地を確保しなければなりません。
そのため、以前から住んでいる人に建て替えを勧めることも必要です。このことから、以前はデベロッパーは無理やり地上げをするという、ネガティブなイメージを持たれることもありました。しかし、現在では土地の売却を条件に新築マンションの一室を譲るという条件を提案し、交渉するケースが増えてきています。
また、行政が開発するための「区画整理」の場合は、住民は立ち退くことが前提になっているため、地上げよりもスムーズに交渉が可能です。
商業施設開発
街を再開発する際に、大型商業施設を建築することがあります。大型の商業施設を建築するには住宅開発と同じく、大規模な土地の確保が必要になり、周辺住民との交渉が欠かせません。
しかし、商業施設は新築住宅とは異なり、土地と引き換えに部屋を譲ることは不可能です。そのため、近くのマンションを購入して部屋を譲るなどの対応をとることになり、住宅開発よりも、土地の確保に時間がかかるケースがあります。
インフラや住宅、商業施設を合わせておこなう大規模な再開発は、公的デベロッパーと民間デベロッパーが協力し進めていきます。デベロッパーの中には、商業施設のリニューアル工事やテナントのリースなどをおこなう企業もあります。
不動産ディベロッパーとゼネコンとの違い
「不動産ディベロッパー」と「ゼネコン」の明確な違いが分からないという方も多いでしょう。その違いは、建設業界における両者の役割にあります。
「ディベロッパー」は、不動産の開発者です。一方、「ゼネコン」は、建設工事を請け負う業者です。つまり、ディベロッパーが企画を担当し、ゼネコンが実際にその建設工事を担当すると言い換えることもできます。
ゼネコンは不動産の総合建築業者
「ゼネコン」とは、ゼネラルコントラクターの略です。総合契約者と訳すことができますが、不動産の総合建築業者のことです。一方で、「サブコン」というゼネコンの反対語があります。サブコンは、下請け業者のことです。
ゼネコンは、一部の仕事を下請け業者に委託します。それを理由にゼネコンは、建設元受け大手と呼ばれることもあります。つまり、ゼネコンは建設事業を実行する上で、さまざまな業者をとりまとめる役割があります。
一部のゼネコンは、子会社にディベロッパーを持つものもありますが、基本的には、ディベロッパーの企画を実行するのがゼネコンの役割です。代表的な企業には、清水建設や大林組などの大手のスーパーゼネコンや、西松建設や熊谷組などの中堅ゼネコンがあります。
ゼネコンとディベロッパーは協力関係にある
ディベロッパーとゼネコンは、相互に密接な協力関係にあります。ディベロッパーの最大の特徴は、土地を持っていることです。そして、その土地でどのような事業をするのか優秀な人たちが企画します。一方、ゼネコンの特徴は、工事のノウハウを持っており、下請けをまとめることができることです。その実行力が最大の特徴といえるでしょう。
ディベロッパーは、土地と企画だけでは何もできず、ゼネコンは、土地がなければ何も建設できません。お互いがお互いの穴を埋めるような密接な関係にあるのです。これが、ディベロッパーとゼネコンの存在意義ともいえます。
ディベロッパー業界の主要企業
ディベロッパーは単に不動産を販売するだけでなく、どこにどんな建物を建てるのか、それを街の中でどう機能させるのかを総合的にプランニングするのが仕事です。ただ、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ都市中心部と、マンション、アパートが林立する都市周辺のベッドタウン、一戸建てが主流の地方とでは、ディベロッパーの果たす役割は違います。
それぞれの会社によって得意とする分野も異なっています。また、会社の大きさもまちまちです。国内トップ2は年間売上が1兆円超(あるいは前後)を誇りますし、地方の数千万円規模の業者も同じようにディベロッパーと呼ばれることがあります。
総合ディベロッパー
ディベロッパー業界に身をおく企業は多種多様な取引先があります。総合ディベロッパーは、オフィスビルやマンションといった特定の建物に限らず、商業ビルやレジャー施設といった建物を含めて総合的に街づくりの企画や開発をメインとする企業を指します。
では、総合ディベロッパーには具体的にどのような企業があるのでしょうか。ここでは、主要な総合ディベロッパーである3つの企業をご紹介していきます。
三井不動産
三井不動産はディベロッパー業界最大手で、2015年度有価証券報告書による営業収益は1兆5,700億円と群を抜いています。最大のアドバンテージは、事業ポートフォリオのバランスの良好さです。2016年度は賃貸が32.5%、分譲25.0%、マネジメント21.3%、セグメントとして独立させている子会社の三井ホームが15.8%となっています。
社風としては「体育会系」といわれ、硬派で活発なイメージです。新卒採用は総合職、技術職(監理技術系)、業務職に分けておこないます。このうち、技術職は高度な専門知識や経験をもとに施設の課題解決に向けた判断をする理系のプロフェッショナルです。業務職は、経理や資料作成などを中心におこなうデスクワークです。インターンシップも積極的に取り組んでおり、2017年度は第1弾のサマーカレッジ、第2弾としてウインターカレッジもおこないました。
三菱地所
三菱地所は、三井不動産と双璧をなすディベロッパー業界のリーディングカンパニーです。社名の通り三菱グループの一員で、グループの中核企業のひとつです。東京・丸の内を中心としたオフィスマネジメントを事業の基盤としており、都心に所有する多数のビルなどの収益が2015年は全体の約42%に当たる約4,200憶円を占めています。
全体の営業収益は、2015年度で1兆100億円です。近年では海外事業にも積極的です。三井不動産とは正反対の生真面目な社風で知られ、両社のインターンに参加して比べると、その違いに驚く学生もいるといいます。新卒入社後3年間は「重点的・計画的育成期間」と位置付けられ、基本的なスキルを身に付けるためのプログラムと職場でのOJT(現任訓練)で若い力を育てます。
住友不動産
年間収益が1兆円を超えるトップ2と比べると少し事業規模に差があるのが住友不動産(2015年度は約8,500憶円)です。しかし、2015年度の営業利益率は約20%と、三井の13%、三菱の16%を大きく上回っています。
その秘密は、オフィスビルに依存せず、一般消費者向けのリテール事業に力を入れた独自の経営戦略です。具体的にはブランド力を落とさないため値引きを極力避け、顧客との長い付き合いを通じてマンション販売をおこなっています。マンション供給戸数ランキングでは、全国と都内実績がともに業界トップです。
社風は三井不動産と共通した「体育会系」です。新卒採用は総合職と技術職の2カテゴリーとなっています。総合職の募集HPでは、都市開発事業、用地開発事業、ビル事業、事業企画の各部の先輩たちが仕事のやりがいを語っています。
マンションディベロッパー
マンションディベロッパーは、マンション企画や開発などといった分野に特化した企業を指します。2008年には不況のあおりを受けた企業が倒産する自体に見舞われましたが、現在は不況を脱して逆境に立ち向かっている状態です。
マンションの需要は下がりましたが、後期高齢化の影響によって新しい形でのマンションの需要がでてきているといえるでしょう。しかし、今後も厳しい状況であることは避けられず、どのようにして存続を図っていくのかが注目されている業界だともいえます。
大京
大京はライオンズマンションシリーズを主に取り扱っているマンションディベロッパー企業です。2005年に、関連会社として提携していたオリックス株式会社の子会社となっています。2018年からさかのぼって数年の営業収入は、連結で平均3,300億円を超えます。
福利厚生は充実しており、職場環境の改善に取り組んでいる傾向にあります。近年ではメイン事業を開発事業から管理事業へとシフトしています。職場環境の改善だけでなく人材育成にも力を入れているようで、女性の採用にも積極に取り組んでいます。
東京建物
東京建物は、ディベロッパー業界に革新をもたらしたリーディングカンパニーとして活躍してきました。現在でも東京建物の躍進は衰えることなく、2017年の営業収益はおよそ2,600億円を超えています。
M&A事業では堅実的な手腕で物事を進めており、住宅事業やビル事業だけでなく、駐車場事業やリゾート事業などといった様々な事業に力を入れています。採用枠には総合職のほかに、住宅総合職といった採用枠が設けられています。住宅総合職は、主に住宅事業の中で住宅販売業務を担います。
コスモスイニシア
コスモスイニシアは、ファミリー向けのマンション事業を主としたディベロッパー企業です。2009年に業績が悪化し事業再生ADRを申請しましたが、2013年にはすべての債務を完済しつつ売り上げを着実に伸ばし、2017年度の売上高は1,000億円を突破しました。
リクルートのディベロッパー企業として設立されましたが、現在は大和ハウスの子会社という位置づけになっています。今後も、経営基盤の強化のためのさらなる成長戦略に画策していくことでしょう。
ディベロッパーの志望動機
不動産業界を志望されている方の中には、履歴書の志望動機をどうしても書けないと困っている人も多いでしょう。不動産ディベロッパーの仕事は、主に企画であると理解していても、なかなか具体的なイメージは湧きません。
イメージが困難な仕事であるため、自分の能力をどう活かせるのか分からず、上手にアピールできない可能性も高いのです。ここでは、不動産業界の志望動機を作る際のポイントを解説します。ポイントを押さえた例文も紹介しているため、参考にしながらしっかり準備しましょう。
なぜ不動産業界なのかを明確にする
「なぜ不動産に携わりたいのか」を明確に説明することが重要なポイントです。強い説得力のある志望動機を作るには、ここが極めて大切です。例えば、過去の人生体験が元になっている志望動機には説得力があります。自分の住んでいる駅周辺の開発のエピソード、自分の住んでいるマンションのことなどがあれば、大いに活用しましょう。また、不動産業界において貢献できるポイントがあれば、立派な志望動機になるでしょう。
結論ファーストで書く
ビジネスにおいて、文章の基本は「結論ファースト」です。まず初めに、「なぜその会社を志望しているのか」を結論として書きましょう。そのあとで、「なぜ不動産に興味を持ったのか」や「ディベロッパーが自分に与えた影響」などのきっかけを書けばいいのです。
きっかけを先に書いてしまう人が、非常に多いので気を付けましょう。結論が第一で、それから結論を補足する説明をするのが志望動機作成のコツです。
志望動機例文
私が貴社を志望する理由は、魅力的な街づくりをしたいからです。私が住んでいる兵庫県の大久保駅周辺は、以前はそれほど人の多い地域ではありませんでした。特に駅の南側は、人通りも少なく閑散としていました。しかし、そこへマンション開発がおこなわれ、人の流れが変化し始めました。あの時の興奮と感動は、今でも忘れられません。
駅に併設されたモール施設では、週末になるとさまざまなイベントが開催され、家族連れなどで毎週のように賑わいます。たくさんの人たちの笑顔であふれています。私もこのような感動を多くの人に味わってもらえるような街づくりに携わりたいと考え、貴社を志望しました。
まず、「魅力的な街づくりをしたい」という結論が最初に書かれています。結論ファーストが徹底されています。そして、その結論を補足するような形で、きっかけの内容が書かれています。
「なぜ不動産開発に携わりたいのか」が、過去の経験を具体的にからめた形で書かれています。このように、自分の過去の体験に基づくエピソードは非常に説得力があります。
不動産業界に受かるESを完成させよう
不動産業界は人気が高く、内定を得るためにはまずESが評価される必要があります。しかし、ESの作成が苦手という就活生は多く、頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが「不動産ES回答集」です。
この回答集には、大手不動産に内定をもらった就活生のESが掲載されています。三菱地所、三井不動産、東急不動産など、大手のES回答集が無料で見られるため、他の就活生に差をつけて対策をしたい就活生におすすめです。
ディベロッパーを志望する際に有利となる資格
ディベロッパーを志望する時に役立つ資格はさまざまあります。入社する時に必ずしも必要とは限りませんが、入社後に取得する可能性もありますので、今の内に頭に入れておきましょう。まず、不動産の仕事ではお馴染みの「宅地建物取引士資格」があります。
難関な資格である「一級建築士」も無視できません。また、住宅ローンを専門とする「住宅ローンアドバイザー」やマンションに関する業務を担う「マンション管理士」などもありますので、それぞれを具体的に紹介します。
宅地建物取引士資格
不動産業界に就職する際、もっとも有効活用できるのが「宅地建物取引士資格」です。この資格は、不動産の売買・仲介業務に必要なものとなります。この業界を目指している人は入社前に取得していることも珍しくありません。取得していない場合、入社後に資格取得支援制度を設けている企業もあるほど、重要な資格だといえます。会社によっては資格保持者に手当が付くこともありますので、給与面でもメリットがあります。
一級建築士
建築士の資格は、一級・二級とクラスが分かれています。ディベロッパーなどの不動産や建築業界で重宝される資格は、国家資格である「一級建築士」です。この資格は、「二級建築士」とは異なり、設計できる建物に制限がありません。そのため商業施設などの大規模な建築に携わることができます。
大手ディベロッパーのグループ会社が不動産開発のリーダーを募集することもあり、グローバルに活躍できるのが「一級建築士」です。とはいえ、この資格には実務経験が必要になり、勉強すればすぐに取得できるような簡単なものでありません。そして「一級建築士」の場合は、センスや発想力なども求められることになりますので、トータルに優れていることが重要です。
住宅ローンアドバイザー
「住宅ローンアドバイザー」という資格もあります。これは、文字通り住宅ローンに関するスペシャリストです。「宅地建物取引士」や「一級建築士」のような国家資格ではありませんが、年々複雑になっている住宅ローンについて深い知識が必要です。マンションディベロッパーなどでは、ローンをアドバイスするポジションを設けていることもありますので、この資格は無視できません。
お金に関するアドバイザーとして「ファイナンシャルプランナー」もありますが、この資格と比較すれば「住宅ローンアドバイザー」の担える業務は限定的です。人のライフプランをサポートする重要な役割ですので、専門的な知識だけでなく、ホスピタリティなども必要な能力になります。
マンション管理士
「マンション管理士」とは、その名の通り、マンションを管理する際に欠かせない資格です。マンション管理をコンサルティングすることができるもので、知名度こそ低いものの、同じマンション管理に欠かせない資格「管理業務主任者」よりも難易度は高めです。マンション管理士の就職先となるのはマンションディベロッパーあるいは管理会社になるでしょう。
ノルマは厳しい傾向にありませんが、必要になってくるのは良好な人間関係の構築です。マンション管理組合から信頼を置いてもらえなければ、契約が切れてしまうこともあります。管理業務主任者とマンション管理士は試験の範囲が類似していることもありますので、ダブル資格も夢ではありません。
ディベロッパーは優秀な人材の集まる業種
不動産ディベロッパーは、優秀な人材が多く集まる業種です。不動産開発では、土地の取得からプランニング、販売に至るまで仕事の種類は多岐にわたります。優秀な人材が多いのは、当然と言えば当然です。
優秀な人材が集まるからこそ、この分野を深く理解していくことが非常に重要だともいえます。志望する業界に対する理解を深めることは、きっとあなたの就職活動において不可欠なものとなるでしょう。これからもしっかりと業界分析、企業分析を続けてください。
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