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フェルミ推定は社会人になっても必要になる知識
コンサルタント会社や外資系企業の採用面接で試されるスキルに、「フェルミ推定」があります。フェルミ推定が課されている理由は、応募者の論理的思考力などを計るためとされています。
フェルミ推定は、就活で内定を勝ち取るためにクリアしなければならない関門のひとつですが、クリアすることで社会に出てからも大いに役立つ考え方です。だからこそ採用面接で課されているともいえるでしょう。
あまり聞き慣れない言葉で、難しそうに感じる人もいるかも知れませんが、概要さえつかめば、そこから対策が可能です。そこでこの記事では、フェルミ推定とは何なのか、例題や対策方法を紹介していきます。
フェルミ推定とは
フェルミ推定とはそもそも何なのでしょうか。仕事をしていく上で、情報を集めたり仮説を立てたりすることはとても重要なスキルです。しかし、そこに信憑性や説得力がなければ、実際に仕事に役立てることは難しいでしょう。
フェルミ推定は、難しい問題についても、できる限り信憑性の高い答えを導き出すことのできる方法とされています。次にフェルミ推定について、具体的にみていきましょう。
フェルミ推定概要
フェルミ推定とは、現実には調査困難な数字を短時間で見積もる方法です。ビジネスでは、調査困難な数字を基にしてプランを立てることが求められることがあります。
例えば、あなたは東京でブライダル専門学校を運営していますが、X県に校舎を設立するかどうか判断しなくてはなりません。この判断をするには、X県にブライダル関連職の人が何人必要なのかを知る必要があるでしょう。
フェルミ推定は、このような調査困難な数字を求めるための条件を、最初にピックアップするところから始まります。続いてその条件に対し、現状わかっている範囲で数字を仮定し、当てはめます。それらの条件・数字から推論し、最終的に求める数字が推定されます。
フェルミ推定の具体例
それではフェルミ推定の具体例を紹介します。「日本に電柱は何本あるか?」という問題に、フェルミ推定の考え方でアプローチしてみます。
- 条件のピックアップ
- <条件のピックアップ>日本の電柱の本数を推定するには、「日本の国土面積」と「単位面積あたりの電柱の本数」が必要。加えて、日本の国土面積には人が少なく電柱もほとんどない山間部が含まれるため、「山間部と市街地の割合」も必要
- 数字を仮定
- 日本の国土面積」は約38万㎢、「山間部と市街地の割合」は約8:2、「単位面積あたりの電柱の本数」は山間部が50m四方に1本、市街地が約200m四方で1本
- 計算
- 条件より、1㎢あたりの電柱の本数は山間部で25本、市街地で400本。日本全体の電柱の本数は、38万㎢×0.8×25本+30万㎢×0.2×400本。以上を計算すると、約3800万本
ちなみに、国土交通省の統計によると、2012年度の電柱の本数は3,552万本となっています。上記のフェルミ推定で、ある程度信頼のおける数値が導き出せているといえるでしょう。
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フェルミ推定のポイント
フェルミ推定を解く際には、いくつかのポイントがあります。いきなり答えを出そうとせずに、求める数字を分析していくことから始めましょう。回答を出すのが難しく、漠然とした問題に思えますが、コツを掴むと答えを求められるようになります。
これから紹介するポイントを参考に、フェルミ推定の対策を立てていきましょう。フェルミ推定は、明確な答えが出るわけではありませんが、倫理的思考力を高めるためにも役立つ思考法です。
基本的な統計データについて把握しておく
フェルミ推定の問題を解くためには、あらかじめ基本的な統計データを把握しておく必要があります。フェルミ推定はざっくりとしたデータを元に概算してく方法になるため、元のデータがないと何もできません。例えば、日本の人口は1.2億人で、世帯は5,000万ほどです。また、国土面積は約40万平方㎞、平均寿命は80歳、労働力人口は6,000万人です。
ほかにも、年間に生まれる子供の数は約100万人、大学進学率は50%、大企業の数は1.2万社などのデータがあります。最低限の知識として、日本国内の基本的なデータは頭に入れておくとよいでしょう。これらは、丸暗記しておくことでフェルミ推定の問題を解く時のヒントになります。
完璧な回答より考える力が評価される
企業は、選考試験でフェルミ推定の問題を出すことで、就活生の倫理力やコミュニケーション能力、思考力などをチェックしています。問題に対しての完璧な回答を求めているわけではなく、すでに知っているデータをどのように活かすか、問題に対してどのように答えを導き出していくかなど、仕事をしていく時にも大切となる考える力と実践力を評価するのです。
実際の業務でも、限られたデータから見通しを立てビジネスを提案する際には、フェルミ推定と同じく思考力が必要不可欠です。明確な正解がなくても、思考力を使い問題に取り組んでいける力は、特にコンサルティング業務などで求められます。知識が豊富で、勉強ができたとしても、それを業務に活かせる応用力がないと、せっかくのスキルが活かせません。
解くためのステップについて、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。
フェルミ推定の例題3つ
フェルミ推定を使って解く問題は、これまでたくさん出題されています。基本的な方法は同じですが、具体的な解き方は問題に合わせて考える必要があります。
そのためフェルミ推定の方法をつかむには、複数の例題に触れることが有効といえるでしょう。そこでここからは、フェルミ推定の例題と、解き方の解説を紹介します。参考にしていただき、フェルミ推定の方法をつかみましょう。
パターン①
【例題】日本で飼われている犬の総数は何匹ですか?
- 条件のピックアップ
- 犬は世帯ごとで飼うと仮定する。飼い犬の数を求めるには、「日本の総世帯数」、「ペットを飼っている世帯の割合」、「ペットが犬である割合」、「世帯ごとで飼う犬の平均数」が必要
- 数字を仮定
- 日本の人口は約1億2700万人。世帯ごとの平均人数は約2.5人と仮定する。すると、「日本の総世帯数」は、人口÷世帯平均人数で、5080万世帯。ペットを飼っている世帯の割合を10%と仮定する。内、ペットが犬の世帯は45%、猫の世帯は40%、その他は15%と仮定する。世帯ごとで飼う犬の数は1.5匹と仮定する
- 計算
- 日本で飼われている犬の数は、5080万世帯×0.1×0.45×1.5匹で、約340万匹
フェルミ推定で評価されるのは、知識よりも論理的思考力です。そのため、計算に使う数値は正確な値である必要はなく、あくまで仮定で大丈夫です。ただし、「日本の総人口」など基礎的な数字は押さえられていないと信憑性の薄い答えしか出せなくなってしまいます。
また、仮定であるとしても、あまりに現実離れした数値を仮定すれば、非現実的な答えしか導けなくなってしまいます。日頃からさまざまな数字に注意を払うよう意識しておくことも大切です。
パターン②
【例題】今この瞬間、日本でトイレに入っている人の数は何人か?
- 条件のピックアップ
- 今トイレに入っている人の数を導くには、「日本の総人口」、「日本人が1日にトイレで過ごす平均時間」が必要
- 数字を仮定
- 「日本の総人口」は約1億2千700万人。「日本人が1日にトイレで過ごす時間の平均時間」は、1回の平均を4分とし、1日に5回行くと仮定すると、約20分
- 計算
- 日本人が1日の中でトイレにいる確率は、20分÷1440分(24時間)で、約1.39%。日本人全員が1日の約1.39%をトイレで過ごしていることになるので、現在トイレにいる人数は、1億2千700万人×1.39%。以上を計算すると、約180万人が今トイレにいることになる
日本の総人口は、押さえておくべき基礎的数字です。それ以外の数字は、自分の感覚で仮定していきます。フェルミ推定ではこのように、自分が既に持っている知識や日常感覚をもとに、小さい範囲(この場合は1人の日本人)から広い範囲(この場合は日本人全体)に拡張していくのが一般的です。
最後まで計算すると、正確には176万5千300人という数字が出ますが、最初から概算で計算しているため、約180万人という答え方をしています。
パターン③
家庭用トイレットペーパーの市場規模は?
- 条件のピックアップ
- トイレットペーパーの市場規模は、「単価×年間売り上げ個数」。求めるためには、「トイレットペーパーの平均単価」、「世帯数」、「世帯ごとの購入頻度」、「1回の購入数」が必要
- 数字を仮定
- 「トイレットペーパーの平均単価」は、1ロール30円と仮定。「世帯数」は、日本の人口1億2700万人と平均世帯人数2.5人から、5080万世帯。世帯ごとの平均購入頻度は1ヶ月に1回と仮定。「1回の購入数」は12ロールと仮定
- 計算
- トイレットペーパーの年間売り上げ個数は、5080万×12ロール×12ヶ月で、73億1520万ロールになる。これに平均単価である30円をかけると、約2000億円という数字がでる
フェルミ推定の問題では、この例題のように「市場規模」を求める問題も頻出です。市場規模は、まず「単価×年間売上個数」に置き換えましょう。平均単価は、「大体12ロールで400円弱くらいかな」という感覚から仮定します。
細かく言えば、1日中家に居る人と通勤などで外に出ている人の割合によって、同人数の世帯でも購入頻度が変わることが想定できます。しかし、実際の面接では時間が限られているため、あまり細かくパターン分けしすぎてしまうと、苦労することになるでしょう。
余裕があればより細かくパターン分けするのもありですが、余裕がなければ大まかな計算でも問題ありません。
こちらの記事でも練習問題をご紹介しています。
【39点以下は危険度MAX】
本番前に、面接偏差値を診断しておこう
今年はweb面接を行う企業も増えていますが、自分の弱点を把握し適切に対策しなければ、どんな形式であれ面接を突破することはできません。
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フェルミ推定オススメ対策本3選
フェルミ推定の考え方が何となくつかめた人もいるかもしれませんが、面接で使えるレベルにするには身につくまで十分に慣れる必要があります。そのための対策としては、対策本を購入して取り組むのがよいでしょう。
そこでここからは、フェルミ推定の対策におすすめな対策本を3冊紹介します。問題数を経験することで着実に身につけていくことができるので、ぜひ果敢に取り組んでみてください。
現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート
「現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」は、フェルミ推定の対策本として最も有名な本です。難しいというイメージが強いフェルミ推定をパターンに分け、解き方を詳しく解説しています。解説しているのは多数のフェルミ推定問題を解き、外資系企業に内定している現役東大生たちです。
就活で実際にフェルミ推定を解いているメンバーによる解説なので、就活生の目線に合わせてわかりやすく解説されています。例題が30問と豊富に収録されているので、さまざまなパターンのフェルミ推定に慣れることが可能です。
さらに、「どう解いたらいいか分からない」という状況に陥りやすいのがフェルミ推定ですが、取りかかり方や解放のステップが丁寧に書かれているため、この本を読むことで取り組みやすくなるでしょう。
過去問で鍛える地頭力
「過去問で鍛える地頭力」は外資系コンサルティング会社でおこなわれたことのある面接での問題を取り上げ、解答の仕方を解説している本です。著者の大石哲之氏は、コンサルティング会社の人材採用事業を実際におこなっている人物です。
コンサルタント会社の面接対策として非常に評価の高い対策本であり、この本で対策をして、コンサルティング会社に内定を果たした就活生は多くいます。フェルミ推定だけでなく、他のケース問題も収録されています。
説明は簡潔で、考え方のプロセスがわかりやすい点も好評です。ただし、フェルミ推定に限れば問題数が10問のみなので、不安な場合は他の対策本も合わせて購入するのがおすすめです。
戦略コンサルティング・ファームの面接試験
「戦略コンサルティング・ファームの面接試験」の著者はハーバード大学の就職課で20年間も働いた経歴のある人物です。現在は全米の大学や大学院で学生の指導をおこなっているほか、企業などに対するコンサルティングもおこなっています。
もともとアメリカの大学生や、コンサルティング会社への転職を希望する社会人のために書かれた本の邦訳です。コンサルティング会社志望の就活生だけでなく、ビジネススキルとしてロジカルシンキング力を磨きたい社会人などにも読まれ、好評です。
コンサルティング業界で必要な思考方法や面接でのさまざまなケース問題が収録されています。ただし、日本の採用面接で実際に出題される問題とは少し傾向が変わるため、『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』も一緒に揃えるとより安心です。
選考に向けてフェルミ推定対策をしておこう
フェルミ推定はコンサルタント会社や外資系企業などの面接で試されることの多い思考方法です。現実に調査することが困難な数字を、すでにわかっている情報や推論を用いて概算で導き出す方法です。
最初に、数字を求めるのに必要な条件を整理し、続いてその条件に具体的な数字を当てはめます。当てはめる数字は既に知っている数字や仮定でかまわず、正確な数字である必要はありません。ただし、あまりに現実感のない数字を当てはめると信憑性のない結果が出るため、最低限の常識的な数字は押さえておきましょう。
フェルミ推定の対策には、思考プロセスや、実際の問題が収録された対策本を用いるのがおすすめです。就活だけでなく、社会人になってからも実践可能な考え方なので、ぜひ有効活用していきましょう。