飲料業界とは
飲料業界では清涼飲料の商品開発や製造、販売を行っています。清涼飲料はスーパーやコンビニ、自販機などで気軽に購入でき、多くの人が毎日飲んでいる商品です。飲料業界は人々の生活に欠かせないものになっています。
知名度の高い商品が多く、身近に感じられるため、飲料業界は就活生に人気の高い業界です。しかし、商品はイメージできても、飲料業界の詳細までは知らない人も多いです。飲料業界を志望するのであれば、まずは飲料業界の基本的な情報を把握しておきましょう。
飲料業界の概要
飲料業界は炭酸飲料やコーヒー、お茶、ミネラルウォーターなどの製造、販売に関わる仕事です。近年では消費者の健康志向が高まっており、特定健康保健用食品(トクホ)飲料やお茶、ミネラルウォーターなど需要が高まっています。また、若年層にはエナジー系飲料がヒットし、コンビニ販売を中心に業績を伸ばしています。
日本国内の人口減少に伴い、国内消費は頭打ちを迎え、業界内の競争は激しさを増している状態です。また、企業買収や経営統合などの業界再編も進み、業界の勢力図も変化しています。今後は新たな販路を求めて、発展途上国などでの事業展開がさらに加速すると見られています。
飲料業界の業績推移について
- 業界規模:4兆2,494億円
- 平均年収:750万円
- 平均勤続年数:16年
飲料業界は毎年業績を伸ばし続けており、現在の業界規模は4兆2,494億円となっています。飲料業界の売上は他業界に比べて景気に左右されにくく、健康系飲料が好調なことから、順調に売上を獲得しています。人口減少で国内消費の拡大は見込めないものの、海外へ販路を見出し、海外展開が活発化しています。
平均年収は750万円で、企業によって違いはあるものの、他業界に比べるとかなり高額だといえるでしょう。また、平均勤続年数は16年と短く、転職する人も多いです。20年以上の長い企業もありますが、10年以下と短い企業もあり、企業によって差が大きくなっています。
飲料業界の課題
飲料業界の課題としてまず挙げられるのは、国内市場の停滞です。これは清涼飲料水に限らず、酒類市場も停滞の傾向が見られるようです。日本国内での飲酒量は年々減少傾向にあり、特に20~29歳の酒離れが顕著であるようです。これらの消費の減少に対して、どのように対応するかというのが課題となってくるでしょう。
また飲料業界のもう一つの課題が、飲料製造以外の事業展開についてです。飲料メーカーの基本的な業務は飲料製造事業ですが、大手飲料メーカーを見てみると、飲料製造以外にも事業展開をおこなっている企業が多くあるのです。
各社の得意分野を生かした新たな事業展開を積極的におこなっており、これらで事業を安定、拡大させることができるかも重要になってきます。
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飲料業界の動向
現在の飲料業界では、健康意識の高まりからお茶やミネラルウォーター以外に「トクホ」こと特定保健用食品飲料、低カロリー飲料などに人気が集まっている状態です。逆に炭酸飲料や缶コーヒー、酒類は減少傾向にあり、健康に気を使う人々による飲料の需要変化が起きているといえるでしょう。
コーヒー飲料も新たな製品を開発するなど、現在の健康志向にあわせたイメージチェンジなどが積極的におこなわれています。また、若年層を中心にエナジー系飲料がヒットし、製品開発やシェア争いが繰り広げられているのが現状です。
海外への事業展開も多く、特に日本茶は国内以上に国外への輸出が増えつつあるようです。日本文化がそれだけ海外に浸透してきているということでもあるでしょう。
飲料業界の細かい職種分類について
- 開発
- 研究
- 製造
- 営業
飲料業界では主に3つの職種に分類でき、業種ごとに業務内容が違います。開発・研究は、商品の開発や研究を行う仕事です。商品開発では、消費者のニーズ合った商品を開発することが重要です。市場調査やマーケティングの結果をもとに、コンセプト決定や商品、パッケージの開発などを行います。
製造は商品の生産管理や品質保証を行う仕事で、生産ラインや品質の管理、設備の保守・点検などを行います。また、営業・販売促進は商品を販売する仕事です。コンビニやスーパー、ドラッグストアなどへの商談や売場提案、顧客のニーズを把握するためのマーケティングや販売促進の企画を行います。業種によって業務内容が違いますので、自分に合った職種を探してきましょう。
主要企業5選紹介
飲料業界は生活に必要不可欠な清涼飲料を製造・販売し、長い歴史を持つ企業も存在することから、多くの人が企業名や商品名を知っています。しかし、就活では企業名や商品名だけでなく、業績や事業内容まで知っておく必要があります。
飲料業界を知るなら主要企業を知っておくことが大切です。近年では企業統合や買収などで激しいシェア争いが繰り広げられており、業界内の勢力図に変化が起こっています。主要企業はどんな企業が挙げられるのでしょうか。
①サントリーホールディングス株式会社
- 企業名:サントリーホールディングス株式会社
- 代表取締役社長:新浪 剛史
- 従業員数:38,013名(グループ全体)
- 設立年月日:2009年2月16日
サントリーホールディングス株式会社は飲料や酒類、健康食品など、幅広い事業展開を行っている有名企業です。創業は1899年で歴史のある企業ですが、サントリー創業者の鳥井信治郎が残した名言「やってみなはれ」の精神が根付いており、新しいことにチャレンジする企業風土があります。
サントリーは国内だけでなく、海外でも事業展開しており、欧州やアジア、オセアニア、米州などで飲料や食品の製造・販売事業を行っています。近年では事業拡大ため、企業買収を行ってタイやベトナムなどの新興国への販路開拓に取り組んでいる企業です。世界で活躍できる人材が求められおり、新しいことにチャレンジできる、上昇志向の強い社員が多い職場だと言えます。
②コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
- 企業名:コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
- 代表者名:吉松 民雄
- 従業員数:16,755名(グループ全体)
- 設立年月日:1960年12月20日
コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社は、コカ・コーライーストジャパン株式会社とコカ・コーラウエスト株式会社を統合し、2017年4月に商号変更して誕生しました。コカ・コーラボトラーズジャパンは、コカ・コーラ製品の製造・販売を行う国内最大のボトラー社で、日本の販売量の約9割を担っています。世界のボトラー社の中でも売上高はアジア首位、世界第3位の規模です。
世界中で愛されている「コカ・コーラ」のブランド力を活かして、スーパーマーケットやドラッグストアなど、多岐に渡る業種、業態の取引先への卸売や自動販売機を通じて製品を販売しています。また、ダイバーシティやワークライフバランスなどの働き方改革にも力を入れており、健康で健全な職場環境、労働習慣づくりに取り組んでいます。
③アサヒグループホールディングス株式会社
- 企業名:アサヒグループホールディングス株式会社
- 代表者名:泉谷 直木
- 従業員数:285名(単体)
- 設立年月日:1949年9月1日
アサヒグループホールディングス株式会社は、飲料や酒類、食品など幅広い事業を展開しています。100年以上の歴史を持つ三ツ矢サイダーやカルピスなどのロングセラー商品を持つ有名企業です。近年は、炭酸水「ウィルキンソン」のヒットにより、炭酸水の市場規模を拡大することにも成功しています。
業界内の競争が激化する中、アサヒはグローバルな成長基盤の拡大が急務としており、国際事業に注力しています。ヨーロッパやオセアニアを中心に事業展開していますが、既存ブランドの強化や育成に加え、新たな成長基盤の獲得が課題です。伝統を大切にしながらも新しいことに挑戦できる社風で、成長意欲のある人におすすめです。
④株式会社伊藤園
- 企業名:株式会社伊藤園
- 代表者名:本庄 大介
- 従業員数:5,398名(単体)
- 設立年月日:1966年8月22日
株式会社伊藤園の前身は製茶会社で、お茶の研究や商品開発に強みを持っています。伊藤園の「お~いお茶」は緑茶飲料の主要ブランドで一番歴史が長く、シェアNo.1商品です。また、緑茶以外にもノンカフェイン茶系飲料No.1の「健康ミネラル麦茶」や「TURRY'S COFFEE」など、ブランド力のある商品があります。
伊藤園は「世界のティーカンパニー」という長期ビジョンを掲げ、国内だけでなく、海外事業展開も強化しています。北米を中心にティーバッグや抹茶製品の販売を強化し、国内・海外ともに緑茶でNo.1の地位を獲得することを目標にしています。
伊藤園はお客様第一主義を掲げ、お客様との密なつながりを強みにしており、人との関わりを通じて成長していきたい人におすすめです。
⑤株式会社ヤクルト本社
- 企業名:株式会社ヤクルト本社
- 代表者名:根岸 孝成
- 従業員数:2,860名(単体)
- 設立年月日:1955年4月9日
株式会社ヤクルト本社は、食品や化粧品、医薬品など幅広い事業を手掛けています。ヤクルトは創始者の代田稔が「乳酸菌シロタ株」を発見したことから始まった会社で、生きた微生物「プロバイオティクス」飲料のパイオニアです。予防医学や健腸長寿という考えに基づき、「ヤクルト」や「ジョア」などの乳酸菌飲料の商品開発や販売を行っています。
ヤクルトは海外事業にも力を入れており、2017年3月現在で海外に28の事業所があり、日本を含めて38の国と地域で販売しています。日本と同様、海外でも現地販売を基本とし、ヤクルトレディや社員の採用を通じて、現地の就労機会増にも貢献している企業です。
「世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します」という理念を掲げており、社会貢献を通して成長したい人におすすめです。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
飲料業界の内定をもらうために覚えるべき用語
食品業界は就活生にとても人気のある業界で、就活人気企業ランキングの上位には毎年名前が上がっています。更にその中でも飲料業界は日々身近な存在でもあり、テレビCMなども多いため志望する学生も多く、大変競争率の高い会社が多いのが特徴です。
飲料業界を志望し、希望する企業で内定を勝ち取るためには、エントリーシートや面接でしっかりと志望動機をアピールすることが重要で、そのための業界研究や企業研究を欠かすことはできません。
飲料業界を良く知るために知っておくべき用語・単語は様々ありますし、面接でそういった用語を聞かれて恥ずかしい思いはしたくないものです。飲料業界を知る中でも重要な用語をいくつかご紹介いたしますので、ぜひ覚えて業界研究に役立ててください。
特定保健用食品
特定保健用食品は「トクホ」とも呼ばれ、それを摂取することにより体にとって良い効果が期待できる食品の中で、その有効性や安全性などを科学的根拠で示して消費者庁の許可を受けた食品のことを指します。
つまり効能が期待される食品であっても国が認めていないと「特定保健用食品」や「トクホ」の名前、そのマーク等を使用することはできません。その効能については、「体脂肪を減らすのを助ける」、「脂肪の吸収を抑える」、「脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる」、「血圧が高めの方に」など様々なものがあります。(参照:「特定保健用食品(トクホ)」とはなんですか?|サントリー)
医薬品ではないので、摂取により病気を予防したり病気が治ったりするようなものではありません。
HACCP
HACCPはハサップまたはハセップと読みます。現在、全世界で食の安心・安全が叫ばれています。HACCPとは、食品に関する業者が食中毒や異物混入等のリスク要因を把握し、原材料の入荷から調理、製品出荷の工程の中で、そういったリスクを除去・低減させるために最も効率的に管理できる工程をあらかじめ分析し、その工程を常時管理・記録して安全性を確保するための衛生管理システムの事です。(参照:HACCP(ハサップ)|厚生労働省)
それにより食品事故を未然に防いだり、事故があった場合は被害を最小限に食い止める事が出来ます。日本にはHACCPに関する複数の認証機関があり、食品に関する業者がHACCPシステムを導入し認証を受けることにより、世界基準の衛生管理システムを構築していることを、第三者的に証明することができるのです。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは障害の有無や老若男女・能力の違いに加えて、言語・国籍・文化などを問わず、全ての人が便利に利用することができるデザインのことです。以前からあるバリアフリーとは、その対象を障害の有無に限定していないところが異なっています。
ユニバーサルデザインの代表的な例として、シャンプーのボトルに印をつけて頭を洗ってるときにもリンスなどのボトルとすぐに区別がつくようにしていることがあります。飲料業界では缶製品の中のアルコール製品に上部に点字の突起が付いていたり、自動販売機ではコイン投入口が大きくなっている、商品の選択ボタンが高い位置と低い位置の両方にある、商品の取出し口は腰をかがまなくても取り出せる位置に付いていたりするものもあります。
飲料業界研究のおすすめ書籍紹介
飲料業界を知るためには、インターネットで企業のホームページや業界のニュースを調べるほかに、書籍を読んで研究する方法もおすすめです。書籍の購入にはお金がかかりますが、その分ネット上には掲載されていない有益な情報を知ることができます。
書籍の情報を活用することで、飲料業界への理解を深めることができ、情報の信頼性も高いので、より高いレベルで業界研究ができます。飲料業界への就職活動を成功させるためにも、書籍を参考にして専門性の高い情報を収集しましょう。
①飲料業界のパイオニア・スピリット
『飲料業界のパイオニア・スピリット』という本は、日本を代表する飲料メーカーを創業した3人の企業家についての本です。新しい乳酸飲料カルピスの企業化に成功した三島海雲、食品販売事業の近代確立に努めたキリンの磯野計、スコッチウイスキーの国産化を達成したサントリーの鳥井信治郎の3人が紹介されています。
3人の起業家がどのような苦労や努力をして成功したのか、飲料業界において、有名企業の地位を築くことができた創業者たちの取り組みを知ることができます。業界研究では、現在の業界図を理解しておくことはもちろん、業界の歴史を知ることも大切です。
業界の歴史を理解することにより、面接や入社後の仕事に活かすことができます。今の飲料業界を造った3人のパイオニアについて学べる、読む価値のある一冊です。
②コカ・コーラで5兆円市場を創った男
『コカ・コーラで5兆円市場を創った男』という本は、「日本におけるコカ・コーラ創業の父」と呼ばれる高梨仁三郎について書かれています。戦後の混乱期において、日本では「おいしくない黒いジュース」としか映らなかったコカ・コーラの商品力を見抜き、どのように普及させていったのかを知ることができます。
今では飲料業界のトップブランドであるコカ・コーラですが、戦後の日本に普及するには、アメリカ本社から販売許可が出ない、同業者や業界団体からの圧力など、いくつもの困難がありました。飲料業界で働くことを志望するなら、知っておくべき歴史が学べる一冊です。
飲料業界を深く知り就活を有利に進めよう
飲料業界は、国内の人口減少や好まれる飲料の傾向の変化によって、売上額が頭打ちを迎えつつあるのが現状です。ですが消費者の健康志向や海外への事業展開など、新たなニーズに答えることによって成長を続けている業界ともいえます。
これらの新たなニーズに対し、長期的な事業展開をおこなうことができるかどうかによって、今後の飲料業界がどのように変化していくかが重要になるでしょう。元々飲料業界には歴史ある有名な企業が多く、テレビドラマのモデルになるなどして知名度が高い企業も多く存在します。
そういった理由から、就活生にも人気の高い業界のひとつでもあります。飲料業界の企業に就職を目指しているのであれば、業界への知識や理解を深め、今後の就活に向けて有利に進めるよう備えておきましょう。