業界研究

地方銀行に就職するには?知っておきたい特徴と志望動機例文3選

地方銀行の特徴とは

 

地方銀行の概要
地方銀行64行は、地域金融の担い手として、地元に張り巡らした稠密な店舗・ATM網等を通じて、個人のお客さまや中堅・中小企業のお取引先の多様なニーズに応える金融サービスを提供しています。また、永年にわたり培った地域のネットワークを活かし、コンサルティング機能を発揮することにより、地域産業の競争力強化やお客さまの新たな挑戦等をサポートし、地域経済の活性化に貢献しています。

就活生のみなさんは、地方都市での生活や長期滞在をしたことがあるでしょうか。地方都市で生活をしてみて気が付くことは、メガバンクの支店の少なさです。県によっては、メガバンクの支店が置かれていない県もあります。一方、地方都市では地方銀行の支店は数多く設置されています。

県庁所在地のような都市だけでなく、山間の小さな町にも地方銀行の支店が設置されていることは少なくありません。このように、地域に構築したネットワークを強みとして事業を展開しているのが、地方銀行の特徴といえるでしょう。

都市銀行・信用金庫との違い

都市銀行と信用金庫の特徴も確認しておきましょう。まず都市銀行ですが、これは東京や大阪などの大都市に本店があり、広域展開している銀行のことをいいます。2016年10月現在では4行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行)のみとなっています。全国的に支店があり、名前を聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

次に信用金庫ですが、こちらは地方銀行よりもより地域に根づいた金融機関となっています。その特徴は、銀行と異なる経営形態です。信用金庫では利用者(預金者)が出資者となり、地域の繁栄、相互扶助を目的として経営されています。信用金庫と都銀・地銀では準拠している法律も異なっていますが、預金や融資などの基本的なサービスは同じです。

地方銀行の将来性

地方銀行の将来性も見ておきましょう。近年、メガバンクの人員削減宣言により、その余波が地方銀行にも来るのではないかと不安視する人が増えています。確かに地方銀行も、地域の人口減少、マイナス金利政策によって将来性が不透明です。そこで地方銀行は主に2つの対策をおこなっています。

ひとつめは業界再編です。近年、地方銀行同士の統合が相次いでいます。これには地方銀行の影響力を強めるねらいがあります。この動きは今後も増えていくと見られています。

ふたつめは新ビジネスへの参入です。人材仲介ビジネスなど、地方銀行が持つ、特定の地域への結びつきを活かしたビジネスを始めているところもあります。これからも銀行業務からかけはなれたビジネスをする機会が増えることでしょう。

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地銀では採用難の傾向が強くなってきている

地方銀行では採用難が続いています。学生の間で「銀行はよい就職先ではない」という認識が広まっているからです。前記のように、地方銀行の将来性は不透明です。ある地方銀行では約200名に内定通知をしたものの、約100名の辞退者が出たという実例もあります。特にUターン就職者の採用に苦戦しており、志望企業を受ける前の練習台にされるケースも多いようです。

また統合によって生き残ったとしても、それにより将来設計を変更しなくてはいけない場合もあります。それも敬遠されるひとつの理由になっています。

しかし、逆をいえば地方銀行を強く志望している人にとってはチャンスになります。地方銀行に就職したいという強い意志と理由を伝えられれば、採用される確率も高まるでしょう。

地方銀行の業務内容

地方銀行は特定の地域を中心に営業活動をしています。地域の有望な企業に融資をして金融面で支えたり、顧客の企業同士を結び付けて新しい価値を創造するようなこともしています。また地元の個人顧客に対しては、一般的な預金業務に加えて、住宅ローンや教育ローンなどといったサービスを提供しています。

このように地方銀行は地域と強く結び付き、経済の発展に大きく寄与しています。これからその業務内容を詳しく見ていきましょう。

預金・ローン

預金とローンは地方銀行の基本的なビジネスモデルです。地方銀行は預金として集めたお金をローンという形で企業・個人に貸し出しています。それによって生じた預金金利と貸出金利の差で利益を得ているのです。

地方銀行の強みは何といっても地域に密着していることでしょう。地方銀行は他の金融機関と比べて、地元企業や地域住民の細かなニーズに対応がしやすいです。

例えば、県外から移住してくる人、親世帯が住む地域で住宅を購入しようと検討している人には住宅ローンの金利を優遇したりするサービスもあります。これには住宅ローンを借りやすい環境を整えることによって地域住民を増加させる狙いがあるのです。このように地方銀行は自分たちの特性を活かし、他の金融機関との差別化を図っています。

企業への融資

企業への融資は主な銀行業務のひとつです。企業に融資することでその企業の成長をサポートし、日本経済に影響を与えています。ここでは地方銀行の企業への融資の特徴を見ていきましょう。

地方銀行は特定の地域に店舗を構えているため、個別の顧客ごとに適切な融資アプローチができるという大きな特徴があります。メガバンクは全国的なネットワークはありますが、地域ごとの事情に即したアプローチは苦手です。地方銀行はメガバンクに比べて資金力、情報力は劣りますが、そういった点で他の金融機関よりも優位に立っています。

現在では主に中堅中小企業向けに融資をおこなっている地方銀行が多く、地域に根差したきめ細かいフォローによって企業の成長を支えています。

為替

為替とは、他の口座へ送金をすることを意味します。国内だけの送金に限らず、海外への送金も含めます。身近なものだと、公共料金の自動振り込み、年金や株式の配当金受け取りなどがあります。そしてこの為替も、地方銀行の主な業務のひとつになっています。

近年は、為替業務をおこなう際には、窓口やATMだけでなく、インターネットバンキングを使って振り込みや送金をすることがあります。

地方銀行の場合、メガバンクと比べて、特定の地域に多くの支店とATMがあります。地域の利用者からすると、支店やATMが多くあった方が振り込みや送金をする際にも便利なため、これが地方銀行の強みとなっています。ここでも「地域密着」という地方銀行の特徴が活きています。

地方銀行の年収

転職サービスDODAの「平均年収ランキング2017|業種別」によると、地方銀行の平均年収は約407万円といわれています。都市銀行の平均年収が約466万円であるため、その差は約60万円ほどになります。

都市部での生活はコストが多くかかるため、可処分所得で比べれば地方銀行のほうが高いという見方もできますが、やはり純粋な年収ベースでは60万円以上の差があるといえるでしょう。

地方銀行での年収は職種によっても変わります。多くの地方銀行では窓口、サポート業務を担当する事務職よりも、営業、管理業務を担当する総合職のほうが年収が高い傾向にあります。

また、FPや中小企業診断士などの資格を持っている場合も年収が高くなる傾向があります。就職してからこれらの資格を取る人もいますが、時間に余裕のある学生時代に取得しておくのもひとつの手です。

地方銀行に就職するメリット3つ

地域密着型の地方銀行に就職した場合、実際にどのように仕事をしていくことになるのでしょうか。地方銀行への就職に興味があるのなら、地方銀行に就職するメリットは必ず知っておくべき情報です。3つのポイントに分けて、地方銀行で働くメリットを見ていきましょう。より具体的な仕事内容のご紹介となるので、地方銀行員として働く自分の姿をイメージしながら読んでみてください。

①地方・地元に密着した仕事ができる

地方の成長や活性化を目指して事業を展開している地方銀行の顧客や取引先は、ほとんどが地元の企業や人々だと言えます。つまり、地元の人々がお金のことで困ったときに相談に乗り、解決策を提案していくのが地方銀行の仕事です。個人向けの預金やローンの相談、企業の融資まで、お金に関することは幅広く対応していかなければなりません。

どんな小さなことでも親身になって相談に乗ることで信頼関係が生まれ、新たなビジネスチャンスを生むこともあります。メガバンクがないような地方の町でも、資産運用に悩んでいる人や、高い志を持って会社を経営している中小企業の社長はたくさんいます。そのような人たちが、安心してより大きなことへチャレンジしていけるよう支援していくのが、地方銀行の担う役割だといえるでしょう。

②地方でのネームバリューが抜群

首都圏ではひと駅ごとに設置されていることもあるメガバンクの支店ですが、地方に行くと県内に1つあるかないかというところも珍しくありません。代わりに数多くの支店やATMを配置しているのが、地方銀行です。地方は公共の交通機関が少なく、遠くの銀行へ行くのには手間がかかります。また、高齢者の場合は、外出すること自体が難しい場合もあるでしょう。

そんな人々のニーズに応えてきたのが地方銀行でした。小さい町にも支店を作り、訪問での相談も積極的に行っていくのが、地方銀行のスタイルです。地方の人々にとって最も身近な銀行が、地方銀行なのです。先輩行員たちの作り上げてきた地方銀行という看板を背負うことで、責任感と自信を持って仕事をしていくことができるでしょう。

③全国転勤がほとんどない

地方銀行は、決まった県や地域内に限って支店を出店しています。そのため、転勤を言い渡されたとしても、一定の地域内のみでの異動となります。日本全国もしくは海外まで転勤する可能性があるメガバンクに比べると、将来設計が立てやすくなると言えるでしょう。転勤が限定された範囲内であれば、住宅購入や子供の転校などで悩む必要がありません。

仕事を頑張り家族を持って、マイホームを建てようという夢を描くことが可能になります。一度決めた場所にしっかりと根を張って、落ち着いて仕事に打ち込み家族と生活していくことができるのが、地方銀行へ就職したときのメリットといえるでしょう。

地方銀行に就職するための志望動機のポイント

地方銀行の採用試験を受ける際には、「銀行で働きたい」というだけでは、志望動機が弱すぎます。なぜメガバンクではなく地方銀行なのか、地方銀行の中でもその地方銀行を選んだ理由は何なのかを説明しなければなりません。入社後はどのように活躍していきたいのかなど、面接官をしっかりと納得させるだけの論理的な志望動機を準備しましょう。

なぜその銀行を選んだのかを明確にする

希望する地方銀行を選んだ理由は、2段階に分けて説明すると良いでしょう。最初は、メガバンクではなく都市銀行を選んだ理由です。メガバンクと地方銀行の業務内容の差を押さえたうえで、地方銀行でどのような仕事をしていきたいのかを説明できると良いでしょう。次に、多くの都市銀行の中でもなぜその銀行に入社したいと思ったのかです。

就職先がその地域でなければならない理由を説明します。例えば、生まれ育った地域に貢献していきたいということも理由の1つとなります。それ以外にも、その地域ならではの産業を盛り上げていきたいなどの理由でも構いません。地域を大切にし、発展のために頑張っていけるという事をアピールしてください。

その銀行の課題における解決策を提示する

地方銀行は、それぞれの銀行によって抱えている問題が違います。例えば、人口が少ない地域では総資産額をどうやって増やしていくかが課題です。中小企業が多い地域では、融資の課題が多くなるはずです。高齢者が多い地域では、資産管理や相続の案件も多くなります。それぞれの地方銀行が抱える問題に対して、自分はどのように考え解決していきたいと思っているのかをきちんと説明しましょう。

課題と解決策を考えるには、より詳しい企業研究や地域の研究が必要になるので、手間も時間も掛かります。しかし入社後の姿を想像しながら課題への解決方法を見つけることができれば、面接官への大きなアピールとなるはずです。

将来どんな銀行員になりたいかをアピールする

地方銀行でどんな銀行員になりたいと考えているかは、地方銀行ならではの業務内容と絡めてアピールすると良いでしょう。例を3つあげてみます。1つ目は地方の人口増加を目指して、住宅ローンの推進を頑張っていきたいというものです。2つ目は地域に住む人々の資産運用相談に乗ることです。地方に住む人々は資産管理の仕方を相談する先がなく、ただ現金で持っているだけの事も少なくありません。

FPの資格を取得し、プロとしてそのような人たちの相談に乗っていくことができれば、お金に悩む地方の人々の手助けができるでしょう。3つ目は産業支援です。その地方を担う産業がある場合には、融資などを通じて企業を応援していくことができます。それにより、地域の活性化につなげることができるでしょう。

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地方銀行の志望動機例文3選

地方銀行の志望動機を作る際に重要になるのは「その地方銀行でなくてはならない理由」が書けるかどうかです。

地方銀行は他の地方銀行やメガバンク、信用金庫と優秀な学生の取り合いをしており、お互いをライバル視しています。それぞれの違いをしっかりと理解し、なぜその地方銀行でなくてはならないのかを説明しましょう。

冒頭に結論(志望理由)、その次に自身の経験、最後にその地方銀行の特徴をからめてまとめると、綺麗な志望動機ができるでしょう。

例文①

お金は自分たちの生活と切っても切れないものであり、そのようなお金に関わる問題を解決することができれば、深く社会に貢献できるのではないかと思い貴行を志望いたしました。

私は子どもの頃から、ボランティアとして地元の方とともにゴミ拾いの活動をしていました。その経験から地域に貢献できる楽しさややりがいを学ぶことができました。社会に出てからもそのように地域に貢献できるようなことをしたいと思っています。

私が貴行を志望したのは、生まれ育った地域に唯一ある地方銀行で働くことができればより直接的に地元に貢献できるのではと考えたからです。また銀行業務以外にも様々な活動をしているため、多面的に地域のためになることができるのではないかと思いました。

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例文②

私が貴行を志望するのは、生まれ育った地域の企業活動を支えることで、地域の経済状況を良くしたいと考えたからです。

私は約1年前、中小企業にインターンをしました。そのときに、どんなことをするにもまずは資金が必要であることを痛感しました。その経験から、法人渉外という立場で、地元の中小企業の経営面を支えることのできる地方銀行に就職することを志しました。

数ある地方銀行の中で貴行を志望した理由は、私が生れ育った県を金融を通じて長年支えてきたのが貴行だからです。またメガバンクに先駆けて、豊富な確定拠出年金の商品ラインナップを用意するなど、その挑戦的な姿勢にも大変魅力を感じています。貴行で働くことによって、私の考える理想の地域活性化ができるものと信じています。

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例文③

私が貴行を志望したのは、企業の持っている可能性を引き出し、私の注目する〇〇地域の経済を活性化させたいと思ったからです。〇〇地域は現在積極的に企業を誘致しており、大きく経済成長をしています。今まで私が学んできたことを、そういった場で使いたいと思っています。

私は今までサークルのリーダーとして学生時代を過ごしてきました。その中で学んだのが「メンバーの潜在能力を引き出すことの重要性」です。潜在能力の引き出しが上手くいくと物事がうまく進むということを経験しました。現代社会において、ファイナンシャルな面で企業の潜在能力を引き出せるのは地方銀行だと考えています。

特に貴行の場合、他行と比べて企業へのコンサルティング業務に注力しており、その点も大変魅力的に感じています。貴行であれば、私の想いを実現できるのではないかと考えています。

※この例文は志望動機作成ツールで作成しました。
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メガバンクにない魅力を持つ地方銀行で発展を支えよう

メガバンクと地方銀行では、規模の大きさの違いに目がいきがちです。しかし実際には、求められる業務の内容も大きく違います。地域に密着して、その地域にすむ人々のための仕事をしていくのが地方銀行の使命です。決まった地方の人々とじっくり付き合っていくことで信頼関係が生まれます。「あなただから」と相談しに来てくれたお客様のお金に関するデリケートな問題を解決し、「ありがとう」と言ってもらえたときの喜びは言葉にできない嬉しさがあるでしょう。

地方銀行の採用担当者は、その地域と銀行を共に盛り上げていってくれる人材を探しています。銀行に入行したら何をしていきたいのか、具体的な将来像をアピールしてください。そうすることで、地方銀行員になりたいという真剣な気持ちが面接官にも伝わるはずです。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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