業界研究

【ベンチャーとは】スタートアップ企業との違いや向いている人の特徴

ベンチャーとは新サービスや新しい事業を展開する企業

ベンチャー企業のポジションを表した図

ベンチャー企業とは、「新しいサービスやビジネスなどを展開する企業」です。自由な社風や、先端技術を用いて業務をおこなうイメージがありますが、実はベンチャー企業には明確な定義はありません。「成長過程にあり新しい事業やサービスを展開している」「大手企業が着手しにくい事業をおこなっている」などの特徴を持った企業をベンチャー企業と呼ぶことが多いようです。

会社の規模は小規模から中規模であることがほとんどで、なかには社員が2~3人というベンチャー企業もあります。ここでは、ベンチャー企業の特徴やスタートアップ企業との違い、ベンチャー企業に向いている人、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。ベンチャー企業について理解を深め、就活を有利に進めていきましょう。

ベンチャー企業とスタートアップ企業との違い

ベンチャー企業とスタートアップ企業の違いを表した図

ベンチャー企業と似た意味で使われる言葉に、スタートアップ企業がありますが、この2つはどのような違いがあるのでしょうか。スタートアップとは、アメリカのシリコンバレーから日本へ入ってきた言葉で、「起業」や「新規事業の立ち上げ」を意味していて、短期間に新しいビジネスで急成長している企業を指します。

スタートアップ企業の特徴は、革新的なビジネスを展開していて、最初からExit戦略を考えている点です。Exit戦略とはベンチャーキャピタルなどこれまでスタートアップ企業に出資してきた利益を回せるように考えることです。そのためにM&Aと呼ばれる事業や企業の売却やIPOと呼ばれる株式上場を行うことで資金を調達します。

ベンチャー企業が「成長過程にある企業」という意味合いで使わていることが多い一方で、スタートアップ企業は「新しい市場を開拓していく企業」を指しています。明確な定義はありませんがスタートアップ企業は、一般的に創業から2~3年の新しい企業のことで、ベンチャー企業と同じく規模は小さい傾向があります。

「スタートアップ企業」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ベンチャー企業とメガベンチャー企業の違い

メガベンチャーとは、大企業へと成長したベンチャー企業のことです。もともとはベンチャー企業であった企業が、IPOや数々のM&Aを繰り返すことで、大企業に匹敵する程度の売上高や経常利益まで成長した企業がメガベンチャーと呼ばれています。日本では「DeNA」「サイバーエージェント」などのIT企業や、その他にも総合人材サービスをメインに手がけている「リクルート」もメガベンチャーの代表です。

メガベンチャー企業もスタートアップ企業と同じく、明確な定義はありません。しかしメガベンチャー企業と呼ばれている企業の多くは上場をはたしていたり、従業員数が1,000人を超えているような特徴があり、大企業並みの企業規模がある企業がメガベンチャー企業であると言われています。

・上場している
・従業員が1,000人以上

「メガベンチャー企業」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ベンチャー企業と中小企業との違い

中小企業という言葉は、企業の規模を表しています。資本金額や従業員数など中小企業基本法による明確な定義があるため、ベンチャー企業とは異なります。製造業などは従業員300人以下、小売業は従業員50人以下など、業種によって中小企業の定義は異なるため以下をご参照ください。日本国内では、90%以上の企業が中小企業に相当します。

①製造業、建設業、運輸業、その他の業(②~④を除くもの) 資本金額:3億円以下 常時従業員数:300人以下
②卸売業 資本金額:1億円以下 常時従業員数:100人以下
③小売業 資本金額:5千万円以下 常時従業員数:100人以下
④サービス業 資本金額:5千万円以下 常時従業員数:50人以下

創立からの年数や事業内容は関係ありませんが、中小企業の範囲の中にベンチー企業が含まれるのが一般的です。従業員数が少ないため「若い時から責任のある仕事を任される」「頑張りが評価されやすい」などの特徴は中小企業とベンチャー企業の共通点といえます。最近では、企業規模が中小企業以上になるベンチャー企業もあり「メガベンチャー」と呼ばれることもあります。

おすすめの「中小企業」について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。

ベンチャー企業に向いている人の特徴

ベンチャー企業に向いている人の特徴を表した図

新しいビジネスを展開するベンチャー企業ですが、どのような人に向いているのでしょうか。一般的にベンチャー企業は、激務でハードなイメージがあります。従業員が少ない分、任される仕事が多く、業務の範囲も広くなりがちです。そのため、残業や休日出勤が多くなる企業もあります。

ほかにも、一般企業とベンチャー企業では、働くうえで異なる点も多いでしょう。どのような特徴を持つ人がベンチャー企業に向いているのか、参考にしてみてください。

裁量が大きい仕事をしたい人

ベンチャー企業では、従業員が少ないこともあり、さまざまな仕事を任されます。入社後間もなく裁量が大きい業務が与えられ、責任のある仕事を任せられることがあります。

ベンチャー企業は仕事にスピードを意識する会社が多く、意思決定のスピードの早さが重要となってきます。そのため現場の人に意思決定を任せることが多く、その分規模が大きい会社に比べ裁量が大きい仕事ができるようになっています。そのため、やりがいを感じる人も多く、「さまざまな仕事に取り組みたい」「責任の大きい仕事にも積極的に挑戦したい」と思う人は、ベンチャー企業が向いていると言えます。

ベンチャー企業では早い段階からさまざまな経験を積むことで、スキルアップが期待できます。幅広い業務で自分の可能性を広げたいと思う人は、ベンチャー企業で活躍する素質があるといえます。自分の仕事の成果を実感し、モチベーション維持につなげたい人におすすめです。

変化や成長を楽しみながら働ける人

ベンチャー企業は仕事をしていくうえで、日々さまざまな変化が急速に起こります。例えば経済環境や競合環境の変化によって経営方針の転換、組織変更、配置転換などが起こりやすく、その時の状況に合わせて対応していかなければなりません。ベンチャー企業で活躍するためには、その日常的な変化を受け入れられる柔軟さが大切です。

また現時点でのスキルや能力では難しい仕事を任されることもあります。経験がないことであっても好奇心を持ち、あきらめずに積極的に取り組む力が求められるでしょう。時には自分で調べて学習していくことも必要です。同じことを継続してコツコツと努力するよりも、変化や成長を楽しみながら、自ら工夫してチャレンジしていける人がベンチャー企業には向いています。

将来起業や独立を考えている人

将来、起業や独立を考えている人は、ベンチャー企業に向いています。若いうちから、経営者のすぐ近くで仕事ができる環境が整っているベンチャー企業は、独立に必要なノウハウを働きながら身に付けることができます。努力次第で責任のある仕事ができるため、スキルアップのスピードも早いでしょう。

大手企業では、社長や経営者と顔を合わせる機会や、直接話をすることはほとんどありません。若い人の意見を積極的に取り入れる傾向があるベンチャー企業では、入社後数年で経営にも関われる可能性があります。企業経営や独立のための知識を得たり、人脈を広げるチャンスがあったりと、起業する際の大きなメリットが期待できます。

ベンチャー企業に就職するメリットとデメリット

ベンチャー企業では、常に新しい挑戦が求められます。一般企業とは仕事の仕方が異なる点も多いでしょう。従業員数が少なく個人の仕事の裁量が大きいベンチャー企業は、経験や勤続年数に関わらず実力で評価されるというメリットがありますが、一方、福利厚生が充実していないことはデメリットといえます。

ここでは、ベンチャー企業に就職するメリットとデメリットについて考えてみましょう。あらかじめ確認しておくと、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

メリット:実力が評価されやすい

入社後すぐに責任のある仕事を任されることが多いベンチャー企業は、一般企業に比べ個人の実力が評価されやすいというメリットがあります。年齢や勤続年数に関わらず、実力が重要視されるため、実績次第で若いうちから昇進も可能です。

責任のある仕事を任される分成果が目に見え、人数が少ない分周りからも評価されやすいため、仕事に対するやりがいを感じられる人も多いです。

一般企業では、新卒の意見を取り入れて仕事を進めることは滅多にありませんが、ベンチャー企業の多くは、社長や上司との距離が近く、自分の意見が言いやすい環境です。任される仕事の幅が広いため、専門分野だけでなく、さまざまな経験をすることでスキルアップも期待できます。

デメリット:福利厚生が充実していない

歴史が浅く、従業員数の少ないベンチャー企業は、福利厚生の制度が整っていないことがあります。一般企業の多くは労働組合など、待遇について交渉をおこなうための機関が設けられていますが、ベンチャー企業ではそのような仕組みがない可能性が高いです。給与や休暇についてルールが定められていない場合、企業との間にトラブルが起こることもあります。

一般企業のなかには、住宅補助や交通費支給、施設利用の際の優遇などがありますが、ベンチャー企業でそのような制度を設けているケースは稀です。一般企業に比べ、福利厚生の面で劣っていると感じるかもしれません。福利厚生について不安がある時は、事前に企業の採用担当者に確認してみましょう。

主要ベンチャー企業の一覧

ここからは、主要ベンチャー企業をみてみましょう。メルカリやサイバーエージェント、グリーなど、私達の生活に深く関わっている企業も多く、これからさらに成長が期待されています。

それぞれの企業の特徴やサービス内容について詳しく解説していきます。創立からの歴史は長くありませんが、近年急成長を遂げている企業ばかりです。ベンチャー企業に興味を持っている人は、志望先を選ぶ時にぜひ参考にしてみてください。

株式会社メルカリ

合計5,500万ダウンロードを記録した、フリーマーケットアプリの「メルカリ」を運営する企業です。2013年に「株式会社コウゾウ」として創立され、同年に商号を「メルカリ」に変更しました。メインのサービスであるアプリは、2013年にリリースされベストショッピングアプリの受賞経験もあります。メルカリのフリーマーケットアプリでは、これまで主流だったオークション形式とは異なり、価格交渉を個別におこなえることで斬新さを打ち出しました。

「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創造する」を企業理念に掲げ「大胆にやろう」「全ては成功のために」「プロフェッショナルであれ」の3つを行動指針としています。現在では、電子決済サービス「メルペイ」や米国事業にも注力し、さらなる事業拡大を進めています。

株式会社サイバーエージェント

国内でも有数のインターネットメディアを運営する企業です。中でもインターネット広告事業、オンラインゲーム事業では国内トップの売上を誇ります。月間で4,000万人以上が利用する「Ameba」は、無料で開設できるブログサービスや、芸能人と通話できるトークアプリ、コミュニティサービスなどを展開しています。またサイバーエージェントとテレビ朝日が共同で出資して作られた「AbemaTV」は約30チャンネルに及ぶ、オリジナルのニューズ番組やアニメ、ドラマ、音楽など様々なジャンルの番組を無料で視聴することができるサービスであり、若者を中心に人気があります。

「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、若手の社員にも積極的にチャンスを与える社風です。実力さえあれば経験に関係なく昇進できるため、新卒社員が子会社の社長となった例もあります。人の頑張りを素直に応援するチーム主義で、和気あいあいとした雰囲気の職場だといわれています。

グリー株式会社

グリー株式会社の創立者である田中良和氏は、2000年に楽天株式会社に入社しました。その後、個人で運営していたGREEを公開、2004年にグリー株式会社を設立して代表取締役となりました。主な事業内容は、ゲーム、ライブエンターテイメント、メディア、広告、投資となっています。2007年に公開した世界初のソーシャルゲームである「釣り##スタ」を始め、さまざまなゲームアプリを発表しています。ソーシャルネットワーキングサービスのGREEでは、日記やチャットなどのSNSサービスや、分身を作って着せ替えができるアバター機能が特徴的です。

世界的なVR市場への需要の高まりを受け、近年ではVRコンテンツにも力を入れています。「インターネットを通じて世界をよりよくする」を企業理念とし、「より楽しく幸せな毎日のため」「より効率的で自由な社会の実現のため」を行動指針に掲げています。

株式会社じげん

東京に本社がある株式会社じげんは、2006年6月に創立された企業で、ライフメディアプラットフォームが主な事業です。具体的には転職情報、人材派遣、アルバイト求人、賃貸情報、引っ越し見積もりなどのサイトを運営しています。占い事業やインターネットメディア事業をおこなう「株式会社にんげん」、人材業界向け業務基幹システムを提供する「株式会社ブレイン・ラボ」などがグループ会社です。

株式会社じげんは「新しい可能性に向かって、人・モノ・情報を構造的に捉え、様々なWEBサービスの企画・開発を進める」をビジョンに掲げ、枠組みに捉えられずに自分自身の力を信じる人、多様的な強みや個性を持った人材を求めています。高い志を持ち、積極的に挑戦していく人が向いているといえるでしょう。

株式会社EXIDEA

株式会社EXIDEAは、2013年に代表取締役である小川卓真氏によって創立されました。東京都に本社があり、30を超えるWEBメディア・WEBサービスの開発・運営をおこなっています。WEBマーケティング事業では、自社開発の分析・開発ツールと世界最高峰の広告運用プラットフォームの提供をメインとし、企業のWEBマーケティングを最大化するサービスを提供しています。

WEBマーケティング・グローバル戦略・インキュベートの連動で世界に多くのイノベーションを生み出す、「グローバルマーケティングインキュベーション」となることを企業の目標にしています。「ユーザーの真のニーズを分析し、マーケティングとプロダクトの両面において高速かつ連続的に改善を重ねるデジタルマーケティングの手法である『グロースハック』により、人々が本当に必要とするものがあふれる世界を創造していく」という企業理念があります。

ベンチャーとは経験を積みながら成長できる企業

新しい分野で、革新的なビジネスに挑戦していくベンチャー企業は、個人の仕事の裁量が大きく、新入社員でも責任のある仕事を任される傾向にあります。一般企業とは異なる点も多く、チャレンジ精神を持って、積極的に行動できる人材が求められます。経験や勤続年数に関わらず実力で評価されるため、入社から間もなく昇進するケースも珍しくありません。

スキルアップのスピードも早く、将来独立や起業を考えている人にも人気の志望先となっています。経営者や上司と距離が近く、経営について学べる機会も多いでしょう。ベンチャー企業を志望する際は、一般企業との違いや、ベンチャー企業ならではのメリット・デメリットを理解して、選考に向けてしっかり準備を進めていきましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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