職種研究

言語聴覚士の平均年収・ボーナス事情|比較シミュレーションで比べてみよう

言語聴覚士とは

言語聴覚士とは

言語聴覚士とは、失語症や言葉の発達に遅れがあるなど、声や発音に障害を抱えた人の援助をおこなう仕事です。主に医療機関や保険・福祉機関の他、教育機関など幅広いフィールドで働く職業ながら、広く知られているとはいえません。

この記事では、言語聴覚士の仕事内容や年収について詳しく見ていきます。ぜひこの社会的意義のある職業について知り、就職活動の参考にしてください。

言語聴覚士の業務内容

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」という、およそ人間が生活するうえで必須といえる行動に関するスペシャリストです。健康的な生活をしている人にとって、あまりイメージできないかもしれませんが、人は何らかの障害や病気、事故によって、それらの機能に障害を抱えることがあります。

言語聴覚士は、それらの障害の発生によって現れるコミュニケーションの問題や嚥下(えんげ)の問題を解消するための専門職として、それらの問題解決の援助をおこなう仕事です。言語障害、音声障害、嚥下障害からの社会復帰を果たすための支援をするスペシャリストとして、医療機関や福祉機関などで日夜だいじな仕事を担当している専門職といえるでしょう。

言語聴覚士に求められる能力について

  • 心理学や認知学、医学といった幅広い知識
  • 忍耐強さ
  • 共感力

まず、言語聴覚士の仕事には障害の病態や医学的な処置について知る必要があるため、医学的な知識が必要になります。人の心の動きや言葉、音声の仕組みを知る必要もあるため、心理学や言語学など広い知識も求められます。

次に必要な能力が、忍耐力です。障害や病気、事故による問題の解決は、そう簡単なものではありません。少しづつリハビリをしながら、声が出せるように、食事がとれるようにしていく必要があるのです。時間のかかることだけに、忍耐力は不可欠です。

最後に共感力です。患者が何を求めているのか、相手の立場になって考え、リハビリの方法を考えていくことが言語聴覚士に求められます。また、患者にとって「頑張れ、頑張れ」と言われ続けるのはつらいものでもあります。時には「頑張ったから休憩しようか」といった共感を表にだすことで、患者はリハビリをあきらめずに取り組んでくれるケースもあることを覚えておきましょう。

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言語聴覚士の平均年収と他職種との比較

言語聴覚士の平均年収と類似する仕事との年収比較を見ていきましょう。

言語聴覚士の平均年収について

厚生労働省が発表している資料によると、言語聴覚士を含む、いわゆる介護職員の中における専門職にあたる職業の平均年収は343万円とされています。

参考:平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

他の職種・平均との比較

  • 日本の平均年収422万円
  • 介護職員の平均年収289万円
  • 看護職員の平均年収371万円
  • 生活相談員の平均年収315万円

言語聴覚士の平均年収は、一般的な介護職員と比較しておよそ50万円ほど高くなります。しかし、看護職員と比較して30万円ほど低く、日本人の年収と比較すれば80万円ほど低いです。

言語聴覚士のボーナス・昇給事情

言語聴覚士のボーナスと昇給の事情はどうなっているでしょうか?ここでは言語聴覚士のボーナスと昇給事情について紹介します。

ボーナスについて

言語聴覚士のボーナスに関するデータはありません。しかし、言語聴覚士の勤務先となる医療機関や福祉機関では、多くがボーナスを数ヶ月分出しているため、言語聴覚士も月給の数ヶ月分もらえる可能性は高いといえます。

昇給について

ボーナス同様、言語聴覚士の昇給についても詳細なデータは公表されていません。ボーナスと異なるのは、言語聴覚士が多く所属することになる医療機関や福祉機関の多くが助成金や補助金を原資として運営していることが多く、昇給がまばらな点です。

言語聴覚士の年齢別平均年収推移シミュレーション

言語聴覚士の年齢別の平均年収を5歳刻みで算出をしました。年齢別の月給と年収の推定値はどのようになっているでしょうか。

年齢 年収 月給 ボーナス
20~24歳 214.2万円 14.7万円 37.8万円
25~29歳 279.0万円 19.1万円 49.3万円
30~34歳 321.4万円 22.1万円 56.8万円
35~39歳 352.3万円 24.2万円 62.2万円
40~44歳 379.6万円 26.0万円 67.1万円
45~49歳 401.3万円 27.5万円 70.9万円
50~54歳 418.1万円 28.7万円 73.9万円
55~59歳 412.1万円 28.3万円 72.8万円
60~64歳 308.9万円 21.2万円 54.6万円

年齢別の平均年収を5歳刻みで算出すると、30~34歳での平均年収は321.4万円、うちボーナスは56.8万円になると予測されます。40~44歳では平均年収が379.6万円、うちボーナスは67.1万円になると予測されます。

※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。

言語聴覚士と日本の平均年収との年齢別比較シミュレーション

年齢 言語聴覚士の平均年収 日本の平均年収
20~24歳 214.2万円 263.5万円
25~29歳 279.0万円 343.3万円
30~34歳 321.4万円 395.5万円
35~39歳 352.3万円 433.4万円
40~44歳 379.6万円 467.1万円
45~49歳 401.3万円 493.8万円
50~54歳 418.1万円 514.4万円
55~59歳 412.1万円 507.0万円
60~64歳 308.9万円 380.1万円

言語聴覚士の平均年収は、日本の企業全体の平均年収と比較すると低いといえるでしょう。30~34歳の平均年収は321.4万円で、日本の平均と比較すると74万円ほど低くなると推測されます。40~44歳では379.6万円の予測です。

※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。

言語聴覚士の生涯賃金シミュレーション

言語聴覚士の平均年収 日本の平均年収
生涯賃金 1.54億円 1.90億円

日本の平均的な生涯賃金と事務職の生涯賃金を比較してみましょう。言語聴覚士の平均年収は343万円であることがわかりました。一方、日本の平均年収は422万円です。20~65歳まで勤めたと仮定した場合、生涯で得られる賃金はどれくらいになるのでしょうか。その結果が、上記の表です。

言語聴覚士の生涯賃金は、1.54億円と予想されます。日本の平均生涯賃金と比較すると4.6億円ほど少ないと推測されます。

※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値となります。

まとめ

言語聴覚士の仕事は、コミュニケーションという日常生活において必要とされる活動に困っている人を救う非常に社会的意義の高い仕事です。しかし、年収や生涯賃金の平均値は決して高いとはいえません。

言語聴覚士の勤務先となる医療機関や福祉機関の多くは、人手不足であることが多く、就職は比較的容易です。それに加えて、昨今は国が昇給など収入の増加対策を進めている業種であることから、これから収入面の待遇が改善する見込みは高いともいえます。

現時点での収入だけ見れば魅力が薄い仕事に思えるかもしれませんが、社会的意義や将来的な待遇改善を見込めば、けっして他の職種に比べて不遇な仕事とはいえないのではないでしょうか。

※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。

監修者プロフィール

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吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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