業界研究

百貨店業界の平均年収と生涯賃金|他業界との比較や年代別の年収

百貨店業界とは

経済産業省によると、百貨店とは「衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満の範囲内であると同時に、従業員が常時50人以上おり、かつ売り場面積の50%以上において対面販売を行う業態」と定義されています。すなわち大型店舗でかつ様々な商品をまんべんなく取り扱っており、多くの従業員を抱える業態のことを指します。

ここでは、上記のように定義される百貨店業界についてどういった業界なのか、どんな仕事があるのかや業界の動向、気になる平均年収について見ていきます。

百貨店業界について

百貨店業界の業務内容は、お客様への商品の販売、百貨店に並べる商品を買い付けてくるバイヤー、イベントやフェアの企画業務の3種類に分けることができます。

百貨店業界における主要な企業は三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、高島屋などが挙げられます。百貨店業界は近年、合併や統合が多く生き残りが厳しい業界です。

百貨店業界の規模は実は少し伸びています。その原因のひとつとして、訪日外国人の増加が挙げられます。日本の商品は質の高いことで知られており、いわゆる”爆買い”の対象となっています。しかしながら、近年ネット通販が普及するにしたがって、特に若年層は百貨店に行かなくなってきており、百貨店離れが問題となっています。

百貨店業界の職種について

  • 接客販売職
  • バイヤー
  • イベント等企画職

接客販売職は、百貨店内にて商品の良さをお客様に伝え、商品を販売するお仕事です。特に新人は基本的な業務スキルを身に付けるために、この接客販売職から始めることが多いようです。お客様に商品を買っていただくためには、丁寧な接客と商品に関する確かな知識が必要となります。

バイヤーは百貨店に並べる商品を仕入れる職種です。いかに安くいいものを仕入れるかが百貨店の売り上げにも大きく影響するため、重要な仕事です。また、仕入れ先との交渉をスムーズに運ぶためには、高度なコミュニケーション力が必要となります。

イベント等企画職は、クリスマスやお正月、バレンタインデーなど各種イベントに合わせて百貨店でのイベントを企画、実行する職種です。このようなイベントはお客さんを集めるチャンスであり、イベントで百貨店の良さを知ってもらうことができれば普段の買い物でも百貨店を利用してもらえるかもしれません。

いろいろな百貨店、あるいは商業施設でイベントを行っているため、どれだけ他にはない独自性を出すことができるかが、お客さんを引き付けられるかに直結します。そのため、独自のイベントを企画できる発想力などが重要です。

百貨店業界で人気のある企業

就職活動をするのであれば、百貨店業界である程度人気のある企業を考えている人もいるかもしれません。ここではリクナビがおこなっている人気企業ランキングや、企業の売上高ランキングなどを元に百貨店業界内の人気企業についてまとめました。

百貨店業界で一番人気が高いのは、三越伊勢丹のようです。三越伊勢丹は売上高もトップクラスのため、他の企業以上に多くの就活生が就職を希望するのかもしれません。次いで人気が高いのはPARCO、阪急阪神百貨店、そごう・西武となっています。リクナビの人気企業ランキングでは次点にJR名古屋タカシマヤがランクインしていますが、企業としての高島屋はランキング内には見受けられませんでした。

小売業界の動向を知っておこう

百貨店に就職するには、小売業界の仕組みを理解しておく必要があります。百貨店をはじめとしてコンビニエンスストア、ホームセンターなどがありますが、それぞれの課題や今後の動向を把握することで、履歴書や面接の対策に繋がります。

そこで活用したいのが「小売業界大研究Book」です。百貨店の主要企業の売上高や、各社の特徴も確認することができます。念入りな業界・企業研究は就活にとって欠かせません。無料でダウンロードできるので、小売業界に就職するかは分からないけど、気になっているという就活生にもおすすめです。

百貨店業界の平均年収について

百貨店業界の平均年収

業界 平均年収
介護 361 万円
百貨店 443 万円
ブライダル 489 万円
アパレル 491 万円
人材業界 524 万円
ドラッグストア 529 万円
旅行会社 540 万円
農業 557 万円
食品業界 564 万円
鉄道 597 万円
専門商社 603 万円
出版社 610 万円
IT 631 万円
ゲーム業界 637 万円
パチンコ 662 万円
不動産 665 万円
銀行 668 万円
物流業界 676 万円
生命保険・損害保険 682 万円
電機・家電大手 688 万円
自動車 707 万円
証券 722 万円
テレビ局 910 万円
総合商社 1135 万円
コンサルティング 1263 万円

百貨店業界の生涯賃金

業界 生涯賃金
介護 1.58億円
百貨店 1.94億円
ブライダル 2.14億円
アパレル 2.15億円
人材業界 2.29億円
ドラッグストア 2.31億円
旅行会社 2.36億円
農業 2.44億円
食品業界 2.47億円
鉄道 2.61億円
専門商社 2.64億円
出版社 2.67億円
IT 2.76億円
ゲーム業界 2.79億円
パチンコ 2.90億円
不動産 2.91億円
銀行 2.92億円
物流業界 2.96億円
生命保険・損害保険 2.98億円
電機・家電大手 3.01億円
自動車 3.09億円
証券 3.16億円
テレビ局 3.98億円
総合商社 4.97億円
コンサルティング 5.53億円

グラフを見ると分かるように、百貨店業界の生涯賃金は1億9,400億円です。主要業界の生涯賃金と百貨店業界の生涯賃金を比較すると、百貨店業界の生涯賃金はあまり高いとは言えません。

今後、日本社会では少子高齢化が進み人口が減少することによって消費者数が減少することが予測され、それに追い打ちをかけるようにネット通販もさらに拡大することが予測されます。百貨店業界にとっては非常に厳しい現実があります。

しかしながら、冒頭でも述べた通り、訪日外国人による消費量は増加しています。今後もますますグローバル化が進み人の行き来は増えていくことが予測されます。訪日外国人を消費者として確保することができれば、百貨店業界の大きな収入源となることが予測されます。

※編集部で規定したアルゴリズムに基づいた算出であるため、あくまでも予測シミュレーション数値です。

百貨店業界のボーナス・待遇について

百貨店業界に限らず、企業に就職した場合気になるのがボーナスや待遇です。これらがしっかりと準備されていれば、より積極的に職務に取り組むこともできます。実際の百貨店業界のボーナスや待遇の傾向はどうなっているのか、調べてみました。

百貨店業界は全体的に、福利厚生が充実していると言われています。出産・育児における休暇制度や介護休暇制度、再雇用制度など、長期に渡って企業で働く際に便利な福利厚生が揃っているのはありがたいことです。

特に出産・育児や介護に関する福利厚生については、職務内容の都合上、女性社員も多く働くことになる百貨店ならではの待遇と言ってもいいでしょう。社会保険も適応されるので、女性が長く働きたいのであれば、選択肢に入れても良いでしょう。

百貨店業界の賞与・昇給

転職サイトでもあるDODAで毎年おこなわれている平均年収ランキングによれば、2014年時点で百貨店業界の平均年収は333万円、2017年時点で340万円となっています。この平均年収の中には賞与・昇給分の金額も含まれたものと考えていいでしょう。

大幅な上昇こそありませんが、百貨店業界の平均年収は全体的に安定して上昇しているようです。その中でも賞与・昇給についてはどのように支給されているのか、調べてみました、

百貨店業界内では基本的に昇給が年1回、賞与が年2回で支給されることが多いようです。支給される月に関しては、昇給は基本的に4月に、賞与は5月・11月の2回や6月・12月の2回のどちらかの組み合わせで支給される傾向が多いでしょう。

百貨店業界のその他の待遇

百貨店業界ではこれらの賞与・昇給含む年収や福利厚生に加えて、従業員販売制度を福利厚生の一貫としておこなっている企業が多く存在します。各百貨店に所属する社員や家族などを対象に、商品を一般的な販売価格より安価に購入することができる制度です。これは社員に百貨店の商品や販売内容を理解してもらう、という意図も含まれていると見受けられます。

通常より商品が安く手に入るということで、基本的に百貨店に勤務している社員は状況に応じて活用していることが多いようです。また従業員販売制度以外にも百貨店でよくおこなわれている制度には、社内預金制度や社内持ち株制度のような企業主体でおこなわれているものもあり、これらが福利厚生として扱われていることが多いです。

百貨店の平均年収【年代別】

年収は基本的に、業務の難易度や重要度に比例して上がっていきます。20代であれば、多くの方が販売員として活動していくことになるでしょう。30代以降になると、20代の間に培った知識をもとに、より難しい営業や仕入れといった業務をおこなうようになり、給料も上がります。

さらに40代や50代になると、重役につくことも多くなります。年代ごとに業務内容は異なり、それに合わせて年収も大きく異なってくるのです。ここからは、上記でもご紹介したDODAの平均年収ランキングから、百貨店の平均年収を年代別にご紹介していきます。各年代の年収についても解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

20代は292万円

20代で百貨店に配属された方の多くは、店頭で商品の説明や販売をおこなう「販売員」となります。お客様に商品説明をおこなったり、質問に答えたりといった業務が主となるため、必然的に商品に詳しくなるでしょう。販売員で培った知識は、百貨店で働く上ですべての基礎となるもののため、多くの人は販売員からスタートとなります。

ただし、アルバイトやパートでもできる仕事のため、どうしても給料は低くなりがちであり、平均して年収292万円程度となってしまいます。また、給料は百貨店の規模によっても大きく異なります。基本的には、大手の百貨店になればなるほど年収は上がっていきます。百貨店で働く際には、百貨店の規模も把握しておきましょう。

30代は365万円

百貨店で働く30代の平均年収は365万円です。30代は、20代の間に培った知識をもとに、百貨店の売り上げに大きく関係する業務をおこなうことになります。例えば、百貨店で扱うものを仕入れるための「バイヤー」や、お得意様の企業へ売り込みに行く「営業」の仕事を任されることもあるでしょう。

こういった業務は、アルバイトやパートにできるような簡単なものではなく、膨大な商品の知識量が必要になります。また、取引先との交渉をうまく進めるための高度なコミュニケーション能力や、多くの企業との都合を合わせるためのスケジュール管理能力も必要となってくるでしょう。

大変な仕事が多いですがどれも売り上げに直結するため、頑張りが給料アップにつながりやすいメリットがあります。ノルマを自分で設けて管理できる方であれば、平均年収以上の給料をもらうことも十分に可能だといえるでしょう。

40代は445万円

40代になると、大手顧客相手の商談もおこなうようになるでしょう。30代の頃と仕事は変わらずとも、その規模は段々と大きくなっていき、責任も重くなっていきます。また、百貨店全体をまとめるマネージャーや管理職に就く方も出てきます。これまでよりも広い視野が必要となるため、業務はさらに複雑化し、より深い知識を求められることもあるでしょう。

ただし、難しい職だからこそ、給料も20代や30代の頃より上がります。また、40代には百貨店の売り上げに大きく貢献できる役職に就いていることが多いため、仕事ぶりがよければ、さらに多くのボーナスが出ることもあります。百貨店に務めている40代の方の平均年収は445万円ですが、頑張り次第でさらに上を目指すことも可能といえるでしょう。

50代は537万円

50代ともなると、多くの方が百貨店の重役となります。すべてをまとめる責任の重い役職であり、百貨店の売り上げを左右する要と言ってもいいでしょう。ミスをすることによって、百貨店に大きな損害を与えてしまうこともあります。しかし、逆に言えば、百貨店を導くリーダー的な存在であり、手腕を発揮して百貨店の売り上げを伸ばすことも可能です。

百貨店勤務の50代の平均年収は537万円となっていますが、あくまで平均であり、責任ある役職に就けば、より高い年収を狙うことも可能となります。ただし、重役は知識と周りからの信頼がなければ成り立たない役職です。50代で高い年収を得るためには、20代や30代のころから頑張る必要があるでしょう。

百貨店業界の平均年収は443万円

ここまで百貨店業界について見てきました。百貨店業界は人口減少やネット通販の普及などの逆風を受けている業界です。しかしながら訪日外国人は増加しており、今後も増加が見込まれます。これらの外国人を消費者としてうまく引き付けられるかが生き残りのカギとなるかもしれません。

また、百貨店業界では徐々に国際展開も進んでいるため、グローバルに活躍できる人材が期待されます。百貨店業界のみならずグローバルに活躍できる人材は需要が高いため、年収アップには英語力などのスキルアップに力を入れると役に立つかもしれません。

※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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