職種研究

学芸員の平均年収・ボーナス事情|比較シミュレーションで比べてみよう

学芸員とは

博物館や美術館、天文台、科学館、植物園などで接する機会のある学芸員。博物館法に定められている登録博物館には、学芸員の設置が義務付けられています。専門性が非常に高いため、学芸員になるためには国家資格の取得が必須となります。

その分野に人一倍興味がある人にとっては、常に好きなものに接していられることから人気がある職業と言えますが、しばしば予算不足により学芸員の数が不足している施設もあるのが現状です。そんな学芸員の仕事について、業務内容や平均年収を見てみましょう。

学芸員の種類について

  • 学芸員
  • 学芸員補

学芸員:博物館法により文部科学省の学芸員資格認定で正式に国家資格を与えられた人。学士の学位、4年以上の学芸員補の職の経験など、受験資格があります。大学で所定の単位を取得することで科目試験が免除されたり、論文や業績によっては無試験認定の制度もあります。

学芸員補:大学入学資格を持っている者は学芸員補となる資格を有すると規定されています。学芸員の職務を補助する役割を担っていますが、資格認定はありません。大学に2年以上在籍し学芸員補を2年以上、または学芸員補を4年以上勤めていれば、学芸員資格認定試験を受験することができます。

学芸員の業務内容

学芸員は美術、考古学、科学、生物学、天文学などその専門性によって配属される博物館が変わってきます。業務内容としては調査研究をはじめ、資料の収集や保管、整理、そして展示企画や活用などで教育普及に貢献するのが主です。

国宝級の展示物と向き合うことも多く、責任とやりがいの大きい仕事です。また研究論文の執筆や、展示会のパンフレットやパネル解説の執筆など、文章作成の仕事も多いです。

学芸員補の場合は、学芸員の業務の補佐がメインとなります。学芸員を目指している人や、学芸員の資格を持っていながら、実務経験が乏しいために学芸員補として勤務している人も多くいます。学芸員の業務が多岐に渡っていて多忙であることから、学芸員補の存在は学芸員にとってかけがえのないものです。

学芸員に求められる能力について

 

  • 情報収集力
  • 企画力
  • 文章力

学芸員に必要なスキルは、主に情報収集力、企画力、文章力です。

自分が専門とする分野の知識を熱意をもって常に広げ続けるための勉強や、関連する事柄も深堀りしていく情報収集力が、重要な発見につながるベースとなります。

学芸員の人件費や建物の運営費などは入場料で賄う部分も多いため、如何にして魅力ある展示企画を開催するかという企画力も非常に大事です。また、地域の学生などへ出前授業を行うことで、学問の楽しさや奥深さを生き生きと伝える授業を企画できる能力も必要です。

学芸員は様々な業務を担当しながらも、地道な研究も並行して行います。研究成果を論文発表するためにも高度な文章力が必要です。また展示企画を成功させるためにも、分かりやすい解説文を作成する力が求められています。

あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう!

就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます

そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
インターンの志望先を決められない人
・楽しく働ける仕事を見つけたい人
・簡単に自己分析をしたい人

今すぐ診断する【無料】

学芸員の平均年収と他職種との比較

学芸員の平均年収について

みんなのおかねドットコムによると、学芸員の平均年収は250~350万円。その施設の規模や運営母体にもよりますが、民間の中小企業と同じくらいの年収です。

学芸の職種・平均との比較

  • 日本の平均年収:422万円
  • 研究開発者:572万円
  • 評価・実験:445万円

 

上記の通り学芸員の平均年収はおよそ300万円となっており、日本の平均年収422万円と比較すると約120万円も少なくなっています。他の学術系専門職と比べても、研究開発者は572万円、評価・実験は445万円と、両方とも学芸員より大幅に高くなっています。

学芸のボーナス・昇給事情

ボーナスについて

学芸員のボーナスの有無については、その施設や運営母体によって差があります。国公立の博物館に勤務する学芸員だと公務員扱いとなるため、公務員と同等の年収とボーナスが確約されますが、民間の施設だとボーナス事情にはそれぞれ大きな差があります。

昇給について

学芸員の昇給についても、施設によって異なります。ボーナス同様、頻繁に有名な展示企画が開催される施設か否かによって、昇給も左右されます。正規の職員としての採用であれば、ある程度の昇給はあるようです。

あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう

就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます

そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。



こんな人に「適職診断」はおすすめ!
インターンの志望先を決められない人
・楽しく働ける仕事を見つけたい人
・簡単に自己分析をしたい人

今すぐ診断する(無料)

年収以外の魅力

勤務先が博物館に限定される学芸員という職業は、極端に間口が狭く、職を得るためには多くのライバルとの競争に打ち勝つ覚悟を持つ必要があります。しかし、競争に勝ち抜き学芸員として働くことができる夢がかなえば、自分自身が強い関心を持つ分野について存分に触れることが可能になります。最先端の研究情報、尊敬してきた研究者たちを間近で見ることができる毎日を過ごすことができるのです。

芸術や歴史などに関心が高く仕事にしたいと考えている人たちにとって、博物館の中の世界がそのまま日々の生活の中心となる学芸員という職業は、大変な魅力があるのです。

知識をさらに深められる

多くの学芸員は大学時代に資格を取得しています。学芸員資格取得のための条件が「大学に二年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて六十二単位以上を修得」だからです。若き学生時代に魅了された学問に関する知識をさらに得ることができることは、何にも代えがたい大きな魅力です。例えば国内外の尊敬する研究者たちとコミュニケートするチャンスを得ることできます。これまで 文献上の名前でしか接することのできなかったビッグネームと直接会い、もしかしたら会話できるという夢が実現する可能性があります。

また、国内外の最新の研究資料に触れられるのも学芸員ならではの特権です。一般には目にする機会のない貴重な遺物や書物に触れる興奮を味わうことができます。このような最高レベル、最先端の研究情報を得られることこそ学芸員という職業の最大の魅力です。

仲間と出会える

特定の専門分野について知識を深めてゆくと、自分と同じレベルの理解度で話し合うことのできる仲間の数は必然的に減少します。たとえ共通のテーマに興味があった友人がいたとしても、職業上知識を深めている学芸員レベルと同等にコミュニケートできることはまれです。自分と同じ理解度をもって同じテーマについて語り合える深い知識を持つ仲間を得ることは、日常生活の中ではなかなか実現できることではありません。

その点博物館という特殊な職場で、かつ学芸員という自分と同じかもしくは上のレベルの同僚に囲まれながら働くことは、「好きなことが同じ」「わかりあえる」という仲間意識を持てる喜びを味わえます。他では得られない仲間が得られる、学芸員になれてよかったと感謝する瞬間です。

博物館・ミュージアム業界の動向


文部科学省がさだめた「博物館法」にあるとおり、学芸員とは「博物館におかれる専門的職員」です。すなわち学芸員の職場とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学など博物館法に規定された範囲の博物館と呼ばれる施設を指しています。博物館に努める学芸員の募集があって初めて就職口が発生するということになりますから、極めて競争率が高いといえます。現在の博物館を取り巻く環境としては、文部科学省が発表した平成27年10月現在の統計によると全国の博物館数は5,690館です。そして、博物館数や来館数を含め、博物館の需要傾向は横ばい状態を示しています。

過去を振り返れば、歴史博物館が増加傾向を見せた時期もありましたが、近年はいずれのカテゴリの博物館も総数に変化はありません。しかしながら、参加型ミュージアムなどの新しい博物館を模索する動きや町おこしの一環としての博物館建設など、新たな雇用が開ける可能性も生まれています。地道な情報活動とライバルに負けないスキル研鑽が学芸員就職成功につながる

まとめ

学芸員は昨今、人件費削減や採用枠の少なさが起因してかなり狭き門の職業と言えます。せっかく学芸員の資格を取っても就職口が無い、という話が多く聞かれます。また正規職員枠が無いため非常勤枠に甘んじている人も多数いるようです。しかし自分の好きなことに情熱を注ぐことができ、好きなものに囲まれて仕事ができるという点で、非常に魅力的でアドレナリン溢れる仕事と言えます。

実際に学芸員になる人たちは、収入の低さや狭き門、土日は出勤などという事実をしっかり理解した上で、それでも尚、やりがいや満足を求めて学芸員の道を選んでいる人が多いようです。

歴史や芸術、科学技術など、人類の英知に最先端で接することが出来る学芸員の仕事は、好奇心旺盛で真っ直ぐな人に向いていると言えるでしょう。

※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

記事についてのお問い合わせ