目次
ホテルに就職するためには仕事内容を知ろう
豪華で綺麗なイメージのあるホテル業界は、憧れを抱く就活生も多いでしょう。しかし、漠然と「ホテルに就職したい」という憧れだけでは、入社後のミスマッチにもつながるかもしれません。
ホテルにも複数の種類があり、職種も幅広く存在します。そして、ホテルや職種によって、職場の雰囲気や仕事内容は異なります。志望先や職種を考えるためには、まずはホテル業界について詳しく知っておく必要があるでしょう。
この記事では、ホテル業界や職種について詳しく説明した上で、就職するための道筋、資格やスキルを紹介していきます。必要な知識を得て、憧れのホテルに就職するための準備を始めましょう。
ホテルにも種類がある
ホテルには、4種類あります。旅行の際に利用できる観光地にある宿泊施設を「リゾートホテル」といいます。また、豪華なレストランや結婚式場を備えたホテルを「シティホテル」、都心部に存在する海外のリゾート地をイメージしたものは「アーバンリゾートホテル」です。
上記のようなホテルの宿泊客の目的は娯楽の場合が多いでしょう。しかし、それ以外にも「ビジネスホテル」が存在します。
ここでは、それぞれのホテルの違いを知って、ホテル業界の理解を深めていきましょう。
リゾートホテル
「リゾートホテル」は、観光客をターゲットにしたホテルを指します。そのため、スキー場や海辺、高原等のリゾート地に多く存在しています。
基本的にダブル以上の客室で構成されており、価格帯も10,000~30,000円台と比較的高めです。その分、客室からの景観やサービスなどをこだわっており、満足度も高くなるでしょう。
プール、バー、カフェ、レストランなど非日常を体験できる施設も併設されており、一日中ホテルで楽しめるサービスが充実しています。
シティホテル
「シティホテル」とは、都心で快適に宿泊してもらうことを目的にしています。そのため優雅で快適な宿泊を提供するためにも、夜景などの眺望にもこだわっているホテルも多いでしょう。
客層は、家族連れから友人同士や一人まで様々な人が利用します。そのため、シングルからスイートルームまで客室の種類も豊富なホテルが多いでしょう。シャンプーやコーヒーなどのアメニティも充実しており、旅行の準備がなくても宿泊が可能です。
価格帯は、やや高めですが、その分施設やサービスも充実しています。コンシェルジュやドアマンなど様々な人が、快適な宿泊をサポートしてくれます。さらに、複数のレストラン、結婚式場が併設されており、宿泊以外の利用目的以外でも利用する人は多いです。
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アーバンリゾートホテル
「アーバンリゾート」とは、都心に構えながらもリゾートホテルのような体験ができる宿泊施設を指します。都会にいながら海外リゾートの気分が味わえるため、近年人気が高まってきているホテルです。海外への渡航が難しい中でも、リゾート気分が味わえます。
例えば、下記のようなテーマのホテルが「アーバンリゾート」には存在します。
・バリなどの南国風…プールがあり、室内はアジアンテイスト
・南仏の田舎…オレンジの屋根と白い壁など
・カントリー調…木を基調とした暖かさを感じる空間
・エスパーニャ調…白い漆喰壁に明るい色の瓦屋根の建物
シティホテルとの違いは、リラクゼーションを目的としたプールやスパなどを併設している場合が多い点です。都会にいながらリゾート気分を味わえて、心身ともにリラックスできるのが「アーバンリゾート」だといえるでしょう。
ビジネスホテル
「ビジネスホテル」はその名の通り、出張で訪れるビジネスパーソン向けのホテルとして生まれました。そのため、駅近で低価格なのが特徴だといえます。また、大都市だけでなく地方にも多数点在しています。
仕事帰りに寝泊りするだけのビジネスパーソンをターゲットにしているため、シングルでコンパクトな作りの客室が基本です。朝ごはんがついているホテルも多く、朝の早いビジネスマンには嬉しいサービスを提供しているホテルもあります。
さらに、最近ではシングル以外の客室や女性プランなど、幅広いサービスを提供するようになってきています。そのため、立地の良さや価格帯から、観光でも利用する人も増加傾向にあります。
ホテルの部門と職種
ホテルは様々な部門の複数の職種で、サービスが成り立っています。職種によって仕事内容は全く違うでしょう。そのため、ホテルに就職したい人は、どの職種に就きたいかまで考えておく必要があります。
部門としては、宿泊をサポートする「宿泊部門」、結婚式やパーティでおもてなしをする「宴会部門」、ホテルの運営や人材管理などを行う「管理・営業部門」に大きく分かれます。
このようにホテルでの業務は多岐にわたるため、自分に合った職種を志望することが大切です。ここでは、各部門に属する職種を一つ一つ紹介していくので、まずは仕事内容を理解していきましょう。
宿泊部門
宿泊部門は、利用客の快適なステイをサポートします。ホテルの客室販売から、接客が主な業務です。宿泊部門の中でも「フロント部門」「サービス部門」「ハウスキーピング部門」の3つの部門に分かれています。
フロント部門では、チェックイン・チェックアウト対応などのフロント業務を行います。サービス部門では、ドアマンやベルアテンダントが所属し、ホテル内で利用客をサポートします。ハウスキーピング部門では、客室の清掃を行います。
ここでは、宿泊部門に属する職種をさらに詳しく見ていきましょう。
フロント
フロントの主な業務は下記の4つです。
- 利用客のチェックイン、チェックアウトの手続き
- 宿泊予約
- 客様対応
- 会計
受付に立って利用客をお迎えし、ホテルでの基本的な手続きをすべて対応します。そのため「ホテルの顔」として、どんな利用客に対してもきめ細やかなサービスを提供できなければなりません。
24時間対応なため不規則な生活になる場合もあることや、クレーム対応などもあるため、ハードな職種ともいえるでしょう。一方で、様々な顧客と接し直接感謝をいわれることもあるので、やりがいのある仕事です。
ベルアテンダント
利用客の荷物を客室まで運ぶのが、ベルアテンダントです。利用客の荷物を取り扱うため、紛失や取り違いなどのミスがないよう、細心の注意を払う必要があります。
チェックイン後に客室まで荷物を運びますが、同時に施設内の非常口やレストランの場所を説明をするのもベルアテンダントの役割です。客室に到着したら、空調や照明の操作方法、鍵の開け方などを説明します。
またロビー周辺での顧客対応を行うため、全体の把握と臨機応変な対応力が必要とされます。ベルアテンダントは、多くの利用客と接する機会もあり、おもてなしやホテル業務の基本が学べる職種だともいえるでしょう。
ドアアテンダント
ドアアテンダントは、利用客をホテル内へスムーズに案内するために、車やホテルのドアの開閉を行います。また、利用客に代わって車の駐車を行うこともあります。
シティホテルやリゾートホテルなど、比較的サービスが充実した高価なホテルで働く場合が多いです。接客する時間は短いですが最初に利用客を迎えるのがドアアテンダントであるため、質の高いサービスが求められているでしょう。
ホテル内まで宿泊客を案内したら、ベルアテンダントに引き継ぎます。そのため、他の職種とも連携して行う必要もあります。
コンシェルジュ
利用客のリクエストに答えることが「コンシェルジュ」の役割です。コンシェルジュは、利用客からのあらゆる相談に対応する立場であり、要望に応えるために臨機応変に考えて行動する必要のある職種です。
そのため、新人がコンシェルジュを務めることは難しいかもしれません。ホテルのあらゆる仕事について学び、おもてなしのスキルを身に付けた上で、コンシェルジュになる場合が多いです。
コンシェルジュが受ける相談は、ホテル内に関することだけではありません。宿泊客からの相談は多岐にわたります。ホテルの宿泊中、宿泊客に満足していただくために、ご要望にはできる限り応える努力をします。
例えば、下記のような要望も、コンシェルジュは応えます。
- 観光名所の案内
- 周辺の飲食店や観光施設の予約
- 交通機関(タクシーなど)の手配
- 病院や薬の手配
基本的にどんな要望でも「NO」とはいわず、最低でも代替え案を出して利用客の満足を目指すのがコンシェルジュの務めです。
ハウスキーピング
清潔感のある宿泊環境を整えるために、ホテルにとってハウスキーピングはなくてはならない職種です。清掃と備品管理を担当しています。
「清掃」の主な業務のなかには、客室清掃とベッドメイキングがあります。客室清掃では、次の宿泊客が来るまでに客室内のごみ捨て、掃除機、拭き掃除、タオルの取り換えなどを行います。
ベッドメイキングでは、シーツや枕カバーを取り換え、しわができないように整えなければなりません。
備品管理の業務では、客室ないの備品や家具に不備がないかを確認します。また、利用客から要望が合った場合、アイロンや加湿器等の貸出、管理を行うこともあるでしょう。
レストラン部門
レストラン部門の職種は「宴会」「調理」「接客」の3つに分けられます。それぞれ、利用客の施設内での「飲食」に関わる職種です。
同じレストラン部門でも、それぞれ仕事内容は異なります。それぞれの職種について知って、レストラン部門の役割について理解を深めましょう。
宴会
宴会場のあるホテルでは、パーティが行われる場合もあります。宴会スタッフは、顧客の要望通りの会場のレイアウト、料理、演出、進行などを一貫して担当します。ホテルは宿泊だけのための施設ではなく、披露宴やパーティの開催は珍しいことではありません。
特に、シティホテルやリゾートホテルなどは多いでしょう。学校の修学旅行や社員旅行の時の晩御飯や夜の宴会は、スタッフが総動員されています。
宴会中は、料理や飲み物を提供するだけではなく、大人から子供まで様々な人が楽しめるよう会場中に目を配って、おもてなしをする必要があります。
調理
レストランで調理に関わる人
- シェフ
- ベーカリー
- パティシエ
レストランの調理に関わる人は、シェフ、ベーカリー、パティシエなどです。レストランを併設しているホテルも存在し、宿泊客以外も利用します。
シェフは、利用客に出す料理を担当します。メニューを決め、食材の仕入れから調理、味付けの最終確認まで一かして行う責任者だといえます。ベーカリーは、パンを担当します。ホテルによっては、パンを自家製で用意しており、朝食や夕食に焼きたてを提供しています。
パティシエは、デザートの担当です。料理との相性を考えた上でメニューを考えて、デザート作り、盛り付けまでを行います。シェフと連携することが、大切です。
接客
レストラン部門で接客を担当する職種
- 受付
- ウェイター/ウェイトレス
- ルームサービス
- バーテンダー
ホテルのレストランでの接客は、受付係、ウェイター/ウェイトレスが担当します。ホテルでの食事には、優雅で豪華な時間を求めてくる利用客も多いでしょう。そのため、どんな人に対しても丁寧で満足してもらえる接客が必須です。
受付係は、レストランの入口で待機し、予約の確認からご案内、会計をおこないます。レストランで利用客をお迎えするのも、お見送りするのも受付係です。そのため、レストランを印象付けるポジションだともいえるでしょう。
ウェイター/ウェイトレスは、利用客の食事中に料理や飲み物を提供するだけでなく、メニューの説明なども行います。そのため、提供する料理について、使われている食材、調理法などを把握しておく必要があり、料理の知識も必要なポジションです。
ルームサービスやバーテンダーも飲食に関わる接客の仕事だといえます。ルームサービスは宿泊している利用客の客室に料理や飲み物を運んでサービスします。バーテンダーはホテルのバーでお酒を提供しますが、利用客を会話で楽しませる「接客」も大切な役割です。
管理・営業部門
管理・営業部門は、ホテルの運営を影から支える部門です。人事などは管理部門、広報、営業、企画が営業部門に分類されます。
管理・営業部門は本部が職場になるため、ホテルで働くというより一般企業で働くイメージに近いかもしれません。しかし、どの職種もホテルの運営には欠かせないポジションです。管理・営業部門の職種を知り、ホテル運営を支えている仕事を把握しましょう。
営業
ホテルの営業はイメージがつかないかもしれません。新幹線とホテルがセットで販売されている、宿泊プランを見かけたこともあるでしょう。
主に旅行代理店に宿泊プランを提案する、法人営業が主な仕事です。外国人観光客や家族旅行、女子旅など、ターゲットごとの宿泊プランを売り込み、価格交渉を行います。また、レストランやパーティのプランを販売することもあるでしょう。
ホテルはより多くの顧客に利用してもらうことで、利益につながります。営業が、集客できた分が売上にも直結するので、やりがいを感じるでしょう。
広報
ホテルに顧客を呼び込むためには、知名度を上げる必要があります。広報は、テレビや新聞、雑誌、インターネットを活用して、宣伝を行います。そのために、報道機関に向けて情報の提供、取材依頼、外部の窓口として活動します。
どのような情報を提供するのかを取捨選択し発信する内容を考えて、ホテルのブランディングを行うことが、広報の大切な役割です。
人事
人事は、どの企業にも存在する職種です。採用活動や勤怠管理、人材制度設計、教育研修まで行います。人材を管理することで、ホテルを発展させていく役割を果たします。
ホテルで働きサービスを提供するのは人です。より職種に合った人材を配置することで、ホテルのサービスの質を向上させます。さらに、正当な評価制度を築くことで、モチベーションを持って働ける環境を作るのも大切な役割です。
サービス向上のために、教育研修も企画します。どの社員も同じ質のサービスが提供できるホテルにするためには、人材を育てていかなければなりません。組織の人材を管理して、ホテルを活性化していくのが「人事」です。
企画
ホテルでは、イベントの企画も集客には欠かせません。ホテルには、閑散期も存在します。しかし、ニーズに合ったイベントを企画すれば、ホテルの売上も安定するでしょう。
企画を立てるときは、市場調査をしてニーズを把握するところから始まります。そして、季節ごと、ターゲットごとに世の中のニーズに合ったイベントを企画するのです。
宿泊プランだけでなくブライダルフェア、ディナーショーなど、ホテルのサービスを活用したイベントを考える柔軟な発想力が必要な職種だといえるでしょう。
人気ホテルランキング
人気ホテルランキング
- 1ニュー・オータニ
- 2オリエンタルランド
-
3ミリアルリゾートホテルズ
-
4帝国ホテル
-
5パレスホテル
ホテル業界での就職人気1位はニュー・オータニです。他の業界も含めた総合順位でも32位と上位に位置しています。老舗ならではの質の高いサービスが身に付けられることが、人気の理由です。
2位は、ディズニーホテルも運営するオリエンタルランドです。憧れのテーマパークの仕事に関われることや福利厚生の充実により人気が高いです。さらに、オリエンタルランドのグループ会社であるミリアルリゾートホテルズが3位にランクインしています。
4位は、ホテルオークラ、ニュー・オータニと並んでホテル業界の御三家と呼ばれている帝国ホテルです。日本を代表するホテルで働くことに、誇りを持つ社員も多いでしょう。
5位であるパレスホテルは、高級ホテルとして知名度も高いです。国賓や富裕層が多く利用するため、他のホテルでは出会うことができないゲストと関わることができるでしょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
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ホテルの課題と将来性
ホテル業界に就職するためには、課題や将来性を知って業界理解を深めておくことが大切です。就職すれば、今後その業界での課題やトレンドと向き合いながら働いていく必要があるからです。
ホテル業界はコロナで大打撃をうけており、先行きが不透明だともいえるでしょう。一方で、東京オリンピックや大阪万博を控えているため、今後需要がある業界だともいえます。
自分が就職したい業界の課題や将来性を把握したうえで、志望動機を作成すれば、業界への理解が伝わり、より熱意も込められるでしょう。
グローバル化
世の中は、グローバル化が進み、ホテル業界もそれに対応していく必要があります。ホームページやパンフレットは英語版、中国版も作成するホテルも増えました。また、フロント対応でも、語学が必要とされています。
訪日観光客を呼び込むために、工夫をしているホテルも多いです。日本文化を織り交ぜたサービス、Wi-Fiなどの設備の充実、低コストでも快適にりようできる環境づくりなど、訪日観光客の集客に力を入れています。
2019年まで訪日観光客は増え続けてきました。しかし、現在はコロナの影響で訪日観光客は激減しています。しかし、観光客のビザの要件も緩和してきたことにより、アフターコロナでも訪日観光客の増加は期待できるでしょう。
人手不足
ホテル業界は、人手不足が深刻化しています。原因は、相次ぐホテル建設に対して、人材が増加していないことが挙げられます。
また、高い離職率も原因の一つです。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果の概況」によると、ホテル業界の離職率は26.9%と他の主要産業の中でも最も高い数値でした。
ホテルは、365日24時間営業しています。シフト制の勤務が基本であるため、生活が不規則になるでしょう。大型連休や年末年始の世間的に休暇になる時期は、繁忙期にあたるため連休の取得も難しいです。
競合の激化
ホテルに加えて「民泊」も、宿泊サービスとして人気になっていきました。最近人気の「民泊」はアプリやインターネットのサイト等を通じて、個人が所有している部屋などを貸し出すサービスを指します。
一軒家や眺めの良い物件をリーズナブルに借りれることも、人気の理由です。人数ごとではなく泊数で金額が決まっている場合が多いため、大人数で泊まれば宿泊費は押さえられることが理由だといえます。
宿泊サービスは多様化してきているため、ホテルとしての付加価値を提供していくことが競合に負けないための鍵かもしれません。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスは、訪日観光客の数を減らしただけでなく、国内の旅行者数も激減させました。原因は、県外への移動や旅行の自粛です。ホテルでは採用活動を中止する企業もあったほど、業界へ打撃を与えました。
日本政策金融公庫が実施した調査によると、ホテル業の半数以上の売上高が新型コロウイルスの感染拡大前と比べて80%減しました。
この状況を打破しようと、政府は2020年の7月から「Go To トラベル」という旅行、飲食、イベント、宿泊費等を補填するキャンペーンを行い、時的に宿泊需要は回復しました。
しかし、さらなる感染拡大を受け「Go To トラベル」は停止されました。これにより、コロナ禍の長期化により旅行消費が低迷してきています。一方で、ワクチン接種の高まりにより、今後の需要は期待されています。
ホテルで働くためには
ホテルで働くためには、3つの道筋があります。「高校卒業後」「専門学校卒業後」「大学卒業後」です。
ホテルの就職には特別な資格は必要ありません。そのため、高校卒業後に就職することも可能です。しかし、おもてなしに関する知識があることも強い味方となるため、専門学校に進む人も多いでしょう。大学卒は、ホテルに就職するための学歴としては十分です。
ここでは、それぞれの道筋について違いを紹介していきます。ホテルに就職するために自分に合った道筋を選ぶために、違いや特徴を理解していきましょう。
高校卒業後
高校卒業後の就職先として、ホテルを選ぶ人もいるでしょう。高卒の人でも、フロントやベルボーイなど、ホテルの顔となるようなポジションで活躍しています。一方で、高卒の採用を行っていないホテルも存在するため、採用数は制限されているといえるでしょう。
また、大学卒や専門学校卒に比べると初任給は低くなる傾向があります。しかし、専門学校卒や大学卒よりも入社するのが早いため、その間で実力をつけて行くことも可能です。実力をつければ、給料も比例するでしょう。
前述したように、ホテルの仕事に特別な資格は必要ありません。おもてなしの心と、ホテル内でお客様のために柔軟に行動できる人が認められるでしょう。一日でも早くホテルで実践的に学びたい人は、高校卒業直後に就職するのはおすすめです。
専門学校卒業後
ホテルに就職したい人は、専門学校で学ぼうと考える人も多いです。実際に、専門学校で実践的な知識やスキル、マインドを身に付けている人材は需要があります。
『ホテル業界就職ガイド2020』によると、2019年度の新卒採用では、専門学校・短大卒が1483名、大学卒が1477名でした。
専門学校からの就職は、学校に届いた求人票に応募することができます。求人業を介すことにより、採用する気がある企業へ応募ができ、また採用選考が短縮される場合もあります。
大学卒とは違う枠としての採用の場合もあるので、大学卒と同じ土俵で戦わなくて良いです。ホテル就職に憧れており、知識も学びたいと考えている人は、専門学校への進学はおすすめです。
大学卒業後
採用人数は専門学校・短大卒とほぼ同じであり、大学卒でホテルに就職する人も多いです。専門学校卒と比べて、初任給がやや高めに設定されていることも特徴だといえます。
専門学校卒と大学卒業とでは、入社後のキャリアパスは大きく変わらないかもしれません。大学卒業後でも、専門学校卒や高校卒と同じように、ホテル内の職種や、管理部門のどちらかに配属されるでしょう。そこからのキャリアアップは、実力次第です。
しかし、ホテルの経営に携わってる人は、大学卒が多い傾向があります。経営にはおもてなし以外にも経営学などの知識も必要であることが理由でしょう。サービスを提供し続けたいか、ホテル経営まで携わりたいかで入社後のフローは変わってきます。
ホテルに憧れているが、他にも自分の興味がある分野を学びたい想いがある人は、大学卒業後でも、就職は遅くないでしょう。
ホテル就職のメリット
ホテルは様々な利用客と関わりサービスを提供するため、やりがいのある仕事だといえます。ホテルに就職したい理由は、人によって様々でしょう。ホテルでのサービスに感動して志望した場合や、日本のおもてなしを学びたい、語学力を活かしたいなどが挙げられます。
ここでは、ホテル就職のメリットを3つ紹介していきます。メリットを知って、ホテル就職への志望動機を考えていきましょう。
①顧客の喜びや感謝を直接感じられる
ホテルでは、利用客を直接おもてなしします。そのため、喜ぶ姿を直接見たり、感謝の気持ちを聞くことができるでしょう。自分がおこなったサービスで、利用客に満足してもらえれば、やりがいを感じられます。
ホテルを利用する顧客は、年代、性別など様々です。そのため、滞在中の要望も幅広くなるでしょう。利用客に満足してもらうために、よりよい提案することができれば「このホテルに泊まって良かった」と、良い思い出作りに貢献できます。
アルバイトなどで感謝されてやりがいを感じた人は、ホテル業界でもモチベーションを持って働けるでしょう。
②丁寧なマナーが身につく
丁寧なマナーが身につくことも、ホテルの仕事のメリットです。ホテルのサービスの基本は、相手に寄り添う姿勢や丁寧なマナーだといえるでしょう。丁寧な接客はホテルの付加価値として、利用客が支払う金額への対価でもあります。
教育研修が整備されているホテルもあるので、マナーや接客に関してきちんと学べるでしょう。また、先輩のサービスを見て学べることも多いです。
丁寧なマナーが守れれば、相手に好感を与える人物になれるでしょう。そのため、ホテルの仕事以外でも活かせる場面は多々あります。
③語学力が活かせる
語学力が活かしたくて、ホテルに就職したいと考える人もいるでしょう。先述の通り、グローバル化に対応すべく、ホテルでも語学力が求められています。
日本にいながら語学力が活かせる仕事は、多くありません。すべての企業や職種で、外国語を使うわけではないからです。そのため、訪日観光客の滞在をサポートするホテルの仕事は、語学力が活かせることもメリットになります。
ホテル就職のデメリット
ホテル就職にメリットがある一方で、デメリットもあります。勤務体制が不規則であったり、クレーム対応があるため、精神的にも肉体的にも大変な面もあるからです。
ホテルに就職したいのであれば、デメリットも知っておく必要があります。デメリットを把握せずに入社後に大変な思いをすれば、早期退職にもつながりかねないでしょう。ホテル就職のデメリットを知った上で、それでも就職したいか再度考えてみてください。
勤務体制が不規則
ホテルは、365日24時間稼働しています。そのため、シフト制が基本となり夜勤や週末の出勤もあります。生活が不規則になるため、身体に負担を感じる人も多いです。
大型休暇や年末年始は繁忙期であるため、世間的には休みでもホテル勤務の場合は休暇をとることは難しいでしょう。連休の取得が難しい場合もあり、土日休みの人と予定を合わせるのは難しいかもしれません。
クレーム対応がある
接客業では、クレーム対応は必ずあります。しかし、ホテル業界のクレーム対応が大変な理由は「お客様がいうことは100%正しい」という考えがあるからです。利用客が宿泊中快適に過ごして、満足して帰って欲しい思いがホテルにはあります。
そのため、どんなに理不尽なクレームでもなるべく応えようとするのです。もし理不尽なクレームだとしても、様々な案を用意して納得してもらえるまで対処します。利用客に非があった内容だとしても、丁寧に対応し続けなければならないため、精神力も必要でしょう。
ホテル就職に向いている人
ホテルの仕事にはメリットもありますが、デメリットもあります。その環境の中で、実力を発揮するには、ホテル就職に向いているかどうかも関わっているでしょう。
ホテル就職に向いている人を知っておけば、自分がマッチしているかどうかが判断できます。また、選考中にアピールすべき自分の強みも見えてくるでしょう。
観察力がある
ホテルで働く人は、観察力があると良いです。ホテルを利用する人は大勢います。さらに、国籍、年齢、性別などその背景は多様化しているでしょう。質の高いサービスを提供するためには、それぞれの人に合わせる必要があります。
また、ホテルでは突然のトラブルが発生する場合もあります。一人ひとりの利用客を観察できていれば、防げるトラブルもあるかもしれません。例えば、気持ち悪そうな顧客に気づけていれば、嘔吐などのトラブルは防げるでしょう。
このように観察力があることで、ホテルの仕事でのパフォーマンスは向上します。
協調性がある
ホテルでの仕事は、それぞれが役割を果たして成り立っています。それに加えて他のポジションと協力することで、質の高いサービスへと近づくのです。他のポジションと協力できる協調性がある人は、ホテルスタッフに向いているでしょう。
例えば、フロント係は宿泊客のアレルギーの情報なども把握しています。この情報はレストランにも伝えなければ、宿泊客の安全にも関わってくるでしょう。このように、ホテルでのサービスは自分の役割だけで完結しません。
また、自分の担当ではないことを聞かれても、対応する必要があります。利用客から見たら役割は関係なく、全員同じホテルスタッフです。自分でわからなければそのポジションの人と協力していかなければなりません。
体力がある人
ホテルの仕事には体力が必要です。どの役割でも立ち仕事が基本となり、広い施設内を歩き回る場合もあります。そのため、体力があったほうが無理せず業務をこなせるでしょう。
また、重いものを運ばなければならない職種も存在します。例えば、ドアアテンダントやベルアテンダントは宿泊客の荷物を運ぶ役割もあります。体力がなければ、勤務中、どの宿泊客に対しても平等なサービスを提供できないでしょう。
ホテルの仕事に必要なスキル
ホテルには、特別な資格などは必要ありません。しかし、ホテルでのサービスには「おもてなしの心」は必須です。また、海外からの利用客に対応するため、語学力はあったほうが良いでしょう。
ホテルの仕事に必要なスキルを知っておけば、採用選考までに準備しておくこともわかります。また、そのスキルがあれば自信を持って採用選考にも臨めるでしょう。
ホスピタリティ
ホスピタリティとは接客・接遇の場面だけで発揮されるものではなく、人と人、人とモノ、人と社会、人と自然などの関わりにおいて具現化されるものである。
狭義の定義では、人が人に対して行なういわゆる「もてなし」の行動や考え方について触れていて、これは接客・接遇の場面でも使われるホスピタリティのことである。
ホスピタリティは、潜在化されたニーズに応えます。つまり、顧客のニーズを察して行動することがホスピタリティなのです。
ホテルでは、質の高い接客が求められています。そのためには、相手に求められていることに応えるだけでは不十分です。直接要望は聞いていなくても、顧客が喜ぶことを考えて主体的に考えて行動することが質の高い接客だといえるでしょう。
語学力
ホテル業界では、一定の語学力は必要とされています。利用客が外国人である場合もあるので、接客には外国度で話すこともサービスの一環です。英語である程度コミュニケーションがとれれば、訪日外国人に対する接客でも問題なく行えるでしょう。
そのため、ホテルに就職するのであれば、英語力があると有利になるかもしれません。TOEICを運営しているIIBCによると、730点以上あればどんな状況でも適切なコミュニケーションができます。
英語力をアピールするのであれば、最低限平均の619点以上はあったほうが良いでしょう。入社時に語学力が必ずしも求められている訳ではありませんが、入社後は語学力の向上が求められる場合が多いです。
「就活におけるTOEICの点数」について解説している記事もあるので、参考にしてみてください。
憧れのホテルに就職しよう
ホテル業界は現在低迷しているものの、オリンピックや大阪万博が予定されているため今後の成長が期待できる業界です。ホテル就職に憧れているのであれば、しっかりと準備して臨みましょう。
準備をしておけば、自信を持って採用選考にも臨めます。また、選考もスムーズに進めるかもしれません。
特別な資格が必要ではない分、人柄や「おもてなしの心」が重視されています。自分がなぜホテルで就職したいのかを整理して、面接ではその想いを精いっぱい伝えましょう。