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【七社会とは】福岡の経済を動かす7つの加盟企業と互友会の目的
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目次
福岡で就活するなら「七社会」について知っておくべき
「七社会」という名称は、もしかすると多くの就活生にとって耳馴染みのないものかもしれません。福岡県にある団体なので、福岡県出身者や現在福岡県に住んでいる人であれば、詳しく知っている可能性もあるでしょう。「七社会」は、字面の通り、7つの会社で構成されている任意団体です。政治や経済の領域で圧倒的な力を持っている組織なので、九州で就職活動をする際、無視できない存在といっても過言ではありません。
この記事では、「七社会」の詳細についてご紹介します。団体の目的や役割、現状までも網羅していますので、「地元の福岡で就職したい」、「福岡の会社で働きたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
七社会とは
まずは、「七社会」の概要や正式名称をご紹介します。七社会のように複数の企業から構成される団体は、日本各地にたくさんあるでしょう。いわゆる「財界」でくくられる組織は、東京都内にも複数あります。とはいえ、七社会ほど九州で強い力を持つ経済団体は、他にないといっても過言ではありません。さまざまな業種・職種に対して理解を深めることは大切ですが、経済団体についても調べておくと就活に役立つでしょう。
九州経済を動かす団体
七社会は非公式の団体であり、「任意団体」となります。任意団体とは、株式会社、財団法人、NPO法人、学校法人のような法人ではない団体のことで、同一の目的を持つ人々で構成されながらも、法人格ではありません。こうした団体は株式会社や学校法人などに比べて影響力がないかといえば、決してそんなことはありません。「七社会」のように福岡県の政治・経済に圧倒的な影響をもたらす組織もあるのです。
九州経済を動かす団体ということは、福岡県で就職を志望している学生にとって無視できない存在となります。「どの会社が所属しているのか」、「どんな目的があるのか」などをしっかりと把握することにより、有利に就活できるようにしていきましょう。
正式名称は「互友会」
「七社会」とは通称です。正式名称は「互友会(ごゆうかい)」となります。詳しくは後述しますが、「七社会」と呼ばれている通り7つの企業で構成され、九州の財界において大きな存在感を放っていると言えます。どの会社も福岡県福岡市に本社を構えている有名企業ばかりです。だからこそ圧倒的な力があるに違いありません。互友会に加入しているメンバーによって、クラス別に情報交換などが行われています。
もしかすると、就活中や入社後に互友会のメンバーに会うかもしれません。会う会わないに限らず、七社会について見識を深めておくことは大切でしょう。加盟している7つの企業は、名のある会社ばかりですので、業界研究にも役立つこと間違いなしです。
加盟している企業
7つの企業を具体的にみていきましょう。まずは九州電力株式会社です。九州地方の電力を支えている会社で、「九電」とも呼ばれています。株式会社福岡銀行も七社会のひとつで、設立当時は、最も大きい地方銀行でした。西部ガス株式会社は社名の通り、ガス事業社です。大手都市ガスのひとつとして知られています。
九州の電車・バスといえば西日本鉄道株式会社でしょう。大手私鉄の「西鉄」も、七社会のメンバーです。もともとはメンバーであった西日本銀行・福岡シティ銀行が合併して「株式会社西日本シティ銀行」となりました。電気工事を行う株式会社九電工、鉄道会社の九州旅客鉄道株式会社(JR九州)も団体のメンバーです。ここでは、それぞれの概要についてより詳しく見ていきます。
①九州電力
九州電力は、電力事業再編成によって1951年に発足した電力会社です。主に九州地方の7県(福岡県、長崎県、大分県、佐賀県、宮崎県、熊本県、鹿児島県)を中心に電力を供給しており、2016年4月1日に電気の小売業への参入が全面自由化されるまでは、これらの地方の家庭向け電力供給を一手に引き受けていました。
七社会発足当初から参加している企業であり13,000人を超える従業員数の多さ(平成29年3月31日現在)や原発マネーなどから、九州の経済界に大きな影響を与える存在だと言ってもよいでしょう。なお、ガスの小売り自由化・電気の小売り自由化が相次いで行われたことから、西部ガスとはライバル会社の関係にあります。
②福岡銀行
福岡銀行(正式名称:株式会社福岡銀行)は、福岡県福岡市中央区に本社を置いている地方銀行です。現在は「地方銀行」に分類されるこの企業ですが、福岡県内に存在する地方銀行のなかでは唯一「国立銀行」をルーツに持っており、1877年に創業されてから1945年に合併される前までは「第十七国立銀行」として営業していました。現体制になった当初は、地銀最大手の規模を誇っていました。
七社会へは、団体発足後しばらく経ってから西日本銀行、福岡シティ銀行、九電工とともに加入しています。2007年には、熊本ファミリー銀行と共同で持株会社「ふくおかフィナンシャルグループ」を設立し、完全子会社としてその傘下に入っています。
③西部ガス
西部ガス(正式名称:西部ガス株式会社、登記上は「西部瓦斯株式会社」)は、北九州を主要とした九州地方を中心にガスの供給を行う一般ガス事業者です。その設立は1930年で、東京ガス(関東地方)や大阪ガス(近畿地方)、東邦ガス(東海地方)とともに「都市ガス4社」と紹介されることが多いです。
七社会へは、団体発足当初から九州電力、西日本鉄道とともに参加しています。なお、都市ガスの小売り自由化・電気の小売り自由化が相次いで行われたことから、ちなみに、西部ガスの「西部」の読みは「さいぶ」です。「せいぶ」ではありませんので、とくに九州在住ではない方で西部ガスへの入社を希望する方は、読み間違いには注意しましょう。
④西日本鉄道
西日本鉄道(正式名称:西日本鉄道株式会社)は、福岡県を中心に運行する鉄道・バスの管理・運営事業を主軸に、不動産事業や保育園事業などを行う企業です。1908年に設立された九州電気軌道を前身とし、1942年に福博電車、九州鉄道、博多湾鉄道汽船、筑前参宮鉄道の4社と合併した際に現在の社名に改称しました。とくに、「西鉄バス」などで地域住民の移動の足として生活を支えていることから、地元では「西鉄(にしてつ)」の愛称で親しまれています。
七社会へは、団体発足当初から参加しています。なお不動産など、鉄道事業以外のところで手掛けている主な事業で競合していることから、九州旅客鉄道(JR九州)とはライバル関係にあります。
⑤西日本シティ銀行
西日本シティ銀行(正式名称:株式会社西日本シティ銀行)は、2004年に発足された地方銀行です。地方銀行の西日本銀行と第二地方銀行の福岡シティ銀行が合併することで誕生しました。どちらも北九州方面に店舗を多く持っているため、とくに北九州市では最大の規模を誇る地銀となっています。
七社会へは、発足後しばらくしてから西日本銀行、福岡シティ銀行どちらも加入していました。先述の通り2004年に2社は合併するのですが、それによって余った1枠は、九州旅客鉄道(JR九州)が加入することによって埋まっています。
なお、同じ地方銀行である福岡銀行とはライバル関係にありますが、総資産では約2倍の差を付けられてしまっています。
⑥九電工
九電工(正式名称:株式会社九電工)は、電気設備工事事業を主軸にさまざまな事業を展開する福岡県の企業です。九州電力の配電線工事を受注、施工しているなど、大手企業からの信頼も非常に厚く、1985年から2013年までは九州に本社を置く建設業において28年連続売上高1位という輝かしい成績を残しました。ちなみに、九州電力とは「持分法適用関連会社」として綿密な関係にあります。
七社会へは、発足後しばらくしてから加入しています。現在手掛けている主な事業がかぶっていないことから、七社会内には明確なライバルはいません。全国的には陸上競技部の活動が有名で、世界陸上出場選手やオリンピックのメダリストも多数在籍しています。
⑦九州旅客鉄道
九州旅客鉄道(正式名称:九州旅客鉄道株式会社)は、1897年の日本国有鉄道(国鉄)の民営化に伴って発足した鉄道会社のひとつです。この社名だけを見るとあまりピンとこない方もいるかもしれませんが、「JR九州」という通称を挙げればどこかを理解できるという方も多いのではないでしょうか。
七社会へは、西日本銀行と福岡シティ銀行が合併して西日本シティ銀行になったことによって空いた枠を埋める形で加入しており、その時期はは2004年と最も遅いです。鉄道事業以外にも、旅行業や小売業、不動産事業など幅広く展開しています。それぞれの業界ごとにクループ会社を設立しており、2018年3月現在では38の関連会社が存在しています。
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七社会が結成された目的と役割
こうした大きな企業によって構成されている七社会ですが、近年では影響力が低くなっているという話もあります。なぜなら、最近は、七社会以外の企業が頭角を現し、そのトップのポストになることが多くなってきたためです。
こうした状況になると「かつてのような影響力がない」、「時代は変わった」といった声は多くなるでしょう。とはいえ、九州地方で盤石な基盤を持っている7社であり、簡単に影響力が低下するとは考えられません。この7社以外の会社に就職する際も、大きく関わってくる存在に変わりはないでしょう。ここでは、「七社会」は現在どのような状況なのか詳しくご紹介します。
結成の目的
七社会が発足したのは、およそ60年前です。1950年代頃に、株主権利で不当な利益を目論む「総会屋」の対策について、情報を交換することからスタートしました。はじめは7つの企業ではなく、3社のみでした。総会屋への対策だけではなく、協賛金や寄付金などの調整も目的としてありました。文化活動や地元の行事などは、寄付が必要な領域でもあります。
そうしたことを議題に、「互友会」のメンバーで寄付の調整などについて話し合っていたのです。最初の3社から後に4社が加わり、2004年に会社の合併があり1社減ってしまうことがありました。しかし、1社が新たに加入して現状の七社会があります。もちろん今も、経済界での影響力は大きいでしょう。
大学より高校の人脈が強い
どの地方でも同じような傾向があるかもしれませんが、福岡県は高校の人脈が強い土地柄と言われています。東京都であるならば、「〇〇大学出身」という人脈がものをいう可能性が高いですが、福岡県では違う傾向にあると言えるでしょう。どの地域にも名門校・伝統校として知られる高校はあるものですが、福岡市内では修猷館、筑紫丘、福岡の3つが挙げられるでしょう。すべて県立高校で、「御三家」とも言われているようです。
こうした高校出身者が大手企業のトップに君臨することは少なくありません。そして、経営陣などが同じ高校出身であることも、決して珍しいことではないのです。このような状況は、他地方ではあまりないかもしれません。
時代とともに変化しつつある
強い「地元志向」は、過去の話と言えるかもしれません。かつては、役員メンバーが同じ高校出身者で占めることもありましたが、現状ではそうした偏りは減っている可能性もあります。福岡に本社を構える企業で、トップと半数近くの経営陣がすべて同じ高校出身者で固められていることがありました。
しかし、同校出身の役員候補が、役員に選出されなかったことがあったのです。七社会の一部の企業では、そもそもトップが県外の高校出身者なので、必ずしも「高校の人脈が強すぎる」、「経営陣はほとんど同じ高校出身」というわけではありません。バランスを欠いていることを指摘する人もいて、構成メンバーは時代とともに変わりつつあるのでしょう。
七社会は福岡で就職する上で把握しておくべき団体
福岡県で働くことを志望している就活生は、七社会の存在を知っておくべきでしょう。福岡都市圏の政治・経済において大きな影響力を持つ団体です。正式名称は「互友会」といい、7つの企業から構成されています。もともと七社会は、総会屋への対策を目的に発足されました。近年では、経済団体のトップに七社会以外の企業が就任され、影響力が弱まったことを指摘する声もありますが、現状も強い力を持つ団体です。
福岡県は出身高校の人脈が強く、経営陣などが同校出身者であることも当たり前でしたが、最近ではそうした状況でもないようです。時代とともに変わりつつある九州財界について見識を深め、正しく賢く就活に臨んでください。