企画職に憧れる学生は多い
企画職は華やかなイメージが強く、就職したいと考える学生は多いです。しかし、企画職に憧れを持つものも、具体的な仕事内容や求められる能力の詳細を把握できていない人はたくさんいます。
華やかなイメージだけで就職してしまうと、入社後の現実とのギャップを感じて不満を抱えてしまう可能性もあるため注意が必要です。
イメージだけで就職すると後から後悔することも多いため、事前に正しい知識を身につけておくことが大切です。企画職についての理解を深め、正しい認識を持って就職を目指しましょう。
企画職の仕事内容
企画職を知るためには、まずは基本的な仕事内容を知っておくことが大切です。ひとくちに企画職といっても、企業ごとに仕事内容の詳細は違っていることも多いです。
詳細部分については企業ごとに研究が必要ですが、職種への理解を深めるためには基本となる共通部分を知ることが大切です。
企画職の基本的な仕事内容を知り、どのようなことをおこなっているのかを把握しておきましょう。
1.市場調査
企画職は名前のとおり、何かを企画するのが主な仕事です。しかし、闇雲にアイデアを出せばいいわけではなく、市場のトレンドや消費者が求めるものに合わせてアイデアを出すことが求められます。アイデアを生み出すためには、市場調査をおこないトレンドを正確に把握することが大切です。
一口に市場調査と言っても様々な方法があります。例えば、消費者に自社商品と競合商品との差をはかるための「ブランドのイメージ調査」や、商品のターゲットに対するニーズや不満などを把握するための「商品開発調査」などがあります。
またいくらくらいなら一番売れるかを調査する「価格調査」や、広告やイベントなどの販売支援を通じて販売量を増やす「販促調査」なども市場調査の方法になります。
市場調査は企画職の中でも特に重要な仕事です。市場調査の方法は企業によってさまざまですが、中には長期間をかけて調査することもあるため、根気が必要なことも多いです。
また、場合によっては市場調査はマーケティング職などが担当し、企画職とは別枠になることもあります。
専門の部署を設けることもあるほど重要な仕事ですので、企画職の仕事として組み込まれている場合は注意しましょう。
2.新商品・サービスの企画・立案
市場調査の結果に基づいて新商品やサービスの企画・立案をおこなうのも、企画職の仕事です。商品やサービスの提案は、自社内でおこなうこともあれば、他社に対しておこなうこともあり状況によってさまざまです。
他社に提案する場合は、複数社が企画を持ち寄ってコンペ形式で争うこともあり、企画職の醍醐味になります。企画の立案はひらめきだけでなく、市場調査の結果を的確に読み取る分析力も重要です。
新商品を企画する際は「5W1H」を用いてコンセプトを設定する場合が多いです。例えば、「冬の乾燥した日に(When)」「自宅で(Where)」「乾燥肌で悩む人が(Who)」「乳液を使わず、化粧水のみで(What)」「肌のひび割れを防ぐために(Why)」「赤ちゃんの肌のようなうるおいにする(How)」のような考え方です。
ひらめきとなぜその商品を開発するのかというロジカルな思考の両方が必要になります。そのため常に広い視野を持って考えることが求められる仕事といえるでしょう。
3.過去商品・サービスの改良
企画職では新しいものを生み出し続けるだけではなく、過去の商品やサービスを改良することも多いです。発表当時には最先端を走るものでも、時間の経過によって古くなり、消費者の反応によっては改良が必要になる場合もあります。
いつまでも同じままでは飽きられてしまい、時代に合わなくなることも多いため、古いものを改良してマイナーチェンジを図るのも重要な仕事です。
古いものを改良する場合は、従来のよさを残しつつ、いかに時代に合ったものに変えられるかが求められ、新しいものを生み出すよりもハードルが高いことも多いでしょう。新旧の両方の商品、サービスについて考えなければならず、売上を左右する重要な仕事です。
4.広告・宣伝
広告・宣伝は、企画した商品やサービスを、どのようにして消費者に認知してもらい、購入してもらうかを考え、施策を練る仕事になります。そして、企画した商品の広告案の作成や、広告代理店への依頼をすることも仕事です。
その後、代理店の提案を元に、伝えたい内容に合わせた広告を作成します。また商品のコンセプトや売る対象の顧客をイメージしながら、予算内でどういった広告を出すと効率的かも考えます。
例えば、テレビ広告では映像を用いて、感情などの幅広い表現方法が可能になります。またラジオ広告は低コストで広告を使え、新聞広告は社会的信頼性と公共性が高いため、掲載される情報の信用度が上がります。
このようにターゲットとしている消費者に対して、企画した商品やサービスを認知し、購入してもらうためにどのような広告や宣伝を行えばよいか考える仕事になります。
また広告を出した後は、その広告が実際にどれくらい効果を発揮したのか検証したうえで、今後の参考にします。広告・宣伝は、広告の効果を測定する仕事を主にやっているところもあれば、デザインまでおこなうところもあります。
5.広報・PR
広報・PRは、広告などとは異なる仕事内容です。広報は、事業内容や企業の取り組み、商品などをアピールする仕事です。企業のイメージをよくするための活動をおこないます。
新聞社やテレビ局に対して、 商品や事業の情報を流してもらうようにお願いしたり、記者向けのイベントを開催したりします。新聞社やテレビ局の方とやり取りが発生するため、コミュニケーション能力が求められます。
「広報」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。
企画職に向いている人の特徴
企画職はアイデアを出して、多くの人へアピールすることが主な仕事です。また、マーケティング活動もおこなうため、顧客者とのコミュニケーション力も必要になります。
具体的には、好奇心が高くトレンドに敏感な人、モチベーションを維持して仕事に取り組める人、商品への愛情とチャレンジ精神のある人が向いていると考えられます。企画職に向いている人の特徴をそれぞれ詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。
1.好奇心が強くトレンドに敏感な人
企画職には、幅広い知識が求められます。経営やマーケティング、さまざまな業種・業界、世の中のトレンドなど、さまざまなことに好奇心と興味を持って、情報を集めることが大切です。
常にアンテナを張って、自分の好きなことだけでなく、世間の人々が何を必要としているかなどを分析する必要があります。
斬新なアイデアを出すためにも、現在の状況を見極め、今後の流れを予想しなければなりません。トレンドが好き、世の中の動きを敏感にキャッチできる、好奇心が旺盛で積極的に行動できるなどの特徴がある人が向いています。
インターネットやテレビ・ラジオなどのメディア、雑誌・新聞など、あらゆる媒体から必要な情報をみつけ出す情報収集力もポイントになります。
「情報収集力」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。
2.モチベーションを維持して仕事に取り組める人
企画職は、成果を実感するまでに時間が掛かる仕事です。よいアイデアを出せたとしても、ライバル社の調査、市場調査、価格の決定など、商品化するまでには多くのステップがあります。
面白い企画を出せたとしても「市場で売れる」と確信が持てなければ、採用されることはありません。企画職は華やかなイメージがありますが、地道な努力が必要となることも多いです。
努力をしていても社内でなかなか評価されないと、モチベーションを維持して仕事を続けるのは難しいかもしれません。すぐに結果を求めずに、自分のやるべきことを確実にやり遂げる継続力が大切です。自分なりに仕事へのモチベーションを探して、仕事に前向きに取り組める人が向いています。
3.商品への愛情とチャレンジ精神のある人
人々から必要とされる新しい企画を生み出すためには、商品や企業への愛情を持っていなければなりません。企業理念、企業が目指しているもの、商品・サービスの特徴、人々が企業へ求めているものなどを、深く理解してはじめてよりよい提案ができます。
商品への愛情と合わせて、もっといい物を作りたい、もっと顧客に喜んでもらいたいという気持ちが必要です。
また、企画職は常に挑戦を求められる仕事です。新しいものを作り上げるためには、今の状況を変えることも必要になります。変化を恐れず、今までとは違うことへ挑戦したり、周りの人を納得させるためにプレゼンテーションをおこなったりと、チャレンジ精神を持って積極的に仕事をする姿勢が大切になります。
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企画職で必要な3つのスキル
同じ企業でも職種ごとに仕事内容は違い、求められる能力も異なります。企業全体として求められる人材像はありますが、企画職に求められるスキルを把握し、身につけておくことが大切です。
職種は人によって向き不向きがあり、誰もがすべての部署で活躍できるとは限りません。職種との相性が悪いと判断されれば企画職で働くことが難しくなるため、必要なスキルを知って、身に付ける努力を重ねることが大切です。
1.リサーチ力
商品やサービスの企画を考える際、根幹にあるのは消費者の声やトレンドです。自分のひらめきのままにアイデアを出しても、根拠がなければ企画として通らないことも多いです。企画を通して成功させるには確かな根拠が必要になります。
市場の流れを正しく読み取り、本当に求められているものを見抜くことができる高いリサーチ力があれば、企画職として就職しやすいでしょう。
リサーチ力は情報収集力や活用力とも言い換えることができ、精度の高い情報を集め、うまく役立てることが大切です。情報を集めるだけではなく、それを上手に利用できることが重要ということは理解しておきましょう。
2.コミュニケーション能力
企画職は社内外多くの人と関わる仕事なので、コミュニケーション能力は必須です。商品やサービスの企画といっても、必ずしもゼロから考えるわけではなく、誰かのアイデアをベースにして考えることも多いです。
例えばクライアントから商品の企画を依頼された場合、完全に丸投げということはなく、どのような企画でターゲットは誰かなど、細かく条件が設定されます。
クライアントが考える漠然としたイメージを具体的なものに落とし込み、提案するのも企画職の仕事のひとつです。イメージを具体的なものにするためには、相手が何を求めているのかを引き出す必要があります。
本音を引き出すためには、いかに信用されるかが重要であり、相手の懐に入るためにもコミュニケーション能力は必須と言えるでしょう。
3.プレゼン力
プレゼン力は、企画を明確にわかりやすく伝えるために必要な能力です。例えば、「結論を先に述べるなど伝わりやすい順序で話せているか」や「伝わりやすい資料やパワーポイントを作成できているか」「聞こえやすい声量やスピード、抑揚ができているか」などになります。
企画はただ考えるだけではなく、それを他人に対して提案し納得してもらわなければなりません。企画の提案は社内外のさまざまな場所であり、企画を通すにはプレゼン力も重要です。
どれだけ素晴らしい企画でも、うまく提案できなければ企画が通らないことも多いです。反対に、無茶に思えるものでもプレゼン次第で企画を通せることもあります。
企画職では、市場で求められるもの、優れた企画、魅力的な提案の3つが求められますが、特に重要なのは最後の提案部分です。プレゼン力は企画職に必須です。
「プレゼン」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。
企画職の志望動機例文
企画職についての理解を深めることができた人は、実際に選考で使う志望動機を考えましょう。志望動機は業界や企業を志望する理由だけではなく、なぜその職種を志望するのか、企業でいかに活躍できるかなどを伝えることが大切です。ただ仕事へのやる気を見せるだけでは、高評価の獲得は難しいので注意しなければなりません。
例文を参考にしてアピールの全体像のイメージを膨らませ、企画職への就職の熱意を上手に伝えましょう。
例文①企画職で人々の生活を便利にしたい
例文①では、新しいサービスの提供によって、より多くの人の生活を便利にしたいという志望動機が語られています。企画職への志望意欲を全面に押し出すことで、仕事への熱意が伝わり、好印象を与えられています。
就職後の活躍の方法やどのようにキャリアアップするかも明確にされており、働く姿がイメージしやすい志望動機になっています。
例文②食品の企画を通じて人々を幸せにしたい
就活生
例文②では、食品を通じて人々を幸せにしたいと述べられています。業界と企業を志望する理由が先に来ていますが、後から企画職への意気込みも語られているため、志望度が問題なく伝わっているでしょう。
また、キャリアアップについて言及することで、企業で成長する意欲が伝わり、仕事への熱意もアピールできています。アルバイトの経験からトレンドに敏感であることが伝えられており、企画職にもマッチした能力の提示で、さらにアピール力は高まっているでしょう。
新卒から企画職への雇用が少ない理由
企画職に憧れを持つ人は多いですが、新卒で求人を探していると、募集があるのは営業や事務、総合職ばかりです。理系では専門職の募集もありますが、企画職の募集はみかけたことがない人という人がほとんどでしょう。
就職意欲が高い場合でも、企業からの募集がなければ企画職として就職することはできません。新卒の募集では見かけることがほとんどない企画職になるためにはどうすればいいのでしょうか。
企画職になるには顧客や市場を理解していることが必要である
企業によって募集する職種や教育の方針は異なります。しかし大抵の場合、企画職になるには顧客や市場を理解していることが必要です。
例えば、BtoBの企業の場合は、競合や市場理解するために自社製品を売る営業からキャリアが始まります。またBtoCの企業であれば、顧客や消費者を理解するために店舗での販売職から始まる場合が多いです。
このように新卒で企画職を募集している企業はあまりありません。しかしベンチャー企業やスタートアップ企業であれば、新卒から企画職を募集している場合があります。若者向けのBtoC商品を扱っている企業であれば、現役の社員よりも新卒の方が、より顧客に近い視点をもっていることがあるためです。
また中途採用では企画職を募集していることは多いです。これはすでに社会人経験があり、営業や販売職を通じて、顧客や市場を理解している可能性が高いからです。このような経験は重要視されており、実際にその他の部署で仕事をする上でも、役立つことは多いです。
しかし営業や販売での経験をすれば、必ずしも企画職になれるとは限りません。そこでの仕事ぶりや上記のようなスキルがあるかどうかを見て、異動先は決定されます。
早い段階で企画職に異動する人もいれば、どれだけ希望を出していても、なかなか希望が通らないこともあるので注意しましょう。もちろん、希望を出し続ければ叶うことは多く、さまざまな部署を転々として、最終的に企画職に辿りつけることもあります。
数年後を見据えて企画職を目指そう
企画職に憧れを持つ人は多いですが、新卒からいきなり企画職で働けることはほとんどありません。まずは現場配属となり、その後異動できるかどうかが決まるため、最短でも2~3年程度はかかると考えましょう。
現場や他の部署での仕事は無駄になるわけではなく、さまざまな場所で働き、幅広い知識やスキルを身につけたことが、企画職で役立つことも多いです。
職種や部署によって仕事内容や求められる能力は違いますが、共通しているものも多く、思わぬところで過去の経験が役立つこともあります。企画職で活躍するには、それ以前の蓄積も大切です。数年後に企画職になることを見越して常に学ぶ意識を持ち、活躍を目指しましょう。
就活生