【保険代理店で必要な資格とは】試験の詳細も含めて徹底解説

保険代理店の仕事を理解していない就活生は多い

いま注目される業種に、保険代理店というものがあります。保険商品は金融商品でもあり、最近では海外への進出を図る代理店もあります。漠然と憧れを感じている就活生もいるでしょう。しかし、そもそも保険代理店とはいったいどのような職種なのか、理解できていない人は多いです。

その実態がわかっているようでいて意外にわかっていない、就活生にとって、保険業界はそんな業態のひとつでしょう。さらに保険代理店ともなると、業界の中での位置づけも、明確に理解している人は案外少ないです。

就活生が志望する職種をきっちりと理解しておかなければならないのは当然といえます。保険代理店への就職を目指すのであれば、職種について明確に認識することが重要です。

保険代理店の業務とは

保険代理店は、保険会社が提供する保険商品を、消費者つまり契約者に取り持つことが、主な業務となります。契約への勧誘、契約内容の締結や変更、保険料の受け取りなど、保険会社と契約者の間に立ち、スムーズにやり取りすることが保険代理店の役割です。

契約者の望む保険商品のアドバイスをし、万が一の事故やケガなどの際には、保険料の請求手続きや事故通知などの仕方をサポートする業務をおこないます。

保険代理店の概要

保険契約の契約募集はその大部分を保険代理店がおこなっています。保険代理店は、保険会社に代わって保険の契約募集をおこなうのが仕事です。基本の業務は上記のようになります。

このほかにも、顧客のニーズに対応して財産の保全や事故の防止、防災や保険全般に関する相談、万一事故が生じた時の解決のお手伝いなど、コンサルティング活動をおこなうことも求められます。

保険業界の業務内容などについて、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。

• 【保険業界とは】主な業務内容や動向、採用でのポイントを解説

求められる人材像について

保険代理店が必要とするのは、柔軟かつアグレッシブな人材です。保険営業は対人関係の仕事であるため、人としてのコミュニケーション能力が求められます。また、個人情報を扱うことから、誠実でコンプライアンスを守ることのできる常識的な人材であることも重要です。

しかし、これからの保険業界を盛り上げていくためにも、既存の概念に留まらない営業展開に貢献できるアグレッシブで優秀な人材が不可欠です。これからの保険代理店は、豊富なバリエーションに富んだ保険商品を取り扱うため、各保険会社との折衝に力を注ぐことが必要になっています。 このような対顧客、対保険会社双方に活躍する人材の確保が求められています。

将来性について

今日の世の中の価値観の変動は、さまざまな職種に影響を与えており、保険業界も同様です。かつての保険といえばもしもの時のお守り的な存在でした。しかし、今日では対外賠償などに対する意識の変化もあり、人々の保険に対する関心はさらに高まっています。

保険代理店は、保険会社と契約者の間に立ち、契約者に正確な保険知識を与え、的確で負担が少ない保険契約を提案する役割となっています。このような、いわゆるコンサルティングとしての保険営業は、今後も個人契約を中心にメインの方向性となるに違いありません。さらに、中大規模な保険代理店では、事業展開拡張に伴い、保険業以外の新規分野への参入の動きをみせる代理店も、今後増加する傾向と予測されています。

保険代理店で働く魅力

保険代理店で働く魅力はさまざまあります。まずは、福利厚生です。保険を扱っている会社だからこそ、各種保険制度が充実している企業が多い傾向にあります。また、資格取得をサポートしてくれる会社も少なくありません。

補助金だけではなく、報奨金のある企業もあるため、資格取得に向けた勉強にもやる気がでるでしょう。トヨタ自動車グループである株式会社トヨタエンタプライズの福利厚生を参考にしながら、保険代理店で働くメリットを紹介します。

志望動機の書き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

• 保険業界の志望動機の書き方｜例文5選やNG例をご紹介

福利厚生における各種保険制度が充実している

株式会社トヨタエンタプライズでは、社員ひとりひとりの将来をサポートする充実の制度があります。例えば、保険代理店だからこその「各種生損保険団体割引」や、トヨタ自動車グループだからこその「車両購入資金貸付金」などが整っています。

企業年金・財形預金も嬉しいポイントです。こうしたお金に関係することだけではなく、育児に関する休業制度も無視できません。法律で定められている以上に充実しており、トヨタエンタプライズ独自の労働スタイルなどもあります。

グループの宿泊施設も利用できるため、コスパ的にも良好です。いずれにせよ、保険代理店では、保険割引などの各種保険制度だけではなく、他の福利厚生も充実している傾向があります。

資格取得のサポート制度が整っている

社員ひとりひとりの成長を後押ししてくれる資格取得制度もあります。企業が定めている資格を取得した人に対して報奨金を与える「資格取得特別報奨金制度」です。もともと所持している場合も、「認定資格手当制度」があるため、資格手当がもらえるでしょう。

また、「資格を取得したい」という人に対して補助金を与える「資格取得支援制度」もあります。こうした資格に関する制度だけではなく、MVPを決める制度や「創意くふう表彰制度」などもあります。

そのため、高いモチベーションを持って業務に取り掛かることが可能です。いずれにせよ、さまざまな資格を取得しておけば、業務の幅が広がり、手当などもつくため、損はありません。

入社時に必要な資格はある？

入社前に資格が必要なのかと問われれば、決してそんなことはありません。いくつか企業を例に挙げて紹介します。例えば、損保ジャパンであれば、年齢による制限は設けているものの、資格保有は応募条件に入っていません。

コースによっては資格保有をアピールすることもできますが、必須の条件ではないです。三井住友海上も同様に、資格を持っていなくても、応募することは可能です。海外で働くケースがあるため、入社日などに決まりのある職種はありますが、資格保有は前提となっていません。

資格がなけれなできない仕事につく場合は、社内の資格取得制度や人材育成制度において取得できる可能性が高いでしょう。時間的に余裕のある人は、勉強しておいた方がよいです。

保険代理店にノルマはある？

昔は保険代理店といっても、契約が決まった場合には、保険の営業の方が来てお手伝いをする場合が多かったです。しかし、今は保険代理店に全てお任せといったスタイルが増えています。保険会社にとっても、独立して個々で利益をあげてもらうのが一番うれしいため、独立化が進むことによって、ノルマがない保険会社が増えてきています。

保険会社にとってはもちろんたくさん自社の保険の契約を取ってもらい、多くの利益をあげていくのが一番の理想です。しかし、たとえ多くの利益をあげれない保険代理店でも、少しでもいいので自社の保険を取り扱って欲しいと考えている保険会社もあります。

極論をいってしまえば、たとえ契約がゼロでも、教育で使う教材費などでお金を使ってもらえるため、保険会社にとっては保険代理店を切る要素は見当たりません。景気が厳しくなってきている昨今、保険会社も合併を繰り返している現状です。

生命保険代理店業務に必要な資格と試験の詳細

生命保険代理店の業務をおこなうためには、資格が必要です。必要とされる資格を取得していないと生命保険の商品の勧誘募集や販売をすることができません。まず第一に必要なものが、生保一般課程試験の資格です。

この資格を得て初めて保険代理店としての業務をおこなうことができます。さらにその取引を高度におこなうためには、変額保険販売資格というものが必要となります。これらの資格試験をクリアするにはどうすればいいのでしょうか。

①生命保険募集人試験

生保募集人試験は、生保一般課程試験ともいいますが生命保険の募集及び販売をするための資格取得試験です。生命保険の募集や販売をおこなうには、この試験に合格して生命保険募集人として金融庁に登録されなければなりません。

生保一般課程の内容は、生命保険の商品や、生命保険の募集及び販売についてのコンプライアンスなど基礎的なものです。生命保険協会では一般課程の他に専門課程、応用課程、大学課程と段階に応じた教育制度が設けられています。

一般課程を合格後は、これらの過程で徐々に知識を身につけキャリアアップをはかることができます。試験は、毎月1回実施の実施ですが、難易度は基礎的な内容であり、決して高いものではありません。

②変額保険販売資格

変額保険販売資格は、生命保険の募集や販売で変額保険を取り扱うために、一般課程及び専門課程を合格した人が受験できる資格です。リスクの高い変額保険を取り扱うための試験であり、特徴や仕組みを理解するために、一般課程や専門課程よりもさらに幅広い知識が求められます。

一般課程を合格して、生命保険を募集・販売できるようになった後、次の知識習得の段階として、専門課程そして変額保険販売資格試験が実施されています。試験は年3回実施しており、マークシート方式です。内容は一般課程やより幅広い知識を必要としますが、基礎的な知識で過去問と同じ出題がほとんどであるため難易度も高いものではありません。

損害保険代理店業務に必要な資格と試験の詳細

損害保険代理店では、生命保険代理店とはまた異なった資格が必要となります。その資格試験には、損保一般試験があり、試験には基礎単位試験と、自動車保険単位、火災保険単位、傷害疾病保険単位などの商品単位試験があります。

基礎単位に合格しなければ代理店登録や募集人届出をすることができません。また原則として、募集人は商品単位に合格しなければ、該当する保険商品の取扱いができないことになっています。

①損保一般試験の基礎単位試験

損保一般試験とは、保険募集にあたり保険商品に関する重要事項等を正確に説明するための知識を、損害保険募集人が習得しているか否かを確認するための試験です。そのうちの基礎単位試験は、かつて損保募集人試験と呼んでいたものに替わる試験で、2011年10月にスタートしました。

損害保険を募集、販売する人や損害保険について内容の説明をする必要のある人すべてが受ける試験です。内容は損害保険の基礎知識、コンプライアンス、代理店の日常業務、損害保険の商品、損害保険の周辺知識となっています。受験は、ほぼ毎日おこなわれていて、難易度も90%の受験者が合格しており、高いものではありません。この資格の更新は5年に1度おこなう必要があります。

②自動車保険

商品単位試験でメインとなる分野が自動車保険です。その内容は、法律上、強制的に加入が義務づけられている自賠責保険と、それ以外の民間の自動車保険の2つに分けることができます。この2つのうち、自賠責保険は出題の頻度が高いです。

重要度として大変高いため、細かい部分まで可能な限り知識をつけておく必要があります。民間の自動車保険には、対物や対人などさまざまな保険がありますが、保険名称と保障内容がわかりやすいものとなっています。自動車を自分で購入したことがある人は、イメージがつかみやすいでしょうが、基本的には、覚えていないと答えようがない問題が多いです。

酒酔い運転でも保険金が支払われる保険もあるなど、学習前の第一感と異なることも多いため、保険金が支払われるケースや支払われないケースなど、しっかりと学習しましょう。

③火災保険

火災保険は、住宅物件、一般物件、工場物件、倉庫物件に分類され、異なる保険が提供されています。住宅物件のための保険には、住宅火災保険や住居総合保険、一般物件のための保険には、普通火災保険（一般物件用）や店舗総合保険、工場物件のための保険には、普通火災保険（工場物件用）、さらに倉庫物件のための保険には、普通火災保険（倉庫物件用）があります。

試験では住宅総合保険についての出題が主となっており、地震保険については火災保険に付帯しているため出題頻度も多くなっています。また、家屋の全損や半損となるための損害の割合など、数字に関する出題がされやすい傾向にあり、重要な数字はしっかりと覚えておく必要があります。

④傷害疾病保険

傷害疾病保険には、傷害疾病定額保険と傷害疾病損害保険の2つの保険があります。この違いは、傷害疾病定額保険は契約時に定めた保険金が支払われ、傷害疾病損害保険は、かかった治療費など実際の損害額に応じた保険金が支払われるところです。

傷害疾病定額保険には、傷害保険、医療保険、がん保険、介護保険などがあります。傷害保険は、ケガによる死亡・後遺障害・入院・手術・通院などの場合に、医療保険は、ケガ・病気による入院・手術の場合に、がん保険は、がんと診断され、入院・手術をした場合に、さらに介護保険は、一定の介護が必要な状態になった場合に保険金が支払われます。これらの基本事項を覚えておく必要があります。

一番難しい資格

保険代理店の業務で一番難しい資格は、強いていうならば、損害保険に関する資格です。生命保険の場合は、生命保険募集人資格の取得だけで販売と営業が可能ですが、損害保険の場合は、3つある商品単位のうち1つ以上を取得しなければ、保険の販売と営業ができないため、注意が必要です。

自分なりの効率のよい学習方法をみつけ、自分のキャリアアップのためにしっかりと学習していきましょう。

ファイナンシャルプランナーの資格は業務に役立つ

ファイナンシャルプランナーの資格は、保険代理店での業務に大いに役立ちます。ファイナンシャルプランナーの資格があれば、保険会社や保険代理店はもちろんのこと、証券会社や銀行や不動産会社など、さまざまな業界で活躍することができます。

ファイナンシャルプランナーは、主に窓口でお客様の相談に乗ったりするような営業職として働いています。とくに資産運用など係る相談や、ひとつの問題をお客様と一緒に解決するコンサルティング業務などがあります。ファイナンシャルプランナーの資格は、業務に役立つ大きなメリットになります。

資産運用や税制に強くなる

ファイナンシャルプランナーの資格を保有することで、資産運用や税制に強くなることが出来ます。保険の販売というと、「万が一の時のお金の準備をセールスすること」をイメージする就活生が多いでしょう。しかし、保険の機能はそれだけではないです。

若年層に向けて将来の貯蓄のための保険商品を提案することもありますし、相続税対策としての保険商品の活用を提案することもあります。人生におけるさまざまなライフイベントへの対応を、保険を通じておこなうことを提案していくことになります。

ファイナンシャルプランナーの資格取得に向けての勉強を通じて、資産運用についての知識はもちろん、税制について知識を深めることも可能です。それにより幅広く保険商品を提案していくスキルを身につけることに繋がります。

日本FP協会の資格（CFP・AFP）とFP技能士がある

ファイナンシャルプランナーの資格は、大きく分けて2種類存在します（参照：FPの資格と検定の種類｜日本FP協会）。

1つめは、FP技能士です。レベルに応じてFP技能士1級～3級の資格が設けられており、1級が最も難易度の高い資格となっています。これは国家資格であり、世間的な認知度も高く、学生の間でも知っている人は多くいることでしょう。

2つめは、日本FP協会が認定する資格です。レベルに応じてAFP、CFPの2つの資格が設けられており、CFPの方が難易度は高くなっています。この資格は民間資格となっていますが、広く社会に認知されており、企業の採用担当者もほとんどの方が知っている資格だといえるでしょう。

難易度で比較すると、FP技能士2級とAFP、FP技能士1級とCFPが同程度の難易度となっています。

通信講座で受講することが出来る

ファイナンシャルプランナーの出題範囲は非常に幅広く、かつ多くの就活生にとって馴染みのない分野でしょう。事前知識が何もない状態では、参考書を読んでもなかなか理解が進まない可能性も十分にあります。

そこで、ファイナンシャルプランナーの資格取得に向けての勉強は、通信講座によって進めることもおすすめです。通信講座を適宜利用することで、あまり馴染みのない分野に関しても、基本的な部分からしっかりと学んでいくことができます。

もちろん独学で学習を進め、合格を果たすことも可能な資格ではあります。しかし、事前知識がない状態であるならば、独学で四苦八苦しながら勉強を進めるよりも通信講座を活用することで、効率よく学習を進めることができるでしょう。

保険代理店を検索できるサイト

資格についての知識を蓄えたところで、ここではホームページで保険代理店の検索もできる、主な保険会社を紹介します。どちらも日本を代表する、業界大手の会社です。これらのサイトを活用することで、自宅の近くや、自分の希望する保険代理店を時間をかけずに簡単に探すことができます。

また、検索結果の画面では、地図とともに直接その代理店のホームページにとべるようにリンクが設置されているため、ぜひ自身の希望に合致する保険代理店をみつけてください。

三井住友海上

まずひとつめに紹介するのが、有名タレントを起用したテレビCMでもお馴染みの三井住友海上です。MS&ADインシュアランスホールディングス株式会社の傘下企業として、大企業の法人に対しての契約に強みを持っている会社になります。

採用面の特徴としては、「インシュアランス・コンサルタント」と呼ばれる、独自の保険代理店経営者を育成する制度があることです。三井住友海上にて3年間、契約社員として働いた後、代理店経営者になるべく邁進していくことになります。

保険代理店検索ページにおいては、地図だけではなく最寄り駅、住所などからも検索できるようになっています。また、インターネット上で保険の加入相談ができる保険代理店を探すこともできます。

損保ジャパン

次に紹介するのが、自動車保険を中心として高い市場シェアを誇る損保ジャパンです。SONPOホールディングスの子会社として、海外事業も展開している日本を代表する保険会社です。採用面の特徴としては、女性が活躍できるような環境が整っていることです。

女性専用の育成プログラムを実施するなど、その功績が認められ、「女性が輝く先進企業表彰」として内閣総理大臣から受賞されるに至りました。その他にも、海外の人材や、障がい者採用など、垣根のない登用が魅力です。

保険代理店検索ページでは、地図からはもちろん、最寄り駅や住所などでも検索できるようになっています。また、スマホのGPS機能を使用しての検索にも対応しています。

保険代理店に必要な資格を知ってキャリアアップをスムーズに

保険代理店の業務では、資格の取得が必須です。資格がないと保険契約の勧誘さえすることさえできないということになります。しかし、逆に考えれば、これらの資格をしっかり取得することでキャリアアップの道が開けてきます。保険代理店の業務とはそういうものです。

就活生である皆さんで、保険代理店の仕事につきたいと考えている方々は、まだ準備する時間が充分にあります。資格試験の詳細を調べ、それらの学習に励むことはあなた自身のスキルに結びつくでしょう。保険代理店に関わる資格は沢山あるため、業務をこなしながら実地で知識を身につけることも可能です。学習を続けて、キャリアアップを実現してください。

生命保険業界について、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。

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