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離職率が高い・低い企業|就活生が知っておくべき企業の選び方

離職率とは

離職率という指標の定義や計算方法を紹介します。定義は1つであると考える人も多いですが、「離職率」には複数の使われ方があります。また、離職率の計算方法を知っておくことで、就活情報に記載されていない企業の離職率が知れます。

離職率の定義

厚生労働省が定期的に調査している離職率とは、「国内の労働者全体のうち、新たに離職した人の割合の事」や「新卒が3年以内に退職する割合」などを表します。企業では、「雇用されている労働者が一定期間内に離職する割合」を意味するのが一般的です。

しかし、企業の離職率と言っても、様々な見方ができます。「全従業員のうち1年間で離職した割合」と「新卒で入社した社員が3年以内に離職する割合」では、全く異なる指標になります。新卒社員が3年で退職する割合が多い企業でも、1年間の全従業員の離職率が低いことも考えられます。この場合は、新卒社員はすぐに退職する傾向があっても、3年以上勤務した社員は長く働き続けられる企業という見方ができます。

就活サイトなどで一般的に使われるのは「新卒で入社した社員が3年以内に離職する割合」です。しかし、離職率を見るときには念のため、何に対しての何の割合なのか確認し、どのような傾向がある企業なのか判断する必要があります。

離職率の計算方法

離職率の計算方法は基準となる集団のうち、ある一定の期間内に離職した割合です。例えば、全社員が1000人のうち1年間に10人退職した場合はの離職率は、『10人(退職者数)÷1000人(全社員)×100=1.0%(1年間の離職率)』になります。

新卒で入社した社員が3年以内に離職する割合の計算方法は、ある年の新入社員が100人として、その100人のうち35人が退職した場合は、『35人(退職者数)÷100(新入社員数)×100=35.0%(新卒で入社した社員が3年以内に離職する割合)』となります。

厚生労働省が行なっている新規大卒就職者の事業所規模別離職状況の調査では、新規大卒就職者が3年以内に離職する割合は、過去10年間で30%を超えている年がほとんどです。新卒で入社しても約3人に1人は、最初に入社した会社を離職していることになります。

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離職率が高い会社の特徴

これからの就職において、長く続けられる会社かどうかを見極めるのは、大切です。離職率が高いと、会社側に何らかの原因があることも考えられます。入社してから、「なんでこの会社に入社したのだろう」と悔やまないように、離職率の高い会社の特徴をしっかりと理解し見極めましょう。

特徴①長時間勤務が常態化している

離職率が高い理由のひとつに、長時間勤務の常態化があります。人員不足のため1人当たりにかかる仕事量がとても多いという点が挙げられるのです。会社としては、新たに従業員を増やすより、残業代を払ったほうが、人件費は安く済みます。

そのため、仕事量に対し、できるだけ少ない人員を配属させるのです。これは、中小企業に限らず、大企業の特定の部署でも見受けられます。よく新聞に取り上げられる例としては、24時間営業の飲食業などがあります。

こういった会社の従業員は、1日のほとんどを仕事に費やし、夜は帰って寝るだけ、朝になるとすぐに出社という状態が続きます。仕事だけの毎日だと、心身ともに疲弊し健康を害する原因となります。長時間勤務の過酷な労働環境が、離職率を高めているのです。

特徴②昇給の見込みがない

昇給の見込みがないのも、離職率の高い原因となります。就職した会社で長く勤めるうえで、経験と実績を積むと、微増でも給料UPを期待します。低成長時代である今日では、何年も昇給のない会社で働いている人は、少なくありません。

その中でも、離職率の高い会社の特徴としては、ベースとなる固定給が少ないうえに、ボーナスが少なく、昇給の見込みのない点があげられます。このような会社は、経験実績がないからと固定給を新卒平均より低めに設定し、昇給やボーナスについては、はっきりと説明しない傾向にあります。

実際に、就業規則にも、昇給やボーナスについて、その時の業績によるとしか記載されていない場合が多いのが特徴です。面接の段階で、就業規則を見ることはできませんが、昇給について質問した時に「頑張れば昇給もある」とあやふやな回答であった場合はその可能性が高いといえます。

さらには、離職を見越して、簡単に多めに内定を出すのも、こういった会社に多く見受けられる特徴です。このことから、経営者に、従業員の人生設計や将来を考える気が全くないことが伺えます。

特徴③風通しが悪い

最後に、離職率の高い会社の特徴として、風通しが悪い点が挙げられます。報告・連絡・相談といった仕事に重要な情報伝達が、トップから末端までスムーズに連絡されず、組織として機能してない状態の会社をいいます。このような会社は、ベテラン中間職が多く、中間職に多くの権限が任されている官僚的な会社でよく見受けられます。

ベテランの管理職が、権限を任され活躍することは非常に良いことで、悪くはありません。しかし、離職率の高い会社は、この組織運営がうまく機能していなくて、官僚制のジレンマといっても過言ではないくらいの組織機能不全を起こしている場合があります。

このような状態の組織で勤務すると、一般職からの報告や業績が、中間層の都合で捻じ曲げられて上層部に報告されるため、一般職が正当な評価を受けられないという現状があります。また、部下が上司に意見できない封建的な習慣もあります。そのため、若手社員の離職率が異常に高くなるのです。新卒採用だけでなく、常に若手募集の広告を掲載している会社で、中間層の多い会社は注意が必要です。

離職率が高い会社はブラック企業なのか

離職率は企業を判断する上で重要な要素になります。どの期間にどのくらいの人が退職しているか確認することで、あなたに合う企業かどうかの基準にもなるでしょう。

離職率が高いと、一般的にイメージが良くないですが、実際にブラック企業と呼ばれるところもあれば、そうでない企業もあります。どのような企業がブラック企業なのか自分で判断できるようになるのが大切です。

ブラック企業の可能性は否定できない

離職率があまりにも高い企業は、注意する必要があります。労働環境や福利厚生、人間関係が悪くて離職している可能性が高いです。特に、ベンチャー企業などで独立志向の社員が集まるような企業でない場合は、離職率が高いというのは働きづらい環境であったり、給料が低かったり、サービス残業が多かったりする場合があります。

業種で見ると、新卒者3年以内の離職率は、宿泊・飲食サービス業が52.3%、生活関連サービス・娯楽が48.6%、教育・学習支援が48.5%と高い数値が出ています。(※厚生労働省の「新卒者の離職に関する資料」より)

離職率が高い理由としては、給料が低く休日が少ないことや、十分な研修制度がない場合が多く、労働条件に不満を感じる人が多いと考えられます。また、離職率が高い業種の大きな特徴として『B to C』の形態をとっているということがあげられます。企業間ではなく、個人の顧客を相手にするサービス業などは離職率が高い傾向があります。

離職率が高い企業が全てブラック企業ではない

離職率が高い企業であっても、ブラック企業と決めつけるのは良くありません。社員が退職している事実は変わりませんが、特別な理由がある場合もあります。例えば、1年間の全従業員の離職率が高かったとしても、離職した方の中で定年退職者の割合が高いことも考えられます。

従業員が10人会社で、2人の定年退職者とその他1人の退職者がいた場合、1年間の離職率は30%となります。この会社をブラック企業と呼ぶ人はほどんどいないでしょう。また、ベンチャー企業などでは、若いうちに独立する社員がいたり、ステップアップの転職も考えられます。

その企業の労働条件や給料が悪いという理由で離職するとは限らず、若いうちに短期間でスキルを伸ばすために入社している新卒もいます。離職率をブラック企業を見極める参考にするのは構いませんが、退職した理由や社風によっては一概にブラック企業だと決めつけるのは避けた方が良いです。

「この企業に入社して、3年でしっかりキャリアを積んで、今後のステップアップにもつなげよう!」と考えている社員が多いなら、働いている環境が良い場合もあり、ブラック企業とは言えないです。

離職率が低くても油断はできない

一方で、「離職率が低いからとホワイト企業」と思い込むのも危険です。大企業などで離職率が低い場合、どの部署で何人退職したかを調べることは難しいです。全体の離職率が低くても、ある部署だけは離職率が50%を超えているということも考えられます。

企業は基本的に部署に分かれており、新卒で入社する場合にどの部署に配属されるか決まっていないことも多いです。配属される部署によって労働環境は異なり、定時で退社できる部署もあれば、残業で夜遅くまで会社に残っている部署もあります。

また、時期によっても部署ごとで忙しさや労働環境が異なる場合があります。月末や期末、決算前などが忙しい部署があれば、毎日の仕事量がほとんど変わらない部署もあります。全体の離職率が低く、ホワイト企業と言われても部署によって労働環境が異なる可能性が高いので、事前に理解しておく必要があります。

離職率の低い企業の取り組み

魅力的な取り組みをしている企業と、していない企業、どちらでより働きたいと感じるでしょうか。企業の中には、離職率が高い所もあれば、逆に低い所もあります。離職率が低い企業では、独自の取り組みをしていることも少なくありません。就活のときは、企業がどのような「働く人に魅力的と思われるような取り組み」を行っているかも、チェックする必要があります。離職率が低い企業で良く見受けられる取り組みの例も知っておきましょう。

女性のキャリアアップ支援

この時代、女性の社会進出は珍しいものではなくなりました。実際、大企業でも、女性が役員の立場に就いているところも多いです。政治の世界でも、女性大臣はたくさん出ています。それでも、男性優位という企業は少なくありません。

離職率が低い企業の中には、女性のキャリアップ支援を積極的に推進しているところも多いです。女性を対象にしたキャリアップや、意識向上に関する研修、昇格制度の見直しなどを行っている企業も増えています。

また、評価制度が明確で、性差や年功序列ではなく、出した結果や、ポテンシャルによって評価を行う企業も少なくありません。このような企業は、働きやすい環境作りに意識を向けているため、離職率が低いのもうなずける話です。

有給の取得を促す

従来、日本の企業では、休まず働き続けることが美徳という価値観が少なからずありました。ある意味、素晴らしい側面もありますが、価値観の多様化により、仕事以外も充実をさせたいという人も増えています。過重労働についても社会的問題として認識されるようになりました。多くの企業では従業員のために有給休暇を設けています。

しかし、実際に利用しやすい雰囲気かどうかは別の話です。従業員個人も、みんなが働いているとき、自分だけ有給休暇を取得するのは気が引けるという意識もあります。また、休みたいがやらなければならない仕事がありすぎて取得できないケースもあるでしょう。そのような雰囲気を消し飛ばすための取り組みを行っている企業は、従業員の満足度も高くなります。結果として、離職率が低くなるのです。

育児休暇など特別休暇の手厚さ

女性が退職する理由の一つに仕事と子育ての両立があります。その点に配慮をして、出産休暇や育児休暇など積極的に取り組んでいる企業は、離職率も低い傾向にあります。特別休暇などを設けている企業も、離職率が低い傾向にあるのです。

かつて、仕事ばかりでほとんど休暇がなく、家族との関係が破綻したという悲劇も多くありました。近年では、家族との時間を作るため、家族休暇制度を実施している企業も出てきています。例えば、子供の誕生日は休みにする取り組みなどが挙げられるでしょう。健康や活力を回復するためのリフレッシュ休暇も一般的に見られます。他にもボランティア休暇、地域・社会貢献休暇といった特別休暇を設けている企業も少なくありません。

離職率の確認方法

企業の離職率を知りたい場合、自分の気になったタイミングでストレートに確認することは、採用担当者からの印象も悪くなる可能性もあるので注意が必要です。就活生側からすると離職率を重要視している人もいますが、採用担当者側からすればあまり前向きな内容ではなく、あなたが「離職率や福利厚生などで企業を判断する人物」と判断される可能性も、ないとは言い切れません。

面接でストレートに聞いてはいけない

企業の離職率が知りたい場合、採用担当者に「離職率はどのくらいでしょうか?」とストレートに聞くのは避けた方が良いです。採用担当者によっては角が立ち、印象が悪くなってしまう可能性があります。離職率が気になる場合、まずは情報を自分で探してみることも重要です。大学の先輩などに聞くことで有力な情報が得られることもあります。また、採用担当者などに聞くとしてもタイミングや確認方法は慎重に選ぶことが大切です。

就活四季報が公開している

離職率については面接の前にさまざまな方法で知ることができます。例えば、就活生にとってはおなじみの就活四季報に、離職率の情報が公開されていますので、チェックしてみましょう。具体的には、離職率と離職者数という項目です。ただし、離職率と3年後離職率があるので、分けて考える必要があります。

3年後離職率は3年前に入社した新卒者が、3年間でどれぐらい辞めたかを表す数値です。あくまで新卒者を対象にしているので、会社全体での総合的な離職率ではありませんから注意しましょう。また、会社がリストラによって早期退職を募集することがあります。その場合も、一時的に離職率が高くなるケースがあるのです。そのタイミングだけ見て、離職率が高いと判断すると失敗に繋がります。過去3年の離職率もチェックし、総合的に判断するようにしましょう。

有価証券報告書で平均勤続年数は分かる

上場企業の場合、有価証券報告書を毎期、発行しているためそれのチェックにより、ある程度、離職率を知れます。有価証券報告書は、事業年度終了後3ヶ月以内に金融庁への提出が義務付けられているものです。有価証券報告書には、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が記載されています。第一部「従業員の状況」という所に記載されているので、チェックしましょう。この中でも離職率に大きく関連するのが、平均勤続年数です。平均勤続年数を見ることで長く働ける企業はどこかチェックできます。

例えば平均勤続年数が20年とするなら、大学を卒業して22歳の頃から定年まで、会社に所属している年数に照らし合わせて考えてみましょう。

定年が60歳とすれば、38年間その企業で仕事をすることになります。少なくとも38年の内の20年は、離職する人がいないということが見えてくるのです。

離職率は就職差先を選ぶ重要な要素のため見落とさない!

離職率が高い企業を避けたいという気持ちは、新卒者だけではなく、すでに社会人の立場となり、転職を考えている人も持っているものでしょう。ブラック企業という言葉も一般的に知られるようになっています。ただ、離職率がどの程度か、調べる方法が分からなければ、避けるどころか、検討もむずかしくなります。どんなに名の知られた大企業だとしても、実際に働いてみて、仕事環境も含めて環境が劣悪だと、モチベーションも低下するのは必然です。すぐに辞めたくなるような所であれば、がんばって働いても心身共に疲れ切ってしまうでしょう。

志望企業を選択する上では、給与、社会的なステータス、福利厚生、さまざまな要素があります。その中で、長く働きたいと思える企業という項目を無視してはいけません。離職率のチェックは、充実した仕事を行う上でも必要不可欠な要素なのです。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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