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コンビニ業界の就職はさまざまなキャリアを目指せる
コンビニは都心部を中心に、売上を伸ばしていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年に大きな打撃。それでも忙しい現代人にとっては欠かせない存在であり、コンビニの需要は高まっています。
近年はコンビニでの商品展開が広くおこなわれており、コンビニでしか買えないプライベートブランドなどもあります。例としてセブンイレブンでLoftの商品が、ローソンで無印良品の商品を買うことができます。
飲食物や日用品を手軽に購入したり、配達物のやり取りもでき、コンビニのニーズは年々高まっているのが現状です。コンビニ業界のトレンドを知り、どのような人材が求められるのか考えるのに役立てましょう。
コンビニ業界の現状
コンビニ業界については馴染み深く、大きな話題はニュースにもなり他の業界に比べると知りやすいかもしれません。しかし、社会情勢や技術革新などにも敏感で、動向が変わりやすいのも特徴です。
ここからは、コンビニ業界の現状や、今後の動向について紹介していきます。業界研究の第一歩として、しっかり確認しておきましょう。
コンビニ業界の業績について
- 業界規模:7.6兆円
- 成長率:+15.4%(2021年-2022年)
- 利益率:+2.2%(2021年-2022年)
- 平均年収:596万円
参照:「コンビニ業界(2021年-2022年)|業界動向サーチ」
コンビニ業界の業界規模は約7.6兆円です。国内の業界としては大きい規模であり、伸び率も高い水準にあります。事業の展開戦略としては海外市場、主にアジアに目を向けている企業が多いです。そのため、国内より海外での業界規模拡大が見込まれています。
また、セブンイレブン、ローソン、そしてファミリーマートの3社が、業界全体の売上の約9割を占めている状態で、大手3社による寡占化が進み続けています。
平均年収は約594万円であり、他業界と比べると高い水準とは言えません。ただしコンビニ業界の売上高は企業によって大きく変わるため、企業ごとに平均年収の差が見られるのが特徴です。
大半がフランチャイズ方式を占める
街中でもよく目にするコンビニですが、その大半が、企業の直営ではなく、フランチャイズ方式の店舗です。
フランチャイズとは、個人や別企業がオーナーとなり、コンビニの看板や店舗、商品、資源、ノウハウ等を使いながら独立をした形で出店することができ、店舗運営も自らおこなうというものです。
そのため、経営をおこなうのは出店をした各自営業者であり、その対価をフランチャイズ本部(企業)に支払います。この仕組みにより、スピード感ある店舗拡大とイメージブランディングが成り立っています。
直営店では、コンビニ本部から派遣された社員が店長を務め、経営は各コンビニの本部で働く社員がおこなうことになります。
キャッシュレス化・省人化が加速
店舗が増える中、人手不足が進行しているのがコンビニ業界の課題ですが、それを解決するために、セルフレジによるレジの無人化、キャッシュレス決済の導入などが進んでいます。
さらに、「POS(販売時点情報管理)」と呼ばれる商材を導入している企業も出てきています。売れ筋商品や売れていない商品を誰でも把握することができるもので、経験の浅いアルバイトにも商品の発注を任せることが可能になります。
これらの技術により、従業員の負担軽減や、少人数での店舗運営が可能になり人件費の削減などにつながっています。
SDGsや食品ロスに向けた取り組み
コンビニ各社では、SDGsの取り組みに貢献するための取り組みがおこなわれています。身近なものでは、省エネや省資源、CO2排出量の削減に貢献するためにビニール袋の有料化等対応が挙げられます。
また、私たちの見えないところでは、店舗から出る食品廃棄物(お弁当やおむすび、惣菜など)を飼料や肥料、メタン等に再資源化して食品ロス削減のための動き等が取られています。
コンビニ業界は市場規模が大きい分、廃棄量や環境への影響が問題視されてきましたが、今後も改善に向け、各社はあらたな取り組みを打ちだしていくことが予測されています。
海外への展開拡大
国内では店舗が飽和状態にあり、新規出店の余地が少なくなっています。そのため各社は海外展開を加速させ売り上げの向上を目指しています。
また、出店ばかりではなく、M&A(企業合併・買収)業界も進んでおり、業界首位のセブンイレブンは、2021年5月に米国の大手コンビニ「スピードウェイ」を約2.3兆円で買収し、現地では差別のためフレッシュフードやプライベートブランド商品を強化し、売上を伸ばしています。
今後も、国内では1店舗あたりの売り上げをアップさせるための取り組みをおこないつつ、海外に展開を拡大させるという動きが続くと見られています。
就活生に聞いた! コンビニの正社員として働くイメージ
日頃からコンビニを利用することもあり、馴染み深い存在ですが、この業界で正社員として働くことまで考えたという方はそれほど多くないかもしれません。ここでは就活生の皆さんに聞いたコンビニの正社員として働くイメージをご紹介します。
店舗勤務の厳しさを回答する就活生が多数
アルバイトの管理などもあり、店舗で働く大変さをイメージしている就活生が多数を占めました。
店舗の責任者である以上、働く従業員と連携をとり、効率よく店舗を回すことが求められます。そこに厳しさを感じる就活生も多いようですが、地域の人々の生活を支える仕事で、やりがいを肌で感じられることは店舗勤務の魅力といえるでしょう。
商品開発が楽しそうという回答も散見
一方で、商品開発やマーケティングといった業務に惹かれる就活生の声も散見されました。
商品開発やマーケティングは、トレンドを正確に捉え、売り上げにつながるものを展開する重要な役割です。そのため知識や経験が問われ、責任も重く、入社後すぐにこの職種に就くのではなく、店舗で実務を積んでからというケースも多いです。
ただ、世の中に与える影響は大きく、やりがいも多いので、これらの職種を目指して入社する就活生も一定数います。
コンビニの正社員の職種
正社員としてコンビニにかかわる場合、さまざまな職種があります。それぞれに違った役割と、それにともなって求めれれる能力も変わってきます。
ここでは主な職種8つを紹介するので、自分の興味や適性にはどのような職種が合うのか考えてみてください。
店舗責任者
店舗の責任者として、アルバイト・パート従業員を束ね、シフト管理や、育成を任されます。また、売上金の管理や販売商品の選定など、店舗運営全般を担っています。
従業員をまとめあげるリーダーシップや、さまざまな目的をもって来店する顧客への臨機応変な対応など、求められるスキルは多くあります。
スーパーバイザー(マネージャー)
各店のオーナーに対して本部からの視点を持って、業務の改善や売上げアップに繋がるマネジメントをおこないます。自分の提案次第で売上げが大きく変化する、やりがいも責任も大きい仕事です。
一人が複数の店舗を担当することが多く、マネージャー、エリアマネージャーと呼ぶ企業もあります。それぞれのオーナーとのコミュニケーションが必須で、話を聞く力や問題点の引き出す力、提案したことを受け入れてもらえるような接し方が求められます。
また、店舗の課題の解決策や運営方法はさまざまあり、ケースバイケースで、自らの頭で考える必要があります。
トレーナー
業務の仕方、販促の手順などをオーナーや社員に指導する役割を担います。また、厨房やセルフレジ、新店オープン時の研修などもおこなう役目です。
店舗で働く従業員への指示の出し方や、効率的に動くにはどのように動けば良いのかといったことを伝える仕事です。
スーパーバイザーと違って、企業の方針を踏まえた、定まった内容の指導をする必要があり、誰よりも業務や販促について理解しておく必要があります。
店舗開発
「店舗開発」は、コンビニを新規出店する土地を探したり、地域ごとのマーケティングをおこないます。
その場所に店舗を出すことで得られる売上げがどれくらいなのか、人の多さなどを分析して予測を立てて開発に着手します。
それぞれの土地や地域に合わせた店舗づくりや、商品展開なども提案することがあります。
商品開発
名前の通り、新しい商品を開発する仕事です。流行や消費者の声をもとに、既存の商品のリニューアルを手掛けることもあります。
消費者の求めている商品が何なのか考えたり、環境配慮やコスト削減も意識しながら開発に臨む必要があります。
日々変わっていく人々の生活スタイルや消費志向、季節感などにも目を向けなくてはならず、トレンドを先回りして察知する力や創造性が必要とされます。
マーケティング
レジのデータや市場調査、消費者の動向などをデータ分析して、売上げアップに貢献する仕事です。
テレビや新聞、SNSや店内のPOP、ポスターなどを活用して自社の商品やサービスを知ってもらい購入へ促す、広報・PRの役割まで担います。
データを運用する分析力だけでなく、集まったデータから具体的にどのようなアクションをおこなうべきかを、他の職種の人に伝えて連携する、コミュニケーション能力やプレゼン力が求められます。
品質管理
消費者の手元に届くまでの、商品だけでなく、店舗や工場などの品質までを管理する職種です。
衛生面のチェックや設備の安全性の点検、パッケージの表示など含めた商品の審査をするのが主な仕事内容です。扱う商品や店舗の数が多い中で、細かい問題を発見する洞察力が必要になります。
仕入れ・物流
「仕入れ・物流」はコンビニ店舗で販売する他企業の製品・商品の選定などをおこなう職種です。物流のルートや量を設定し、販売計画を立てます。
世の中のニーズや、勢いのある商品など情報を頭に入れ、店舗で販売するまでの筋道を立てる計画性が必要です。また、薄利多売が前提のコンビニ業界では、仕入れ値交渉が、企業全体の売り上げを左右するので重要です。
他社製品のノウハウを活かして自社ブランドの商品の企画・開発などをおこなうこともあります。
大手物流業界の現状については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あなたがコンビニ業界に向いているか、確認してください
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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就活生に聞いた! コンビニ業界志望者がなりたい職種
コンビニを運営する企業での働き方はさまざまありますが、コンビニ業界を志望する就活生はどのような職種を目指しているのか気になりますよね。就活生の皆さんに聞いた、コンビニ業界でなりたい職種の回答結果がこちらです。
集まった回答の中で、最も多かったのが商品開発職で、約3人に1人が志望していることがわかりました。
企業によって力を入れている開発分野もさまざまなので、企業研究をじっくりおこない特色を把握することが大切になりそうです。
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コンビニ業界の売上高ランキングTOP5
コンビニ業界の売上高ランキング
- 1セブン&アイホールディングス 6兆0,632億円
- 2ローソン 6,983億円
- 3ファミリーマート 4,514億円
- 4ミニストップ 1,836億円
- JR東日本クロスステーション 1,356億円5
参照:「コンビニ業界(2021年-2022年)|業界動向サーチ」
コンビニ業界の売上高ランキングは、上記の通りです。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3社が上位を占めているのがわかります。
企業選びの際には、それぞれの特徴や強みなどを知っておく必要があります。以下より、売上高ランキングの上位5社を紹介します。それぞれの違いをしっかりと理解して、自分に合った企業を見つけていきましょう。
①セブン&アイ・ホールディングス
- 企業名:株式会社セブン&アイ・ホールディングス
- 代表取締役社長:井阪 隆一
- 資本金:500億円
- 設立:2005年9月1日
参照:「会社概要|セブン&アイ・ホールディングス」
セブンイレブンを展開している企業です。セブンイレブンはコンビニ業界で最大手の店舗であり、業界内で1位の売上高とシェア率を誇っています。
また、国内だけではなく、海外でも事業展開を進めているグローバルな企業でもあります。韓国、台湾、マレーシアなどアジアを中心に事業を展開しており、ノルウェー、スウェーデン、デンマークなど北欧にも店舗を出店しています。
セブンイレブンが業界内でシェアを拡大した秘訣として、「プライベートブランド戦略」があります。日本デリカフーズ共同組合(NDF)と呼ばれる団体と提携し、セブンイレブン専門の商品を安価で販売することができるようになりました。
工数を減らすだけでなく、独自ブランド開発により「固有の価値」を出したこともポイントです。
コンビニ業界の最大手として働きたい人、海外でも幅広く働いてみたい人に向いている企業です。
②ローソン
- 企業名:株式会社ローソン
- 代表取締役社長:竹増 貞信
- 資本金:585億664万4千円
- 設立:1975年4月15日
参照:「会社概要|ローソン」
ローソンを展開している企業です。コンビニ業界では高い位置づけを誇り、セブン・イレブンに次いで2位の売上高とシェア率を誇っています。
ローソンも国内にとどまらず、海外にも事業展開しているグローバルな企業です。中国やインドネシア、タイ、フィリピンなどアジア地域を中心に、ハワイにも事業を展開しています。
ローソンの戦略としては、「差別化戦略」というものがあります。具体的には「店舗展開」「健康戦略」といった内容です。ローソンは100円で購入できるローソンストア100、自然の食材を販売するナチュラルローソンなど幅広い店舗展開を実施しています。
また、国内では14年には成城石井をグループに入れ、18年上期までにスリーエフ全店をローソンの共同ブランド店に転換させるなど大きな動きも見せています。
さまざまなオリジナル商品を導入しているローソンは、商品企画や販売促進に注力しています。
③ファミリーマート
- 企業名:株式会社ファミリーマート
- 代表取締役社長:細見 研介
- 資本金:166億5900万円
- 設立:1981年9月1日
参照:「会社概要|ファミリーマート」
ファミリーマートを展開している企業です。サークルKサンクスを傘下に持つユニーグループホールディングスとの経営統合により、規模を拡大しています。そのため、現在の店舗数はローソンを抜き、業界1位のセブン・イレブンに迫る勢いです。
台湾、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア圏を中心に事業を展開しています。
ファミリーマートの戦略は「他社がやらないことをする」というものです。具体的にはドン・キホーテや薬局との提携、多くのポイント提供会社と手を組むといった戦略になります。
ファミリーマートは「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というキャッチコピーが有名です。その名の通り、多くの企業と手を組み、利用者の生活において必要不可欠な存在となることを目指しています。
企業規模拡大を見せる中で、24時間営業の見直しなど新たな取り組みをおこなっている企業でもあります。柔軟な社風を求める学生に向いている企業だと言えるでしょう。
④ミニストップ
- 企業名:ミニストップ株式会社
- 代表取締役社長:藤本 明裕
- 資本金:74億9,153万3,000円
- 設立:1980年5月21日
参照:「会社概要|ミニストップ」
ミニストップを展開している企業です。国内のコンビニ業界はセブン・イレブン、ローソン、ファミリーマートの3強が続いていますが、その中でも中堅コンビニ店舗として業界4位の売上を誇っています。
国内出店数は上位3社に比べると多くはありません。海外では中国、韓国、フィリピン、ベトナムなどアジアの地域で3,000店以上の店舗を出しています。
ミニストップは独自のブランドでスイーツを提供しており、新業態のソフトクリーム専門店「ミニソフ」の出店も進んでいます。
「ミニストップと言えばソフトクリーム」といったイメージを大切にし、40年も培ったノウハウを活かして、他社と差別化できる新しい事業を展開しているのが戦略です。
スイーツを中心とした商品開発に携わりたい人に向いている企業だと言えるでしょう。
⑤JR東日本クロスステーション
- 企業名:株式会社JR東日本クロスステーション
- 代表取締役社長:西野 史尚
- 資本金:41億100万円
- 設立:2021年4月1日
参照:「会社概要|JR東日本クロスステーション」
Newdaysを展開している企業です。主にJRの駅構内でコンビニ事業を展開しています。
「BECK'S COFFEE SHOP」や「いろり庵きらく」などの飲食事業、「acure」ブランドとしての自動販売機事業や飲料商品開発事業、「ecute」「GRANSTA」などのエキナカ商業施設運営事業を展開する4社を統合して誕生しました。
「駅という場所を最も価値のある場にどう創っていくか」ということを使命とし、駅の役割や商品・サービス、地域や環境との共生などの向上に向けた取り組みを進めています。
大学3年生におすすめ!
あなたとコンビニ業界の適性を確認してください
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コンビニ業界の現状や動向を踏まえて企業研究を進めよう
今後もコンビニの需要は高まっていくので、人気な業界であることに変わりはありません。コンビニ業界では企業ごとにさまざまな工夫が取り入れられ、しのぎを削っています。
コンビニ業界の現状や動向を踏まえて、社会情勢の変化に合わせて利便性を高めていくことが、コンビニ業界で働くうえで重要な視点になります。
普段から利用するコンビニだからこそ、顧客目線での意見を考えやすいのが特徴です。コンビニ業界を志望するなら、企業分析に加え、「どのようなサービスがあると便利か」を考えることからはじめてみましょう。
コンビニ業界の志望動機の書き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【コンビニ業界に関する調査】
- 調査方法:ポート株式会社が運営する企業口コミサイト「就活会議」会員へのダイレクトメール
- 調査日:2022年8月24日~29日
- 調査元:「就活の未来」を運営するポート株式会社
- 調査対象者:23卒・24卒の就活会議会員の111人