業界研究

【スーパー業界徹底研究ガイド】就活に役立つ情報を一挙大公開!

スーパー業界とは

人々の生活に欠かせない多くの「食」を扱っているのが、スーパー(スーパーマーケット)業界です。コンビニと同様、日々の暮らしを支える存在ではありますが、精肉・鮮魚・青果などを取り揃え、店舗の規模によりますが、常時10,000以上の商品が販売されています。

そんなスーパーには、「人が生きていくために必要なものを提供している」という社会的使命もあると言えるでしょう。今やインフラ(電気・水道など)のような存在で、スーパーなしでは、生活が成り立たないといっても過言ではありません。

スーパー業界の概要

リーディングカンパニーとして、「イオン」と「セブン&アイ・ホールディングス」が挙げられます。この業界では「2強」として認知されており、「イオン」は、マルエツ・マックスバリュ、「セブン&アイ・ホールディングス」では、イトーヨーカ堂・ヨークマートなど、消費者にとって身近な店舗を運営している組織です。

近年では、プライベートブランドの拡大が目立ちます。他にも、人材不足解消の方策としてお客さんが自分で会計を済ます「セルフレジ」、地元商品を売り込む「地域密着型」が導入されています。また増加傾向にある共働き世帯や急増している高齢層向けの惣菜強化など、市場動向や消費者心理を把握した店舗展開も特徴です。課題としては、「リアル店舗」はいかにしてネットショッピングと差別化を図るかでしょう。

スーパー業界の業績推移について

  • 業界規模:17兆2,020億円
  • 平均年収:519万円
  • 平均勤続年数:13.7年

数年前までは減少傾向にあったものの、現在では、17兆円を超える業界規模になっています。専門企業の台頭により、食品以外の商品は消費者から遠のき、低価格指向も相まって低迷していた時期がありました。しかし、食料品中心のスーパーが惣菜・生鮮食品を販売強化し、業界の拡大を成功させました。

平均年収は、業界規模の大きさに比べると、少し低いかもしれません。しかしこれは、あくまでも平均の数値です。年収800〜900万円クラスの企業もいくつかあります。平均継続年数も低めではありますが、長いところでは、20〜30年以上の企業もあります。

スーパー業界の細かい職種分類について

  • 販売スタッフ
  • 店長
  • バイヤー・在庫管理
  • スーパーバイザー
  • 運営・企画

スーパーの仕事というと、レジ打ちや品出しをイメージすることが多いですが、もちろんさまざまな職種が存在しています。「販売スタッフ」は、店舗規模により担当する売り場が決められており、「店長」は所属している店舗全体のマネジメントやアルバイト・パートの管理・指導などを行います。

アパレル業界で馴染み深い「バイヤー」ですが、スーパー業界にも、商品の買い付けを行う仕入れ担当のポジションがあります。昨今の顧客ニーズを把握し、安値で購入できるかどうかがポイントの職業です。

他にも、さまざまな調査を実施し、販売戦略を考える「運営・企画」、ひとつの店舗だけではなく、担当する各店舗を周り、現場での指導・マネジメントをする「スーパーバイザー」も重要な仕事です。

あなたがスーパー業界に向いているか、確認してください

就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます

そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

診断スタート【無料】

スーパー業界の動向

スーパー業界の売り上げは、平成17年から19年にかけて増加傾向となっていました。その後、平成22年までは減少、平成23年頃から再び増加となっています。減少の原因として考えられることは、不況による消費全体の落ち込み、収入減で低価格志向が強くなったことが挙げられます。

加えて、ユニクロやニトリと言った専門店が、格安商品を販売し、顧客が流出したことなども減少の理由のひとつです。平成24年末に政権が交代した影響もあり、消費も回復傾向に変わりました。平成26~27年は、特に食料品を中心とした生鮮スーパーが好調です。一方、総合スーパーは衣料品の落ち込みが目立ち、苦戦を強いられている状況です。

近年では、各社でプライベートブランド商品の展開に力を入れています。卸売業を通さないため、高い利益率を確保でき、デザインでオリジナリティを出せるなどの利点があります。消費者によっても、安い価格で商品を購入できるので、双方にメリットが大きくなっています。

スーパー業界の課題

他の産業と同じように、少子高齢化による市場の減少はスーパー業界にとっても、大きな課題のひとつとなっています。長期的な目で見ると、人口は年々少なくなっていくと考えられています。来店する顧客そのものの数が減ってしまうため、利益の増加も見込めません。

企業の売り上げが落ち込み、最終的には業界の規模が縮小すると懸念されています。設備や機器の進化、ITの発展によって、スーパーの店舗は簡素化が進んでいます。自動セルフレジ、POSによる販売動向の把握など、これまでの業務を変える技術も登場しています。

コストを抑えて収益を上げることは、どの業界においても重要です。しかし、全てを簡素化してしまうと、商品の販売というスーパーの本質といえる仕事が不要になる可能性もあります。適切なバランスを見極めることも忘れてはいけません。

市場の縮小

先ほど挙げた、人口減少はどの産業にも共通する課題となっています。消費者の数が減ることで、売り上げ全体が落ち込み、市場は年々縮小していくと考えられます。人口減少を食い止めるのは困難と言われているため、他の打開策が必要です。

また、オンラインショップの普及も、スーパー業界にとって売り上げ減少の要因です。自宅で気軽に買い物ができるインターネットは、消費者にとても便利なシステムですが、外出して店舗へ行く機会が少なくなるため、実店舗しか持たないスーパーは売り上げが減少しています。

これから先、さらにネットショップの顧客は増加すると予測されています。Amazonなどのネット通販や大手オンラインショップに対抗できるよう、新たなサービスやビジネスを模索してくことが課題となります。

人手不足

多くのスーパーでは人手不足が問題となっています。人手が足りないと勤務時間が増やされ、自由に休みを取れなくなるなど、労働環境の悪化に繋がる恐れがあります。そのために人材が確保できず、さらに人手不足に陥るという悪循環が起こってしまいます。

スーパーは年中無休で営業している店舗が多く、土日祝日などは休みにくくなっています。主婦や学生、家族を持つ人などは、世間一般に休日とされている日に仕事があると、大きな負担になります。早朝から深夜まで営業をおこなう店舗では、勤務の時間もネックとなります。

朝6時頃からの勤務となると、働ける人も限られてしまいます。また、スーパー業界は接客業の中でも給与が低い職種です。店舗の営業スタイルや労働条件の改善をおこない、人材を確保することが、今後の課題といえます。

スーパーの志望動機については、こちらの記事で詳しく解説しています。

主要企業5選

前半部分でスーパー業界における「2強体制」のご紹介をしましたが、他にもさまざまな企業が存在しています。IT系の企業のように、パソコン1台で創業できる業界ではありませんが、右肩上がりで成長しているため、今後は新規参入してくる企業があるかもしれません。

また、地方を基盤に事業展開しているケースが多々見受けられるのが、この業界の特徴と言えるでしょう。M&Aも盛んで、さまざまな企業が統合し拡大していることも、頭に入れておくべきことです。

①イオン株式会社

  • 企業名 イオン株式会社
  • 代表者名 岡田 元也
  • 従業員数 52,0000人(グループ従業員数
  • 設立年月日 1926年(大正15年)9月

イオン株式会社は、イオンリテール、マックスバリュ、まいばすけっとなどのイオングループを統括する業界最大手の企業です。営業収益は8兆円を超え、6年連続で全国1位、総合スーパーの店舗数は626店舗、モールの数は303施設と破格の数字を叩き出している会社です。もちろん、国内だけでなく海外にも事業を展開しています。

イオンの特徴は、この大きな事業規模だけでなく、女性が大いに活躍している企業であることです。ダイバーシティを推進し、女性社員向けの多彩な研修、事業所内に保育園の設置など、さまざまな形で女性の労働をバックアップしてきました。その結果、「女性が活躍する会社 Best100 2017」にて、「女性活躍推進度 1 位」に選出されたのです。

②株式会社セブン&アイ・ホールディングス

  • 企業名 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
  • 代表者名 井阪 隆一
  • 従業員数 140,938人(※月間163時間換算の臨時従業員含む)
  • 設立年月日 2005年(平成17年)9月1日

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、スーパー業界における2強のひとつです。おなじみのコンビニエンスストア「セブンイレブン」だけでなく、総合スーパー「イトーヨーカドー」、食品スーパー「ヨークマート」など、多彩な事業を展開しています。ちなみに、若年層に馴染み深い「LOFT」「Francfranc」「TOWER RECORDS」も同じグループなので、覚えておいても損はありません。

イオン株式会社と同様、女性に対する積極的な雇用を行っています。また文化事業のひとつとして、子どもを実店舗で実際に働かせるなど、子どもたちの成長に対して積極的なサポートをしています。業界大手の2強には、こうした社会性の強いパフォーマスが目立つと言えるでしょう。

ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社

  • 企業名 ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社
  • 代表者名 高柳浩二
  • 従業員数 16,601名(連結)
  • 設立年月日 1981年(昭和56年)9月1日

ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社は、総合スーパー「アピタ」や「ピアゴ」を運営している会社です。そして社名の通り、コンビニエンスストア「ファミリーマート」も展開している流通企業のリーディングカンパニーのひとつです。

社風としては、「現場主義」を尊重し、個々人がチャレンジできる環境を整備しています。若い時から仕事を任せて、一人前の社員として、すぐにでも独り立ちできる職場なのです。従業員ひとりひとりに期待しているからこそ、責任感を持たせ、のびのびと活躍できるのでしょう。

株式会社イズミ

  • 企業名 株式会社イズミ
  • 代表者名 山西泰明
  • 従業員数 正社員2,339名/パートタイマー5,030名(1日8時間換算)
  • 設立年月日 1961年(昭和36年)10月27日

株式会社イズミは、広島県に本社を構え、中国・九州地方を中心に「ゆめタウン」「ゆめマート」といったさまざまなタイプのスーパーマーケットを展開している会社です。この業界における主流のプライベートブランド戦略ではなく、別の切り口で商品展開しているのが特徴だと言えるでしょう。

また本社には、「学び続けることが大切」という思いから、社員全員が利用できる「ゆめ図書館」を設置しています。時代の変化を楽しみながら対応できるよう、最新情報を網羅している図書館は、自分磨きに最適な場所です。

⑤ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社

  • 企業名 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社
  • 代表者名 藤田元宏
  • 従業員数 6,811名(連結)
  • 設立年月日 2015年3月2日

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社は、「マルエツ」「カスミ」「マックスバリュ関東」の3社をグループ企業にもつイオン系の会社です。首都圏を中心としたスーパーマーケット事業を展開し、2020年までには、1,000店舗まで数を伸ばす野心に溢れています。

創業70年以上の歴史を持つ「マルエツ」では、培ってきたノウハウから築き上げた人材育成が魅力のひとつです。スーパーでの業務に欠かせない知識やスキルを習得できる研修や入社後のフォローも手厚く、まったくの初心者でもイキイキと活躍できる環境でしょう。

インターンシップの必要性については、こちらの記事で詳しく解説しています。

大学3年生におすすめ!
あなたとスーパー業界の適性を確認してください

就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます

そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。

適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。

診断スタート(無料)

スーパー業界研究のおすすめ書籍

スーパー業界についてのさまざまなニュースや知識を手に入れるために、ネットは有効活用すべきです。しかし、無料で掲載されているすべての記事を読んでも、業界の知識を深められるとは限りません。

書籍の場合は、ネットにはない情報があり、内容も極めて濃い可能性が高いため、スーパーについて見識を深められるはずです。1冊でも目を通しておけば専門知識が身につき、面接の際、他の就活生との差別化を図れることでしょう。

すぐ分かるスーパーマーケット陳列と演出ハンドブック

すぐ分かるスーパーマーケット陳列と演出ハンドブック』という本は、リアル店舗における商品の陳列や演出が、いかに大切なのかを説明しているものです。たくさんの商品が売れることにより、店舗の業績は伸びていきます。そのため、効果的な売り場の商品陳列や演出は、どのお店にも欠かせません。

スーパーにおけるものの売り方・見せ方を学ぶには、最適な書籍だと言えるでしょう。面接前だけでなく、入社後、現場で働くときにも持参していたい1冊です。競合他社がどのような商品開発をしているのか、販売戦略をしているのかをリサーチすることは大切です。しかし、ビジネスでは「売り上げをアップすること=ものを売ること」がもっとも重要視されるので、売り方のメソッドは頭に入れておくべきでしょう。

新・スーパーマーケット革命---ビッグビジネスへのチェーン化軌道

新・スーパーマーケット革命---ビッグビジネスへのチェーン化軌道』という本は、日本のスーパー業界における問題を指摘しつつ、どのような経営をすべきかまとめた1冊です。

前半でもご紹介した通り、スーパー業界の規模は、年々拡大しています。その数字は、激しい競争の結果だとも言えるでしょう。そうした小売業のサバイバル状態の中で、いかにして勝ち残っていくかの具体的な内容は、スーパー業界に身をおく者として知っておくべきです。

いざ働くとなれば、細かい知識や規則は、研修などを通して習得できるものでしょう。しかし、業界の目指すべき道などの話は、自身でアンテナを貼っておくべきです。そうすれば、面接の際「やりたいこと」「実現したいこと」を問われても、ハキハキと答えられるに違いありません。

スーパー業界を深く知って就活を有利に進めよう

スーパー業界は今後も伸びていくことが予想されているからこそ、仕事のやりがいを存分に感じれる業界です。もっと楽しく働くためには、そしてもっと業界を盛り上げるためには日々の勉強が欠かせません。チャレンジ精神を忘れることなく、スーパー業界に飛び込んでください。

業界研究のやり方について、更に詳しく知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

記事についてのお問い合わせ