業界研究

【電機業界研究ガイド】売上高ランキングや主要企業の詳細を紹介

電機業界とは

電機業界は戦後日本の経済成長を支えてきた一大産業であり、日本の優れた「ものづくり」として世界的にも評価されてきた業界です。日本の代表的な産業の1つであるため人気のある業界と言えますが、昨今はニーズの多様化やIotなど変化の大きい業界でもあります。

電機業界に進みたいと考える就活生にとって、昨今の電機業界の様子を知っておくことは必須です。そこでこの記事では電機業界について詳しく紹介していきます。

電機業界

電気業界は国内123業界中、卸売り業界に次いで2位の規模を誇る業界です。電機業界は家電業界、重電業界、時計業界やOA機器業界、半導体業界など、さらに細かく分解することができます。

同じ電機業界の中であっても、企業ごとに事業内容や注力分野が異なるのが電機業界の特徴です。以前は掃除機や電子レンジ、炊飯器など、日常生活に必要な家電やテレビが消費され、売り上げを伸ばしてきていました。ところが昨今は、世界的な経済の落ち込みや韓国企業との競争激化などにより、大手企業も業績不振に陥りました。

これらを受け、各企業は事業内容を工夫し、自社の強みを活かすよう見直しを進めています。

電機業界の業績推移について

  • 業界規模:83兆8,018億円
  • 平均年収:636万円

電機業界の業界規模は日本国内でトップクラスです。しかし細分化して見ていくと、業績が良い分野や苦戦している分野など、分野ごとで状況が大きく異なっている状況です。2015年度の業績で言えば、重電分野や時計分野は業績が好調でしたが、家電やOA機器、半導体分野では前年比がマイナスとなってしまっていました。

全体的に見ると2007年から2009年にかけて業績が落ち込み、2012年までは横ばい、その後2013年からは徐々に回復しつつ横ばいといった傾向があります。

平均年収は全業界の平均よりも若干高い水準です。しかし、企業ごとの格差が非常に大きいのが特徴です。企業によっては平均年収が1,700万円を超えている企業もあり、逆に平均の600万円台を大きく下回る企業もあります。平均勤続年数も企業ごとに差があり、20年を超える企業もあれば14年を切る企業もあります。

参考:業界動向リサーチ

電機業界の細かい職種分類について

  • 研究・商品開発
  • 企画
  • マーケティング
  • 品質管理
  • 生産企画
  • 物流管理
  • 生産ライン設計
  • 営業

事業内容など、とても幅の広い電機業界ではありますが、大まかに分類すると、職種は上記の4種類です。研究・商品開発では、専門的な研究を行い、新たな商品やそれを作るための技術・素材などを生み出します。最近では環境技術の開発・研究などが注目されています。

企画・マーケティングは世の中のニーズを捉え、新製品の企画やマーケティング、消費者の動向調査など幅広い業務が求められる職種です。生産は、実際に商品が生産される過程に携わります。生産ラインの管理から品質管理、在庫や発注予測の管理まで手広く行います。営業は、販売店や商社などに自社製品を売り込むことが主要業務です。

電機業界の売上高ランキングTOP10

電気機器業界 売上高ランキング

  1. 日立製作所 10兆0,343億円
  2. ソニー 8兆1,057億円
  3. パナソニック 7兆5,537億円
  4. 東芝                 5兆6,686億円
  5. 富士通                4兆7,392億円
  6. 三菱電機                    4兆3,943億円
  7. キャノン                    3兆8,002億円
  8. NEC                       2兆8,211億円
  9. シャープ                    2兆4,615億円
  10. リコー                     2兆2,090億円

業界動向ランキングを参考に電気業界のランキングを紹介します。日本の10%以上のシェアを持ち、圧倒的な売上高ランキング1位なのが、日立製作所です。続いて2位3位はシェア率売上高ともに競うソニーとパナソニックがランクインしています。

主要企業5選紹介

電機業界の事業範囲は非常に広いです。そのため、この業界に属する企業ごと、事業内容はそれぞれ異なっています。これまで売り上げを上げてきた家電が不振になるなどを受け、各企業の中で事業の見直しも行われています。

もし電機業界に進みたいと考える場合、各企業の事業の特徴や今後の展望などを詳しく知っておく必要があるでしょう。そこでここからは、電機業界の主要5企業について紹介していきます。

株式会社日立製作所

  • 企業名 株式会社日立製作所
  • 代表執行役 執行役社長兼CEO 東原 敏昭
  • 従業員数 35,631人(単独)・303,887人(連結)
  • 設立年月日 1920年(大正9年)2月1日

株式会社日立製作所は、日本の電機業界で最大の売り上げ・シェアを誇っている代表的な企業です。基本理念は、創業精神でもある「和・誠・開拓者精神の高揚」、「日本人としての誇りを堅持して優れた自主技術・製品の開発で社会に貢献する」です。

展開している事業分野は非常に多岐に渡っています。情報・通信システム、電子・装置システム、社会・産業システム、建設機械、高機能材料、生活・エコシステム、オートモティブなどが代表的な事業分野です。

2009年からは「社会イノベーション事業」に力を入れています。これは、日立がこれまで培ってきた技術で社会的課題の解決に貢献することを目指す事業です。Iot時代において、さまざまなシステムを「つなぐ」ことで付加価値を生み出し、貢献することが強調されています。技術で社会に貢献したい人、新たなイノベーションに挑戦したい人などにおすすめの企業です。

ソニー株式会社

  • 企業名 ソニー株式会社
  • 代表執行役社長兼CEO 平井 一夫
  • 従業員数 128,400人(連結)
  • 設立年月日 1946年(昭和21年)5月7日

ソニー株式会社は日本を代表する電機会社です。代表的な事業はテレビやビデオ、オーディオ、デジタルカメラやスマートフォン、ゲームや映画、音楽、金融まで幅広いです。ソニーの特徴は「人のやらないことをやる」というチャレンジ精神を重視している点にあります。これまで既存の事業の枠にはまらずに新しいことに挑戦してきました。

AIの実用化など、技術の進歩によって人々の生活はどんどん新しく変化しています。このような時代に、ますます積極的に新たな挑戦をしようとしている企業です。これまでになかった感動や文化を創り出すこと、挑戦を重視する社風に共感する方には特におすすめの企業です。

パナソニック株式会社

  • 企業名 パナソニック株式会社
  • 代表取締役社長 津賀 一宏
  • 従業員数 257,533人(連結)
  • 設立年月日 1935年(昭和10年)12月15日

パナソニック株式会社は主に家電などに力を入れている、国内で代表的な電機会社です。家電以外の電化製品、FA機器、情報通信機器、住宅関連機器など、製品分野は多岐にわたっています。創業以来の理念は事業を通じた人々の「くらし」の向上と社会の発展です。

創業者の松下幸之助は、「ものをつくる前に、人をつくる」という言葉を残しています。そのため、人材を非常に重要視している企業であると言えるでしょう。パナソニックは今後も、世界を舞台に未知のことに挑戦していきたいと考えています。

そのために求められる人材として、「世界で戦える尖った強みを持った人」、「大きな夢と高い志を持ち、チャレンジし続ける人」、「新たな価値を創造し、変革できる人」を掲げています。仕事を通じて新しい時代の新しい暮らしに貢献したい人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

株式会社東芝

  • 企業名 株式会社東芝
  • 代表執行役社長 綱川 智
  • 従業員数 153,492人(連結)
  • 設立年月日 1875年(明治8年)7月(創業)

株式会社東芝も、日本を代表する電機会社の1つです。不正会計問題、原子力事業の損失発生などを受け、新たな事業体制をスタートさせています。現在東芝の注力領域は主に社会インフラです。リテールやプリンティング、ビルや施設、鉄道・産業システム、公共インフラが注力領域に挙げられています。また社会インフラ以外にエネルギー分野も注力領域に挙げられ、電力流通や発電への貢献も掲げられています。

「新生東芝」を掲げ、人事採用にも力を入れています。人物像としては、「実現したい夢がある人」、「周囲と協力し合える人」、「自ら考え実践し、やりとげる人」が求められています。「世の中のためになりたい、人の役に立ちたい」という理念に共感し、企業と共に成長していきたい人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

富士通株式会社

  • 企業名 富士通株式会社
  • 代表取締役社長 田中 達也
  • 従業員数 155,000人(連結)
  • 設立年月日 1935年(昭和10年)6月20日

富士通株式会社は主にICT分野でさまざまなサービスを提供し、最先端・高性能・高品質の商品やデバイスを主に製造・販売している大企業です。グローバルなサービス体制に強みがあり、世界中のお客様のICT利用をサポートしています。

商品としては、パーソナルコンピュータの"LIFEBOOK"、ドコモ向けスマートフォン"arrows"、カーナビゲーションの"ECLIPSE"などが代表的です。このほか高品質な半導体製品にも強みがあります。

企業理念では「常に変革に挑戦し続ける姿勢」が強調されています。求められる人材像は、「未知なるものに楽しんで取り組める人」、「志を持って挑戦・探求し続けられる人」、「困難なことに対して最後までやり遂げられる人」です。新たなことへの挑戦意欲と粘り強さの両方を発揮してみたいと考える人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

電機業界研究のおすすめ書籍紹介

業界研究を深めるためには書籍を読むことが不可欠です。もちろん電機業界を巡る昨今の出来事や業界の概要などはインターネットで簡単に知ることができるでしょう。しかし、情報の信憑性や深さは書籍の方が勝っています。

書籍は情報が体系立ててまとめられているため知識として定着しやすく、最新情報への理解度を深めることもできるでしょう。インターネットの情報と違い、書籍はお金がかかりますが、その分役立つ情報が得られる価値は大きいと言えます。

図解入門業界研究最新電機業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版]

図解入門業界研究最新電機業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版]』という本は、業界研究の定番シリーズの1冊です。先にも書いた通り、電機業界は韓国企業との競争激化などにより、業界再編が進み、変化の大きな業界となっています。

このような業界の状況と、業界の基礎知識をわかりやすく解説しているのがこの本です。前半は電機業界がどのような業界かということを、電機業界のこれまでの歴史とともに紹介しています。その後、代表企業のビジネスモデルや業界トレンド、現場の仕事や課題・今後の展望までまとめています。短時間で効率よく業界の大事なポイントを押さえたい場合に最もおすすめの1冊です。

日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか

『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』という本は、具体的な企業の動向を追いつつ、これからの時代の電機業界での戦い方や勝機にクローズアップした書籍です。経済アナリストである著者が、電機メーカーのトップマネジメントに取材し、それをベースに日本の電機業界に対して深い考察を行っています。

昨今の出来事や動向をただ取り上げるだけでなく、企業の歴史などの背景も踏まえつつ、今後を予測していく書籍です。鋭い視点からの分析で電気業界を巨視的に捉えることができるため、おすすめです。

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電機業界を深く知り就活を有利に進めよう!

電機業界は非常に規模の大きな業界であり、これまでの日本の産業を支えてきたことから、非常に人気のある業界と言えます。しかしその一方、世界経済の落ち込みや韓国企業との競争、ニーズの多様化などを受け、業界再編が進む変化の大きな業界でもあります。

変化の大きな業界である分、新しい時代を切り拓くような挑戦をしたい人には向いているとも言えるでしょう。いずれにせよ、十分に情報を集め、業界・企業について深く知った上で志望先を選択していくようにしましょう。

こちらの記事では、電気工事士の志望動機の書き方について詳しく解説しています。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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