内定について

【内定率とは】過去5年の推移や2021年卒の就活状況を解説

内定率とは

内定とは、学生の入社が約束された状態のことです。企業は採用通知を発行し、学生は内定承諾書を提出することで、互いの採用と入社の意思を確認します。そして内定率とは、就職希望者に対して内定を得た人の占める割合のことです。内定率は、厚生労働省がおこなう調査をもとに発表されます。

内定率を知ることで、就活状況が把握できます。例えば内定率が下がっているということは、企業が例年より採用に消極的になっているということです。その原因を調査し、対策を練る必要があるでしょう。

就職氷河期のとき、大卒の就職は難航していました。しかし、今は就職率は高くなっています。それに伴い内定率も高くなっています。この記事では、近年の内定率を詳しく解説していきます。理系文系別の内定率も紹介しているため、今後の就活の参考にしてください。

下記の記事では、内定がもらえない人の特徴について解説しております。

厚生労働省が統計した過去5年の内定率推移

年度別の大学生の内定率

  • 平成27年度 97.3%
  • 平成28年度 97.6%
  • 平成29年度 98.0%
  • 平成30年度 97.6%
  • 令和元年度 98.0%

2020年版文理別の内定率

大学には複数の学部があることが多いです。そして、学部ごとに学習している分野が異なります。そのため、企業によって関心のある学部は異なるでしょう。

ここでは、文理別での内定率を紹介しています。内定率の数字は厚生労働省が公開している、2020年版「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」を参考にしています。学部別の内定率をみることによって、今の企業がどんな人材により関心を抱いているのか判断できるでしょう。

理系の内定率は98.5%

理系の内定率は、98.5%です。非常に高い内定率です。以前より理系は就職に有利といわれてきましたが、現代でも就職に有利であることに変わりはありません。

理系が就職に有利な理由を分析してみましょう。現代の産業はサービス産業も増えてきましたが、今でも工業系の企業が日本の中核になっている図式は変わっていません。その結果、新卒社員にも理系の人材が求められると考えられます。理系の学生は専門知識が備わっていることから即戦力になりやすいのも、企業に好まれる理由でしょう

資源の少ない日本では、これからも工業系の企業の活動が活発化してくる可能性が高いです。企業の活動が活発化してくれば、新しい人材が必要になってきます。理系が就職に有利な傾向は、当分は続くことが予想されます。

下記の記事では、理系の就活について解説しております。

文系の内定率は97.8%

文系の内定率は、97.8%です。理系との差は0.7%です。理系の方が文系よりも内定率が高いですが、さほど大きな差ではありません。

文系の学生の多くは内勤もしくは営業職として就職することが多いでしょう。営業の人材はどこの会社であっても必要とされています。物を作る人がいても、売る人や紹介する人がいなくては会社は存続できません。そのため、文系の学生の就職先も非常に幅広く用意されています

就職氷河期の不景気な時代のとき、文系の学生は理系より低い内定率でした。就職氷河期にあたる平成12年度、文系の内定率は91.6%で当時の理系より1.7%低い結果です。しかし今は、文系だからといって、就職が難航することはないでしょう。文系でも専門知識がある人材は、企業で活躍する道があります。自信をもって就職活動に臨みましょう。

2020年版男女別の内定率

厚生労働省による調査では、男女別の内定率も公開しています。こちらの調査も2020年版です。男女別の内定率だけではなくて、国立大学と私立大学別の内定率も公開しています。

調査結果は、これから大学進学を考えている人の参考にもなります。男子と女子では仕事内容が異なることが多いため単純な比較はできませんが、以下の内容を読んでもらえば男性であっても、女性であっても就職に関して前向きになれるでしょう。

男性の内定率は97.5%

令和元年度大学等卒業者の就職状況調査によれば、男子大学生の内定率は97.5%です。国立大学では97.9%・私立大学では97.4%の結果になりました。国立大学を卒業しても私立大学を卒業しても、就職に不利にはならないことを数字は物語っています

しかし、学閥色が強い企業であれば、卒業大学が就職に影響してくる可能性はあるでしょう。どうしても入社したい企業で特定の大学の卒業生が多い場合、大学選びの段階から就職への戦略を立てるべきです

男性の場合は、女性と比較すると、長期間同じ企業で働くケースが多いでしょう。定年まで同じ会社で働きたいのであれば、学校別の就職状況はしっかりと調査しておくことが必要です。

女性の内定率98.5%

調査によれば女性の内定率は、98.5%になっています。国立大学では98.6%、私立大学では98.4%の結果です。男性と比較すれば、女性の方が、国立大学卒・私立大学卒の区別なく内定率が高いです

以前は女性であるだけで、大学を卒業しても就職に不利なことがありました。そのため、女性の内定率も高くなっているのは、評価できることです。

さまざまな求人情報を閲覧すると、求人の内容が多様化している様子が目につきます。企業の中には、女性を積極的に採用しているケースもあるでしょう。思い切った行動力や細やかな気配りができる女性ならではの働き方が、近年の社会で評価されている結果です。そういった理由から、女性の内定率が上がっていると考えられます。

近年は売り手市場のため内定率が上がってきている

経済政策で批判されることがある安倍内閣ですが、数字を見る限りアベノミクスの成果が上がっています。少なくとも就職氷河期の買い手市場の時代からは、完全に脱しているといえるでしょう。景気がよくなれば企業は、未来の展望がみえやすくなってきます。活気ある企業の未来を創るためには、優秀な人材の確保が不可欠です。

しかし優秀な学生は、他の企業も欲しいと思うでしょう。企業側としたら優秀な学生に入社してもらうためには、早めに内定を出すことが有効だと考えます。その結果、男女ともに内定率が上がっていると推測できるでしょう。売り手市場は少なくとも、数年は続く予想です。

2020年卒は面接解禁時点で内定率が7割超え

現在の面接解禁日は6月1日になっています。それにも関わらず、就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、6月1日時点での内定率が7割を超えています。

解禁日の時点で内定率が7割を超えているのは、面接の解禁前に企業と学生が接触を持っていた証拠です。優秀な人材を確保するために、早い段階で学生と関りを持とうとする企業が増えた結果でしょう。

また、面接解禁日に内定者が7割を超えているということは、経団連に加入していない企業がフライングで内定を出している可能性が高いです。真面目に面接解禁日を守っている企業と学生にとっては、迷惑な話でしょう。しかし、経団連に加入していない企業にとっては、フライングで内定を出さなければ優秀な学生を確保できないのが実状ともいえます。

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2021年卒の6月1日時点の内定率は56.9%

就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、2021年3月卒業予定の学生の就職内定率は、56.9%となっています。2020年卒の学生の同時期内定率と比較すると、13.4%低くなっていることが分かります。

これは、2020年1月より日本でも感染の広まっている新型コロナウイルスの影響と考えられます。緊急事態宣言により採用活動・就職活動を自粛せざるを得ない企業や就活生が増えました。4月の就活の停滞により、大きく出遅れてしまったと感じている就活生も少なくないでしょう。

一方で、対面ではなくオンラインでの説明会や面接をおこなう企業も増えています。今後の新しい就活のかたちに順応していくには、これらのサービスを積極的に活用していく必要があります。

内定率についてしっかり理解しておこう

内定率の数字は、就職の際に大事なデータでしょう。このデータを読んでいけば、早い段階で就職の戦略を立てやすいです。

内定率は全体的な数字だけではなく、男女別の内定率と国立大学・私立大学別の内定率もみるようにしましょう。詳細なデータを把握すれば、より確実性のある就職の戦略を立てやすいです。必ずしも戦略通りに進行するとは限りませんが、無駄のない就職活動をするにはデータを活かした戦略は必要です。

現代は売り手市場になっています。大学生に限れば完全な売り手市場であることは、間違いないでしょう。しかし内定率の高さに安心して、胡座をかいていてはいけません。最初の就職先というのは、社会という人生のスタート地点です。よりよいスタート地点に立てるように、内定率を分析して、就職に活かしていきましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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