人材業界は成長が著しい!
リーマンショック以降の不況が続く中、人材業界は急速に成長をし続けています。その理由としては、少子高齢化による企業の人手不足が考えられます。特に、看護師などの医療介護系の専門職の企業側のニーズは多く、それを専門とする求人サイトもオープンしたほどです。
現在は、人材紹介企業による顧客やユーザーの囲い込み競争が行われていて、サービスのプラットフォーム化が進んできています。また人材業界の顧客は、人材の採用だけに限らず、教育や研修などのさまざまな問題を抱えているのも特徴です。
1社で人材派遣や人材紹介の提供、求人メディアへの掲載や研修プログラムの提供などのコンテンツを持っていると、総合的にその顧客への本来の問題への解決に繋がるだけでなく、双方の売上の最大化もはかることができます。
人材業界の主な事業内容4つ
人材業界はさまざま分野での事業を展開しています。ここではその主要な事業を4つ紹介していきます。それぞれの概要、その収益システム(ビジネスモデル)、メリットやデメリットを簡単に分かりやすく説明していきますので、業界研究に役立ててください。
また例として、その事業を展開しているサービス名も挙げていきますので、具体的な仕事のイメージがしやすくなっています。全般的に人材がメインになるので、それだけ人との関わりが重要になってきます。
①人材派遣ビジネス
人材派遣ビジネスとは、自社に登録している人材を顧客となる企業に派遣することです。ここでのポイントは、人材の雇用主が、派遣元である派遣会社である点です。有名な派遣会社としては、パソナなどがあります。
収益方法は、顧客が支払う3割が人材派遣会社の手数料となり、その残りを登録しているスタッフに支払うというものです。メリットは売上が安定していることです。派遣されたスタッフが長く続けば、その期間分の収益が見込みやすく、安定しています。
一方で、デメリットはスタッフへの福利厚生費、社会保険費や研修費がかかり、利益率が低くなることです。逆に受け入れ先企業では、これらを負担する必要がありません。さらに、給与計算や源泉徴収票の作成などの経理事務もしなくていいので、その分の人件費が浮くのです。
主要企業
1. 株式会社パソナ
求職者に寄り添うことを重要視するパソナグループは、専門性の高いキャリアアドバイザーが仕事の紹介から選考、入社までをサポートします。職種や業界ごとにグループ会社があり、幅広い仕事のフィールドも魅力的です。グローバル展開にも力を入れています。
2. パーソルテンプスタッフ株式会社
圧倒的な規模を誇るテンプスタッフは、国内外に606拠点を展開しております。オピニオン調べの「人材ビジネス業績ランキング」6年連続1位となった実績もあります。人材派遣ビジネス業界では歴史ある老舗企業です。
3. 株式会社スタッフサービス
「オー人事」のCMで一躍知名度を上げた人材派遣会社です。求人数は業界トップクラスを誇ります。経営理念に「スピード」を掲げており、登録から働き始めまでのスピード感は多くの顧客に支持される理由の一つです。
その他、株式会社リクルートスタッフィング、アデコ株式会社、ランスタッド株式会社などが主要企業として挙げられます。
②人材紹介ビジネス
人材紹介ビジネスとは、顧客となる企業に人材を紹介することです。リクルートエージェント、インテリジェンスの2社が大きなシェアを誇っています。上記の人材派遣ビジネスと大きく違う点は、求職者を自社で雇用しない点です。基本的には成功報酬型で、顧客(受け入れ企業)と紹介した人材がマッチングすれば、その人の年収の30%程が収益となります。
メリットは、福利厚生費や研修費などがかからず、報酬の100%を計上できるので、原価率が100%になる点です。また、ある程度の資格や能力を持った人を紹介するので、マッチング率も高めであり、顧客や求職者双方とも満足度が高くなりやすいのが特徴と言えるでしょう。デメリットは成功報酬型のため、常に顧客と求職者のマッチングを成功させなければならないことです。
主要企業
1. 株式会社リクルートキャリア
人材ビジネスを数多く展開する株式会社リクルートキャリアの人材紹介サービスリクルートエージェントは、そのブランド力と求職者・企業の両顧客への徹底した営業力により、常に国内最大級の求人数を誇っています。リクルートグループのノウハウを生かし、転職成功者数も業界トップクラスです。
2. パーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス)
リクルートホールディングスに次ぐ人材業界二番手のパーソルホールディングスのグループ会社。「DODA」や「an」などサービスのブランド力も高く、業界最大級約400万人の登録者数が強みです。Great Place to Work® Institute Japanが実施した「働きがいのある会社」ランキングにおいて、6年連続でベストカンパニーに選出されています。
3. アデコ株式会社
本部をスイスに構える人材会社大手アデコは、Spring転職エージェントという人材紹介サービスを展開しております。数少ない外資系であるアデコですが、グローバルでの実績はさることながら、日本でも30年を越える事業実績があります。拠点は世界で5100箇所以上にのぼり、外資系企業とのコネクションに強みを持っています。
その他、株式会社マイナビ、株式会社キャリアデザインセンター、エン・ジャパン株式会社などが主要企業として挙げられます。
③求人広告ビジネス
求人広告ビジネスとは、リクナビやマイナビなど新卒向けの求人サイトやエンジャパンなどの転職者向けのサイトに代表されるものです。複数の企業の求人情報を一覧にしてまとめて、就活生や求職希望者に企業の採用情報を提供することで、掲載企業から広告代金として収益を得るものです。
メリットしては、スマホの普及による求人サイトでの検索が増えており、その膨大な数の求職者に情報を流すことができる圧倒的な広告力が挙げられます。デメリットは、このビジネスモデルにおいて、企業とユーザーの双方の満足度をどちらも一遍に実現できないことです。
例えば、ユーザーが実際に知りたいのは働いている人の口コミであった場合でも、企業は「マイナスイメージにつながる情報として載せたくない」という意図から、実際の口コミを掲載しないなどの場合もあるでしょう。
主要企業
1. 株式会社リクルートキャリア
就活生にはおなじみの新卒専門の求人広告サイト「リクナビ」や中途向けの求人広告サイト「リクナビNEXT」を運営しています。求人件数・会員数共に業界トップクラスであり、特に、学生には人気の求人広告サービスです。圧倒的求人数の中から、様々なソーティングをかけて自分に合った求人を見つけ出すことができる検索機能などのシステムも充実しています。
2. 株式会社マイナビ
リクルートキャリアの最大の競合他社といっても過言ではないマイナビは、新卒向けの「マイナビ」や中途向けの「マイナビ転職」を展開しています。高い営業力で大手から中小企業まで幅広い企業情報を網羅しています。学生や転職者などの求職者へのサポートの充実度に定評があります。
3. Indeed Japan株式会社
最近アルバイトの求人広告サイトのCMでも話題のIndeedは、アメリカで創業された求人広告専門の企業で、求人情報だけに特化した「検索エンジン型」のスタイルが特徴です。つまり、リクナビやマイナビのような求人情報サイトや企業HPにある求人情報などをまとめて検索できるサービスです。その規模は世界最大級で、世界中1600万件の求人案件が掲載されています。
その他、パーソルキャリア株式会社、エン・ジャパン株式会社、株式会社ビズリーチなどが主要企業として挙げられます。
④人材コンサルティング
人事制度構築や導入等を網羅したコンサルティングサービスのことです。企業が、人材の採用から、採用後の研修、働きやすい環境の仕組み作りなどのさまざまな問題を抱えている場合、その採用システムや人材の教育システムの生成など、総合的なソリューションを提案するものです。豊富な知識と経験を必要としますが、仕事を通して人との繋がりを深く感じられるでしょう。
有名なサービスはリンクアンドモチベーションやリクルートマネジメントソリューションズなどが挙げられます。メリットは、自分の提案によって企業の業績を改善、もしくは向上させることで、自分が貢献したこと実感を持って仕事ができる点です。一方で、短期的に効果が出しづらく、目に見えて測れる指標をたくさん持ち合わせていないので、かなり忍耐が必要です。
主要企業
1. 株式会社リンクアンドモチベーション
その名の通り、世界でも珍しい「モチベーション」にフォーカスしたコンサルティング企業です。社員のモチベーションを企業の成長エンジンと位置づけ、その観点から人材採用、人材育成、人事制度構築などをトータル的にサポートするサービスを提供しています。
2. 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
リクルートグループで人材の採用と育成に関するサービスを提供しているコンサルティング会社。定量化が難しい人材に関するアセスメントや測定に強みを持っており、蓄積された膨大なデータをもとに構築された様々な人材トレーンングプログラムやコンサルティングサービスも大きな魅力です。
3. マーサージャパン株式会社
ニューヨークに本社を置く外資系企業でありながら国内でも豊富な実績を持つグローバルな人材コンサルティング会社です。多国籍企業から公共団体にまでサービスを提供しています。採用や組織に関するサービスはもちろん、年金や資産運用コンサルの評価も高く、幅広い事業フィールドが魅力的です。
その他、株式会社グロービズ、株式会社日本能率協会コンサルティング、株式会社パーソル総合研究所などが主要企業として挙げられます。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
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人材業界の売上高ランキングTOP10
ひとえに人材業界といっても、採用から教育、組織づくりに至るまで、その事業内容は様々であり、それぞれに得意とする企業が存在します。自分にとって最も魅力的な人材業界の会社はどこか、事業ドメインや業績など、様々な角度から検討する必要があるでしょう。ここでは、一つの目安として業界動向リサーチを参考に人材紹介・人材派遣業界における売上高ランキングトップ10を紹介します。
1位:株式会社リクルートホールディングス
- 売上:1兆8,399億円
- 平均年収:872万円
リクルートといえば、ホットペッパーやゼクシィなどの販促向け情報誌の発行機関として有名です。実は求人広告のタウンワークや人材派遣のリクルートスタッフィングなどの人材領域分野でも全体の売上の42%ほどを占めています。
平成24年には人材事業を海外に展開するため、世界各国で求人情報検索サイトを運営するIndeed, Inc. 株式を取得しました。Bloombergによると、この買収による期待感は日本株で勢いのある銘柄として取り上げられるまでに至っています。いわゆるSUNRISEと呼ばれるもので、ソフトバンク、任天堂、リクルート、ソニーのそれぞれ頭文字を取って名付けられています。また、社内では横のつながりも大事にしているので、例えば人材分野と飲食分野で共同してプロジェクトを起こすことができます。
2位:パーソルホールディングス株式会社
- 売上:5,919億円
- 平均年収:658万円
派遣事業のテンプスタッフや求人情報サイトanなどのサービスを提供してる企業です。このようにさまざまなサービスを提供してる企業で、グループブランドとして、「PERSOL(パーソル)」を新設しました。
顧客である企業には総合的なソリューションをもたらすため、パーソルグループのフルラインのサービスを提供しています。また、ユーザーである個人へも、求人の紹介だけに限らず、就職支援などの総合的なサービスを展開しているのが特徴です。
リクルート同様、海外展開も行なっています。アメリカのケリーサービス社と新たな合弁事業「TS Kelly Asia Pacific」を新設し、アジア・パシフィック地域全域にて人材事業を開始しているのも特徴です。
3位:株式会社パソナグループ
- 売上:2,803億円
- 平均年収:552万円
パソナといえば、人材業界の中でも最大手の一つに挙げられます。「人を活かす」ことをモットーに企業への依存型から個人の自立へ向けた取り組みをを中心に行なっている企業です。例えば、「スターライズタワー」は、若者アーティストの夢への実現をサポートするサービスを提供しています。
また、「パソナ農援隊」では、若者の新規就農や農業支援を行なったりと、幅広い分野での事業展開が見受けられます。そのほかのサービスとして、児童待機問題、シングルマザー、介護離職問題や中高年の貧困問題といった社会問題への支援策も提供している企業です。本社内に、パソナファミリー保育園も設定されており、東京駅から徒歩5分といった好立地にあります。
4位:株式会社アウトソーシング
- 売上:2,301億円
- 平均年収:440万円
1997年に設立された株式会社アウトソーシングは、製造系や技術系に特化した人材派遣サービスを展開しており、人材派遣業界において急成長中の勢いのある企業です。日経新聞では、2018年度に連結純利益が10年前比で10倍以上になると見込まれる企業として名前が挙げられています。
数ある人材派遣会社の中でも、次世代自動車やロボティクスなど、技術分野のトレンドにおいても技術者派遣や職業紹介事業を展開していることが、急成長を遂げている理由でしょう。(224文字)
5位:株式会社ワールドホールディングス
- 売上高:1,271億円
- 平均年収:660万円
こちらも技術者の派遣サービスを中心に扱う人材会社です。特に、電気・電子、ソフトウェア分野において、開発から生産、メンテナンスまでを人材派遣サービスを提供することを得意としており、IoTやセンシングなどの技術発展に伴い業績を拡大させております。2017年の当期純利益は過去最高益となっております。
また、人材派遣事業の他に不動産事業や情報通信事業も展開しており、マンション分譲や携帯ショップ事業も手がけております。多岐にわたるビジネス展開が堅実な収益構造を生み出しております。
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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
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人材業界の平均年収ランキングTOP10【派遣業界】
次は派遣業の年収ランキングです。こちらも業界動向リサーチを参考に業界します。
派遣業界の年収ランキング1位は売上高ランキングと同じ株式会社リクルートホールディングです。2位がテンプホールディングと、こちらも上記にランクインしています。5位も上記にランクインしているワールドホールディングが派遣業年収ランキングにも登場しています。
3位:株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント
- 平均年収:671万円
英国に居住する日本人向けの人材紹介サービスを目的としてロンドンに設立されたという異色の歩みを持つジェイエイシーリクルートメントは、グローバル企業やバイリンガル人材などに強みを持っています。若手よりもミドル・シニア人材を得意としており、マネージャー層や経営層の人材紹介に多くの実績を誇っています。
そんな企業経営における知見と海外ネットワークを生かした日系企業の海外進出支援も得意としており、海外も視野に入れながら人材から経営まで幅広くコンサルティングの仕事を経験することができます。
4位:株式会社エス・エム・エス
2003年に設立された比較的若いこの会社は、「高齢社会に適した情報インフラを構築することで価値を創造し社会に貢献し続ける」を企業理念に掲げ、介護・医療業界向けにITを駆使した人材紹介事業などを展開しております。
高齢化の影響で介護・医療業界の成長が著しい日本社会において、「情報」を切り口に様々なサービスを展開している注目の企業です。情報管理が後進的だった介護分野にコミュニティサイトを自社で立ち上げ、ケアマネージャー実働者の4割を会員化するなど、改革的なビジネススタイルに関心が寄せられています。
人材業界のランキングを参考に業界研究を進めよう
人材業界のランキングを見てみると、やはり総合的なサービスを提供している企業が上位に入っています。また、事業内容もさまざまであるため、一つの社内であってもたくさんの経験を積むことができるはずです。人材業界は9兆円という決して小さくはない市場規模です。そして、企業のコスト削減による派遣社員の大量採用から現在の人手不足により、今でも成長が著しい業界です。
最近では、AIに取って変わる可能性のある職種として選出されています。しかし、メイン業務である顧客と人材のマッチングというのは単調な連続性のある作業ではありません。人と人との関係性によるものなので、一概にAI取って代わられると断定するのは早急でしょう。ぜひ成長の著しい人材業界について深く知り、就活を成功させましょう。
※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。