面接対策

インバスケットのコツとは|選考突破のための試験対策【例題付き】

インバスケットとは

インバスケットは、メンバーそれぞれに役割が与えられ、各自が与えられた役割にのっとり、制限時間内に複数の事態について優先順位をつけたり、解決策を導き出すことです。

インバスケットは「in basket」つまり「かごに入った未処理の案件」のことです。その架空の未処理案件を架空の人物になりきって処理していくシミュレーションゲームが「インバスケット・ゲーム」「インバスケット・トレーニング」で、略して「インバスケット」とも呼ばれています。

起源は1950年代のアメリカ空軍にあり、知識やトレーニングが戦場においてどのように発揮されるかを結果測定するために開発されたものです。戦場ではあらゆる状況を想定して行動しなければなりません。

不測の事態に陥ったときにパニックにでもなろうものなら、文字通り命取りになるからです。このためのトレーニングがその後、ビジネスの世界でも転用され、管理職の昇進試験や就職試験、社員を教育するツールとしても用いられるようになりました。

ビジネス思考を問うもの

インバスケットはビジネス思考を問うものです。架空の役職や状況を与えられ、その人物の立場となって、溜まった案件を時間以内に処理するというシミュレーションで、一般的には自由回答です。案件をすべて処理することが正解というわけではなく、明確な回答はありません。

試験官は受験者が順番はどうするのか、どのようにこなしていくのか、という点を見ています。つまり自分の持っているビジネススキルのすべてが問われるということです。

インバスケットのコツ4つ

インバスケットを行ううえで意識すべきコツがあります。面接官にしっかりと自分の良さをアピールするためにも、インバスケットのコツをおさえておきましょう。

実際にインバスケットをやってみると、最初はなかなかうまくできないことも多いと思いますが、練習を重ねるうちに上達します。いきなりうまくやろうとせずに、一歩ずつ前進する気持ちで、これから紹介するコツを意識しながら練習しましょう。

①速読力をつける

インバスケットでは速読力をつけると有利です。なぜかというと、インバスケットでは最初にディスカッションのための条件や細かい事柄が書かれた紙を渡されるからです。渡される情報量が多いので、内容を読むだけで時間がかかってしまい、時間切れになる人が多くいます。速読力があれば、他の就活生よりも早く情報を収集し理解できるでしょう。

早く理解できるということは、その分ディスカッションの方向や結論を導き出すプロセスを考える時間があるということです。結論を出すまでのストーリーをあらかじめイメージすることで、他の就活生よりも有利にインバスケットを進めることができます。速読力はインバスケット以外でも役に立つので、身に付けておいて損はないスキルです。

②組織図や労務知識を学ぶ

インバスケットでは最低限の職位や組織図を学んでおくと良いです。インバスケットではそれぞれが役割を決めて、その役割にそった言動をおこなうパターンもあるからです。例えば、会社がある状況に置かれた場合に各自がどのような言動をして対処するかという類の課題が出るとします。

その際に各自の役割が「社長・専務・常務・監査役・部長・課長・平社員」だったとして、自分が与えられた役割を演じるためには、その役職が全体の中でどの位置になるのかといったことを把握しておくと有利です。また、部署が指定されることもあるので、会社の部署名について学んでおくことで、状況を把握しやすくなります。少しでも知識があることが、自信のある発言にもつながるでしょう。

③処理までのプロセスを大切にする

インバスケットでは制限時間内にグループで解答を導き出す必要があります。しかし、正しい処理をすればそれで良いというわけではありません。正しい処理はもちろん大切ですが、「なぜその処理をしたのか?」という思考や、その処理をするためにどのように物事を進めたかというプロセスの部分も大切にしましょう。

面接官は解答だけではなく、就活生がどのようなプロセスを経て、どのような思考で解答にたどり着いたか、ということもチェックしています。正しい解答だけではなく、プロセスや思考を面接官に伝わるように意識することも大切になってきます。「自分の考えをどのように面接官に伝えるか?」ということをしっかりと意識するようにしましょう。

④判断するまでの手順を抑える

インバスケットがスタートしたら、全体像を把握しなければなりません。そのためにまず、すべての情報をインプットした後すべきことは、制限時間から逆算して「やるべきことと、できること」を想定することです。思いつくままに1件、1件処理していくことは最も避けなければならない方法です。最初につけた優先順位がすべてに影響を及ぼしますので、案件を個々に考えるのではなく、全体と照らし合わせなければなりません。

たとえば問題としては枝葉末節にあたるようなことであっても緊急性の高いものは真っ先に処理するような柔軟性が必要です。必ずしも重要度が高い案件を真っ先にやることはないのです。問題と対峙するのではなく俯瞰することが重要です。

グループディスカッションでの役割を把握しておこう

グループディスカッションは、役割決めで自分の力を発揮できるかどうかが左右されます。グループディスカッションの進め方や役割を把握するためにおすすめなのが「グループディスカッション完全対策」です。

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インバスケットに必要な能力

インバスケット試験は選考採用の1つなので、面接官がチェックするポイントがあります。インバスケットを無難にこなすのではなく、インバスケットの中で面接官に自分のことを印象付けなければなりません。また、単にインバスケットの中で目立って印象に残るだけでは、試験を通過できるかわかりません。面接官に「この人ならば次のステップに進めても良い」と思わせる必要があります。それでは面接官に良い印象を与えるためには何が必要なのでしょうか。

正しい判断力

まずは正しい判断力が必要です。インバスケットでは大量の情報が提示されて、その情報を制限時間内に処理する必要があります。大量の情報の中から、どの情報をどのように処理するべきかということを判断しなければなりません。そして制限時間があるため、のんびり結論を出していては時間切れになってしまいます。

大量の情報を迅速に判断する必要があるのです。そのためには正しい判断をしていき、解答まで最短ルートで導いていく必要があります。会社に入ってからも、仕事をするうえで期限を守ることは絶対です。決められた時間の中でいかに正しい判断ができるかということを見られているのです。

優先順位の見極め力

正しい判断力に加えて、優先順位の見極め力も大切になってきます。大量の情報を与えられていますので、その情報を1つ1つすべて処理していこうとしても時間が足りなくなります。大量の情報に正しい優先順位をつけて処理していく必要があるのです。例えば、お客様から会社にクレームがあったとします。

この場合では「お客様への対応」、「事実確認」、「上司への連絡」、「関係部署への連絡」、「対応策の決定」、「実際の対応」というふうに、少し考えただけでもこれだけの判断をしなければなりません。また、お客様からのクレームと同時に取引先からクレームがあった場合や、今日が期限の仕事があるような場合も考えられます。このように1つの事態に関する優先順位や、複数の事態が合わさった状態の中での優先順位の見極め力が必要といえます。

コミュニケーション能力

インバスケットにおいてコミュニケーション能力は必須です。インバスケットはチームでおこなうため、正確で迅速なコミュニケーションを取らなければなりません。正しい判断力で正しい優先順位を立てられていても、ほかのメンバーのことを考えずに自分勝手な言動をしている人を採用したいと思うでしょうか。

「この人なら一緒に仕事をしてみたい」と面接官に思わせることが、内定への第一歩です。実際の仕事でも、1人で完結する仕事はほとんどありません。上司や同僚に相談したり、他部署と連携しながら仕事を進めていくことがほとんどです。インバスケットでもチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら解決していきましょう。

インバスケットの例題3つ

ここではインバスケットで実際に出てくるような例題を3つ挙げていきますので、実際に問題の主人公の立場になったつもりで考えてみてください。

例題①

あなたはメーカーの営業部課長です。2か月後に納期を迎えた商品があり、現在それを中国で製造しています。納品先は社内でも取引額が大きい重要顧客です。工場からメールで連絡があり、完成した商品に不備があることが判明しました。そして、それを再生産した場合は納期の日には間に合わず、さらにコストがアップするという内容です。

商品の動作に問題ない小さな印刷のズレなのでこのまま納品できないかと言っています。取引先は納期厳守の会社で、納期も万全を期し、この日であれば必ず間に合うということで設定した日です。そして、つい1週間前に納期確認の連絡があり「予定通り納品できます」と返答したばかりです。どのような行動をとりますか?

例題②

あなたはオンラインショッピングを運営する会社の販売部の係長です。お客様対応の窓口に次のような電話がありました。「今日のイベントで使用するために注文した商品がまだ届いていない。今日到着するかどうかは昨日電話で確認したはずだ。指定した時間に届かないのならキャンセルするので返金してくれ」という内容です。

調査したところ遅延の理由は事故による渋滞のためでした。イベントの時間にはもう間に合いません。納品に関する問い合わせの電話に出た社員は休暇日であるめ、すぐに連絡がつきません。配送会社は今日中には到着し、このままでは納品されることになります。配送料はすでに発生していますので、返品を受けた場合はそれに加えて返送の配送料が発生します。この件をどのように処理していきますか?

例題③

あなたはスーパーのチェーン店の社員です。ある店の店長が事故により急きょ休業を余儀なくされたため、あなたは急きょその店の店長に着任しました。引継ぎをやる間もなかったので、店の状況を十分に把握できていません。数日後に迎えた棚卸の日に、在庫と販売数が合わない商品が数十万単位で判明しました。何かの手違いの可能性もあれば、社内での「内引き」の可能性も否定できません。

着任してまだ日が浅く、職員とのコミュニケーションが取れていないので、調査もしづらい状況です。休業中の前任者に連絡を取ろうと思えば取れますが、事故の影響でまだ入院中です。翌月には決算を迎えるため、着任して早々使途不明金による損金が発生してしまいます。この問題にまずどのように対処していきますか?

インバスケット試験のコツを掴んで対策しよう!

インバスケットについて、説明を見ただけでは「難しそう」、「自分にできるのだろうか?」と不安に感じた人も多いと思います。まずは実際にインバスケットの練習をしてみましょう。最初はうまくできなくても、問題ありません。本番までに上達すればいいので、少しずつでも上達するという意識で練習してみてください。練習を重ねるごとに自分の上達を実感し、インバスケットに対する不安もなくなっていきます。

インバスケットで求められる判断力や優先順位の見極め、コミュニケーション能力は、実際に仕事を行ううえでも必要になるスキルです。社会人になるための練習という気持ちで取り組んでみるのも良いでしょう。インバスケット試験と聞いて慌てないように、事前にしっかりと対策して内定を勝ち取りましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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