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近年成長率の高い人材派遣業界
人材派遣業界は、規模が大きく、国内でもビッグビジネスの担い手として認識されています。
そのため人材派遣業界を志望する学生は多く、当然競争率も高いため、就職を目指すなら事前対策を徹底しておかなければなりません。
しかし少子高齢化による慢性的な人口減少や、終身雇用制度の崩壊など、人材派遣ビジネスの根幹を揺るがすような、今後の変化も見逃すことはできません。
そのため、特に業界研究は必須であり、今後の展望について理解を深めることが、選考を勝ち抜くカギとなるでしょう。
業界研究では、対象業界の現状はもちろん、今後や将来性までチェックすることが大切です。
毎年多くの人が志望する注目度の高い人材派遣業界は、どのような特徴、現状、将来性を持っているのか、理解を深めていきましょう。
人材派遣業界の2つの仕事内容
人材派遣業界の今後を知るには、まずは業界全体でどのような仕事がおこなわれているのかを知ることが大切です。
人材派遣業界は規模の大きさから仕事も幅広く存在するとイメージされることが多いですが、実は大まかに考えると2つの仕事に分類できます。
企業ごとに若干の違いはありますが、大前提の部分は共通していると考えましょう。
人材派遣業界での主な仕事を知り、就職後どのような仕事を任されることになるのか、具体的なイメージを掴むことが大切です。
1.求人情報の提供
人材派遣業界の主な仕事では、求人情報の提供が挙げられます。
これは各種就活ナビサイトやハローワークのような機関を思い浮かべるといいでしょう。ビジネスの構造は簡単にいえば、企業が求人依頼を出し、人材派遣企業がそれを受けて求職者に提供するというものです。
人材派遣会社は、求職者と求人情報を提供している企業の間に立つため、商社のような役割を果たしています。
企業は人材派遣業界に限らず、自社ホームページでも求人情報を出していることは多いです。しかしBtoB企業や中堅企業の場合、知名度の観点から、自社ホームページだけでは求職者を集めることが難しいです。
そのため求職者は、より多くの求人情報やノウハウを持った人材派遣企業に依頼して、企業を探してもらっています。
2.企業への就労支援
人材派遣業界は、単に情報屋として機能しているだけではなく、実際の就労支援までおこなっていることが多いです。
求人情報を見つけたからといって、応募者全員が合格するわけではなく、選考を受けた結果によっては当然不合格となります。
仕事を得るには「企業への相性」や「個人の能力」「選考時の適切なアピール」が必要で、それらが上手くできるようサポートするのも、人材派遣業界の仕事です。
企業によってどこまで支援をおこなうかは違いますが、応募書類の添削や模擬面接といった、実際的な対策までおこなう場合もあります。
また、選考段階だけではなく、応募先を決める段階でも、求職者の話を聞きながらキャリアカウンセリングをおこない、志望先を見つける場合もあります。
「就活エージェント」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「就活エージェント」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。
人材派遣業界の3つの現状
人材派遣業界の今後を知るためには、現状を正しく知ることが大切です。人材派遣業界はどのように推移しているのか、現状でどのような問題、課題を抱えているのかを知っておくと、選考でも役立つでしょう。
選考時には業界についての質問をされることも多いため、上手に答えるためにも、現状の把握は重要になります。
現状が正しく分かっていないと、その先の今後や将来性を理解するのも難しくなるため、ベースの知識として必ず身につけておかなればなりません。
1.市場規模が大きい
人材派遣業界の業績
業界規模:4.4兆円(60位/142業界)
伸び率:13.3%(7位/142業界)
利益率:6.0%(19位/142業界)
平均年収:533万円(109位/142業界)
業界動向リサーチの「人材派遣業界の現状・動向・ランキング・シェアを研究-業界動向サーチ」によれば、上記の通りになります。
そもそも人材業界自体規模が7兆円ほどあり、「人材派遣」「人材紹介」「再就職支援」などど複数分野に分かれています。
その中で人材派遣の領域は、4.4兆円ほどの市場規模があります。このような規模になった背景として、景気の変動や社会構造の変化によって、正社員が減少し、派遣社員が増えたことが理由になります。
派遣社員が増えたのは、より自由な働き方を求める人が増加したことや、単に景気が悪く、正社員の採用枠が減ったことが関係しています。
また望んで派遣社員として働く人がいる一方で、正社員になりたくてもなれず、仕方なく派遣社員を選んでいる人もいることは覚えておきましょう。
もちろん、人材派遣業界だからといって、派遣での就職だけを斡旋しているわけではありません。
正社員での就職を支援するサービスも当然あり、雇用形態に関係なく、就職をサポートする業界と考えるといいでしょう。
2.転職市場のキャリア形成は多様化
人材派遣の業界では転職市場が大きな変化を迎えており、キャリア形成の多様化が特徴的な部分でしょう。
これは「働き方改革」や「ワークライフバランスの充実」を求める人の増加や、「終身雇用制度の崩壊」が関係しています。
これまでは、1つの企業に定年退職まで勤めることが一般的でした。しかし、現在では終身雇用を完全に保証できる企業は少なく、転職するのが当たり前の世の中になりつつあります。
そのため、企業に求めるものも永続的な雇用や安定から、働きやすさ、プライベートの充実しやすさに変化しつつあるでしょう。
企業に対して、仕事に対して求めるものが変化したことから、仕事観も多様化し、固定のキャリアに縛られない自由な働き方を求める人が増えています。
「転職」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「転職」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。
3.高齢者の就労ビジネスの浸透
日本は高齢化社会であり、超高齢化を迎える「2025年問題」のように高齢者の増加が問題となっています。
「2025年問題」とは、第一次ベビーブームと呼ばれる1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」が、75歳の後期高齢者に達し、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題のことを言います。
しかし、一方で高齢者が多いからこそ、就労の機会を与えることに目が向けられており、一度リタイアした人を対象にした高齢者向けの就労ビジネスも注目されています。
再雇用という形で企業に残り続ける人もいますが、それだけではなく一旦リタイアし、大きな責任から解放されるからこそ、やりたい仕事をしようと考える人は多いです。
リタイア後の仕事は生活のためというよりも、自身のやりがい、生きがいのためであることが多く、それらを実現するべく地域と共同で就労支援をおこなう場合もあります。
サービス提供の対象者が若年層から高齢層まで幅広いものに変化しているのも、現状を知る上では重要なポイントでしょう。
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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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人材派遣業界の今後と3つの展望
いよいよ人材派遣業界の今後についてみていきましょう。
人材派遣業界の今後は「少子高齢化・人口減少による業界規模縮小」「グローバル人材の活用がカギ」「キャリア形成の在り方もさらに自由になる」の3つのポイントが大きいと言われています。
最後にこれらについて解説します。人材派遣業界の今後について知り、業界理解を深めましょう。
また就活は就職して終わりではありません。せっかく就職しても、数年後、数十年後業界が変化して、やりたいことが実現できない、思っていた働き方ができないと困ることも多いでしょう。
そのため本当に就職しても大丈夫なのか、自分に合っているかを知るためにも、今後まで把握するのは非常に重要です。
1.少子高齢化・人口減少による業界規模縮小
日本は高齢化だけではなく少子化も進んでおり、これらの進行によって人口減少の一途をたどっています。
人が関係する人材派遣業界においては、人口減少は致命的であり、今後時間の経過とともに需要は少しずつ減少し、業界規模も緩やかに縮小していくでしょう。
また、高齢者が増加し、仕事に従事できない世代が増えることで、さらに労働人口は減り、業界規模縮小に拍車がかかる可能性もあります。
高齢者向けの就労ビジネスが注目されているように、今後はさらに老齢世代になっても働き続けられる仕組みづくり、社会づくりが求められるでしょう。
それに合わせて、人材派遣業界でも新たなサービスを生み出す必要があり、社会構造の変化にともない、業界自体も変わることを求められています。
2.グローバル人材の活用がカギ
国内の人口減少は、人材派遣業界だけで解決できる問題ではありません。
人口減少は食い止められないため、国内の資本、つまり人材ばかりをあてにせず、グローバルな資本、海外からの人材活用を視野に入れる企業は増えています。
現在でも外国人労働者に関する法律は整備されつつありますが、法整備の進行に伴い、今後さらに外国人労働者の受け入れは過熱するでしょう。
簡単に言えば、人口減少で減ってしまう国内の労働者人口を、外国人を受け入れることで増やし、減った分を穴埋めするのが狙いです。
人材派遣業界では、人がいないと成り立たない仕事のため、人口減少は大きな壁になります。
人口減少による海外人材、あるいは資本の活用、海外展開は人材派遣業界に限らず、ほぼ全ての業界の今後で見られる特徴でしょう。
「グローバル」について詳しく説明している記事もあるので、合わせて確認してください。「グローバル」について詳しくなることで、より優位に就活を進めることができるでしょう。
3.キャリア形成の在り方もさらに自由になる
現在転職市場ではキャリア形成の在り方が自由化していますが、この流れは今後ますます過熱するでしょう。
現在でも副業が解禁になったことで、仕事の選択肢は増え、本業と副業を同じバランスでおこなう人も増えています。
従来の副業ではなく、本業の仕事と同程度のウエイトを振る「複業」「パラレルワーカー」という言葉も広がりつつあり、仕事の在り方はもっと自由になるでしょう。
現在では企業に就職し、企業で働くというスタイルが基本ですが、フリーランスのように企業に所属しない、個人としての働き方も注目されています。
フリーランスで働く場合、報酬はすべて自分に払われます。しかし人材派遣会社の場合は、仕事を紹介してもらう代償として、報酬の一部が人材派遣会社に支払われるため、これを毛嫌いするフリーランスも多くなっています。
一方でフリーランスや副業者が増えることは人材派遣業にとってメリットでもあります。
人材派遣だけではなく、フリーランスや副業者と企業をマッチングできるようなビジネスモデルを確立することができれば、人材派遣会社の収益モデルは多角化できるでしょう。
人材派遣業界の今後は競争が激化する
人材派遣業界は市場規模が大きく、学生からも人気の高い業界です。
しかし、今後は人口減少の問題もあり、市場規模の縮小も見込まれているため、将来性はしっかり考えておかなければなりません。人口減少によって労働者の絶対数が減ると、人材派遣業界同士で資本の取り合いとなります。
少ない労働者を取り合い、競争が激化することが見込まれるため、他社と差別化を図るべく、独自の路線、サービスを打ち出す企業も増えるでしょう。
また、市場での働き方の意識も集団から個人にシフトしつつあるため、今後ますます個人向けサービスの台頭が考えられます。
人材派遣業界は変化の過渡期にあり、競走の激化は避けられないため、今後ますます注目が必要になるでしょう。