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そもそも就職偏差値とは
就職偏差値とは、インターネットの掲示板サイト「2ちゃんねる」の就職に関するページで不特定多数のユーザーが企業の難易度や人気度について議論し、数値化したものです。企業や就活サイトなどが公式に作成したものではなく、一般の人々の主観によって作成されたランキングです。
就職偏差値を別の言葉で言い換えるなら、「競争率の高さ」や「就職のしにくさ」ともいえます。一般大衆の意見が反映された数字であるため、ある程度は実情に近い数値やランキングになるといえるでしょう。
しかし、やはり個人の主観による評価が大部分を占めるため、全面的に信頼するには信ぴょう性が薄いといわざるを得ません。企業選びの参考にするかどうかは自由ですが、あくまでも参考程度に留めておきましょう。
メーカー就職偏差値ランキング上位の人気企業
(65)トヨタ
(64)サントリー
(63)新日鐵・味ノ素・キリン
(62)三菱重工・アサヒビール・任天堂・旭硝子
(61)日産・JFE・ホンダ・信越化学
(60)デンソー・コマツ・JT・日清製・G本社・花王・キーエンス・富士フィルム・住友化学
(59)日東電工・旭化成・日立製作所・東レ・住友電工・ファナック
(58)住友鉱山・JX金属・三菱ケミカル・明治・サッポロビール
(57)三井化学・三菱マテ・川崎重工・三菱電機・豊田自動織機・ソニー
()内の数字が就職偏差値で、「就職偏差値」の定義から判断すると、この数値が大きい企業ほど倍率が高く、入社しづらい企業であると考えられます。また、インターネットのサイトで話題に上るのですから、ある程度の知名度がある大企業が、多く名を連ねています。
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メーカーにもさまざまな業界がある
メーカーと一口にいっても、その業界は多岐に渡ります。業界によって特色があり、学部によっては、自分の専門分野が活かせる業界もあります。また、世の中の動きや今後の需要などを分析して、将来性のありそうな業界に飛び込むのもよいでしょう。
では、それぞれの業界にどのような特徴があるのか、将来性はありそうか、などについて解説します。それぞれの業界で、大手といわれる主な企業もいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。
電機・電子・機械・自動車
電機・電子分野は、冷蔵庫や電子レンジといった家電、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器、そしてそれらを支える半導体や電子部品など、幅広い製品の製造に関わる業界です。代表的なメーカーは日立製作所や東芝、シャープ、パナソニックなどが挙げられます。
機械・自動車業界では、建設機械や工作機械、産業用ロボット、自動車、自動車の部品となるタイヤや塗装など、扱う部門は多岐に渡ります。主な企業は三菱や川崎、コマツ、日立建機、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スズキ、マツダなどです。
今後は、AIを搭載した機器類や全自動運転の自動車などの開発が見込まれ、グループ会社内外での業務提携や技術導入などが活発になり、企業の仕組みや業務内容がより複雑になっていく可能性もあります。
自動車業界の動向については、こちらの記事で詳しく解説しています。
食料品・飲料
食料品・飲料分野では、清涼飲料や菓子類、パン、レトルト食品、冷凍食品、乳製品、ビールなどのアルコール類などを扱います。典型的なBtoC企業(Business to Customer:消費者を顧客とする企業)である食料品・飲料品メーカーは、いち消費者でもある就活生の間で知名度が高く、ひいては人気も高い業界のひとつです。
メーカー各社の中でも、食料品・飲料関係は特に消費者の生活に密着した業界であるため、ある一定の消費や利用が見込まれる反面、増税や景気の影響をモロに受けやすい業界でもあります。
代表的な飲料メーカーはアサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、コカ・コーラなど、食料品メーカーは味の素、カゴメ、ハウス食品、明治、森永、山崎製パンなどです。
飲料業界の動向については、こちらの記事で詳しく解説しています。
化学製品
化学製品というと分かりにくいかも知れませんが、一般的には原油、特に原油を精製してできる「ナフサ」を原料とする製品全般を指します。合成ゴムや樹脂、塗料、せっけん、洗剤、界面活性剤、接着剤、フィルム、化学繊維、またポリプロピレンやポリエチレン製品などが化学製品にあたり、これらを製造するメーカーが「化学製品メーカー」と呼ばれています。
石油価格の高騰や、「オーガニック」や「ボタニカル」を謳う製品の台頭、大量生産・大量消費の現状に対する疑問の声などにより、化学製品メーカーは現在、微妙な立ち位置にあり、方向性の見直しを図る企業も出はじめているようです。
代表的な化学製品メーカーは三菱ケミカルホールディングス、富士フィルム、住友化学、三井化学、旭化成、積水化学工業、昭和電工などです。
医薬品・化粧品・生活用品
医薬品業界は、極論で述べるなら、人間が生きている限り需要のある業界といえます。特許を多く持つであろう医薬品メーカーは、独自の技術などにより、その地位や収益を安定させているのが特長です。
最近では、特許の切れた医薬品を独自に製造し、安価で提供する「ジェネリック医薬品」も一般に馴染みつつあり、振興メーカーが台頭してくることもあるようです。主な医薬品メーカーは武田薬品工業、第一三共、エーザイ、大塚ホールディングス、沢井製薬などです。
化粧品・生活用品メーカーもBtoC企業で、就活生の間での人気は高いといえます。特に化粧品メーカーは、取り扱う製品の性質上、社員の女性比率が他の企業よりも比較的高いようです。主な化粧品・生活用品メーカーは花王、資生堂、コーセー、ファンケル、ライオン、ユニ・チャームなどです。
化粧品業界ガイドについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ガラス・ゴム・セメント
ガラス、ゴム、セメントなどは今や生活には欠かせないものといえます。しかし、これらの企業はBtoB企業(Business to Business:企業を顧客とする企業)であるため、就活生の間でも、目を向けない層もあるでしょう。
ガラスは今や窓ガラスのみならず、液晶パネルやタッチパネルなどに用いられています。特殊なガラスや、自動車のフロントガラスなどに用いられるような高機能ガラスなども製造しており、需要が無くなることはないでしょう。ゴムも同様に、低燃費タイヤのような付加価値の高い高機能ゴムなどに目をつけることで、各社が他社との差別化を図っています。
主な企業はAGC(旧 旭硝子)、日本板硝子、セントラル硝子、JSR、日本ゼオン、宇部三菱セメント、太平洋セメントなどです。
建設・住宅関連
一般的に「ゼネコン」と呼ばれる企業は、「ゼネラルコントラクター」の略語で、総合建設会社を意味し、ダムや道路を建設する土木工事と、ビルや家屋を立てる建築工事などを一括して請け負います。
特に2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博に向けて、大手ゼネコンの業績は右肩上がりになるだろうという予測もあります。一方で、震災や大雨など相次ぐ災害により、これらの企業には「復興関連事業との並行作業」という大きな負荷がかかっているという見方もあります。
住宅関連というと建築ばかりをイメージしがちですが、設備関連企業もあります。例えば風呂、トイレ、床暖房、システムキッチンなど、住設機器を製造するメーカーも多々あります。主な企業は鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店、戸田建設、三井住友建設、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、三井ホーム、パナソニック、TOTOなどです。
石油・鉱業・鋼鉄・金属
石油業界は、需要は無くならないものの、その99%以上を、海外からの輸入に依存せざるを得ない業界です。もちろん、自動車の燃料や化学製品の原料として需要は無くならないため、現在では安定していますが、原油価格の高騰や原油の枯渇に備えて、別のエネルギーや原料を求める業界もあり、業界内でも方針を模索している現状です。2019年4月に、業界最大手ともいえる出光と昭和シェルが経営統合したのはまだ記憶に新しいでしょう。
鋼鉄・金属業界は、鉄鉱石を溶かして精製して鋼にし、それから最終的な製品までを製造する高炉メーカー、鉄のスクラップを原料に鉄鋼を製造する電炉メーカー、鉄鋼を加工する単圧メーカー、固さや柔らかさの異なる鋼・特殊鋼を作る特殊鋼メーカーなどに分かれます。
主な企業は出光昭和シェル、コスモ石油、JXTGホールディングス、新日鐵住金、神戸製鋼所、住友金属工業、三菱マテリアルなどです。
繊維・アパレル
繊維業界というと、綿やシルクといったイメージがあるかもしれませんが、最近では炭素繊維に力を入れている企業が多いようです。炭素繊維は文字通り炭素からできる繊維です。炭素は、同素体のひとつにダイヤモンドが挙げられることでも有名な元素で、軽くて丈夫な繊維になるというのも頷けます。
医療分野、電子部品などの材料、あるいはジェット旅客機の胴体などにも使用されており、「繊維=布や服」という固定概念を崩すには十分といえるでしょう。アパレル業界では、自社で商品を製造する企業も珍しくなく、製造小売業(SPA)と呼ばれる業態もあり、その最たる企業は「しまむら」や、ユニクロを運営する「ファーストリテイリング」などです。
主な繊維・アパレルメーカーは東レ、帝人、三菱ケミカル、ユニチカ、東洋紡、ファーストリテイリング、しまむら、ワールド、三陽商会、ワコールホールディングスなどです。
印刷・製紙・文具
印刷・製紙業界は、パンフレットやチラシ向けの「商業印刷」と、雑誌や書籍向けの「出版印刷」、パッケージ印刷のような「特殊印刷」の3つに分けられます。電子書籍の普及により、斜陽産業になりつつあった印刷・製紙業界でしたが、ここへきて状況が変わってきました。
マイクロプラスチック(海を漂うプラスチックごみが風化し、1mm未満の破片になったもの、一部では5mm未満ともいわれる)による海洋汚染を憂慮した国内外の大手企業が、プラスチック製品から紙製品への乗り換えを打ち出したためです。
例えば、スターバックスはプラスチック製のストローを紙製のストローに替えました。また、セブン&アイ・ホールディングスは、プラスチック製のレジ袋を、将来的には紙袋などに置き換えていく意向を発表しました。こうした流れから、環境にやさしい紙製品、丈夫な紙製品などの需要が今後高まる可能性は高いと考えられます。主な企業は大日本印刷、凸版印刷、共同印刷、日本製紙、大王製紙、朝日印刷、コクヨ、パイロットなどです。
メーカーを選ぶ際には就職偏差値以外にも目を向けてみよう
就活で志望する企業を選ぶ際に、就職偏差値が気になる就活生は多いでしょう。しかし、前述した通り、就職偏差値は「不特定多数の一般人が、それぞれの主観に基づいて評価した数字」であり、客観性も信ぴょう性もないとは言い切れませんが、保証はされません。参考にするかどうかは個人の自由ですが、それだけを頼りにするのは控えましょう。
メーカーにもさまざまな業界があり、業界の中でも業務や扱う製品、部門などによっても細分化されています。そして、業界の中でも企業によってそれぞれ特徴や強み、弱みがあります。それらを比較して、何をしている企業なのか、自分に合う企業かどうか、将来性があるかなど、多角的な視野で企業を見つめて、志望企業を決めるようにしましょう。