職種研究
【行政書士の就職事情】仕事内容や求められる人材などを徹底解説
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行政書士の就職事情を深く知ろう
行政書士の就職活動はどのようにおこなわれるのでしょうか。行政書士は国家資格であり、試験の難易度が高いことでも有名です。試験の難易度が高いということはそれだけ貴重な資格であるといえます。貴重な資格を持っていれば、就職は容易いのではないかと思う人も多いですが実はそうではありません。
行政書士は資格を取ったからといって、すぐに働けるわけではありません。その他の職業と同じように就活をおこない、面接などを受けて採用される必要があります。行政書士は難しい、すごいなど漠然としたイメージを持っている人は多いと言われています。行政書士の就活事情はどのようなものなのかを知り、自身の就活に役立てていきましょう。
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行政書士の概要
行政書士の就活事情を知る前に、まずは基本的なことから確認していきましょう。行政書士は職業としても資格としても一般的に広く認知されていますが、実際にどんなことをしているのか知らない人も多いです。
仕事内容など基本的な情報が分からなければ、行政書士を知ることも目指すこともできません。行政書士はどのような仕事をしているのか、またその魅力や将来性の有無などを知って自身の将来を決定していきましょう。
行政書士とは
行政書士とは、行政書士法に基づく国会資格であり、主に官公庁に提出する書類の作成や、代理で申請を行う仕事です。これらの仕事は行政書士の資格を保有していなければ行うことはできません。行政書士は弁護士、弁理士、司法書士、税理士、社会保険労使、土地家屋調査士、海事代理士とともに、職務上請求権が認められている8士業の一つになっています。
では行政書士の資格は、どのようなことを勉強していれば取得することができるのでしょうか。行政書士は法律に特化した職種ですので、試験科目としては「憲法・基礎法学」「民法」「行政法」「商法」「会社法」を学び勉強しておかなければ合格することはできません。またこれだけではなく、当然一般常識や一般教養なども知識がなければ、法律に携わることが難しくなります。
行政書士の資格を持っていると、そこから他の法律の資格を勉強するうえでのベースになるともいわれています。そのため将来的に、弁護士や弁理士、司法書士を目指す人も多いです。また行政書士には独占業務をおこなってはいけないという決まりがあります。行政書士の立場を利用した不公正な取引を行った場合、独占禁止法違反になりますので注意も必要です。
行政書士の仕事内容
行政書士の仕事内容は書類の作成がメインです。作成する書類はさまざまですが、基本的には官公署に提出する書類を作成します。私たちの生活の中でも、相続の手続きや自動車の購入の際など、何らかの書類を提出する機会は意外に多いです。それらの書類作成を顧客の依頼を受けて代行しておこなうのが行政書士の仕事です。
また書類の作成を代行するだけではなく、さまざまな申請や手続きなども代行しておこないます。書類の作成や申請、手続きには法律などの専門知識も必要ですし、扱う書類の種類は膨大なためかなりの知識量が必要な仕事です。行政書士の資格を取得することも難しいですが、仕事をおこなうのも難しく、専門的な職種だといえます。
専門的な書類であっても行政書士として代行する以上、スムーズにおこなう必要があり、スピード感のある仕事が求められます。
行政書士の仕事内容と専門分野
・遺言、相続
・成年後見
・自動車登録関連
・契約書
・土地活用
・内容証明
・日本国籍取得など国際関連
・市民法務
・法人関連手続
・知的財産権の保護
・外国人雇用関係
・中小企業支援
・運輸関連
・電子申請、電子調達
・許認可申請
行政書士の魅力
行政書士として仕事をする魅力は、専門分野に特化して成長できることです。行政書士の基本的な仕事となる書類の作成は、その種類があまりにも多く、一人でその全てを担うのはかなり難しいです。
そのため、いくつかの分野に絞って活動する人が多く、それぞれが自身の得意分野を持って仕事をおこなうことができます。得意分野があり、そこに絶対的な強みがあれば他の人にはできない仕事をおこなうことができます。
自身だけの得意分野を武器に独立開業をおこなうことができますし、より自由な働き方ができるのが魅力です。もちろん全ての行政書士が独立開業を目指すわけではありません。しかし事務所などで雇われている場合でも得意分野があればそれを武器に活躍することができます。自分の興味に合わせて仕事が進められるのも行政書士の魅力です。
行政書士の将来性
最近では官公署に提出する書類も簡素化が進み、一般の人であっても簡単に書類を作成し、提出することができるようになりました。そのため簡単な書類作成の仕事は少なくなっています。しかし土地の権利関係や相続など、一般人が行うには複雑な業務もまだまだ多く、行政書士の需要があるため、将来性はあると言われています。
また、単に難しい業務が残っているだけではなく、時代の変化によって法律は変わってくるため、提出が増える書類も多くあります。時代の変化や需要の変化に対応するために、得意分野を広げるなどの工夫は必要ですが、それらの流れを読むことで、活躍し続けることは可能です。
国家資格だからと胡坐をかくことなく、勉強を続け、世間の需要を読み切ることができれば行政書士は大きな活躍が望める職業だといえます。
志望動機で将来性をアピールする方法について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
行政書士の種類4つ
概要を知れば、今度は行政書士の種類についての理解を深めていきましょう。一口に行政書士といってもその種類はさまざまであり、それぞれにメリットとデメリットが存在しています。
どの種類の行政書士だからよいとは一概にはいえません。自身の性格や能力、キャリアプランなどから自分がどの種類の行政書士を目指すべきなのかを決めていくことが大切です。
1.開業行政書士
開業行政書士とはその名の通り、自身で独立開業して行政書士をおこなうことです。開業行政書士のメリットとしては「自身の専門分野、得意分野に特化して仕事ができる」「高収入が期待できる」などです。独立開業すれば自分自身が経営者、事務所の所長であり、誰に指示されることなく自由に仕事をおこなうことができます。
また自分がオーナーであれば、たくさん働けばその分収入を得ることができます。デメリットは、「収入が安定しない」「キャリアが必要」などです。高収入が期待できる反面、仕事がこなければ収入を得ることができません。
安定した収入を得るためには飛び込みで来る顧客だけではなく、得意先を作る必要があります。新人の行政書士では得意先とのパイプもないため、それを作るためにはある程度キャリアが必要だといえます。
2.兼業行政書士
兼業行政書士とは行政書士の他にも資格を有し、行政書士の業務と並行してその他の専門業務をおこなうことです。例えば、遺言書の起案や作成支援のような一般消費者向けの仕事と、中小企業の経営支援や知的財産権の保護のような企業向けの仕事を両立するようなことです。
メリットは「活躍の幅が広がること」です。特定の分野に関しては行政書士の資格だけではおこなえない業務もありますが、それに対応できる資格を持っていることでマルチに活躍できます。本来であれば別の専門家に託さなければならないことでも、兼業行政書士であれば全ての業務を自分一人でおこなうことができます。
デメリットは、「得意分野が曖昧になること」です。幅広く活躍することができますが、活動の幅が広がることはそれだけ一つひとつの分野に対する専門性が薄れることになります。マルチに対応できるため便利な存在ではありますが、何かに特化して活躍するのは難しくなりがちです。
3.使用人行政書士
使用人行政書士とは、行政書士会に登録し独立開業するのではなく、雇われて行政書士業務をおこなうことです。メリットとしては、「事務所の経営などを考えずに仕事に集中することができること」です。独立開業した場合は自身も行政書士として、働きながら経営について考えなければなりません。しかし使用人行政書士の場合であれば業務だけに集中することができます。
デメリットは「仕事の幅が制限されている」、「コストがかかる」などです。雇われている以上求められる働きをする必要があり、自分の好きな仕事ができない場合も多いです。また行政書士会に登録するためには約30万円の入会費や、月々7,000円の会費が必要となり、金銭的なデメリットが大きいといえます。使用人行政書士としては修業期間として働く人が多いです。
4.補助者
行政書士として働くためには資格の取得が必要ですが、補助者であれば資格がなくても働くことができます。補助者とは文字通り行政書士の補助をおこなうアシスタントのような存在です。
補助者のメリットは「実際に行政書士のもとで働き、実践的な知識を身に付けられること」です。行政書士の資格試験は難関であり、勉強が欠かせませんが、補助者であれば勉強をしながらお金が稼げます。
デメリットは、「できる業務の範囲が狭いこと」です。補助者は行政書士としての資格を持っていませんし、さまざまな規定があり業務の幅は非常に狭いです。補助者はそれだけをずっと続けるのはなく、補助者の仕事をおこないながら行政書士の資格取得を目指す人がほとんどで、資格取得までのつなぎの仕事だといえます。
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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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行政書士の3つの就職先
行政書士は開業して独立する人も多いですが、就職先としては、一般的な企業や行政書士事務所、弁護士事務所、社会保険労務士事務所などが挙げられます。就職する場合は資格の有無だけでなく、それぞれの企業や事務所が求める能力・条件がありますので、志望先について詳しく調べておきましょう。
ここでは、行政書士の就職先として多い企業や事務所について、それぞれの業務内容や特徴について解説していきますので、参考にしてみてください。
1.一般企業
行政書士の就職先としては、その資格を活かして行政書士事務所への就職、あるいは独立開業が考えられますが、働き方はそれだけではありません。行政書士の資格を活かして、一般の企業で働くことも可能です。行政書士の資格が有利に働く業種は多くあります。資格が活かせる業種としては建設業や不動産などが挙げられます。建設業や不動産では法律関係の書類を提出する機会も多く、行政書士の資格を持っていれば就活でも有利です。
また一般企業であっても、法務の仕事への就職であればこれも有利になります。法務も法律に関係した仕事ですし、契約書の作成やチェックなどをおこないますので、行政書士の資格が有利に働きます。
2.行政書士事務所
行政書士として最も一般的な就職先として知られていますが、実際は求人が少なく、給与も低めといわれています。行政書士事務所への就職は、現役で活躍している行政書士と一緒に働くことで、将来独立開業するためのスキルやノウハウを学べることが大きなメリットです。
行政書士事務所は、会社設立、相続、帰化申請、車庫証明など法律に関わる幅広い業務をおこなっています。どのような分野の仕事をしたいかによっても就職先が変わりますので、それぞれの事務所が取り扱う業務を確認しておきましょう。行政事務所に就職しても、すぐに専門的な業務をおこなうのではなく、まずは庶務的な仕事を兼任しながら学んでいくことになります。
3.その他の士業事務所
行政書士として、税理士事務所や法律事務所、弁護士事務所、社会保険労務士事務所などに就職するケースがあります。顧客からの依頼内容によっては、税務や法律などの関連書類の手続きが必要なる場合があり、税理士や弁護士、行政書士が連携しそれぞれの専門分野で活躍しサービスを提供しています。
小規模な事務所ではスタッフとして即戦力を求められる傾向にあり、求人数は少なめです。行政書士の求人は企業数に比例しているため、地方よりも都市部に多くなっています。一般的に士業事務所で働く場合の給与は低めで、年数経過による昇給もあまり期待できないといわれていますが、独立開業のためのスキルアップとして実績を積む人が多くなっています。
行政書士の就職活動における7つの特徴
行政書士の概要や種類などを知れば、次は就活事情についてみていきましょう。行政書士は資格取得の難易度が高く、専門的な資格ですが、それがあるからといって必ずしも就職できるわけではありません。行政書士の資格を役立てることができる職種もあれば、全く必要としない職種もあります。
必要とされなければ、どれだけ素晴らしい資格を持っていても意味はありません。行政書士の就活はどのようにおこなうのか、どのような企業に求められるのかなどを知って就活に役立てましょう。
1.就職までの採用フローは一般の就活と一緒
行政書士の就職までの採用フローですが、これは一般的な就活とほとんど変わりません。面接を受けたい企業や事務所を探し、求人があれば問い合わせて選考を受け、それに合格すれば採用です。選考に関しても特に変わった点はなく、履歴書などによる書類選考に加えて面接をおこない採用が決定します。
行政書士はいわば専門職ですので、筆記試験などがおこなわれることはほとんどなく、基本的には資格があれば選考を受けることができます。また、新人の行政書士の場合は実績などではなく、行政書士としての適性や人間性などを判断されて採用が決定しますので、これも一般的な就活と同じです。行政書士だからといって就職までのフローが特別であることはありません。
2.行政書士に求められる人物像
行政書士として就職する場合には、仕事への適性や人間性を伝えていく必要があります。行政書士にも性格的な向き不向きがありますので、自分には適性があることをアピールしなければなりません。行政書士として内定を得やすい人物像としては、「コミュニケーション能力が高い」、「スピーディーに正確に作業をこなすことができる」などが考えられます。
行政書士は書類作成が基本的な業務ですが、それは顧客の相談を受け、コミュニケーションを取りながらおこないます。行政書士も客商売ですので、コミュニケーション能力は必須の能力です。また作成する書類の種類は多岐にわたり、その数は膨大です。膨大な数の書類を作成し、かつそれを正確におこなう必要があるため、高い事務処理能力が求められます。
コミュニケーション能力を自己PRするポイントについては、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。
3.規模の小さい行政書士事務所が多い
行政書士は個人事務所が多いとされている業界で、1人で処理をするのが難しくなれば、補助業務を担ってくれる人材を雇うという形をとることが多くなっています。基本的には2,3人規模の事務所がほとんどです。
少人数制もしくは、他の法律関係の職種、例えば税理士事務所や法律事務所などで働き手を募集しているケースもあります。そのため、そのようなところに狙って就職活動を行うこともひとつの方法になります。
事務所の規模が小さい分、ひとりあたりの仕事量が多いこともありますが、ゆくゆくは独立するという人がほとんどです。そのため、他の業界や職種に比べて規模は小さく、就職活動がスムーズにいかない可能性もあるということも知っておくとよいでしょう。
4.ワンストップサービスの需要が増えつつある
ワンストップサービスとは、「本来なら一つひとつの項目に応じて、それぞれの部署や機関にまたがっておこなわないといけない手続きを、1つの場所、1つの企業内でまとめておこなうことができる環境が整ったサービス」のことを表しています。
行政的な手続きはそれぞれの場所で時間や日数を要することが基本でした。しかし、このサービスが出来たことにより、1度にまとめておこなえることから、時間の短縮や手間が省くことができるようになりました。
自動車保有関係手続などが主におこなわれていることでも有名となっていて、行政書士はこれらの業務をおこなうことができる資格でもあります。便利なサービスとしてこれからも需要は増えていくと予想されているため、行政書士が必要とされる仕事の一つになっています。
5.他の士業事務所で経験を積む方法もある
個人事務所や小規模事務所、共同事務所に就職するというのもよいですが、最近ではワンストップサービスをおこなっていることからも、士業事務所に就職するという人が多くなってきていると言われています。
違う法律の資格を持っている人が集まり、事務所を運営している場合があります。例えば、他の法律関係の資格保持者を求めてきた人も結果として行政書士を必要とすることになったケースや、反対に行政書士を求めてこられた人が、のちに会計士も必要となったといったケースもあります。他の士業事務所で経験を積んでから独立する方法もあることを覚えておきましょう。
6.最終的には独立開業を目指す場合が多い
行政書士として多いのは、企業や士業事務所に就職し実務経験を積みながら、最終的は独立開業を目指すケースです。行政書士資格があれば実務経験がなくても独立開業は可能です。しかし登録費用や事務所経費など、開業のためには多くの費用が必要になるため、すぐに独立する人は少ないでしょう。就職し経験を積むことで、業務について深く理解することができます。
開業は自分のペースで仕事ができる、定年退職がない、などメリットがあります。一方で、通常の業務以外の事務所経営も全て自分でおこなわなければならない、自分で仕事を獲得しなければならない、といったデメリットもあります。将来的には独立を目指す場合でも、就職しながら開業のノウハウを学ぶのが一般的です。
7.行政書士の雇用形態は正社員からアルバイトまでさまざま存在する
行政書士として働く場合の雇用形態として、正社員や契約社員、アルバイトなどが挙げられます。行政書士は国家資格であり、求人は幅広いといえるでしょう。求人では独立経験者歓迎や資格を持っているが実務未経験の人歓迎のようなことが記載されている場合も少なくないようです。
なかには、行政書士の資格取得を目指す人のように、資格を持っていなくても応募可能な求人もあります。行政書士として働く場合は自分に合う働き方や条件、雇用形態などをチェックしたうえで就職先を選択できるとよいでしょう。
面接官に響くアルバイト経験のアピール方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
行政書士について正しい情報を知り円滑な就職活動をしよう
行政書士の資格は国家資格であり、行政書士として働く場合以外でも、就活で役立てることができます。行政書士の資格や能力が求められる仕事はたくさんありますので、一般企業への就職を目指すのであれば資格が活かせる業種を目指しましょう。もちろん資格を活かして行政書士として働くことも忘れてはいけません。
いきなり独立開業をするのが難しいのであれば修行のつもりで使用人行政書士として働くのもいいですし、働き方はさまざまです。行政書士の就活も一般的な企業と採用フローは変わりませんので、しっかりと準備をおこなうようにしましょう。行政書士は貴重な資格ですので、持っていれば必ず役に立ちます。自身の資格や能力を活かして就活をスムーズに進めていきましょう。