業界研究

【教育業界研究ガイド】あなたの就活に役立つ情報を一挙大公開!

教育業界とは

一口に教育業界と言ってもたくさんの種類が存在します。例えば、学習塾や予備校などの学習支援機関、社会人向けのカルチャースクールや資格・語学などビジネス関連のスクールといった個人向けの他、社員研修などの企業向けまで、幅広い企業が存在しています。

そんな教育業界について理解を深めることで、自分にあった企業選びをすることができます。本記事では教育業界の基礎知識から求める人物像まで解説しております。教育業界を理解し、就職活動を優位に進めましょう。

教育業界

教育業界では数多くの再編成が行われており、他社との合併や提携への動きが見られます。大学受験の予備校が生徒を早期に囲い込むため、小学生向けの塾を買収するといった事例や、広域での営業を目指してエリア外の企業と提携するような事例が多いです。

またIT化も見逃せない変化で、対面授業からオンライン授業へ切り替えることで、授業内容の向上とコストカットを同時に実現する事例が増えています。

その他、e-ラーニングにベネッセが参入するなど、リアルとネットといった業界の壁を越えた展開が見られるようになっているのも教育業界の傾向です。

教育業界の種類

冒頭でも説明した通り、教育業界に様々な種類が存在します。「教育」といえば学生に向けてのイメージが強いですが、近年では社会人向けのスクールも増えている傾向があります。

また学生向けに関しても、プログラミング学習など、従来の勉強とは異なった分野を教えるサービスも増えています。そのため教育業界への就職を考えている場合は、従来の教育サービスのほかにも、時代に即した知識が必要になってくる場合があります。

学生向け
・学習塾や予備校などの学習支援機関
・プログラミングや探求学習等の非学習塾
・通信教育や出版
・英会話スクール

社会人向け
・資格・語学などビジネス関連のスクール
・社員研修、企業研修

教育業界の業績

教育業界の業績を表した図

業界規模 9,070億円
平均年収 521万円
平均継続年数 9.6年

図形では、「業績規模」「平均年収」「平均勤続年数」のカテゴリーのうち、それぞれトップの「卸売」「総合商社」「電力」の業界と教育業界を比較しております。

業界動向リサーチの「教育業界の動向、現状、ランキング、シェアを研究-業界動向サーチ」によれば、業界規模に関しては少子化の影響が懸念されます。しかし、2020年4月に実施されてた高等学校の教育無償化により、教育に関心を持ち、家計の余裕が出た世帯による塾や予備校への投資が増えると見込まれます。また、スキルアップを目指す社会人の需要も増加傾向にあります。

平均年収の521万円は、日本の平均を上回っており、特に女性の場合、他の業種より男性との年収格差が小さくなっています。これは、業界における女性の比率が高めの上、平均勤続年数が短めであるため、格差が開かないと見られているからです。

また平均勤続年数は9.6年となっております。国税庁が公表している「平成29年分 民間給与実態統計調査」によれば、全体の平均勤続年数は12.1年であるため、平均より短い勤続年数であることが分かります。公立の教育機関では、定年まで勤めあげるイメージが強いようですが、教育業界の場合、平均継続年数は9.6年と短めになっております。

教育業界の3つの職種

教育業界の3つの職種を表した図

1.講師

講師は授業を通して生徒に直接学習指導を行います。多くの場合、専門科目別に分かれ、生徒の学力向上や志望校合格など個別の目的に対応した指導や、生徒の悩みなどへのアドバイスも行っています。学習指導力と人間性の両面が求められる業種です。

また

そして塾講師になるためには、大学卒業資格だけでは就職は難しく、採用試験を突破しなければなりません。塾講師として就職したいのであれば、しっかりと勉強して学力を高めておくことが大切です。

就職を有利に運ぶために知っておくべきことについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.サポートスタッフ

サポートスタッフは、主に授業で使用する試験やテキストなど教材の編集や作成などを行っています。最新の受験問題や教育動向を研究することで、指導効果をより高めることを目指す業種です。

編集では自分が担当する分野の情報収集も常におこなう必要があります。そのため受験問題や科目、出題傾向など、幅広い範囲の情報収集が必要となります。

情報収集力については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3.事務・販売促進

事務・販売促進においては、生徒指導や教室の運営のほか、新規生徒の募集活動や保護者懇談、イベントの運営、広報活動などで販売促進を行います。

生徒が集まるためにはどのような施策をうてばいいのか、生徒の合格率を上げるためにどのようなイベントを実施すればよいかなど考える場所になります。そのため企画力やマーケティングの能力が問われる業種でもあります。

事務職の仕事内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。

教育業界の2つのトピックス

教育業界の2つのトピックスを表した図

教育業界は常に新しい話題が注目され、変化し続けています。文部科学省の方針が変わると、教育業界にも大きな影響があります。時代の流れに応じて、必要な能力も変わっていくので、その時に合った教育を提案していくことが大切になります。

2020年には、小学校での英語の授業が本格的に始まります。外国人の受け入れや、外国人観光客が増えていることで、グローバルな人材が求められるようになることでしょう。また、ディスカッションやプレゼンテーションを積極的に指導するアクティブラーニングも導入される予定です。ニーズに合わせたサービスが求められます。

1.小学校での英語学習が変わる

現在では小学校5・6年生で英語の授業がおこなわれています。小学校ではまずは聞く、話すということから始まり、段階的に読む、書くなどにも取り組みます。英語の文法まで学ぶことはありません。

中学校で本格的に英語の勉強をスタートする前の準備段階として、無理なく英語に慣れていけるようにしていきます。日本の学校では今までは教科書に沿って、文章を読んだり書いたりといった授業が多くおこなわれてきましたが、将来的には英語で、議論や交渉ができるような能力を身に付けることも、重視されると考えられています。

2.アクティブ・ラーニングの普及

アクティブとは、「能動的な」という意味であり、アクティブ・ラーニングは直訳すると「能動的な学習」です。日本は、先生が教壇に立って、一方的に話をする授業が多いといわれています。しかし、これからは先生中心で進めるのではなく、話し合いや、お互いの意見を交換するディスカッションなどをおこなって、生徒が授業に参加するスタイルを取り入れていくことになります。

文部科学省が発表した新たな学習指導要領にも盛り込まれていて、大学などですでに実施されています。背景として、今日の情報化による社会の変化があります。この情報が多くなった社会で、主体的に情報を取捨選択し、社会の中で自分自身を位置づけられるようにするための施策として、アクティブ・ラーニングが取り上げられました。

今後、小学校や中学校でも積極的に、このような授業をおこなっていく予定です。そのため、現在使われている教材にプラスして、アクティブ・ラーニングに関わる学習システムも必要となっていくと考えられます。

主要企業5選紹介

教育業界の主要企業5社を表した図

教育業界では、事業の多角化や業務提携などの再編成が進んでいます。職種も幅広く、ITやマーケティングのスキルを活かすこともできるようになりました。また、不況になってもスキルアップや教育へのニーズは減少しません。

以下で紹介する企業は、幅広いニーズに対応するためにイノベーションを続けており、多彩な人材を求めています。主要企業の概要を知り、要求される人材像を見極めれば、就活の方向性を固めることができます。

1.株式会社ベネッセホールディングス

企業名 株式会社ベネッセホールディングス
代表者名 安達 保
従業員数 20,673人(2020年3月)
設立年月日 1955年(昭和30年)1月28日

株式会社ベネッセコーポレーションは通信教育の「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」でよく知られている会社です。大学入試模擬試験「進研模試」など学校向けの教育事業や、学習塾・予備校も運営しており、現在は子供向け英語教室事業も行っています。

教育業界で圧倒的な売上高をあげており、教育業界での売上高のシェアは49.0%となっています。主力教材である「進研ゼミ」では、2017年1月より小学6年生(新中学1年生)を対象とする「中学準備講座」で、新しい専用タブレット「チャレンジパッド2」の導入が開始しました。そのため、デジタル教材と紙の教材のハイブリッド化を推進しており、講座を半年間継続すると専用タブレットは実質無料となるサービスを行っている会社です。

2.株式会社学研ホールディングス

企業名 株式会社学研ホールディングス
代表者名 宮原 博昭
従業員数 7,600人(2020年3月)
設立年月日 1947年(昭和22年)3月31日

株式会社学研ホールディングスは、学習参考書や図鑑・辞書など教育関連の書籍を手がける大手出版社です。創業以来70年にわたり、日本の教育を多方面からサポートしてきました。現在、「出版」「園・学校」「教室・塾」「高齢者福祉・子育て支援」の4つの事業を中心として、塾のほか、福祉・子育て支援、高齢者向け住宅などを展開しています。

栄光ホールディングスと株式を持ち合い資本業務提携しており、教育業界第2位の売上高でシェアは10.6%です。すべての人が心ゆたかに生きることを願い、今日の感動・満足・安心と明日への夢・希望を提供することをグループ理念に掲げ、事業を行っている会社です。

3.ヒューマンホールディングス株式会社

企業名 ヒューマンホールディングス株式会社
代表者名 佐藤 朋也
従業員数 4,165人(2020年3月)
設立年月日 2002年(平成14年)8月1日

ヒューマンホールディングス株式会社は、教育事業のヒューマンアカデミー、人材事業のヒューマンリソシア、介護事業のヒューマンライフケアなどを傘下に持つ持株会社です。

1985年、教育事業からスタートして以来、全日制専門学校や通信制高校をはじめ、社会人教育、人材派遣、介護など事業を拡大し続けています。乳幼児から社会人、高齢者まで幅広い世代を対象に、教育だけでなくライフステージ全てに関わる事業内容となっており、業界第3位の売上高でシェアは7.6%です。

4.TAC株式会社

企業名 TAC株式会社
代表者名 斎藤 博明
従業員数 583名(2020年3月)
設立年月日 1980年12月10日

TAC株式会社(Tokyo Accounting Cente)は、会計や法律分野の各種国家資格取得ための講座を開講する大手予備校です。高い合格実績を誇り、多くの受講生を集めています。

その他、法人研修や出版など大人向けの教育事業や人材紹介事業を展開しており、公務員試験対策講座は公務員をめざす大学生に人気です。TACの校舎は全国展開しており、すべて駅に近い好立地となっています。平成25年12月には『Z会』を展開する増進会出版社と資本業務提携を行いました。

5.株式会社ナガセ

企業名 株式会社ナガセ
代表者名 永瀬 昭幸
従業員数 1,247人(2020年3月)
設立年月日 1976年5月10日

株式会社ナガセは、日本全国に広がる高校生向けの受験塾「東進ハイスクール」と予備校「東進衛星予備校」を展開している会社です。「独立自尊の社会・世界に貢献する人財」の育成を教育理念とし、抜群の合格実績を誇っています。

傘下に中学受験塾の「四谷大塚」と大学受験塾「早稲田塾」を擁し、イトマンスイミングスクールや東進ビジネススクールも手掛けるなど。幼・小・中・高・大・社会人の一貫した日本最大規模の民間教育機関となっています。業界の売上高におけるシェアは5.0%です。

教育業界の内定をもらうために覚えるべき3つの用語

教育業界の内定をもらうために覚えるべき3つの用語を表した図

希望する教育業界の企業から内定をもらうためには、業界研究や企業研究を進めるとともに、教育業界のどの企業を受けるにしても必要になる、教育に関する基礎知識をひと通り身に付けておくことが大切です。

特に今まで聞いたことがあったとしても、いざ質問されたときに意外と説明が難しい、次のような教育関連の用語については、面接官に聞かれたときにもすらすらと答えられるよう、しっかり頭に入れておくとよいでしょう。

1.プログラミング教育

日本の小学校でも2020年度から必修化されることになった「プログラミング教育」とは、コンピューターに動作を指示するために使われる「プログラム」の仕組みや作り方を学ぶ教育のことです。(参照:プログラミング教育|文部科学省

しかしそれだけではなく、プログラミング(コンピューターのプログラムを作ること)をする際のプロセス・ノウハウを学ぶことで、プログラムの作成ができるようになるとともに、日常生活に活かせるような考え方や目的を達成するための手順を描く力を身に付けることもできます。

プログラミング教育を導入することで、子どもの論理的思考力や問題解決能力を育み、コンピューターが溢れる現代社会で生きていくために必要な能力をはぐくむことを目的としています。

2.情報モラル教育

インターネット上で発生している誹謗中傷・いじめ、犯罪・違法行為、有害な情報の拡散などから必要性が高まってきた「情報モラル教育」とは、情報社会を健全に生き抜き、適正な活動を行うために身に付けておくべき考え方、態度、知識、技能などを学ぶ教育のことです。(参照:第5章情報モラル教育|文部科学省

「インターネットは怖いから、使うのをやめよう」ではなく、便利であるとともに危険も併せもっていることや、インターネット上でも日常と同じように振る舞う必要があることなどを事前に知ってもらうためのよい機会でもあります。

パソコン・スマートフォン・タブレット・ゲーム機器などでインターネットを利用することが非常に多い現代の子とも達が正しい活用方法を知るのは、これからの社会生活を円滑に送っていくためにとても大切なことなので、学校だけではなく様々な場面で折に触れて伝えていく必要があります。

3.生きる力

平成20年に改訂された小中学校の学習指導要領では、それまでの「詰め込み教育」や「ゆとり教育」とは異なり、「生きる力」をより一層はぐくむという理念が定められました。この「生きる力」とは、競争や技術革新が絶え間なく起こる現代社会の中でも自分の力で生きていくために必要とされる、バランスのとれた3つの力(知・徳・体)のことです。(参照:生きる力|文部科学省

「知」は、基礎的な知識や技能を習得・活用し、自分自身で考えて判断・表現することで多くの問題に積極的に対応・解決するための確かな学力、「徳」は、自分自身を律しつつ、他と協調し他を思いやる心、感動する心といった豊かな人間性、「体」は、たくましく生きるための健康・体力を示しています。

教育業界の業界研究ができるおすすめ書籍2選

教育業界の業界研究ができるおすすめ書籍2選を表した図

教育業界を知るためのソースとしては、インターネットやニュースなどが手軽に利用できますが、書籍も有力な候補です。書籍の出版にはコストが掛かるため、内容は慎重に検討されており、信頼性が高く有益なものが多くあるのです。

書籍の入手には手間とお金が必要ですが、業界研究の手引として何冊か手元に置くことをおすすめします。教育業界への道案内となる書籍を紹介しますので、参考にされてはいかがでしょうか。

1.図解入門業界研究 最新教育ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本

『図解入門業界研究 最新教育ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本』は、2020年の教育改革と教育グローバル化を展望し、教育サービスをとりまく全体像を知ることができる書籍です。

新学習指導要領と民間教育産業の動向や、生徒獲得競争で再編が進む塾業界、および業界の構造と市場規模、海外展開にまで言及され、業界を支えている企業の現状と動向を把握できます。

2.塾・予備校〈2018年度版〉

『塾・予備校〈2018年度版〉』は、業界研究書のトップブランド『産業と会社研究シリーズ』の一冊で、最新情報を更新し毎年リニューアルされる、業界研究書の定番です。

最新データにもとづく業界動向や、業界・主要企業の成り立ち、仕事の内容などを解説した定番書として、就職活動をはじめ新人研修や取引先のリサーチなどに幅広く活用されてきいます。

教育ICT化による業界内の劇的な変革の流れをはじめ、全国主要各社の最新動向や成長戦略などについて詳細に取材されておりおすすめできます。

教育業界を深く知って就活を有利に進めよう

教育業界の魅力は、次世代を担う人材を育てられることです。もちろん大きな責任が伴いますが、それだけやりがいもあり価値ある仕事といえるでしょう。人間の可能性への信頼と共に、自分自身も向上してゆくことができる教育業界はとても魅力的な業界です。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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