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警備業界とは
人々の暮らしを守る警備業界は、凶悪事件への不安も高まっていることから、事務所や家庭向けの警備などを中心に需要が高まっています。大切な人や家財を守ってくれる警備会社は、多くの人にとって無くてはならない存在でもあります。
しかし警備業界でどんな業務をしているのか、漠然としたイメージだけがある人も多いことかと思います。そこで今回は、警備業界の基本的な情報や業界の動向について見ていきましょう。
警備業界の概要
警備業界は人々の生命や財産を守る業務を行っています。1964年に行われた東京オリンピックで選手村を警備したことからはじまり、高度経済成長期で急速に発展しました。
警備業界のサービスは、常駐警備による24時間監視のオンラインセキュリティシステムや、PCなどの情報漏洩を防ぐサービス、家庭向けのセキュリティサービスなどと言ったセキュリティの幅広い分野に及びます。
安全に対する意識が高まっている時代なので、警備業へのニーズも必然的に高まっています。実際、企業向けセキュリティサービスだけではなく、家庭向け警備サービスなどホームセキュリティの需要が平成25年頃から伸びてきています。イベントなどに行くと、交通誘導を含めた警備員の姿を見ることも多いでしょう。
警備業界の業績推移について
- 業界規模:1兆3,684億円
- 平均年収:467万円
- 平均継続年数:11.9年
警備業界の業界規模は平成17年~22年までほぼ横ばいでしたが、平静23年以降は増加傾向に転じています。平成23年といえば世界的な金融危機があった年で、多くの業界や企業が業績悪化のダメージを受けた時期です。警備業界にも金融危機の影響がなかったわけではありませんが、そう言った不安が高まった時こそ需要が伸びることから、警備業界は安定している業界とも言えます。
個人の平均年収は約467万円で、123業界の中で113位に位置しています。警備会社の中で最も平均年収が高い会社は「セコム」で、596万円です。それに「セコム上信越」の554万が続き、「綜合警備保障」が546万円で業界第3位になっています。警備系の資格を取得すれば手当を出してくれる企業もあります。
平均継続年数は、業界全体で約11.9年となっています。平成27~28年における勤続年数の業界上位を見てみると、「セコム」や「セコム上信越」で15.6年、「綜合警備保障」が15.4年、「セントラル警備保障」で12.3年となっています。
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警備業界の将来性
警備業界は将来性のある業界です。警備員の需要というのは年々高まっています。直近ではオリンピックやサミットなど、各国から日本へ人が集まる行事で警備は必須になります。またそれだけではなく、人気の観光地など、地方でも警備員の配置を必要としている場所が増えつつあることから、今後も需要がなくなるということはしばらくないでしょう。
また近年発達してきているAIを用いた警備ロボットの導入など、技術的にも新たな試みがおこなわれています。その分人材面での不安を覚える人もいるようですが、新たな技術を機械のみで運営するということは、まだまだ難しい状態です。警備に関わる事柄を管理する人材は、まだまだ必要ということになります。
人手不足が警備業界の課題
AIなどの機械技術を警備に用いろうとする動きの大きな原因は、警備業界が抱えている課題にあるといってもいいでしょう。警備業界はその需要に反し、常に人手が足りないといわれています。警備業界は元々危険と隣り合わせの業界でもあるので、なかなか積極的に就職したい、という人が少ないのかもしれません。
過去と比較しても、警備員自体の扱いは昔より改善され、様々な形での業務も用意されているのが現状です。また就職の際も身元をはっきり証明した上でなければならないなど、厳密にルールが決まっており、企業も責任を持って雇用する形となっています。
現在は人材確保の方法として、定年退職後でも働けるようにして、シニア層の人材発掘などをおこなっている企業もあるようです。
警備業界の細かい職種分類について
- 一号業務
- 二号業務
- 三号業務
- 四号業務
警備業界では、基本的にスキルや専門知識を持っていれば求められる仕事のレベルは高くなる傾向にあります。また警備業界は、警備業法第二条で警備業務について、一号業務から四号業務までの規定があります。
一号業務は事務所や住宅、病院や銀行、商業施設や駐車場など、さまざまな現場で監視や巡回、さらに人や車両の出入り管理を行います。二号業務は交通警備が業務の中心です。工事現場や駐車場、お祭りやイベント会場で人や自動車の誘導を行います。
三号業務は貴重品の運搬を行い、現金・貴金属や美術品から核燃料に至るまで、さまざまな物を運搬する業務になります。ただ運搬するだけではなく、盗難や事故の発生や防止も行います。
四号業務はボディーガードと言えばイメージしやすいでしょう。要人の身辺警護などを行い、人の生命や身体に対する危害の発生を未然に防ぎます。危険がないか周囲の警戒をすることもあり、人を守る業務を行っています。
主要企業5選紹介
警備業界の主要企業を5つ選びました。警備業界への就活を積極的に行いたいと検討している人は、ぜひ検討してみてください。警備業界のトップ2は日本の警備業界の草分け的存在であるセコムと綜合警備保障(ALSOK)です。それ以外にも、複数の大手警備会社が名を連ねています。
それぞれの警備会社は同じ警備業界にあるといっても、業務内容や社風が異なります。そう言った部分を具体的に知ることで、自分の気質に合った警備会社はどこか探す手がかかりとしましょう。
①セコム株式会社
- 企業名:セコム株式会社
- 代表者名:飯田 亮
- 代表取締役社長:中山 泰男
- 従業員数:58,596名
- 設立年月日:1962年7月7日
セコムは警備業界でも大手に挙げられる企業です。具体的な業務内容は、セキュリティ業務、防災事業、メディカル事業、保健事業、地理情報サービス、情報通信、国際事業から不動産事業まで幅広い事業展開を行っています。ただメインはやはりセキュリティ業務です。
企業向けから家庭向けまでセキュリティサービスを提供しています。社風ですが、企業理念として正しさの追求や、新しいシステムや運営方法を創出するための否定の精神、変化を恐れずチャレンジをする現状打破の精神を掲げているのが特徴です。
正しさと言っても、セコム独自の正しさではありません。あくまで社会的な正しさ、公正さを大切にしています。ある意味生真面目な社風とも言えるでしょう。
② 綜合警備保障株式会社
- 企業名:綜合警備保障株式会社
- 代表者名:村井 温
- 代表取締役社長:青山 幸恭
- 従業員数:36,693人(連結)
- 設立年月日:1965年7月16日
綜合警備保障(ALSOK)は日本における警備会社の大手老舗の一つです。法人向け、個人向けセキュリティサービス、常駐警備、警備輸送や、総合管理、防災などをメインに幅広く事業展開をしています。保険関係から鳥獣被害対策、社会インフラまで幅広いのが特徴です。
経営理念を見ると「ありがとうの心」と「武士の精神」が掲げられており社風を表しているのが特徴です。「ありがとうの心」とは感謝の心を忘れないこと、そして、「武士の精神」では、強く正しく温かい心のことであり、その気持を持って仕事に取り組んで社徳のある会社を目指すというものです。
警備業を中核としながらも新しい分野へのサービスや商品を提供するチャレンジ精神も持っています。
③セントラル警備保障株式会社
- 企業名:セントラル警備保障株式会社
- 代表者名: 鎌田 伸一郎
- 従業員数:3,511名
- 設立年月日:昭和41年3月10日
セントラル警備保障は、常駐警備、機械警備、輸送警備、機器の販売や工事、情報サービスとなります。機器の販売では、機械警備の契約と新型損害保険の販売など、防犯、防火、防災機器や、設備を設置する工事についても販売しています。情報サービスに関しても情報セキュリティシステムの開発販売や、暗号技術ソフトの開発や販売を行っている企業です。
創業理念には「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」とあります。人との関わりを大切にしていることが大きなポイントでしょう。そして社会の変化にも柔軟に対応し、セキュリティに付帯した新規関連分野への事業進出も視野に入れてます。
④セコム上信越株式会社
- 企業名:セコム上信越株式会社
- 代表者名:竹田 正弘
- 従業員数:1,746名(連結)
- 設立年月日:1967年5月25日
セコム上信越株式会社はセコム株式会社の子会社としてスタートしました。エリアは、群馬長野、新潟の三県となっています。業務内容はセコム株式会社と同じく、情報分野を含めたセキュリティ対策や、防犯、防災商品の販売、損害保険や医療介護などが挙げられます。
セコムの理念として、正しさの追求、新しい運営方法やシステムを作るための否定の精神、現状打破の精神などがある企業です。この辺りは親会社であるセコムと同じです。社会に有益な事業をすることが根底にあり、逸脱しないということも企業理念に書かれています。社会サービスシステムに対し、受動的ではなく能動的に社会の変化をとらえて実行するという内容やすべてに関して礼節を重んじるという社風です。
⑤東洋テック株式会社
企業名:東洋テック株式会社
代表者名:田中 卓
従業員数:1,464名(連結)
設立年月日:1966年1月5日
東洋テックグループは、機械警備業務とビルメンテナンス業務をメインとしています。他にも輸送警備、施設警備、受託管理業務や保険代理店業務などが業務です。さらにコールセンター業務や、工事や機器の販売、不動産業務まで幅広いです。特に機械業務は、新しいセキュリティシステムの開発に力を入れています。
経営理念は、安心で快適な社会の実現へ貢献することです。行動指針はお客様、株主、従業員、社会のためにという4つの指針が示されています。従業員の多様性や個性人格を尊重する、超過勤務の防止、各種ハラスメントの禁止にも企業として気をつけているのが特徴です。これは働く人間にとって、働きやすい企業風土と言えるでしょう。
こちらの記事では、公務員と民間企業の違いについて詳しく解説しています。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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警備業界研究のおすすめ書籍紹介
警備業界を研究したいなら、専門家や作家の手による書籍を読むのも一つの方法です。単純に読むものとしても楽しめる書籍をご紹介します。紹介する書籍には、警備業に関する知識や理解を深める情報だけではなく、日本において警備会社がどのように生まれて発展したのかについての情報も書かれています。
なぜ生まれたのかは必要があったからと言えるでしょう。業界が生まれた背景を知ることで、警備業界を志望する動機の根拠づけに深みを与えることができるのです。
警備業の社会学
警備業の社会学は社会学者田中智仁の著書です。2010年にこの著作で日本社会病理学会出版奨励賞と日本犯罪社会学会奨励賞を受賞しています。警備会社の社会的な考察、社会学からの犯罪予防理論や警備業自体とその目的、諸外国の警備業など、警備業に関して社会学の観点で解説しているのが特徴でしょう。
日本を代表する警備会社、セコムや綜合警備保障と言った警備業がどうして日本で生まれ発展したのかも言及しています。社会学による学術的な観点から警備業について体系的に書かれた著書は日本では数少なく、警備業界についてより深い知識を得ることができる著作と言えるでしょう。深い理解は警備業について企業研究を行う大きな材料となります。
民警
民警は東京都知事でもあった作家、猪瀬直樹氏による著作です。日本の警備業を知る上で、二大大手警備会社であるセコムとアルソックを無視することはできません。しかしこの2つの企業はまったく無関係ではなく、ある関係がありました。日本初の民間警備会社である現セコムに東京五輪で選手村の警備を発注したのが、後のライバルとなるアルソックを設立した警察官僚だった、そんな話なども書かれています。
日本の警備会社大手がどうして生まれたのか、どのような時代背景だったのかを含め、著者が詳細な取材によって得た情報により書かれています。警備会社の方法論の違いも書かれているので、単純な読み物として楽しめるだけではなく企業研究の参考になるでしょう。
警備業界を深く知り就活を有利に進めよう
警備業界は時代に対し、柔軟かつ臨機応変な対応を求められる業界です。特に大手警備会社ではその傾向が顕著に現れており、IT技術やAIの導入などによる業務の効率化や、新たな業務形態の展開などを図っている部分があります。
また特定の施設や家庭用のセキュリティだけでなく、イベントや観光施設などの多数の人が集まる場所にも、警備業務は必要不可欠な仕事です。人々の娯楽の発展に伴い、こういった形での需要はまだまだ減ることはないといってもいいでしょう。
これらの状況を考えると、警備はどのような時代になっても、人々の生活にとって必要とされる業界といえます。その分将来性も期待できるため、今から警備業界を目指すという就職の選択肢を考えてみてもいいでしょう。
警備員に就職するための志望動機について、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。