就活のマナー
【行くの敬語とは】尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを徹底解説
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目次
敬語の正しい意味や使い方を把握しておこう
就職活動の最終関門である面接では、採用担当者は様々な質問を就活生にぶつけ、その人の人柄や経験、今後の可能性を探ろうとします。多くの就活生は、話す内容こそが何よりも大切だと思い込んでいますが、内容と同様に大切なのは、場に適した話し方や正しい言葉遣いができているかです。
言葉遣い、特に敬語をきちんと使いこなせるかどうかは社会人に求められる基本的なマナーですが、学生生活においてはなかなか意識しづらいのではないでしょうか。面接という大切なシチュエーションにおいて正しく敬語を使いこなせるよう、おさえなければならないポイントをここできちんと確認していきましょう。
この記事では、面接の前に理解しておくべき敬語の種類やそれぞれの正しい使い方について、詳しく解説していきます。
敬語の意味と使い方
敬語とは、相手に敬意を示す手段です。面接では話す内容のみが大切だと思っている就活生もいるかもしれませんが、それは間違いです。敬語を含めた言葉遣いはその人の人となりを反映するため、選考に際しては話の内容とともに多くの採用担当者が重視しています。
敬語が使えないと、「人に敬意を払えない」と受け取られてしまうため、自然に使えるよう、日頃から意識して練習するよう心がけましょう。ここからは、敬語の意味と使い方について見ていきます。
①敬語
敬語は、それぞれの性質によって「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分類されます。社会人は日々敬語を使うので、間違った敬語はすぐに見抜かれ、「敬語もまともに使えない、勉強していない」と思われてしまいます。面接での話の内容はしっかりとしているのに、敬語が正しく使えていないことで低評価を受けてしまっては元も子もありません。
これら3種類の敬語は、主語が誰で、自分の立ち位置をどこに置くかによってどれを使用すればいいかが変わってきます。ここからは「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」それぞれの違いや使い方について確認していきましょう。
②尊敬語
- 尊敬語独自の動詞を使う
- 例)言う→おっしゃる、見る→ご覧になる、知っている→ご存知である
- 「〜れる」「〜られる」「〜なさる」
- 例)お客様が車に乗られる。鞄を持たれる。質問をなさる
- 形容詞や名詞に「お」「ご」をつける
- 例)美しい→お美しい、優しい→お優しい、お車、ご実家
尊敬語とは、会話をしている相手や会話の中に登場する人物の動作などに対して敬意を示す表現方法です。従って主語は敬意を示す相手、例えば企業の採用担当者やお客様、上司など主に目上の人になります。
例にもある通り、言うを「おっしゃる」見るを「ご覧になる」などと言い換えたり、名詞の前に「お」をつけるなどすることで言葉自体が丁寧になり、相手への敬意を伝えることができます。
③謙譲語
- 謙譲語独自の動詞を使う
- 例)言う→申し上げる、見る→拝見する、知る→存じ上げる
- 「お◯◯する」「ご◯◯する」
- 例)社長をお送りする。社長をご案内する
- 「お◯◯申し上げる」「ご◯◯申し上げる」
- 例)社長をお待ち申し上げる。先生をご案内申し上げる
- 名詞に「粗」「拙」「弊」「愚」などをつける
- 例)粗品、拙著、弊社、愚兄
謙譲語とは、自分や会話の中に登場する人物の動作などをへりくだって表現することで相手の立場を高め、敬意を示す敬語です。尊敬語とは異なり、主語は主に「自分」になり、自分の動作を表現するときに動詞を謙譲語にすることで、相手への敬意を示すことができます。
例えば、言うは「申し上げる」見るは「拝見する」となる他、「頂く」や「申し上げる」といった表現も謙譲語特有の言い回しになります。
④丁寧語
- 「〜です」「〜ます」
- 例)これは私の車です。私も行きます
- 「〜でした」「〜ました
- 例)これは私の車でした。私も行きました
- 「〜でございます」
- 例)これは私の車でございます
- 「〜うございます」
- 例)恐ろしゅうございます
- 「〜でしょう」「〜ません」
- 例)恐ろしいでしょう。乗りません
最後に、丁寧語について説明します。丁寧語とは、ものの言い回しを丁寧にすることで話を聞いている相手へ敬意を表す言葉です。日常生活においては相手を問わず非常に多くの場面で使うことができます。
身近な言い回しとしては「です」「ます」がありますが、上記のように「です」「ます」の過去形や「〜でございます」や「〜でしょう」などその他の言い回しもあります。
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尊敬語や謙譲語は混合しない
一般的に敬語が難しいと言われるのは、尊敬語と謙譲語の区別がつきにくいからです。尊敬語は自分より相手の立場を持ち上げることで相手への敬意を示す敬語である一方、謙譲語は自分が相手よりへり下ることで相手に敬意を示します。つまり、相手に敬意を示すという目的は同じですが、両者では自分の立ち位置が異なるのです。
敬語は単に使えばいいものではなく、間違った敬語を使うことは、ビジネスでは相手に対して失礼な行為と受け取られかねません。尊敬語と謙譲語の違いは、ここでしっかりおさえておきましょう。
間違えやすい行くの敬語表現と例文
敬語は面接ではもちろん、その後の社会人生活でも必ず使いますが、慣れていなければ正しく使いこなすのはなかなか難しいものです。大学の教授、バイト先の上司、部活の先輩など、日常生活において目上の人に接する機会があれば、常に意識して敬語を使うようにするといいでしょう。一度正しく身につけることができれば、社会人になった後に必ず役に立ちます。
ここからは間違いやすい「行く」の3種類の敬語表現について、具体的な例文を交えて確認していきましょう。
①尊敬語は「行かれる」または「いらっしゃる」
- 休暇はどちらに行かれますか
- 休暇は〇〇にいらっしゃったそうですね
- 教授はお食事に行かれました
- 教授は学会にいらっしゃいます
- 会場へは何時に行かれますか
- 会場へは何時にいらっしゃいますか
尊敬語を用いて目上の人がどこかへ「行く」ということを表現する場合、上記の例文のように「行かれる」もしくは「いらっしゃる」と言い換えることができます。
先にも書いた通り、「行く」を尊敬語を用いて表現する場合、主語は「目上の人」になり、自分が行くということを伝えたい場合には使用することができません。先に紹介したいくつかの例文をぜひ参考にしてみてください。
②謙譲語は「伺う」または「参る」
- 明日〇時に会場に伺います
- 明日◯時に会場に参ります
- ◯日に御社に伺います
- ◯日に御社に参ります
- ◯時にお迎えに伺います
- 〇時にお迎えに参ります
謙譲語の「行く」の例文は上記の通りです。尊敬語の「行く」の主語が目上の人である一方、謙譲語を使って「行く」を使う場合、主語は自分やその周りの人です。目下の人間である自分がへり下って、目上の相手、つまりお客様などの所へ行くという場合に謙譲語を使います。
謙譲語で「行く」は、「伺う」または「参る」という表現に言い換えることができます。「伺う」「参る」は尊敬語として使ってしまう人もいるので、使い方には注意が必要です。謙譲語の主語は常に自分であることを意識し、正しく謙譲語を使いこなせるようしっかりと使い方を確認しましょう。
③丁寧語は「行きます」
- 今から書類を取りに行きます
- 明日、飲み会に行きますか
- 彼は食事に行きました
- ◯時に面接に行きました
丁寧語の「行く」の例文は上記の通りで、「行く」の丁寧語の表現は「行きます」のみです。その他の動詞では「ます」や「ございます」を使用することで、丁寧な表現をすることができます。
丁寧語は最も使用頻度が高く、相手や話す内容に関わらす丁寧な言葉遣いにする必要があるときに使用します。尊敬語や謙譲語よりもシンプルで、使う動詞の語尾に「です」「ます」や「ございます」をつけるだけです。主語は自分であったり相手だったりしますが、状況によっては不適切な場合もあるので、使うタイミングには注意するようにしましょう。
訪問するの敬語については、こちらの記事で詳しく解説しています。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを徹底解説
では、実際に就活をおこなう際によく出てくる表現で、間違った使い方が考えられるのはどういったものがあるでしょうか?自分では正しく敬語を使ってると思っていても、本来の使い方とは違っていて、相手が違和感を感じる恐れがあります。
日常会話の現代用語の様に、時と共に変化していきそれが自然な日本語として使われるようになる言葉もありますが、敬語に関しては流行りで使い方や表現が変化するということはほとんどありません。正しい表現をしっかり覚えておくと、採用担当者や面接官との会話も自信をもって出来るようになります。
①了解しました
こちらは最近メールや社内での会話でも良く使う場面が見受けられますが、立場によっては使い方が正しくない表現です。例えば、自分が上司に報告し、それに対して上司が「了解しました」ということであれば特に問題がありません。
または同僚同士の会話でも違和感はないでしょう。しかし、目上の人やお客様に対して「了解しました」という表現を使うことは、ビジネスマナーとしてはNGです。元々は上の立場の者が部下に対して許可を与えるという意味がある為です。
「了解しました」の代わりに下記のような表現を使うことが望ましいです。
・分かりました
・かしこまりました
・承知いたしました
この3つは同じ意味ですが、「分かりました」は少し砕けた感じですので、お客様や役員クラスの上司には「かしこまりました」「承知いたしました」が良いでしょう。
②拝見いたしました
こちらも就活中や就職後も頻繁に使われる表現です。相手から頂いた資料などを目を通し内容を読みました、という事ですが「拝見」は見るの謙譲語、そして「いたしました」もまたする・行うの謙譲語です。このような二重敬語は文法としては正しくはないです。
二重に重ねる敬語は不自然でくどい印象を持たれてしまいます。正しい使い方としては、「拝見しました」となります。また、同じ読むという言葉の謙譲語として「拝読しました」も使う事が出来ます。こちらは拝見すると比べて、よりじっくりと内容を読むという意味ですので、真剣に読んだという事が相手により伝わりやすい表現です。
しかし、拝読は文章だけの書類を読んだ時に使われますのでご注意下さい。「拝見しました」「拝読しました」は文章と会話の両方で使う事が出来ます。
③よろしかったでしょうか
もうひとつは、「よろしかったでしょうか」という表現がよくサービス業などで使われています。この表現は相手に内容を確認したり、相手の言ったことを復唱して確認する場合などに使われます。以前、コンビニエンスストアやファミリーレストランの店員さんがこの言葉をよく使う、ということがニュースで取り上げられ話題になりました。
遠回しな表現法でやわらかな印象にはなりますが、実は文法的にも敬語の使い方としても正しくありません。この場合は「よろしいでしょうか」または「よろしゅうございますか」が正しい使い方となります。学生の会話ではあまり使わない表現のため思わず、大丈夫でしょうか?と使ってしまいがちですのでこの使い方に慣れておきましょう。
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ここまで、敬語の種類、それぞれの違いと使い方について詳しく解説してきました。尊敬語の主語は「相手」であり、その相手を持ち上げてることで敬意を示すことができます。その一方、謙譲語の主語は「自分」で、自分がへり下ることで相手の立場を上げるという効果があります。また丁寧語は、どのような場面や相手に対してでも、言葉遣いを丁寧にしたいときに使用する言葉です。
これらの違いを理解し正しく使い分けることができれば、面接官に好印象を与えることができます。面接で話す内容をしっかり練るのと同時に、ここで学んだ敬語を含めた言葉遣い全般や話し方についても細かく見直しましょう。そして、志望企業から内定が得られるよう自信を持って面接に臨んでください。
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