業界研究

アパレル業界の基礎知識|仕事内容や現状の課題とTOP5企業を紹介

アパレル業界は常に動向を見ながら選考を受けることが重要

服は身近にあるもので、外出先でアパレルショップを見かけることも多く、アパレルの仕事はイメージがしやすいでしょう。おしゃれで華やかなイメージからアパレル業界に憧れを持つ人も少なくありませんが、就職するなら業界の実態を正しく把握しておかなければなりません。

きらきらして見えるアパレル業界は実は多様な問題を抱えており、現状や将来性に注意を向ける必要があります。時代の流れや消費者の思考の変化に大きな影響を受けるアパレル業界は、現在大きな転換期を迎えているともいえます

イメージしているアパレル業界と、今後の行く末が違っている可能性もあるため注意しなければなりません。アパレル業界の現状から課題・将来性まで知り、業界への理解を深めていきましょう。

アパレル業界の志望動機を確認したい場合はこちらの記事を参考にしてみてください。

就活生に聞いた! アパレル業界に対するイメージ

アパレル業界に対するイメージ
アパレル業界の現状などを紹介する前に、就活生の皆さんのアパレル業界に対するイメージを紹介します。どのようなイメージを持たれているのかを確認しておくことで、業界の実情とのギャップなどを確認して業界研究がより興味深く進められるかもしれません。

就活生の皆さんのアパレル業界に対するイメージについての回答を見ていきましょう。

働いている人に華やかで良い印象をもつ就活生が多数

アパレル業界で働く人に対して、おしゃれで華やかといった好印象を持っている就活生が多くいるようです。

店舗で働く場合、そのブランドの服を着こなしながら接客するため、自身が商品の良さを際立たせる広告塔になる必要があります。それを支えるのがファッションセンスや、ブランドイメージに合った接客態度となるでしょう。

アパレル業界で従業員として働くためには求められるものが多い分、やりがいも多く、センスが磨かれていくことも期待できそうですね。

業界の直面する課題から大変そうというイメージを持つ声も

一方で、業界の動向などから働くことに対して大変さを感じているという回答も多く寄せられました。

普段から親しみのある服についてであるため、業界がどのように変化しているのかや、華やかな印象のある業界の裏側に対しても少なからずイメージを持っている就活生が多いようです

このあとさまざまなイメージを持たれるアパレル業界の現状や将来性について紹介していくので、ぜひ自分が持っていたイメージと比較してみてください。

アパレル業界の現状

業界についての理解を深めるには、まずは現状を正しく把握することが大切です。アパレル業界は企業が直接消費者と関わるBtoC構図であるため、消費者にとっても業界のことは何となくイメージしやすいです。

しかし業界について知っているつもりでも、あくまで消費者の視点にしか過ぎないでしょう。業界の実態の奥深いところまでは、目が届いていないことも少なくありません。消費者目線で見ることはもちろん大切ですが、さらに理解を深めるにはビジネスの感覚を持って現状を理解する必要でしょう。

それでは詳しく見ていきましょう。

不景気やコロナにより市場規模は縮小

アパレル業界は不景気やコロナの影響により市場規模が縮小する苦境に陥っています。

統計局の調査によると、世帯当たりの衣服に支払う金額というのは年円減少しており、国内のアパレル市場規模は、供給量が20億点から40億点程度へとほぼ倍増しているにもかかわらず、バブル期の15兆円から10兆円程度に減少しています

衣料品の購入単価・輸入単価は、1991年を基準にした場合6割前後の水準に下落しています。

低コスト思考が根強くなっている

アパレル業界では全体的に低コスト思考が広がっており、安くいい物を買うことが現在の消費者の一般的な考えでしょう。ひと昔前までは安物はすぐにダメになってしまい結局高くつくため、長持ちする高い物を買うという認識がありました。

しかし現在では縫製技術や繊維の品質の向上に加え、生産技術向上に伴い、安くてもいい製品が数多く登場しています。単に長持ちするだけではなく、機能性やデザイン性に優れたものも多いため、あえて高い物を買う必要がないと考える人も多いです

安くても品質のいい物が手に入ることから低コスト思考は広がっており、ファッションはロープライス化が進んでいるといえるでしょう。

ファストファッションやフリマアプリが浸透している

低コスト思考の影にあるのは、ファストファッションやフリマアプリの存在です。ファストファッションとは、流行を採り入れつつ低価格に抑えた衣料品を、大量生産し、短いサイクルで販売するブランドやその業態のことです。身近なものでは、ユニクロやZARAがあげられます。

そして国内外で広く展開されているファストファッションブランドも、商品の移り変わりが早く、トレンドを重視している点が特徴です。その時々でのトレンドのアイテムが、安価で手に入ることから、ファストファッションだけでおしゃれができるようになっています

テレビでもファストファッションのみのコーディネートの特集を組むことがあるくらいで、認知度は非常に高いでしょう。

また個人間で気軽に売買できるフリマアプリで服を出品する人も多く、これを利用して割引価格で少し高いものを買うという人も少なくありません。フリマアプリなら、一部のプレミア品を除くとほぼ確実に定価以下で購入できるでしょう。フリマアプリはメルカリやヤフオクなどが挙げられます。

そしてファストファッションやフリマアプリに共通していることは安価だということです。そのためアパレル業界もファストファッションとフリマアプリが主流の現在では価格競争のために低コスト思考が根強くなっているのです。

消費者の思考は二極化している

一般的には低コスト思考が広く浸透していますが、全員が安さを求めているわけではありません。低コスト思考を持つ人が増えている中で、反対にセレクトの一点物や高級なブランド品を求める人もおり、消費者の思考は二極化しています

思考の違いによってアイテムの使用期間が変わることも多く、安いものはトレンドを重視して短いサイクルで買い替えるのに対して、高いものは長く使うのが基本です。いわば流行り廃りの激しいトレンドのアイテムは安価で購入し、時代の流れに関係しない普遍的なアイテムは長く使うという価格帯による違いは大きいです。

あなたがアパレル業界に向いているか、確認してください

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アパレル業界が抱える課題

アパレル業界の現状を知ったところで、ここからどのような課題があるかを考えてみましょう。アパレル業界が抱える課題は大きく2つであり、これらにどのように対処するかが、今後の業界全体の成長性を左右するといっても過言ではありません。

トレンドや社会の変化に影響を受けやすいアパレル業界だからこそ、現状の課題を知り何から影響を受けているのか知るのは大切でしょう。課題を知って問題点を洗い出し、就職する際の弊害にならないかチェックしておきましょう。

全体的に消費者の支出が減っている

景気の低迷に伴いファッションにお金をかける人が減っており、消費者全体の支出は減少傾向にあります。内閣府の調査結果によると、家計の消費行動が減少傾向にあることがわかります。

またGUの調査結果によると、約2万8000人中62%が服にかけるお金が減っていると答えています。

そして、もともとファストファッションはワンシーズンで交換することを前提に作られていますが、今では質が良いものも多く、使い方次第では複数年使えることも少なくありません。

トレンド重視のアイテムは多いですが、中には時代の流れに関係しないベーシックなアイテムも安く販売されています。そのため安く買って長く使い、費用を節約するという人も増えています。

また景気の悪化によって収入が減り、そもそも服にお金をかけられないという事情も少なからずあります。ファッションは趣味や娯楽の要素が強いため、不景気の時は消費者の財布の紐が固くなり、支出は減少しやすいです

ネット通販の普及により実店舗の存在意義が薄れている

ネット通販市場の規模の増大によって、アパレル業界でもこの煽りを受けています。実店舗を構える店は少なくありませんが、同時にオンラインショップも開設しており、ネットのほうが売れるということも多いです。

店舗に足を運ばなくてよい、在庫がなくてもネットなら買える場合がある、店員に話しかけられずに済むなど、ネット通販を利用する理由は人によって違います。企業によってはネット通販だけの限定商品を用意していることもあります。

また最近ではコロナウイルスの影響で外出を控える人が多いほか、コロナウイルス感染のリスクを低減するために実店舗ではなく、ネット通販を利用する動きが活発化しています。

MMD研究所の調査結果によると、「2020年4月以降、ネット通販の利用頻度が増えた」利用者は21.3%、「2020年4月以降、ネット通販の利用開始した」利用者は4.8%となり、コロナ禍での総合ECサイト需要拡大は26.1%にのぼるとしています

このコロナウイルスの影響もネット通販の普及を後押しし、実店舗の存在意義が薄れている要因の一つです。

ネット通販でも売上が増えるならよいですが反面店舗での業務が減ってしまい、人件費の調整が難しい点が問題です。ネットと実店舗をどのように使い分けるか、バランスの調整は今後の大きな課題といえます。

アパレル業界の将来性

現状としてアパレル業界は課題を抱えていますが、だからといって将来性がないわけではありません。課題を解決した先に明るい未来は待っているため、少なからず将来性があることは理解しておきましょう。

アパレル業界にはどれだけの将来性があるのか、将来性を切り開くためのポイントも含めて理解を深めておきましょう。

生活必需品としての最低限の需要はある

大前提として、服はファッションや個性の表現といった以前に、生活必需品としての位置づけがあります。つまりどれだけ業界規模が縮小したとしても、生活に必須の衣料品としての需要は確実に残るため業界自体がなくなるという心配はありません

もちろん最低限の需要だけになってしまうと、業界規模の縮小は免れません。しかし世界中の誰もがおしゃれをしなくなるという状態はイメージしづらいでしょう。日本では少子高齢化によって人口減少が進んでいます。

そのため消費者の絶対数が減る分業界規模も縮小する可能性が高いですが、これはアパレル業界に限ったことではありません。他の業界も同様のリスクは抱えており、国内需要の縮小を見越して海外展開を進め、需要の確保を狙う企業は数多くあります。

生活に必須の衣料品としての需要は確実に残るため業界自体がなくなることはないと言えるでしょう。

各ブランド・メーカーごとの競争は熾烈化する

国内消費は人口減少によって縮小することが予想されるため、少ない需要を獲得するために各社での競争は激化すると考えられます。社会構造の変化によって消費者の思考がさらに変わる可能性はありますが、低コストと本物志向の二極化の場合で考えても競争が激化する可能性は高いです。

低コストのファストファッション同士での競争はもちろん、ブランドやセレクト対ファストファッションという構図が生まれつつもあります。特定の分野同士で競争するというよりは、アパレル業界全体での競争になる可能性が高いでしょう。

生き残りをかけた熾烈な争いになるためいかに素早く確実に顧客を獲得できるかが、企業の将来性を左右するポイントとなるでしょう。

他にはない独自の強みを見つけることがカギ

業界内の競争が熾烈になると予測されるため、その競争をいかに勝ち抜けるかが企業の命運を左右します。激化する競争から抜きんでるには、他社にはない独自の魅力や武器を身につける必要があります。

たとえば現在ではファストファッションの台頭が目覚ましいですが、発足当時から高いシェア率を獲得していたわけではありません。最初は安くて品質がそれほど良くないことから、一部のユーザーしか獲得できていませんでしたが、安価で高品質を目指すことで、社会的地位を獲得しています。

つまり付加価値を付けた商品が求められており、現状からプラスアルファのサービスが必要です。商品自体だけではなく、接客や買い物のシステムといった、他社との差別化が今後は特に重要視されると言えるでしょう。

アパレル業界のどの企業に就職するか、企業選びのポイントについてはこちらの記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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アパレル業界の仕事内容

アパレル業界の仕事内容

アパレル業界への理解を深めるには、どのような仕事があるのかやその種類とそれぞれの内容を知っておくことが大切です。アパレル業界の職種は、大きく分けると上記の4つがあげられます。

デザイナーやパタンナー、バイヤーなどはよく耳にする言葉ですが、実際の仕事内容については知らないという人も多いでしょう。また、生産管理など、あまり知られていない仕事についても理解を深めておくことが大切です。

デザイナー・パタンナー

洋服を新しく作ることがデザイナーとパタンナーの仕事であり、それぞれで仕事内容が大きく異なります。デザイナーは服のデザインを考える仕事です。スケッチをしたり、使用する生地や縫製などの細かい点を仕様書に起こしたりしていきます。

パタンナーはデザイナーが作成した仕様書を元に、生産するための設計図を作成します。わかりやすくいえば、デザイナーが原案を出しパタンナーが設計図に起こすという仕事内容です

デザイナーはデザインの知識や技術、独自のセンスなどが必要であり、パタンナーはデザイナーの考えを読み取り、型紙に起こしていく力が求められます。また、人と接することの多い仕事でもあるため、ひとりでする仕事では全くなく、高いコミュニケーション能力が求められることも覚えておきましょう。

以下の記事ではコミュニケーション能力をアピールする方法について詳しく解説しています。併せて確認してみてください。

バイヤー

バイヤーは商品の買い付けをおこない、販売計画に沿った売り出しのプランを考えることが仕事です。アパレル業界では自社生産のブランドを販売するだけではなく、他社ブランドの商品をセレクトして、販売することもあります。もっとも想像しやすいものは、セレクトショップのBEAMSやUNITED ARROWSでしょう。

そして店舗に陳列する商品のセレクトをおこなうことがバイヤーの仕事です。国内外を問わず、生産元に足を運んで商品をチェックし、販売交渉をおこなって買い付けをします。

買い付ける商品は服の生地やブランドによって様々ですが、どの商品が売れそうか見極めることがバイヤーにとって最も重要な点です。なぜならバイヤーが仕入れる商品によって会社の収益が変わるからです。そのため、自社のブランドコンセプトへの正しい理解とトレンドを察知する能力が求められます。

またバイヤーはセンスだけで仕入れる訳ではなく、「売れる」と判断した根拠が必要となります。そのため市場ニーズを的確に掴むためのマーケティングリサーチやトレンド情報の収集・分析がバイヤーにとって非常に重要な業務です。

バイヤーの業務は会社の収益を左右する重要なものです。そのため新卒でバイヤーになることは少ないでしょう。

生産管理

生産管理は服を製造する工場の仕事です。自社工場で生産している場合には、パタンナーが起こした型紙通りにきちんと製造できているかをチェックすることが主な仕事です。使用する生地の品質や、出来上がりの商品の縫製の確認などもおこないます。

自社で工場を持っていない企業では他社に製造を依頼することになります。他社に製造を依頼している場合には、パタンナーが起こした型紙通りに製造できる工場を探すことや、生産された商品のチェックが主な仕事です。

また自社工場・他社に依頼している場合ともに、製造計画を立てることも生産管理の仕事です。全国にある店舗の在庫管理などを一手に引き受けていることも多いです。各店舗の販売状況や在庫の数、トレンドや市場の動きなども判断して製造計画を立てなければならないため、高い分析力や洞察力が求められます。是非参考にしてみてください。

販売員

アパレル業界でもっとも身近な存在が、普段店舗でも目にする販売員でしょう。販売員は店舗での接客から品出し、レジ打ちなど商品販売についての幅広い業務をおこないます。ただ商品を並べるだけではなく、お客様とのコミュニケーションも重要であり、時にはコーディネートの提案を求められることもあります。

そのため、ファッションセンスや自社製品への理解などが必要であり、センスが求められるシーンも多いでしょう。また、販売員から昇格すると店長やエリアマネージャーなどになり、店舗の管理や運営なども仕事に含まれるようになります。

新卒で入社すると、最初は販売員としてスタートするケースがほとんどであり、多くの人が経験する仕事といえるでしょう。

アパレル業界で求められる人物像

アパレル業界で求められる人物像

アパレル業界は人気のある業界であるため、選考を受けるにあたって求められる人物像を把握しておくことが大切になります。

ここではアパレル業界で求められる特徴をいくつか紹介していくので、ぜひ自己PR内容を考える参考にしてみてください。

コミュニケーション能力が高い

アパレル業界はたくさんの人とかかわることが多い職種です。アパレル店員は接客業のため、お客様とかかわることが続きます。

そのため、コミュニケーションスキルは必須であり、初対面の人とかかわることや人と話すことに抵抗を感じない方は、アパレル業界に向いているといえます

アパレル業界での自己PRのポイントについてはこちらの記事を読んでみてください。

好奇心旺盛で情報に敏感

アパレル業界は自ら行動したり発信ができる人材を求められています。そして、常に最新のトレンドやフレッシュな情報をいち早く発信する環境にあるため、働く立場としても常にアンテナを張って情報収集をしなくてはいけません

そのため、積極的に情報をキャッチして発信できる好奇心旺盛さは重宝される要素だといえます。

地道な作業もこなせる集中力

アパレル業界では事務処理や細かな作業をすることもよくあります。特にアパレル店員の場合は、検品、発注、品出し、バックヤード整理などの接客以外の裏方の業務もする必要があります

一見華やかな世界に見えますが、その裏では地味なことをコツコツとこなす必要があり、集中力が求められる場面も多くあります。

就活生に聞いた! アパレル業界に応募したときにアピールした強み

アパレル業界で求められる人物像を紹介しましたが、アパレル業界を志望する就活生はどのような強みをアピールすると決めて選考に臨んでいるのか気になりますよね。

ここではアパレル業界志望の就活生の皆さんに聞いた、応募したときにアピールした強みを紹介します。ぜひライバルのアピール内容を確認しておきましょう。
アパレル業界に応募したときにアピールした強み
集まった回答結果から、「コミュニケーション能力」を強みとしてアピール就活生が特に多いことがわかりました。紹介した求められる人物像と合致しており、効果的な自己PRができている就活生が多いようです。

ただ、求められている人物像に合致したアピールをできている人が多い分、特徴的なエピソードや他の強みと絡めるといった一工夫で差をつける必要がありそうです。

アパレル業界ランキング

アパレル業界ランキング

  1. 1
    ファーストリテイリング 
    2兆1,329億円
  2. 2
    しまむら
    5,836億円
  3. 3
    アダストリア
    2,015億円
  4. 4
    ワコールHD
    1,728億円
  5. 5
    ワールド
    1,713億円

引用元:アパレル業界の現状、動向、ランキング等-業界動向サーチ

アパレル業界についての理解を深めるには、各企業の特徴を知ることも大切です。業界を牽引するリーディングカンパニーを知ることで、業界全体への理解もさらに深まります。

売上高から見たランキングを参考にして、トップクラスの企業のそれぞれの違いを知っていきましょう。

①ファーストリテイリング

ファーストリテイリング、国内ファストファッションの先駆けともいえる、ユニクロやジーユーを展開しています。それぞれファストファッションという点は共通していますが、価格帯や想定購買層が若干違い、自社内ですみ分けができている点が、高い売上高に繋がっています。

広く事業展開をしていますが、売上の多くはユニクロ事業で獲得しているのも特徴です。国内ユニクロ事業の売上構成比は約40%、海外ユニクロ事業の売上構成比は約42%と国内の売上を上回っています。そして併せるとファーストリテイリングの売り上げの約82%をユニクロ事業で占めているのです。

アジアからアメリカ、ヨーロッパと世界中に店舗を増やしていることも特徴であり、国内需要の減少に向けて、海外で市場を開拓して顧客の確保に努めています。

②しまむら

しまむらファストファッションを売りとした企業であり、事業内容は総合衣料品の販売です。しまむらグループと同名の「しまむら」は全国に1,428店舗あり、安価ながらもデザイン性に優れた商品を数多く販売している点が特徴です。

店舗のラインナップは他にもあり、よりカジュアルな「アベイル」は320店舗、ベビーや子供用品の「バースデイ」は284店舗の展開があります。衣料品以外では雑貨の販売もおこなう「シャンブル」が97店舗、シューズの販売をおこなう「ディバロ」が 18店舗と扱う商品の幅は広いです。

活躍は国内だけに留まらず、アジアにも進出しており、台湾で46店舗、上海で10店舗とグローバルに活躍しているのも特徴でしょう。

③アダストリア

アダストリアはブランド事業や、プラットフォーム事業を展開しています。取り扱いブランドは「GLOBAL WORK」、「niko and...」、「LOWRYS FARM」他、多数のブランドを醸成人気の高い有名ブランドを扱っています

また、近年「.st(ドットエスティ)」という30ブランド以上の公式WEBストアを運営しているのが特徴です。

企画から生産、物流、販売までを、アダストリアグループ内で、一貫しておこなうことができる仕組みを有しています。

④ワコールHD

ワコールHDでは、主軸のメインブランド「ワコール」と、低価格のサブブランド「ウイング」の女性向け下着を扱う二つのブランドを中心に展開しています

また、「ウンナナクール」など複数のブランドを使い、大型ショッピングセンター内を中心に直営販売)も展開しているのが特徴です。他にも「女性の視点による」インテリアコーディネイトをするハウスデザイン事業部もあり、女性の衣住を支える取り組みを展開しています。

⑤ワールド

ワールドブランド事業やデジタル事業、プラットフォーム事業を展開しています。ブランド事業での取り扱いブランドは非常に多く、国内で幅広く店舗を展開している点が特徴です。たとえば傘下企業のフィールズインターナショナルだけで見ても、取り扱いブランドは「UNTITLED」、「INDIVI」、「COUP DE CHANCE」他、多数のブランドを扱っています。

デジタル事業ではネット通販のサービスを展開しており、実店舗だけに留まらない販売戦略を取っている点も特徴でしょう。プラットフォーム事業では、衣料品や服飾雑貨の企画提案・生産管理から、調達先の開拓や貿易業務までおこなっています。生産、販売の拠点作りもおこなっており、活躍の幅は広いです。

アパレル業界で働く前に押さえておきたい専門用語

・SPA
・OEM
・コングロマリット

アパレル業界で働くなら、業界にまつわる専門用語についても理解を深めておくことが大切です。アパレルについての専門用語は多数ありますが、就職するにあたってはアパレル業界で登場し、かつビジネス全体でも登場することのある用語を知っておきましょう。

上記3つはアパレル業界に限らず、他の業界でもよく登場する用語です。専門用語を把握していないと、企業研究の際にわからないことが出てくる場合も多いため、これら3つはきちんと理解しておきましょう。

SPA

SPAは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略です。これは商品の製造から販売までをすべて自社でおこなうビジネスモデルであり、他の企業を介在させずに、自社ブランドを展開する手法です

SPAでは企画の段階から自社で一貫しておこなうため、商品の生産から店頭に並ぶまでの無駄が少なく、より小さいコストで事業を展開できます。

薄利多売のビジネスモデルともいえ、ファストファッションでよく採用されている形式です。「ZARA」「H&M」「ユニクロ」などがSPA企業としては有名です。

最初から最後まで自社が意思決定権を持っているため、企画から販売に至るまでのスピードが速い点が特徴です。素早くニーズを拾えるビジネスモデルである点も、ファストファッションで導入されることが多い理由といえます。

OEM

OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略です。他社が持っているブランド商品を別の企業が製造することを指す言葉です。OEMによって自社商品を獲得している企業も多いです。代表的な企業はマツオカコーポレーションや株式会社小島衣料などが挙げられます。

たとえばA社が持つ「1」というブランドをB社が製造し、販売することがOEMであり、A社はB社に対してブランドの使用料などで利益を上げています。対してB社はブランド商品の製造ができ、自社で開発をせずに商品を持てるといったメリットがあります。

OEMはそれぞれにメリットがあるため、これを積極的におこなう企業も少なくありません。基本的には他社ブランドの商品を製造することをOEMと呼びますが、場合によってはOEMを積極的におこなう企業を指して使われることもあります。

コングロマリット

コングロマリットは企業を買収することを指した言葉ですが、買収先の企業が自社とは異なる業務内容であることが特徴です。買収を指す言葉としてはM&Aがありますが、これは同業種を対象とし、業界内における自社の立ち位置の向上や規模の拡大を目的としています。

対して、コングロマリットはいわば別業界の企業を買収することになるため、業界内での事業規模自体は変わりません。別企業を買収することで自社のブランド価値を高め、それぞれの事業で相乗効果をもたらすことが真の狙いです

たとえばルイヴィトンはシャンパンやコニャックなどの高級なお酒で知られるモエ・ヘネシーを買収したコングロマリット企業で、現在はLVMHとなっています。アパレル業界では他にもケリングやリシュモンなどがコングロマリットとして有名です。

変化し続けるアパレル業界を正確に捉えて選考に臨もう

トレンドの移り変わりが激しいアパレル業界は、業界全体の動き自体も世間の流行によって影響を受けます。消費者の思考はもちろん社会構造の変化や景気にも影響を受けやすいため、変動的な業界といえるでしょう。

特にファストファッションの台頭以降、消費者の中で低コスト思考が浸透し、これに悩む企業は少なくありません。一部のファストファッションが大きな利益を獲得し、他の企業は低コスト化の波を受けて、業績を落としてしまうということも多いです。

変動的で周囲の影響を受けやすいからこそ、就職するならじっくり下調べをして本当に就職しても大丈夫か見極めなければなりません

時代の流れに影響を受けることをよく理解し、今後の社会の変化もチェックしながら、アパレル業界への就職を考えてみましょう。

【アパレル業界に関する調査】

・調査方法:ポート株式会社が運営する企業口コミサイト「就活会議」会員へのダイレクトメール
・調査日:2022年8月24日~29日
・調査元:「就活の未来」を運営するポート株式会社
・調査対象者:23卒・24卒の就活会議会員の111人

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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