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金属業界は鉄鋼と非鉄金属に分かれる
「世界は鉄でできている」といわれるほど、金属は我々にとって、なくてはならない資源です。金属を使った製品は、生活のあらゆるところで利用されており、金属を取り扱う企業は非常に重要な役割を果たしています。金属業界の企業は、鉄鋼と非鉄金属の2種類に分かれます。同じ金属業界でも企業によって、事業内容や扱う製品には大きな違いがありますので、事前に確認しておきましょう。
就活では、業界や企業について深く理解することで、効果的な志望動機や自己PRを作成できます。ここでは鉄鋼と非鉄金属の違いや、金属業界全体の動向、どのような人材が求められているのかを、詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてください。また、金属業界の主要企業について、それぞれの事業内容や特徴を紹介します。
以下の記事では、鉄鋼業界の動向や企業を解説しています。
鉄鋼業界と非鉄金属業界の違い
金属業界は、鉄鉱石や石炭、鉄スクラップなどの原料を加工して作った鋼材を、自動車や産業機械、建築資材などあらゆる産業に提供しています。このことから、ものづくりを支える重要な役割を果たしている業界ともいえます。
また、金属業界は、建設、自動車、造船、電機メーカーなど多くの業界と密接な関係を築いています。その中でも、金属生産量の8割を占める鉄を取り扱うのは鉄鋼業界、鉄以外の金属を扱うのは非鉄金属業界と呼ばれます。それぞれの業界の違いや、特徴をみていきましょう。
以下の記事では、業界研究ノートの作り方について解説しています。
鉄鋼業界
鉄鋼業界は、主に鉄鋼メーカーの製品を仕入れてさまざまな業界に販売をおこなう金属卸事業や、鉄鋼メーカー、高炉メーカー、電炉メーカー、特殊鋼メーカーなどの企業を指します。
鉄を作るにはいくつかの方法がありますが、高炉メーカーでは鉄鉱石と石炭を蒸し焼きにして作るコークスを原料としています。高炉を使い、鉄鉱石とコークスから炭素分の多い銑鉄を作り、溶けた銑鉄から不純物を取り除いて鉄鋼を製造します。そこからドロドロに溶けた鋼鉄を冷やし固め、出荷できる状態にします。
電炉メーカーはくず鉄を原料として、電気の熱で溶かし鉄を作り出します。また、特殊鋼メーカーはマンガンやニッケル、クロムなどのレアメタルを添加して特殊な機能を持つ鉄材を作っています。鉄鋼製品は自動車や建設、造船、産業機械などの各種メーカーに卸されます。
非鉄金属業界
非鉄金属業界は、日本の産業を支える重要な業界のひとつです。非鉄金属とは、鉄を除く金属素材と定義されています。アルミニウム、銅、鉛などのベースメタルなど、その種類は多岐に渡ります。アルミニウムはアルミ缶や自動車の車体、銅は10円玉、亜鉛は乾電池など、非鉄金属はあらゆる場面で使用されています。
非鉄金属業界は、資源開発、金属精錬、電材加工・環境サイクルの3つの領域に分けられます。また、非鉄金属の中で特に大量に消費され、ニーズが多様化しているアルミニウムと銅製品は、大手企業を中心に扱われています。なぜなら、大量生産のビジネスモデルは、大型機械の設備投資が必要となるためです。大手の企業では、3つの領域を幅広く手掛けることもあります。
以下の記事では、非鉄金属業界について詳しく解説しています。
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金属業界の動向
金属業界は、金融危機やリーマンショックなどの影響を大きく受け、自動車向け、住宅建材、飲料用缶などを中心に市場の縮小がみられました。しかし、2012年以降は、消費者の積極的な購入意欲による需要の拡大や、米国の住宅市場の回復、東日本大震災の復興需要などを受け、売上は回復傾向となりました。さらに、翌年からの株価の上昇、雇用環境の改善などがあり、緩やかに改善しています。
近年は、電機や自動車などの組み立て産業の海外進出が盛んになり、製造業の海外生産比率が大きく上昇しました。特に中国の鉄鋼業界の成長は、著しく業界全体に影響を与えています。また、世界2位を誇っていた日本の粗鉄生産量は、2018年にインドに抜かれ3位となりました。今後は国外の企業との競争力を高め、生き残りを図る策が必要です。
金属業界に向いている人の特徴
金属業界には、どのような人が向いているのでしょうか。それぞれの仕事の内容から適切な人材をみていきましょう。まず技術総合職は、企業が製造・販売する材料や部材の研究・開発、試作、量産までの技術全般を担当します。現場全体や製品をよくみて、物事の本質をしっかりと捉えられる人が向いています。
事務系総合職は、金属事業、環境リサイクル事業、電材加工事業などの営業や、各事業部に関わる物流を担当することがあります。企業の事業内容や製品の知識はもちろん、コミュニケーション能力も求められるでしょう。
金属業界は社会の動きを敏感にキャッチし、チャレンジ精神を持ってあらゆることへ挑戦できる人が向いているといえます。周囲の人を引っ張り、変革を起こせるような行動力が重要です。
金属業界の主要企業
ここからは、金属業界の主要企業を紹介します。企業によって取り扱う金属は異なり、それぞれの強みがあります。金属業界が作り出す製品は、私たちの目に触れる機会は少ないですが、生活には欠かすことができない存在です。
就活では、業界や企業について研究し、理解を深めることが非常に大切です。それぞれの企業の事業内容を詳しく紹介していきますので、特徴や強みを知り、就活の選考に活かしましょう。
ENEOSホールディングス(JXTGホールディングス)
2020年にENEOSホールディングスに名称変更となったJXTGホールディングスは、ガソリンスタンドのENEOSや、ESSOを手掛ける企業です。主に石油の精製・販売などをおこなっており、グループ会社のJX金属は、非鉄金属業の総合メーカーとして銅・レアメタルなどの非鉄金属資源の供給、先端素材の提案・提供などを中心としておこなっています。
資源開発・金属精錬・先端素材・環境リサイクルまでの一貫した事業を手掛け、非鉄金属の資源と素材を安定的に供給することを、社会的使命であると考えています。
創業から110年あまりの歴史の中で、さまざまな環境の変化に対応し、新しい価値の創造に取り組んできたJX金属は、持続可能な経済・社会の発展に貢献するべく、今後も新たな挑戦を続けることが目標です。またJX金属は、若手社員でも裁量の大きな仕事を任される社風となっています。自発的に考え行動できる人、成長意欲の強い人が求められています。
DOWAホールディングス
DOWAホールディングスは環境・リサイクル事業、製錬事業、電子材料事業、金属加工事業および熱処理事業などを中心に展開しています。地球を舞台とした事業活動を通じ、豊かな暮らしの創造と、資源循環社会の構築に貢献しています。
DOWAグループは1884年に、秋田県の鉱山で創業されました。鉱山や製錬で培った技術をもとに、金属の生産から高付加価値製品の製造、廃棄物処理やリサイクルなど、独自の循環型事業に力を入れています。
DOWAホールディングスの製品・サービスは車や電子機器などに活用されていて、高い性能で製品を支えるとともに、資源循環や環境負荷の低減に貢献しています。新卒の若い社員にも上司の責任のもとに大きな仕事を任せていく社風で、積極的に行動していく人が求められます。
住友電気工業
1897年に創立された住友電気工業は、住友電工の名前でも知られている大手企業です。住友グループの中核企業で、住友商事、日本電気とともに、住友御三家のひとつとなっています。また、住友ゴム工業、住友電装の大株主でもあります。自動車や鉄道、家電、携帯などさまざまな製品に使われている電子部品や、配線材などを主に製造しています。
非鉄金属業界で最大手となる企業で、国内でも最大級の規模を誇ります。全国各地に支社や製作所があり、海外にも多くのグループ会社を展開しています。近年では、太陽光発電装置などの環境エネルギーに関する製品の開発・製造や光ファイバーの製造技術による光通信システムなどにも力を入れています。
三菱マテリアル
東京都の千代田区に本社を置く三菱マテリアル株式会社は、非鉄金属業界の売上シェア2位を誇る企業です。1871年に創立され、現在は4,580名の社員が働いています。銅、セメントといった基礎素材から、超硬工具、電子材料、電子部品など産業を支える幅広い製品を製造しています。
また、資源開発や銅・セメント製造の多様なビジネスインフラを活用した環境サイクル事業や、地熱発電などのエネルギー関連事業にも力を入れており、持続可能な循環型社会への貢献を目指している企業です。
三菱マテリアルの企業理念は「人と社会と地球のために」です。創業以来、社会のニーズに合わせて技術開発を繰り返してきた歴史があり、従業員の活躍のフィールドも多岐にわたります。環境の変化に柔軟に対応できる適応能力を持ち、ユニークな発想と創造力、それを実行できる行動力のある人材を求めています。
三井金属鉱業
三井グループの本流企業である三井金属鉱業は、1950年に創立されました。「亜鉛の三井」とも呼ばれ、亜鉛のトップメーカーとして一世紀以上のわたり産業界を広く支えてきた企業です。
現在は、非鉄金属分野で培った技術力を活かし、電子材用や自動車機能部品など幅広い事業を展開しています。特に電解銅箔や、液晶の透明性誘電膜形成用ITOターゲット、自動車用ドアロックなどの製品のシェアは、トップクラスとなっています。
三井金属鉱業の製品は直接目に触れる機会は少ないですが、私たちの生活を支え、快適な暮らしづくりに役立っています。社員のありたい姿として「未来志向」「お客様視点」「協働」「スピード」「やり遂げる」を掲げています。これらの目標に向けて、企業と共に成長できる人材を求めています。
神戸製鋼
神戸製鋼は鉄・チタン・アルミ・銅・溶接材料・産業機械・プラントの製造などをおこなっている企業です。「人・モノの移動・輸送」「効率の良いエネルギー消費」「生産性の高いものづくり」に貢献しています。
1905年に創立され、100年以上の歴史を誇り「私たちのものづくりの先に、お客様のものづくりがある」という使命のもとに、新しい価値を作ってきました。ものづくりで培った技術とノウハウを活用し、2002年から電力供給事業にも参入、国内最大規模の事業者として安定的に電力を供給しています。
また、2019年には栃木県において、国内初となる内陸型火力発電所の稼働を始めました。素材系事業・機械系事業・電力事業を柱として、今後も人々の暮らしや産業、社会を支えていくことを目標としています。
住友金属鉱山
1950年に創立された住友金属鉱山は、東京に本社があります。南蛮吹きと呼ばれる銅の精錬技術を開発した蘇我理右衛門にルールがあり、銅精錬業や鉱山業を中心に事業を展開しています。
非鉄金属の中でも、特にニッケルを得意としています。従来活用できていなかった低品位酸化鉱の資源化をおこなうHPAL技術をいち早く開発し、資源の有効活用において大きな功績を残している企業です。
また、資源の有効活用以外にも環境保全や地域貢献、社会貢献などにも力を入れて取り組んでいます。「事業は人なり」という企業理念を掲げており、この考えに共感し、協調性と認識力、構想力、実行力を持つ人を求めています。コミュニケーション能力が高く、自分で考え積極的に課題に取り組んでいける人が向いているといえるでしょう。
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金属業界の現状について理解を深めて就活に臨もう
金属業界は、日本の産業を支える非常に重要な業界で、鉄鋼業界と非鉄金属業界に分かれています。鉄鋼と非鉄金属では、それぞれ取り扱う製品や特徴が異なります。日本が世界に誇る分野ではありますが、近年は中国やインドなど海外企業との競争も激化しています。海外市場でどのように生き残れるかが、金属業界の今後の大きな課題といえるでしょう。
金属業界から作り出される製品は、消費者が直接目にする機会はほとんどありませんが、資源開発、金属製錬、環境リサイクルなど、日常生活に欠かせない役割を担っており、将来性も期待できる業界だといえます。金属業界は金属業界やそれぞれの企業への理解を深め、選考を有利に進めていきましょう。
以下の記事では、マシニングセンターオペレーターについて解説しています。