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就職する前に事業理解をしよう!
就活では逆算して考えることが大切だと言われています。内定を得るためには、業界や企業について情報を収集する必要があります。就活を効率的に進めていくためにも、自分が目指す業界を明らかにし、その事業理解をとことんまで深めることが大切です。
シンクタンクとは
志望する業界や職種、企業などをいくつかピックアップして、数を絞って研究を進めていく必要があります。業界や職種としてよく名前が挙がるのは営業、メーカー、商社、銀行などです。シンクタンクという名前自体は知っていてもその事業内容について全く知らないという就活生は多いですが、シンクタンク職は毎年人気の高い職種でもあります。まずはシンクタンクとはどんな事業なのかを理解を深めることが大切です。
コンサルティングに近いイメージ
シンクタンクとは、様々な分野に対して政策の立案や提言をする研究機関・組織とされています。もっと簡単に言えば、クライアントが抱える課題を解決するために、各分野の専門家が助言や調査をするのが仕事です。コンサルティングに近いイメージの事業を想像すると理解しやすいでしょう。
シンクタンクとコンサルティングの違いは、コンサルティングに比べるとシンクタンクの方が扱う分野が多岐にわたること、政府がバックアップしていることも多いなどが考えられます。シンクタンクでは政策立案、提言を主な事業としているため政治的に大きな影響を持つことも多く、政府がスポンサーとなって運営している非営利の組織も多く存在しています。
各分野のリサーチをおこなう
シンクタンクで各分野の専門家が集まって事業が進められていますが、既に専門的な知識を保有しながらも分析を続けていく向上心や常に学ぶという姿勢が大切になります。もともとシンクタンクで扱う仕事は専門性が飛びぬけて高いことも多く、専門家であっても知らないことや調べなければ分からないことが存在するほどです。
市場は常に変化しますし、それに伴いクライアントが抱える問題もいつも同じであるとは限りません。市場の変化に伴って同じように問題が大きく変化していくということもあるので、各分野で常にリサーチが必要な仕事です。またビジネスにおいては全ての企業や職種で同じことが言えますが、とにかく信用が第一の商売です。クライアントの問題解決に対して的外れな提案をしていては信用を失ってしまうため、常に正確な情報を得るための調査が欠かせません。
あなたがシンクタンクに向いているか、確認してください
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
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シンクタンクの職種
シンクタンクには様々な職種が存在します。そしてそれぞれの職種が協力し合うことによって、シンクタンクの業務を成り立たせています。職種は大きく分けて基本的に研究・リサーチ、コンサルティング、ITソリューション、コーポレート業務の四つに分類することができ、それぞれが重要な業務を担っています。こちらではシンクタンクの職種ごとに特徴を説明していきます。事業理解を深めるために、職種内容を簡単に確認しておきましょう。
研究・リサーチ
専門分野を研究するための職種がこの研究・リサーチ業務に該当します。この職種はシンクタンクの根幹を担うもので、専門の知識を保有した人がその専門分野の研究やリサーチをおこないます。おこなうといっても業務形態や業務への携わり方は企業によって様々です。
分野は企業によってさまざまですが、経済関係のシンクタンクを例にあげると、まずは経済関係の統計データや経済指標、政策文書といった文書や市場を数学的動向などのあらゆる観点から分析し、リポートにまとめます。まとめたリポートは他の業務が円滑におこなわれるように、他の担当業務や取引先などに情報を提供します。また取引先が求めている情報がある場合は、必要な資料を集め、研究やリサーチして完成したリポートを作成することもあります。
研究職に就く方法について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
コンサルティング
シンクタンクが調べ上げた情報を有効活用し、取引先へと売り込んでいくのが主にコンサルティング業務に該当します。コンサルティング業務は研究・リサーチ業務が調べ上げた情報をもとに、悩みを持つ取引先に解決案を提供します。また単純に解決案だけでなく、経営戦略や取引先の企業内部の改善案まで様々な情報を提供していきます。
この職種は取引先が本当に必要としている答えを正確に把握し、的確な情報や戦略を提供していく重要な業務です。取引先との円滑な取引を進めていくために、あらゆる問題を解決する能力としっかりとしたコミュニケーション能力が求められます。携わるコンサルタント業務は限定されていないので、様々な専門知識も求められています。
コンサルに受かる志望動機については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ITソリューション
ITソリューションでは、主にIT関連の悩みを持つ、取引先の悩みを解消していきます。取引先が必要としているシステムを構築し、取引先に提供をおこない、運営などのアフターケアを主におこないます。ITソリューションの業務は主にシステムの構築ですが、他にも取引先がIT関連の悩みを持っている場合は、その問題の解決策を提供したりすることもあります。
取引先にITを導入していない企業は存在せず、情報社会化が進む現在ではどうしてもIT関連の悩みを抱くことは避けられません。しかし多くの企業がITへの十分な知識を持っているわけではないので、ITの知識を提供しているITソリューション業務は重要な職種だといえるでしょう。
IT企業への就職について、こちらの記事で詳しく解説しています。
コーポレート業務|人事・総務など
コーポレート業務とは、人事や総務などの企業を円滑に運営するために必要な職種のことを指します。コーポレート業務が必要であることはシンクタンク業界にも該当し、組織内で働く社員をサポートする重要な職種です。コーポレート業務は規模によって人事や総務、法務や経理などに課が別れていることがあり、基本的にシンクタンク業界におけるコーポレート業務は他の業界のコーポレート業務と同じ職種に当たります。
事務処理が効率的にミスのなくおこなわれることが求められ、内容によっては組織への多大な影響を及ぼす業務です。そのため新卒での採用枠を設けている企業はほとんどなく、基本的にはコーポレート業務の経験を持った人を中途採用枠で採用することが多いです。
一般事務の自己PR方法について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
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シンクタンク大手3社
具体的に国内にはシンクタンクと呼ばれる会社がどれぐらいあるのでしょう。日本のシンクタンクは、大きく政府系と民間(業界系)に分かれており、その数は合わせておおよそ100以上と言われています。政府系シンクタンクは主に政策研究を、民間は金融や保険など各種業界系に分かれており、それぞれ専門分野について研究しているというイメージですが、実際は政治、経済、社会問題など幅広くカバーしています。ただ、やはり得意不得意はあり、アドバンテージを持つ分野は少しずつ違っているのが実際です。では、次にシンクタンク大手3社について、具体的にその特徴をご紹介します。
三菱総合研究所
三菱総合研究所は国内で最も名の知れたシンクタンクのひとつで、三菱創業100周年記念事業として、1970年にグループ各社の共同出資で創設されました。社員数は単体で約900人(研究員760人)、連結子会社12社を含むと約3,800人(2017年)と、日本最大級です。政府や地方自治体などから委託される各種調査研究に強みを持っています。
また、金融政策提案の分野にもアドバンテージがあり、自然科学分野への広範な取り組みや、安全政策、科学技術政策、地球環境への提言など他社があまり手がけない分野にも積極的に進出しています。提言だけにとどまらず、その実現・実装までを支援するのも特徴です。特にITソリューション分野の強化・拡大に努めており、社員には「ビジネスとしてのマーケット性のある専門性」を求めています。
日本総合研究所
日本総合研究所は三井住友フィナンシャルグループの一員です。グループ各社向けにシステムコンサルティングとシステム開発を展開する総合情報サービス企業(システムインテグレーター)で、このうち調査部、創発戦略センター、社外組織的な立ち位置である国際戦略研究所がシンクタンク部門と位置づけられています。従業員は約2400人(2017年)です。東京と大阪に本社を置いています。
「新たな顧客価値の共創」を基本理念に位置づけ、各機能を有機的に結びつけた三位一体経営により、課題の発見、問題解決のための具体的な提案およびその実行支援を行うのが主な業務です。また、ここのソリューションを通じ、広く経済・社会全体に新たな価値創造のリンケージ(連携)を創出していく「知識エンジニアリング活動」を事業の基本としています。
みずほ総合研究所
みずほ総合研究所は、みずほフィナンシャルグループ系のシンクタンクです。みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の誕生に合わせ、2002年に第一勧銀総合研究所と日本興業銀行調査部門が一つになり発足しました。同年には富士総合研究所のシンクタンク部門も合流しました。従業員数は約300人(2017年)と、前述の2社に比べると小規模ですが、経済・金融・政治情勢、国・地方自治体の政策課題の調査・研究に強みを持つのが特徴です。
また、外部企業からの受託調査やコンサルティング業務も幅広く手がけます。リサーチ部門とコンサルティング部門おおび独自のメンバーシップ(法人会員)制度を有し、会員企業に対し経営セミナーや実務雑誌の提供を行っているのも特徴と言えるでしょう。社員の募集・採用はグループのプラットフォームではなく、独自に行なっています。
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あなたとシンクタンクの適性を確認してください
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
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就職に必要なステップ
事業理解を深めればそれだけで終わりではありません。どのように志望する企業を決めるか、どのようなフローで募集がかけられ試験がおこなわれるかを知ることも就活の準備としては非常に大切なことです。シンクタンクは他の業界や企業に比べれば特殊なことも多いですし、どうすれば就職することができるのか、そのステップを細かく確認していくことが大切になります。そんなシンクタンクに就職するためのステップは、大きく分けて2つありますので見ていきましょう。
志望する企業を選定する
シンクタンクという業界、職種を目指すことを決めれば次は志望する企業を選んでいかなければなりません。シンクタンクと一口に言ってもかなりの企業数がありますし、IT、金融、戦略など扱う分野は企業によって様々です。企業が違えば事業内容も大きく異なり、適当に選んで就職してしまえば自分のやりたい分野の仕事ができないだけではなく、興味のないものであれば仕事自体について行けない場合もあります。
シンクタンクは専門性が高く、常に勉強が必要にもなるので、自分の得意、あるいは好きな分野である必要があり、シンクタンクに挑戦するならどの分野に挑戦したいかまずは選定することが大切です。自分の志望先を企業から考えるのもいいですが、その決定に迷う場合はまずは挑戦したい分野を決め、その分野を取り扱う企業をピックアップして決めていくといいでしょう。
一般的な就活と同じフローで応募する
シンクタンクは専門性が高かったり、政府がバックアップしていることも多く、一般的な就活とは異なったフローで選考が進むのではないかと考える人も多いです。しかし、選考フローに関しては特に変わったところはありません。一般の企業と同じようにエントリーをし、書類選考を行い、企業によってはwebテストや筆記テストなどを経て複数回面接をして内定となります。
選考フローは同じですが、その難易度は他の企業に比べると高い場合が多いので注意が必要です。webテストや筆記テストではかなりの点数が必要となりますし、面接に関してもしっかりと準備をして臨まなければ到底攻略することはできません。また油断していると書類選考の段階で落とされる可能性も高いので、シンクタンクの選考では最初から最後まで一瞬たりとも油断が許されないということを覚えておきましょう。
シンクタンクに求められる人材
シンクタンクの事業内容を理解し、就職するために必要なステップを知れば、いよいよ実際の試験に備えていきましょう。内定を勝ち取るためには綿密な自己分析が必要になりますが、ただ自分のことを知るだけではありません。自分の長所や短所を知って上手にアピールすることも大切ですが、そのアピールは企業が求める人材とかけ離れていては意味がありません。
嘘をつくのは絶対にNGですが企業が求める人材像を知り、さらに企業に対する理解を深めどうアピールすれば企業からの評価を受けることができるか、企業が求める人材像から逆算して自己PRを作成していく必要があります。
洞察力に優れている人
シンクタンクで求められる能力として洞察力というものがあります。シンクタンクの業務はクライアントの抱える問題を解決するために政策の立案や提言を行うことですが、正しい解決策を導くためには問題の分析やその他周辺環境などの分析、観察を欠かすことはできません。
そこで必要になるのが洞察力であり、シンクタンクには必須の能力と言えるでしょう。シンクタンクではこの洞察力に優れた人が求められますが、洞察力に優れているとはただ目端が利く、視野が広いということではありません。洞察力に優れている人とは物事の本質を見極めたり、目には見えない部分まで推測できる力がある人のことであり、視野の広さなどはもちろん高い次元での観察力や分析力が必要であると言えます。
知的好奇心旺盛な人
シンクタンクの事業は専門性が高く、各分野の専門家が集まっていますが、クライアントの問題を解決するためには常に勉強や分析が必要な仕事です。世の中は変化を続けていますし、知ろうとし続ける気概がなければすぐに知識は古くなり、専門家としての役割を果たせなくなってしまいます。
また、専門家であっても知らないことが出てくるほどに専門性の高い職種でもあるため、自分がまだ知らない事に対して追求し続けられる人が向いている職業だと言えるでしょう。シンクタンクの仕事ではどれだけ素晴らしい専門知識を身に付けていても常に分析を続けていくので、学習に対する好奇心が旺盛な人は向いていると言えます。
シンクタンクはコンサルティングのイメージも強いですが、積極的に人と接して営業をかけていくというよりは、どちらかと言うと研究者タイプの人に向いている職種だと言えるでしょう。
高度な知識を保有している人
シンクタンクは各分野の専門家が集まった組織ですので、おのずと特定の分野の高度な知識を保有している人が求められることになります。常に分析や調査を続け、毎日が勉強ではありますが、そもそもの知識がなければそれについていくことも難しいです。すでに高度な知識を有している人であれば、大きなアピールポイントになります。
しかし全ての人が最初から高度な知識を有しているというわけではありませんし、特に新卒では人柄重視の採用がほとんどなので、能力を身に付けていない就活生も多くいます。座学以外にも、実際に仕事をしてみなければ学べない知識というのも当然あります。それらを事前に学んで試験に臨むことは新卒には難しいため、これから身に付けていくという成長意欲をアピールするといいでしょう。
大手は学部卒では厳しい
シンクタンクは待遇が良かったり、給料も良いことが多いので目指したいという就活生は多いです。しかし大手のシンクタンクの応募条件が、大学院卒とされている事が多いので注意が必要です。どれだけ綿密に試験の対策、準備を行っていても受験資格だけはどうすることもできません。学部卒の見込みであるならシンクタンクを受験する際には受験資格にもしっかりと目を通しましょう。
大学院卒に限られることが多いのは、それだけ専門知識が必要であるということの表れでもあります。どうしてもシンクタンクを目指したいのであれば、大学院に進んでしっかりと知識を身に付けることを考えてもいいですし、学部卒でも受験できる企業はないか探してみるのもいいでしょう。学部卒の受験が可能だからといって簡単なわけではないので、しっかりと準備して試験に臨むというとは大学院卒の場合と変わらないです。
文系も理系も就職は可能
シンクタンク以外にも専門的な知識を必要とする職種はたくさんあり、そのほとんどは理系に限られていることも多いです。しかしシンクタンクは専門性が高いにも関わらず、文系・理系関係なく就職することができます。受験資格として大学院卒が求められることはあっても、文系・理系によって制限がないことは多いです。
文系・理系ともに就職が可能ということは、それだけ就職試験でのライバルもたくさんいるということになります。ただでさえ試験の難易度が高いことに加えて倍率も上がるため、入念な準備が必要になるでしょう。文系、理系のどちらも就職可能ではありますが、分野によってそれらが分かれることも多いです。文系の志望者が多い分野、理系の志望者が多い分野はそれぞれ違うので、分野によっては倍率がそれほど高くないということも考えられます。
セミナーやインターンシップも開催されている
シンクタンク業界の企業はセミナーやインターシップを開催している場合がほとんどです。形態は企業によって様々ですが、しっかりとシンクタンク業界の雰囲気をつかむことができます。もしシンクタンク業界への就職を検討している場合は、セミナーやインターンシップへの参加を検討してみるといいでしょう。具体的に企業を絞っていない場合でも、企業によって取り扱う分野が異なってくる点を気にしなければ、シンクタンク業界の雰囲気を知ることは十分に可能です。
シンクタンク業界の企業は人気のためセミナーやインターンシップの参加選考基準が厳しい場合があります。軽い気持ちで参加することは難しいので、参加を検討する場合はしっかりと対策を取ったうえで選考に臨むようにしましょう。
シンクタンク職の門を叩こう!
シンクタンク職は名前こそ知られているものの、その事業内容などについてはほとんど知られていないことが多く、それは就活生だけに限らず社会人も同じです。どんな仕事をしているのか説明してくださいと言われれば、口ごもってしまう場合も多いでしょう。それほど多くの人に知られていない職種を受験するわけですからまずはその理解をしっかりと深めることが大切です。
シンクタンク職は人気があるものの、その実態を詳しく知らない人は多いので、事業内容を深く理解することが他の就活生との差別化にも繋がります。シンクタンク職は高度な専門知識が必要とされますが、新卒の段階ではそれを身に付けるのは難しいです。知ったかぶりをするのではなく、知らないことは知らないと正直に認めて、その上で勉強する、成長する熱意を見せることが内定獲得への近道だと言えます。