職種研究

総合職と一般職の違いって?自分にあった働き方を見つけよう

総合職と一般職の違いを理解しよう

いざ就職先を決めたとしても、採用方式によりキャリアステップは異なります。総合職、一般職という採用区分もその一例です。

「同じ企業だけど何が違うのだろう」と疑問に思う人も少なくないでしょう。総合職と一般職は似ているようで、働き方は全く異なります。

本記事では「総合職と一般職の違いについて知りたい」と思う人に向けて、両者の違いを紹介します。

記事を一読し、就職先を選ぶのに役立ててください。

総合職は「組織の中枢を担う幹部候補」

総合職は「組織の中枢を担う幹部候補」として採用されます。

具体的には企業の幹部候補として入社し、企業の方針を決めたり、多くの部下を持つ管理職になったりと責任のある仕事に携わることになります。

将来的に企業の中枢を担うことになる総合職は、入社してから企業の事業を幅広く知るために転勤も多くなることが一般的です。

さまざまな仕事に携わり、責任のある仕事を任せてもらいやすいのが総合職の良さであると言えます。

入社してからは高いレベルで仕事の成果を求められるため、採用試験では厳しい審査を通過することになります。

一般職は「一般的な業務に携わる職」

一般職は「企業の一般的な業務に携わる職」として採用されます。一般事務など総合職のサポートをするのが一般職の役割であり、組織で最も割合の多い職です。

事業の方針を決める管理職に従い、一般職は仕事を進めていきます。そのため、幹部の補助的な立ち位置で仕事をするとも言うことができます。

総合職に比べると、最初から責任のある仕事を任されることはありません。その人の努力次第で管理職を目指せるので、働きがいのある職であると言えます。

総合職と一般職が分かれている理由

総合職と一般職が分かれている理由を表した図

「そもそも総合職と一般職を分ける必要があるのだろうか」と思う人もいるでしょう。

それは過去の雇用制度が原因となっており、その名残で採用方式が分かれているからです。

大きく分けると「男女別からコース別に変えたため」「働き方に多様性を設けるため」の2つが挙げられます。

それぞれについて紹介しますので、両者の違いを理解しましょう。

①男女別からコース別に変えたため

理由の1つ目として「男女別にコースを変えたため」が挙げられます。

1986年に「雇用機会均等法」が施行され、それまで行われてきた男女別の雇用管理制度を改めました。

それに伴い「総合職」「一般職」の採用方式を設け、入社してからの役割を区別するようになったのです。

本来は「総合職は男性」「一般職は女性」とコースを分けていましたが、今では性別による区別はなくなっています。

性別は気にせず、自身が望む働き方を基準に採用方式を選びましょう。

②働き方に多様性を設けるため

理由の2つ目として、「働き方に多様性を設けるため」が挙げられます。

全員が同じ採用方式で入社するのでなく、「組織の中枢として働く人は総合職」「事業に専念する人は一般職」と大きく2つのコースに分かれます。

そうすることで社員一人ひとりのキャリアプランが立てやすくなるのです。

総合職は皆同じく将来の幹部候補であるのに対し、一般職は自分の意思でキャリアプランを考えることができます。

こちらも、自分が望む職を選ぶ基準として覚えておいてください。

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仕事における両者の違い

仕事における両者の違いを表した図

続いて、仕事における両者の違いの紹介です。総合職と一般職は働き方に限らず、仕事内容や待遇なども異なります。

両者の違いを比較し、自分が望む働き方を絞っていきましょう。

あくまで一般的な違いですので、企業によって大きな違いがない場合もあります。

気になる企業があれば「具体的にどんな違いがあるのか」といった観点で企業選びに取り組んでください。

業務内容

まず、業務内容が異なります。入社した段階では大きな違いはありませんが、次第に関わる仕事内容に違いが出てくるのが一般的です。

総合職は幹部候補として、責任のある仕事を任されやすくなります。

課長補佐、課長、部長と部署を統括するポジションを任されるようになるのが総合職です。

また、組織の中枢を担う立場としてさまざまな事業について知る必要があるため、他の部署に対する理解も深めなければなりません。

一方、一般職は部署を構成する一員として役割が与えられます。そのため、自分の仕事を理解するのが大切です。

立場は一般職員、主任、係長が多く、総合職に比べると責任が少ない立場で事業に携わることになります。

両者の違いを踏まえ、「自分はどの立場で組織に貢献したいか」を考えてみましょう。

総合職の主な仕事内容

・一般職のマネジメント
・組織のマネジメント
・予算管理
・マスコミ対応
・他部署との連携
・役員と一般職の橋渡し

一般職の主な仕事内容

・庶務全般
・顧客対応
・保守管理業務
・会場の設営

キャリアステップ

次に、キャリアステップも異なります。総合職は全く異なる部署に異動し、出世が早くなるのが一般的です。

それに対し、一般職は大きく部署が変わることは少なく、出世は総合職ほど早くありません。

総合職は組織の中枢を担うことになるので、事業の中心として携わったり責任のある仕事を任されるようになります。

たとえば課長として自分の部署のマネジメントを経験し、数年後には部長として多くの部署を鳥瞰しつつ、役員との調整を行います。

組織全体を知っておかなければならない立場であり、さまざまな事業を知るために部署異動が多くなるのです。

一般職は部署内での自分の役割を全うする必要があり、自分の役割をどれだけこなせるかが重要になります。

入社して10年ほど一般職員として部署の庶務業務に携わり、それから数年かけて主任、係長と役職が上がっていきます。

出世を目的としていないため、総合職に比べると地道にキャリアを築いていくことになります。

ただし、一般職だからといって出世できないわけではありません。総合職に比べて時期は遅くとも、本人の意思と努力次第で管理職を目指すことは可能です。

責任のある仕事を通じて出世したいのか、与えられた役割を地道にこなしキャリアを築いていくのか、自分に合った働き方を考えてみましょう。

転勤

また、転勤の頻度や範囲にも違いが出てきます。総合職は広く事業を知るためにも、転勤を伴う異動があります。

それに比べて、一般職は転勤を伴うほどの異動は多くありません。

全国に多くの事業所を持つ企業ほど、転勤の幅が広がります。転勤は仕事上やむを得ませんので、転勤をしたくない人は一般職を目指すと良いでしょう。

どのエリアを中心に転勤するのかは募集要項にも載っているので、どこに転勤する可能性があるのか把握しておきましょう。

総合職として限られた範囲で働く「エリア総合職」という職を設けている企業もあります。「総合職になりたいけど転勤がネックだな」と思う人は、就職先の候補として検討してみてください。

エリア総合職については、以下の記事で紹介しています。

給料

最後に、給料の面についての紹介です。総合職と一般職は役割が異なるため、給与にも差があります。総合職の方が一般職に比べ、初任給は高く設定されていることが一般的です。

統計データによると、2019年における22歳の新卒平均給与は、総合職が約22万円であるのに対し、一般職は約20万円であることがわかります。(引用:e-Stat 政府統計の窓口

総合職は責任のある仕事を任されたり、転勤を伴う部署異動があります。厳しい条件下で働くことになるため、給与が高く設定されているのです。

また、キャリアステップを積むことでより責任のある役職に就けるので、その場合はさらに高い収入を得ることができます。

一般職は総合職より責任のある仕事を任されることはなく、異動があっても転勤を伴わない場合が多いです。

ただし、「どうしても高い給料を貰いたい」と思う人でなければ、心配するほどの給料ではありません。一般職でも地道にキャリアを積んでいけば、管理職として高い給料を得ることは可能です。

注意点として、「総合職だからずっと高い給料がもらえる」と油断しないことです。一般職に比べると給料は多くもらえますが、その分責任も大きくなります。給料は参考程度にとどめ、自分に合った働き方を選びましょう。

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選考における両者の違い

選考における両者の違いを表した図

総合職と一般職は働き方も待遇も異なるため、選考の段階から違いもあります。違いは「採用方式」と「選考時期」の2つです。

企業によっては両者に違いがない場合もあるため、志望する企業の募集要項はしっかり確認しておきましょう。

採用方式

選考における1つ目の違いは「採用方式」です。両者は入社後のキャリアステップが違いますので、採用の枠や求められる基準も異なります。

選考の内容は筆記試験、面接、適性検査と同じである場合が多いため、対策する内容は変わりません。同じ試験でありながら、総合職の方が高いレベルで成果を求められます。また、総合職の選考が先にあり、その後に一般職の採用を実施する企業が多いです。

総合職の方が試験の難易度は高くなりますが、一般職の方が選考通過が簡単というわけではありません。

一般職は採用枠が少なく、総合職に比べ倍率が高くなる傾向になります。

一例として、伊藤忠商事は2015年の社長メッセージで「2014年の選考倍率について、総合職は74倍、事務職は184倍」と公表しています(参照:2015年度 入社式 社長メッセージ|伊藤忠商事)。

総合職の2倍もの倍率になる場合もありますので、どちらを受験するにしろ、しっかり対策をおこないましょう。

総合職と一般職の倍率の違いは、別の記事でも紹介しています。併せて読み、両者の倍率を知りましょう。

選考時期

また、選考時期も異なります。基本的に総合職の選考があり、後に一般職の選考が始まります。

総合職のエントリーは大学3年生の2月から開始され、一般職のエントリーは大学4年生の4月中旬から始まる、といったパターンがあります。

そのため、総合職を受けた後に同じ企業の一般職を受けることも可能です。どうしても行きたい企業があれば、どちらの選考も受けると良いでしょう。

ただし、企業によって採用時期に差がなく両方の選考を受けられない場合もあります。志望する企業の募集要項より、選考時期の違いを把握しておきましょう。

どちらを選んだら良いか判断する方法

どちらを選んだら良いか判断する方法を表した図

総合職と一般職の違いがわかったところで、どちらの選考を受けるか考えてみましょう。

どちらを選ぶのが良いかわからない場合は、「①仕事に何を求めるのか決める」「②キャリアプランを考える」「③自分の特性と性格から判断する」「④実際に働いている人に聞いてみる」と4つの基準から考えると決めやすくなります。

それぞれ以下より詳しく紹介していきますので、どちらの職を志望するか判断しましょう。

①仕事に何を求めるのか決める

まず、「仕事に何を求めるのか決める」です。前述の通り、総合職と一般職は携わる仕事の裁量や待遇が異なります。

総合職であれば、「裁量のある仕事に携わりたい」「出世を目指して自分を高めたい」「給料を多くもらいたい」といったやりがいを重視したい人に向いていると言えます。

一般職の場合、「責任が重くない仕事に携わりたい」「仕事をコツコツ進めたい」「転勤は少ない方が良い」といった自分のペースを重視したい人に向いていると言えます。

どちらが良い悪いというのはないため、「自分は仕事を通じて何を得たいか」を考えて決めましょう。

自分に向いてる仕事を考えるには、まず自分を知ることが大切です。自己分析のやり方については別の記事で紹介していますので、参考にしてください。

②キャリアプランを考える

次に、「キャリアプランを考える」です。総合職は将来の幹部候補として出世を目指すのに対し、一般職は総合職を支える立場として今の役割を全うするキャリアとなります。

こちらも「仕事に何を求めるのか」と同様に、「仕事で出世したいのか」「自分の生活に重きを置きたいのか」を基準に考えてみましょう。

私生活の面でおいても、総合職は転勤をともなう異動が多く、住む場所を選びにくいです。

それに対し、一般職は同じ勤務先での異動が基本であり、居住環境を選び将来の生活も考えやすいと言えます。

企業によっては一般職でも転勤のある場合がありますが、総合職に比べると一般職の方がキャリアプランを考えやすいです。

仕事だけでなく、私生活をどう過ごしたいかも判断基準にしましょう。

③自分の特性と性格から判断する

また、「自分の特性と性格から判断する」という考え方もあります。総合職と一般職とでは働き方が異なるため、それぞれ適した人材も変わってきます。

総合職は出世のために厳しい環境で仕事をすることになりますが、その分仕事に裁量があったり給料を多くもらえたりといったやりがいを感じやすくなります。

そのため、自身のレベルアップを感じるのが好きで「やりがいを重視したい」と思う人に向いていると言えるでしょう。

一般職は事務的な仕事が多く、裁量のある仕事は任されにくいです。

その分、無理のない範囲で仕事を進めることができるため、出世争いや責任の重い仕事を望んでいない人にとっては、一般職に向いていると言えます。

この判断基準は、自分の性格や、どういう環境で力を発揮できるのかを理解することでわかります。自己分析をおこない、自分に合った働き方を考えてみましょう。

自己分析のやり方については、以下の記事を参考にしてください。

④実際に働いている人に聞いてみる

最後に、「実際に働いている人に聞いてみる」という手段があります。総合職と一般職に対する自分のイメージと、実際に働いている人からの実態をもとに、職を考えましょう。

総合職と一般職の違いはインターネットからある程度知ることはできますが、それらはあくまで一般論にすぎません。企業により実態は異なる場合もあります。

たとえば企業説明会やインターンシップ、OB訪問にて、実際に働いている人に両者の違いを聞いてみましょう。

OB訪問についてはやり方がわからない人も多いですので、以下の記事を参考にして実際に働いている人から話を聞く機会を得ましょう。

企業によってはキャリアチェンジも可能

企業によってはキャリアチェンジ可能を表した図

総合職と一般職にそれぞれ向いている人を紹介しましたが、仮に入社して「思ってたのと違うな」と感じてもキャリアチェンジは可能です。

基本的には総合職から一般職に転向するのが多いですが、「さらに自分を高めたい」と思えば一般職から総合職へのキャリアチェンジする場合もあります。

自分の意思でなく、上司や人事から無理やり転向させられることは基本的にありません。そのような場合はしっかり話し合いをし、両者合意の上で決まります。

注意点として、企業によりキャリアチェンジの制度があるか異なりますので、事前に把握しておきましょう。

仕事選びの軸を決めて就活に臨もう

総合職と一般職は似ているようで、選考から入社後のキャリアまで異なります。就活まで時間のある間に、自分に合った働き方を見つけておきましょう。

自分に合った働き方を見つけるには、自己分析を通じて自分を知ったり、インターンシップやOB訪問で企業理解を深める方法があります。

仕事内容、キャリアステップ、待遇、私生活とまざまな要素から判断基準を決め、自分に合うと思える企業を選びましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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