内定について

内定辞退の前に抑えておきたいマナー【電話・メール例文あり】

内定辞退の方法とは

「せっかくもらった内定だけど、よくよく考えるとイメージと違った」ということは少なからずあります。内定辞退は絶対にNGかと聞かれると、もちろんそんなことはありませんし、企業側からしても想定の範囲内です。

2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査のデータによると、企業が1人採用するのには平均で約53.4万円のコストがかかっています。想定の範囲内とはいえ、「内定辞退は企業に迷惑がかかる」ということはしっかりと理解しておきましょう。また、内定辞退は原則としてメールではなく、電話で伝えるようにしましょう。その方が誠意が伝わるのはもちろん、確実だからです。

内定を辞退されるのは企業側からすれば嬉しいことではありません。しかし、入社後すぐに退社されることの方が内定辞退よりも数倍迷惑なのです。そのため、入社前の段階で、「辞退しよう」と思ったのであれば電話で事情を説明して辞退の旨を伝えましょう。

内定辞退は受けた方法で返すことがポイント

社会人になって用件を伝えるときは、連絡を受けた方法で返すのが基本です。内定の連絡は電話で来ることが多いので、そのときは内定辞退も電話で連絡しましょう。メールできた場合はメールで辞退連絡をしても問題ありません。

一昔前の時代であれば会う方法が一般的だと考えられていました。ただ、現在は連絡手段が発達しており、入社直前の時期でなければ直接出向くように求められることは少ないはずです。一般的には内定辞退の連絡は、電話で丁寧に伝えられれば十分です。

企業へ電話するときのマナーについて下の記事でも解説していますので、参考までに見てみてください。

内定辞退の電話例文①

私、〇〇大学の〇〇と申します。お忙しいところ恐縮ですが、人事部の○○様はいらっしゃいますか?

お待たせいたしました、〇〇です。

〇〇大学の〇〇と申します。先日は内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。色々と検討しましたところ、御社の内定を辞退させていただきたいと思い、ご連絡を差し上げました。

内定辞退の電話例文②

○○大学○○学部の○○と申します。採用の件でお電話したのですが、人事部の○○様はいらっしゃいますか?

お電話代わりました、○○です。

○○大学○○学部の○○です。先日は、内定のご連絡ありがとうございました。身勝手なお願いで大変申し訳ないのですが、御社の内定を辞退させて頂きたくお電話いたしました。

残念ですが承知いたしました。差し支えなければ辞退理由をお聞かせいただけますか?

地元の企業から内定をいただきまして、地元に貢献したいという気持ちや家族の声もあり御社を辞退させて頂きたいと思います。本来ならばお詫びに伺うべきところですが、お電話でのご連絡となり申し訳ございません。

ご回答ありがとうございます。内定辞退について承りましたので、お越しいただかなくても結構ですよ。

かしこまりました。この度は貴重な時間を頂きながら、誠に申し訳ありませんでした。それでは、失礼いたします。

内定辞退をメールで伝えるときのポイント

内定辞退をする際は電話で伝えるのが基本ですが、どうしても電話で言いにくいときや、インターンシップなどで関わっていた企業というわけでもなく、内定承諾前の辞退などの場合については、メールで連絡する方もいます。

また、電話をかけたが繋がらなかったときに、メールで辞退の連絡をすることもあります。その際は最初に「先程電話をさせて頂きましたが、お忙しいようでしたので」などと事前に連絡した旨を一言付け加えるとよいでしょう。

逆に、入社することを承諾した場合や、インターンやOB訪問などで非常に繋がりが深い企業に対してメールでするというのはあまり望ましいものではありません。その場合はメールのみで終わりにするのではなく、電話や手紙などを組み合わせするのが良いでしょう。

下の記事では選考辞退する際のメールのマナーについて解説していますので、是非参考にしてみてください。

内定辞退をする際のメール例文

内定辞退のメールを送る際のポイントは以下です。

・内定辞退をするという旨を冒頭に入れる
・内定辞退の理由は簡潔に記載する
・内定をもらったこと、ここまでのコミュニケーションに感謝する

では、例文をみてみましょう。

件名:【内定辞退のご連絡】○○大学○○学部○○

○○株式会社 人事部
○○様

○○大学○○学部の○○です。
この度は採用内定をいただき、誠にありがとうございました。
嬉しいお知らせを頂きながら誠に恐縮なのですが、
内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。

就職活動を進めるうちに、
自分の適性に合った職業を見つけることができ大変心苦しいですが
内定を辞退させて頂きたく存じます。

○○様にはお忙しい中面接をして頂いたにも関わらず、
このようなお返事となってしまったことを誠に申し訳なく思っております。
本来、直接お伺いしてお詫び申し上げなければならないところ、
メールでのご連絡となりますことを何卒ご了承いただきたくお願い申し上げます。

末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

--------------

―――――――――――――――――
田中 きゃりあ(たなか きゃりあ)
〇〇大学○○学部○○学科〇年
〒000-00××
東京都〇〇区〇〇町0-0-×
携帯電話:090-0000-00☓☓
メール:kyaria.tanaka@☓☓☓.jp
―――――――――――――――――

内定辞退する理由を聞かれた時の答え方

一般的に内定辞退の連絡をした際には「理由」を聞かれることが多いでしょう。その際に辞退理由を伝えるポイントは、会社に対してネガティブな意見を伝えないことです。例えば、待遇が悪いから、社風が合わないと思ったから、などといった会社とのマッチ度についての話はしないほうが無難です。

トラブルになってしまう可能性や、入社した先で辞退した企業が取引先になることもあり得ますので、穏便に辞退するためにも答え方には注意しましょう。

内定辞退のマナーについては下の記事でも紹介していますので、併せて読んでみてください。

他の内定先を伝えるのは義務ではない

・希望している業界や職種に内定が出た、と違うジャンルであることを伝える
・自分の将来の夢を実現したい、と就職ではない道であると伝える
・地元就職をすることに決めたと勤務地の違いを伝える
・親の意向的に決めたと覆らなそうな理由を伝える

内定辞退をする際に理由を聞かれた場合は、上記の様な言い方で切り返すと良いでしょう。ポイントは伝えた時に切り返ししづらそうな内容を伝えることです。

内定辞退をする際、他の内定先を伝えるのは義務ではありません。答えなければならないということはなく、むしろスムーズに内定辞退の手続きを進めるためには答えないほうが得策だとも言えます。他の内定先を伝えると、「うちでも〇〇については関われるのではないか」「◇◇についてはその企業よりうちの方が優れている」など、説得の材料を与えてしまうことになりかねません。他の内定先については、基本的に答えずに進めたほうがいいと言えるでしょう。

内定辞退の理由を聞かれた際の回答例

選考が進んでいた他の会社から内定をいただきました。自分の将来を再度考えた結果、その会社とご縁を感じ、非常識ではありますが、この度内定辞退を申し上げた次第です。貴重なお時間をいただきながら、このような形となり、誠に申し訳ありませんでした。それでは失礼いたします。

もちろん、全てを打ち明けて話してしまうこと自体は問題があるわけではないのですが、必ずしも内定を辞退する理由をそのまま伝えないといけないということはありません。あくまでも内定辞退をすることを目的にするならば、内定辞退の理由がなんであれ、極論辞退をスムーズにできることが良いのです。

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内定辞退を手紙でする場合のポイント

内定辞退をするにあたって手紙を送る場合に注意すべきことは、手紙だけを送って内定辞退するというのは失礼であるということです。確かにメール等に比べて工数がかかるため「誠実さ」は出るものの、手紙はあくまでも一方通行性の高いツールですので、手紙だけで内定辞退の連絡をするのはあまり好ましくありません。

電話で連絡をした上で手紙を送る

内定辞退の連絡を「できるだけ早く」電話で伝え、企業側も辞退を受け入れた後に改めて手紙を送るというのが一番適切なマナーでしょう。基本的にはもちろん電話だけでの内定辞退をすることについて問題はないものの、特にインターンやOB訪問での関わりを持っている場合や、内定承諾後の辞退をするときなどは、より誠実さが伝わる手紙で連絡を入れるのが望ましいでしょう。

下の記事では内定辞退を手紙で伝えるときの書き方などを詳しく解説していますので、併せて読んでみてください。

内定辞退をする際の手紙の書き方と例文

拝啓
◯◯の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、先日はお電話でご連絡差し上げた通りとなりますが、
内定辞退の連絡となりましたこと、大変申し訳ありません。

多くの時間を割いて選考をしていただいたにも関わらず、
辞退させていただくことは大変心苦しい限りですが、
自分なりに最後まで悩んだ結果となりますこと、何卒ご容赦ください。

貴社、ますますのご発展をお祈り申し上げます。

敬具

平成◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部◯◯学科
◯◯ ◯◯

文章は必ず手書きで書きましょう。手書きはPCで作成するよりも相手に誠意を伝えることができます。また、手紙の書き方や封筒への入れ方など一般的な手紙マナーも守ることが重要です。

中には横書きの便箋を使用してしまう就活生もいますが、横書きは親しい間柄の人へ送るときに使用するもので、フォーマルな手紙は縦書きがマナーです。このように、手紙にもさまざまなマナーがあるため事前によく確認してから作成に取り掛かりましょう。

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入社2週間前までであれば辞退しても問題ない

契約期間の定めのない労働契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けば、特段の理由を必要とせずに労働契約を一方的に解除できる

—民法627条1項

「内定辞退をすること事態は法律違反にあたるのではないか」という疑問を抱く人も多いと思われますが、まったくそんなことはありません。内定辞退をすることについての法律は上記を読んでみてください。

つまり、入社2週間前までであればいつ辞退をしても問題ない、というのが法律上の決まりです。そのため内定承諾書を出した後についても、内定辞退をすることは問題ありません。

内定承諾書などをはじめ、誓約書などさまざまなサインを求める会社はあるかと思いますが、これについては原則、法的拘束力はないという点はおさえておきましょう。

また、2週間前以降に内定辞退をした場合は、法的な観点で厳密にいくと労働義務が発生するため、退社という扱いになります。そのため、その日数分労働しなくてはいけないという可能性もゼロではありません。

内定承諾書を提出後の辞退方法については、下の記事で解説していますので、参考までに見てみてください。

期限はないが早いに越したことはない

【内定辞退の連絡をするのに多いタイミング】

  • 内定通知をもらい承諾書を出す前
  • 他社から内定が出た場合
  • 内定式の前後
  • 4月1日(入社日)の2週間前

内定を辞退されると、企業側も採用計画の人数に対して1名新入社員が減ることになってしまいます。当然ですが、計画を実行するためにはあなたの辞退分を勘案して採用しなければいけないのです。そのため、内定辞退は早めに伝えたほうが良いでしょう。

上記のようなタイミングで内定辞退をする方は多いと言われていますが、できるだけ時間に余裕を持った対応を心がけましょう。

連絡後に呼び出しをされた場合は行くのがおすすめ

内定辞退を電話で連絡した際に、企業の人事側から、「一度、事情を確認したいから会社にきてもらえますか」という依頼を受けることも多いかと思います。その際は、基本的には企業へ訪問して、辞退への謝罪とその理由などについて話をするのが誠実な対応です。

ただし、企業側が内定辞退の連絡を受けて、一度会いたいと言うケースは基本的には内定辞退を考えて直して欲しい、というケースが多いです。そのため、「その可能性は一切ない、受けたくない」ということであれば、内定辞退をして呼び出されたからといって必ずしも訪問する必要はない、ということも頭に入れておくと良いでしょう。

内定辞退をした際に呼び出された時の対応については、下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

NGな内定辞退の対応とは

内定が決定するまでに、企業は就活生を知ることに時間を割いています。内定者が決定した傍らで残念ながら不採用という判断をくだされた就活生もいることでしょう。内定を辞退することは悪いことではありませんが、誠意ある対応で意思を伝えることが重要です。ここでは内定辞退で絶対にしてはいけないNG対応を紹介します。

連絡なし・音信不通

数少ないケースではありますが、連絡なしで内定辞退できるのではと考えている人がいます。連絡なしで内定辞退をする場合は、サイレント辞退とも呼ばれ、企業に対しとても失礼に当たります。

企業側としても採用戦略上、あなたが内定承諾をするか、内定辞退をするかで、その後の施策を考え直す必要があります。進退が分からない状態ほど迷惑なものはありませんので、連絡はしっかり取り続けましょう。

また、いまの採用担当者と就職活動生という関係が、数年後にはクライアントになったり、ビジネスパートナーになったりする可能性は十分にあります。同じ業界に進むことを決めるのであればなおさらです。

これから社会人になることを踏まえても、嘘をついてその場しのぎの行為は避けるほうが賢明でしょう。

企業の悪評を拡散する

自分が内定辞退したからといって、その企業の悪評を拡散すると、あとあと自分が痛い思いをすることになります。また、場合によっては訴訟問題になりかねませんので、絶対にやめましょう。先に述べたように数年後、自分が入社した会社の取引先となっていたり、ビジネスパートナーとなっていたりといった可能性は十分にあります。

そのときに、過去自分が振りまいたその企業の悪評を企業側が認知していると、仕事においての契約が切られるといったこともあり得ます。一度「採用していただいた」という事実をもとに、内定の辞退を決めた会社であっても、しっかりと感謝の気持ちを持っておきましょう。

採用を断る意識を揺るがずに持っておく

内定辞退をするのであれば、採用を断る意識を揺るがずに持っておきましょう。自身の中で内定辞退について気持ちが固まり切っていない場合、内定辞退の旨を伝えても説得されてしまいやすくなります。採用担当者は内定辞退者への対応を毎年何度も行ってきており、内定辞退に対する説得も慣れているのです。

内定辞退の連絡をする前に、本当にそれが自身にとって最善の選択なのか再度熟考するようにしましょう。熟考した結果、内定辞退を行うことが自身にとって最適な選択であることが分かれば、何を言われても揺るがず、内定辞退を進めることが可能になります。内定辞退は自身において非常に大きな選択となりますので、気持ちを固めた上で伝えましょう。

下の記事でも内定辞退の方法について解説していますので、ぜひ読んでみてください。

内定辞退は誠実な気持ちを持ってお詫びを述べよう

人生最後まで何があるかわからないことが多いです。卒業間近になって内定を辞退して起業した人や、小さな企業に就職した人も当たり前のようにいる時代です。またどうしても行きたかった企業の両方から内定が出てしまうこともあるでしょう。

内定辞退を企業に伝える際は、今まで自分に費やしてくれた時間や労力への感謝の気持ちを持って、お詫びの旨を伝えてください。社会人になる第一歩として誠実な対応をしましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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