業界研究

【飲食業界徹底研究ガイド】人手不足などの課題と今後の動向

飲食業界とは

牛丼やファミリーレストラン、ハンバーガーや居酒屋など、誰しも一度は訪れたことがあるかと思われます。その意味で飲食業界を身近に感じる方も多いでしょう。

また身近なだけでなく比較的求人も多い傾向にあるので、飲食業界への就職を検討している就活生も少なくありません。しかし、飲食業界の具体的な詳細については知らない方も多いのではないでしょうか。飲食業界を目指すのであれば、まずは業界の基本的な知識を知ることが重要です。

飲食業界の概要

飲食業界は、食品を調達し加工・調理をした飲食品を提供する仕事をしています。そうした飲食品を提供するための店舗を営業する事業のことを外食と呼びます。ハンバーガーや牛丼、ファミリーレストランや居酒屋などは、大手企業がチェーン展開をおこなっており、代表的な外食事業といえるでしょう。一方、弁当店やコンビニエンスストアで販売する弁当、宅配ピザなどは、中食と呼ばれ区別されています。

飲食業界は生活に密着している仕事なので、常にニーズがあるともいえますが、参入障壁が比較的低いこともあり、競争が激しく、とう汰のスピードが速いのも特徴です。好調な企業であっても事業の効率化や、収益性の見直しを常に迫られており、手を休めればとう汰されてしまう、そんな厳しい業界でもあります。

飲食業界の業績推移について

  • 業界規模:4兆8,692億円
  • 平均年収:475万円
  • 平均勤続年数:約8年

飲食業界の業績は、ここ数年伸び続けており、現在の業績規模は4兆8,692億円となっております。しかしながら市場規模は縮小しており、飲食業界の競争は激化しているのが現状といえます。

2008年の経済危機の影響で国内の消費意識が減退し、生活に密着した飲食業界はその影響からいったん業績不振に陥りました。その後の経済政策や金融政策を経て景気が回復の兆しをみせると、飲食業界の業績も堅調な推移をみせています。

平均年収は475万円と、業界規模に比べそれほど多くありません。ただ飲食業界は企業数が多いため、平均するとどうしても数字が小さくなる傾向にあるといえます。企業ごとの所得格差も大きく、飲食業界の平均年収は参考程度にとどめておいたほうがよいでしょう。

また平均継続年数は8年程度ときわめて短く、離職率は高いようです。ただし企業別ランキングの上位に位置する企業はおおむね15~20年と、平均から平均以上の継続年数を示しています。

飲食業界の細かい職種分類について

  • アシスタントマネジャー
  • マネジャー
  • エリアマネジャー
  • 企画営業
  • メニュー開発

ここでは飲食業界の代表的な事業業態、外食事業の主な業務内容をみていきます。マネジャーは店長とも呼ばれ、店舗の運営管理をおこないます。まずはマネジャーを補佐する、アシスタントマネジャー業務からキャリアを始めることが多いようです。

エリアマネジャーは管轄エリアのマネジメントを担当する仕事で、各店舗のマネジャーを統括する立場です。企画営業は、商品やサービスの企画から販売促進などの営業業務をおこないます。

メニュー開発はその名の通りメニューを開発する仕事ですが、おいしさだけでなく生産効率や収益性も考慮した上での開発を求められます。飲食業界と一口にいっても接客業から事務、開発までさまざまな職種がありますので、自身にあった職種を探したいものです。

飲食業界の動向

飲食業界はIT化の波や新しい料金システムの流れが押し寄せています。例えば、キャッシュレス会計の導入や、月単位による定額制の食べ放題システムの台頭などが挙げられます。従来より使用されていたクレジットカードでの決済は、日本中にサービスが導入されましたが、手数料がかかったり決済機器を揃えるのが手間だったりと、依然として未導入の店舗が多いのが現状でした。

そのような中、近年、交通系ICカード決済やおサイフケータイなどのスマホ決済を導入する店舗数が急増しました。クレジットカードよりも手数料が安く入金も速いため、チェーン店だけではなく、個人経営店のキャッシュレス会計化も進んでいます。

そして、月額5,000円を払えば1ヵ月間食べ放題ができる、月額定額制の飲食店も見受けられるようになりました。今までになかった定額制サービスの導入は、お店のファン獲得の機会を増やし、そして売上につながることが期待されます。今後さらに導入を検討する店舗は増えていくでしょう。

飲食業界の課題

昨今の採用活動は「売り手市場」と呼ばれ、求人に対する応募母数が少なくなっており、人材を採用することが難しくなっています。飲食業界も同様に、人手不足が深刻な問題となっています。どうしても長時間労働や力仕事のイメージがある飲食業界は、離職率が高い傾向にあります。今後さらに人材不足が加速し、企業によっては従業員1人にかかる負担は大きくなるかもしれません。

人件費の高騰も大きな課題です。年々最低賃金が値上がりしています。時給が過去最高の値となり、東京都では985円、大阪府では936円となりました。人材不足が故に採用したとしても人件費が大幅な経費となってしまい、そして他店よりも高い時給で募集しなければ応募が来ないという負の連鎖が起きています。

飲食業界のIT化が進んでいる

このように課題に溢れている飲食業界ですが、オンライン上での予約システムやキャッシュレス会計などのITサービスの導入の動きは非常に高まっています。業務の効率化が可能なサービスの普及により、人手不足・人件費削減などの問題が、確実に解決に向けて進んでいます。サービスの導入スピードもさることながら、今後のITサービスの開発にも目が離せません。

他にも、飲食業界のIT化は進む見込みです。近い未来、至る所でセルフレジが導入され無人会計が主流になるでしょう。そして、POSレジはiPadやスマホが機材となり、より一層スマート化されていくはずです。かつては紙で管理していたシフト表や予約管理帳ですが、今やすでにパソコンやオンラインサービスなどで管理することが主流となっています。時代の変化に伴い、飲食店のスタイルは変化しています。

主要企業5選紹介

飲食業界は大きく分けて外食と中食のふたつの業態があり、そのどちらにもさまざまな企業が存在しています。新規参入の障壁も比較的低いことから次々と新しい企業が登場し、飲食業界内の競争は激しさを増しているのが現状です。

そうした厳しい飲食業界をより詳しく理解するには、主要企業について知っておくことも大切です。どの主要企業も厳しい競争を勝ち抜くためにさまざまな方針を打ち出しており、そうした動向を知ることで、今の飲食業界への理解をよりいっそう深めることができるでしょう。

①株式会社ゼンショーホールディングス

  • 企業名:株式会社ゼンショーホールディングス
  • 代表取締役会長:小川 賢太郎
  • 従業員数:正社員:9,507名(2017年3月末)
  • 設立年月日:1982年6月

株式会社ゼンショーホールディングスは、「すき家」「なか卯」「ココスジャパン」「ジョリーパスタ」など数多くの外食関連企業を統括している、飲食業界最大手のグループです。M&Aによる統合や吸収で、意欲的に業界内での事業規模を拡大させてきました。

外食チェーンの展開については、国内のみならず海外への進出にも積極的に取り組んでいます。また介護事業や、サポート事業などの別業種も手がけており、外食事業だけに頼らない成長を目指しています。こうした経営方針から、飲食だけにとどまらない柔軟でグローバルな志向を持つ人材が向いているといえるでしょう。

②株式会社すかいらーく

  • 企業名:株式会社すかいらーく
  • 代表取締役社長:谷 真
  • 従業員数:正社員 6,002名(すかいらーくグループ)
  • 設立年月日:1962年(昭和37年)4月4日

株式会社すかいらーくの名称は、1970年に第一号店を出店させたファミリーレストラン「すかいらーく」を元にしています。現在は主力である「ガスト」や「バーミヤン」などのファミリーレストランチェーン、回転寿司の「魚屋路」、とんかつとからあげ専門ファストフードチェーンの「とんから亭」など、さまざまな外食ブランドチェーンを展開しています。

2006年には業績悪化によりMBOの実施、東京証券取引所市場第一部上場廃止を余儀なくされましたが、2014年に再上場しました。消費者の価値観の変化に対応するべく、さまざまな飲食カテゴリーに挑戦し続けています。そうした消費者の目線に立つことのできる堅実かつ、挑戦的な人材が必要とされる職場だといえます。

③株式会社コロワイド

  • 企業名:株式会社コロワイド
  • 代表取締役社長:野尻 公平
  • 従業員数:116人(単独) 4,922人(連結)

株式会社コロワイドは、居酒屋「甘太郎」で知られる企業ですが、M&Aも盛んで「ステーキ宮」で知られる株式会社アトムや焼き肉チェーン「牛角」を持つ株式会社レインズインターナショナルなどを買収しています。また2014年には「かっぱ寿司」でおなじみの株式会社カッパ・クリエイトを子会社化し、飲食業界にその存在感を示しました。

コロワイドは国内のみならず、東南アジアを中心とした飲食店チェーンの進出にも積極的で、現在日本を含めたアジアに2680店、アメリカ・カナダに44店舗を構えています。グループ全体では「外食産業日本一」を目標としており、その実現をともに歩める積極的かつ、活動的な人材が求められているといえます。

④日本マクドナルドホールディングス株式会社

  • 企業名:日本マクドナルドホールディングス株式会社
  • 代表取締役社長 兼CEO:サラ L.カサノバ
  • 従業員数:2,239名(2016年12月31日現在)
  • 設立年月日:1971年(昭和46年)05月01日

日本マクドナルドホールディングス株式会社は、世界最大級のハンバーガーチェーングループの日本法人で、国内飲食業界においても常に上位に位置する有力企業です。創業者の藤田田氏は、その経営手腕で日本マクドナルドを全国に展開して成功を収めたことから、カリスマ的人気がありました。

21世紀に入ると、長引く平成不況の影響から業績が低迷しましたが、経営戦略の見直しや米国本社からのテコ入れなどによって、近年では急速に業績が回復しつつあります。CEOのサラ・L・カサノバ氏は日本マクドナルドの事業を「ピープルビジネス」と称し、変化を恐れずに挑戦し続ける「人」の実行力が何よりも大切だと語っています。

⑤株式会社プレナス

  • 企業名:株式会社プレナス
  • 代表取締役社長:塩井辰男
  • 従業員数:1,376名
  • 設立年月日:1976年(昭和51年)11月

株式会社プレナスは、持ち帰り弁当専門店「ほっともっと」で知られる、中食産業の最大手企業です。「ほっともっと」は全国展開しており、現在直営店経営からフランチャイズ経営に移行している最中だといいます。本社は博多にありますが、2016年に東京本社を設置したことで、現在は二本社制を取っています。

プレナスでは他にも外食チェーンである「やよい軒」も運営しており、こちらも全国に展開中です。また海外展開にも積極的で、2010年中国に合弁会社を設立したのを皮切りに、韓国やオーストラリア、米国などに次々と関連会社を設立しています。プレナスの新入社員には育成プログラムとして店舗研修が課せられ、まずは現場で経営理念を学ぶことが推奨されています。

飲食業界研究のおすすめ書籍紹介

飲食業界を研究するのであれば、書籍を有効活用するのもよいでしょう。ネットで専門用語をそのつど調べたり、ニュースやトピックを断続的にチェックするのもよいですが、そうした調べ方ではどうしても体系的に飲食業界をまとめあげることは難しい面もあります。

一方書籍をうまく活用すれば、まとまった形で飲食業界を理解できるばかりでなく、ネットなどで得た情報を補完することにもつながるので、より業界研究の質を高めることができるでしょう。飲食業界を志すのであれば、書籍を参考にして業界の仕組みや厳しさを理解することをおすすめします。

①図解入門業界研究 最新外食業界の動向とカラクリがよ~くわかる本

図解入門業界研究最新外食業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』という本は、外食業界の仕事から歴史、代表的な経営手法にいたるまでを、図解を用いて分かりやすく解説した一冊です。外食のみならず中食産業の業態別概要や動向についても書かれており、この一冊で飲食業界の現在を俯瞰できるでしょう。

外食業界は歴史も古く、業界再編も激しいことからその全容を把握するのは困難ですが、本書を読み進めていくうちに、そうした複雑な飲食業界の姿があらわになっていきます。飲食業界を希望し今後そこで活躍したいのであれば、そうした業界の基本的な常識は非常に重要なものです。またこうした書籍を読むことで、競争の激しい飲食業界の今後を予想する基礎的な知識が身につくといえるでしょう。

②サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ

サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』は、イタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」の創業者会長の正垣泰彦氏による、外食経営の指南書です。正垣氏は、海外を含め現在1,300店舗を超えるサイゼリヤチェーンを一代で築き上げました。

「安心感を与える値付け」「ヒットを生む2つの大原則」「値下げの限界点を見極める」「人材の育て方」といった、彼がサイゼリヤの経営で実践した「土壇場の経営学」を彼自身の言葉で知ることができる一冊です。

飲食業界には正垣氏を始めとしたカリスマ的経営者が多いのも特徴で、業界のしくみを変革させた人物の経営方針を知っておくことも重要な研究といえるでしょう。また飲食業界で将来経営者を目指すのであれば、こうしたカリスマ経営者本人の言葉は参考になるはずです。

飲食業界を深く知って就活を有利に進めよう!

飲食業界は競争が激しい反面、商品のヒットや経営手腕によって一気に業界を駆け上がるることも夢ではない、チャンスにあふれた仕事だともいえます。

業態も企業によってさまざまで、全容がつかみにくい業界ではありますが、その理解を高めることは一歩リードした就活につながります。業界研究をしっかりおこなうことで、飲食業界への就職、そしてその後の活躍に役立てましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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