企業研究

【人手不足の原因】人手が足りていない企業で働くメリットを解説

日本の企業の約半数は人手不足

日本は少子高齢化の影響で労働者の数が足りず、人手不足が問題となっています。メディアでも頻繁に取り上げられている話題ですが、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2019年7月)」によると実に日本の企業の約半数は、正規社員の数が足りていないと感じているのが現状です。多くの企業は、従業員が十分ではないといえるでしょう。

そのため、目指している業界や企業が人手不足であることは珍しいことではありません。人手不足の企業で働くメリットはあるのか疑問に感じている就活生もいるでしょう。長時間労働やノルマが厳しいなど、人手不足の企業は労働条件が過酷なイメージがありますが、実際はどのような現状なのか、よく確認しておくことが大切です。

ここでは人手不足になっている業界やその原因、人手不足の企業で働くメリットなどを詳しく解説していきます。

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人手不足になっている原因

日本の企業の多くが人手不足といわれていますが、その原因はどのようなものが考えられるのかを理解していきましょう。人手が不足している企業への就職を目指すのであれば、そもそもなぜ人手不足になっているのかを把握しておくことは大切です。

人手不足をすぐに解決するのは簡単ではありませんが、問題の原因を知ることで業界や企業について理解を深めることができます。それぞれの原因を詳しくみていきましょう。

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労働人口が減少がしている

日本では少子高齢化が進み、労働人口は年々減少しています。労働人口の減少は、あらゆる業界・企業・職種での人手不足の原因といえるでしょう。

企業が労働者として必要している15~64歳の人口減少により、人材の確保が厳しい状況です。新卒採用をおこなっても人が集まらないだけでなく、従業員の高齢化によってベテラン社員が退職してしまうことで、人手不足に拍車がかかっています

労働人口の減少は、とくに地方にとって大きな問題です。近年、首都圏や福岡県などの都市部では人口が増加傾向にあります。原因のひとつとして考えられるのが、地方から都市部への人口移動です。そのため地方の人口が減少しており、地方の企業は人手不足が深刻化しています。

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有効求人倍率が上昇している

近年、就活は「売り手市場」といわれています。有効求人倍率は上昇していて、仕事を求める人よりも求人の数が多く、求職者の仕事への選択肢は広がっています。そのため、人気のある業界や職種だけに応募が集中してしまうのが現状です。

有効求人倍率が高いと、多くの人が希望する企業へ就職しやすくなり、ネガティブなイメージのある業界や職種には人が集まりません。また、新卒者は大企業へ就職したいと考える人が多いです。その結果、中小企業には応募が少なくなり人手不足に陥ってしまします。

有効求人倍率の上昇は、就活生からするとよいことのように思えますが、一部の企業には人手不足がより深刻になる原因にもなっています。業界や職種によって、人手不足の現状には大きな差があるといえるでしょう。

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よりよい労働環境を求める人が多い

一部の業界や企業では、人材が定着せずに人手不足になっています。多くの場合、労働時間や労働条件、賃金などの労働環境が原因と考えられます。残業や休日出勤があり労働時間が長い、賃金が労働に見合っていない、思うように休みが取れないなど、体力的・精神的な負担が大きいと、長く働き続けることはできません。

採用条件として提示した労働環境が魅力的でなければ人は集まりませんし、入社しても不満があれば退職してしまう可能性が高いでしょう。「ブラック企業」という言葉も知られるようになり、近年、労働環境のよさは企業を選ぶ際の重要なポイントとなっています。条件がよくない企業は、人手不足になる傾向があるといえます。

ホワイト企業の特徴について、下記の記事で紹介しております。

採用手法が変化している

今まで多くの企業が、紙媒体やインターネットで募集をかけ、求職者が集まってから優秀な人材を確保するという採用方法をとっていました。しかし、有効求人倍率が上昇した今では、募集をしても企業が求める人材が応募してこないという状況です。

そのため、求人情報の掲載だけでなく、就活サイトを通じて企業から求職者へ直接オファーをする企業が増えてきています。また、SNSを活用したソーシャル・リクルーティングを取り入れるなど、採用手法を積極的に変える企業もみられます。応募を待つだけではなく、企業側から積極的にアプローチをかけることで、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう

しかし、企業によっては、このような新しい採用手法に適応できていません。その結果、今でも人手不足が解決できない企業は多いです。

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人手不足が深刻な業界

人手不足が深刻化する一方で、人気企業には多数の応募者が集まります。人手不足になっているのは、どのような業界なのかを疑問に思う就活生もいるでしょう。労働条件が悪く、仕事も厳しいというイメージが強い建築業界や宿泊業界、飲食業界は慢性的に人手不足であるといわれています。

これらの業界はとくに人手不足が深刻で、離職率も高くなっています。なぜ人手不足に陥ってしまうのか、それぞれの業界の現状とその原因を知り、業界・企業選びの参考にしてみてください。

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建築業界

大震災の復興やオリンピックに向けた建設ラッシュで、人材不足が続いているのが建設業界です。近年ではオリンピック関連で需要が高まっているにも関わらず、労働者の平均年齢が高くなっていることから、人手が追いついていません。

また、ネガティブなイメージが強く、若者層からの応募が少ないことも人手不足の原因のひとつにあげられます。建設業界の仕事は「体力的にも精神的にもつらい」「残業が多い」などのマイナスなイメージが強いため、若者から避けられてしまう傾向にあるためです

オリンピック関連の需要が終われば、人手不足も落ち着くといわれていますが、労働環境の早急な改善策が求められています。

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宿泊業界

あらゆる業界の中でも、とくに人手不足が深刻なのが宿泊業界です。近年、外国人観光客の増加に伴い、ホテルなどの宿泊施設の利用者も増えています。しかし、宿泊業界は離職率も高く、人材確保が難しい状態になっています。

宿泊業界の離職率が高い原因として、「シフトが変則的」「休日が少ない」「勤務時間が長い」などが考えられます。多くの宿泊施設は24時間営業であり、定休日がありません。とくに繁忙期は休みが極端に少なくなり、連休も滅多に取れないため、体力的にも精神的にも厳しい労働条件となります。

その結果、入社したとしても心身ともに辛いと感じ、退職を選ぶ人も多いでしょう。今後は外国人観光客がさらに増えると予想されるため、労働条件の改善や働きやすい職場作りが鍵になります。

ホテル業界については、下記の記事で詳しく解説しております。

飲食業界

飲食店の経営を支えているのは、少ない社員と学生のアルバイトです。しかし、少子高齢化によってアルバイトできる高校生や大学生の数自体が減っているため、飲食業界では人材を確保できなくなっています。

飲食業界は、とくに非正社員が不足してます。「給与が安い」「人手不足のため一人あたりの仕事の負担が大きい」「勤務時間が変則的」などの問題が、飲食業界の人手不足の原因です。

給与が低いにも関わらず、少ない従業員で店を回さなければならないため、仕事内容と賃金が見合っていないと感じる人が多いです。また、正社員が店にいないときにはアルバイトであっても、トラブル対応などの責任ある仕事を任されるため、負担が大きいといえるでしょう。

飲食業界については、下記の記事で詳しく解説しております。

企業が人手不足を解消するための対策

人手不足になる原因はそれぞれの業界や企業によって異なります。しかし共通していえることは、今後は多くの業界で労働人口が減っていくということです。労働条件のよい企業にしか人材は集まらず、企業間の人手不足の差はますます広がっていくでしょう。

深刻な人手不足の状況を打開するためには、企業がどのような対策を立てていけばよいのかを把握しておきましょう。対策を知ることで、人手が不足している企業の今後の課題がみえてきます。

待遇面を改善する

労働者にとって、待遇面は非常に重要です。とくに「給与が仕事内容に見合っている」「昇給の基準があり定期的に検討してもらえる」ということをチェックしている応募者は多いでしょう。

待遇面をすぐに改善するのは難しいでしょうが、基本的な労働環境を整えなければ人材は確保できません。企業によっては、時間給の従業員に対して1分単位で時給を支払ったり、アルバイトやパートでも昇給の機会を作ったりと、働くことへのモチベーションが保てるような工夫をしています。

人々が働く目的のひとつは金銭の確保です。仕事をした分だけしっかり給与が支払われれば、やる気につながるでしょう。従業員にとって魅力的な待遇が、よい労働環境のひとつであるといえます。

下記の記事では、正社員で働くメリットとデメリットについて解説しております。

働き方を改善させる

待遇と併せて、働き方も改善が必要です。長時間労働や残業、休日出勤などは従業員にとって大きな負担となります。体力的にも精神的にもストレスがかかると、長く働き続けるのは難しいでしょう。

繁忙期や急に人材が必要になった時は、ひとりひとりの従業員の負担を増やすのではなく、単発のアルバイトや派遣社員を取り入れるなどの工夫が求められます。サービス残業はなくし、残った仕事は次の日に持ち越すなど、メリハリのある働き方が理想的です

「定時になったら、社員は全員帰宅しなければならない」というルールを作り、強制的に残業ができないような取り組みを実践している企業もあります。定時で帰ると決めることで、社員のモチベーションがアップし、仕事効率がよくなったという結果も出ています。

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社員間のコミュニケーションを促進する

社員同士のコミュニケーションを促進して、風通しのよい職場作りにすることも、人手不足解消のポイントです。職場の人間関係は、仕事をするうえで非常に大切です。実際に、人間関係がうまくいかずに、退職を余儀なくされる人もいます。

仕事が思うように進まないときでも、信頼できる同僚や上司がいれば心強いです。その結果、仕事のストレスを軽減することに繋がります。社員間のコミュニケーションを促進するためには、イベントを開催して会社とは別の場所で交流する機会を設けたり、日常的に会話ができる環境づくりをしたりなどの工夫が必要です。

仕事以外のことも気軽に話せる機会があると、自然とお互いの仲も深まります。休日に会社の行事があるとストレスを感じる人もいるため、企業内にカフェスペースや休憩所などを設置するのも有効です。

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採用方法を見直す

人手不足の原因が採用方法である場合は、見直しが必要です。これまでのように求人雑誌やインターネットを通じた採用活動だけでなく、企業側から求職者にアプローチする活動などをおこない積極的に働きかけることも大切でしょう。

自社の魅力を伝えるために、企業説明やインターンシップを開催することも人手不足の対策のひとつです。また、遠方に住んでいる就活生のために、オンラインでの説明会や面接を取り入れる企業も増えてきています

オンラインで説明会や選考をおこなうことで、就活生の時間や交通費の負担を減らせるだけでなく、企業にとっても効率のよい採用活動ができます。時代の流れや現在の状況に合わせて、採用方法も変化させていくとよいでしょう。

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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます

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人手不足の企業で働くメリットもある

体力的に厳しい、労働条件がよくないなど、人手不足の企業にはマイナスのイメージがあります。しかし人手不足の企業で働くことは、デメリットばかりではありません。人材を確保するために働き方の見直しをおこなっていたり、働き手が少ないからこそチャンスが巡ってくる可能性が高かったりと、人手不足の企業だからこその魅力もあります。

「人手不足=労働環境が悪い」と決めつけるのではなく、人手不足の業界・企業だからこそのメリットにも目を向けてみると、選択肢が広がります。人材不足の現状や今後の可能性も含めて、さまざまな視点からみてみましょう。

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働き方の見直しが進んでいる

流通業界やサービス業界が人手不足になる原因でもっとも多いと考えられるのは、労働時間の長さです。長時間のシフト制で毎日残業がある職場も珍しくありません。しかし、これらの業界では慢性的な人手不足を解消するために、働き方の見直しが急ピッチで進められています。

今後さらに深刻化していく労働人口の減少に向けて、積極的に労働環境が改善されているといえます。残業を廃止したり、休日を確保したりと、従業員が長く働きやすい職場づくりに力を入れている企業が多いです

「流通業界やサービス業界は労働環境が悪い」という先入観を持たずに、それぞれの企業の待遇や働き方について調べてみましょう。以前は厳しい条件だった企業でも、大きく改善されている可能性があります。

下記の記事では、雇用契約書について解説しております。

チャンスがくる可能性が高い

人手不足の企業では、研修期間を終えた後の昇進スピードが早いといわれています。従業員が少ないとその分競争相手が少なく、チャンスが回ってくる可能性が高くなります。その分、若いうちから活躍できる機会が多いです。

仕事への意欲があれば、未経験でも新たな分野に挑戦できることも考えられます。その結果、仕事の幅を広げることができ、自分自身のスキルアップにつながるでしょう。また、人手不足といわれている業界でも、将来性が見込まれる企業は少なくありません

人手不足の業界でも、今後の可能性や市場の動向を見極め、活躍のチャンスを探してみましょう。一般的にはネガティブな印象がある業界でも、それぞれのよさがあったり、自分に合っていることもあります。

人手不足の原因を知って応募する企業を見極めよう

企業の人手不足は、多くの業界で問題になっています。少子高齢化が進み、労働人口が減少している日本では、避けては通れない課題ともいえます。

人手不足が深刻な業界では、労働環境や労働条件が原因となっている場合が多く、近年はさまざまな方法で、積極的に改善に向けて取り組んでいます。そのためマイナスなイメージの強い人手不足の業界でも、快適な職場づくりに力を入れていたり、活躍のチャンスが多かったりと、企業によっては働くメリットも十分にあります。

業界全体の印象だけで労働条件が悪いと決めつけるのではなく、それぞれの企業の働き方について調べることで、自分とのマッチングや企業の魅力がみえてきます。人手不足の原因や改善に向けての取り組みを知って、企業についての理解を深めていきましょう。

下記の記事では、ベンチャー企業に就職するメリットとデメリットを紹介しております。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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