経理の志望動機に悩む就活生は多い
経理職への就職を目指す学生で、志望動機に悩む人は多いです。経理部は多くの企業で設けられている部署です。しかし経理職の枠で新卒社員を募集する企業の数は限られているため、就活においては競争率の高い職種であるといえます。
経理職での就職を希望しているのであれば、他の学生よりも魅力的な志望動機を考える必要があります。スキルよりもポテンシャルが重視される新卒採用では、志望動機で入社意欲や熱意をしっかりと伝えることが大切です。
企業研究も入念におこない、採用後のポジションについても自分なりに考えてみましょう。一般的な職種である経理職の志望動機は抽象的になりがちです。ひとつずつ要点を整理して、具体的で分かりやすい志望動機を考えていきましょう。
下記の記事では、志望動機が書けないときの対処法について解説しています。
経理の志望動機を書く際の3つのポイント
①経理で働きたい理由を伝える
②経理に向いていることをアピールする
③その企業を選んだ理由を述べる
経理の志望動機では、まず経理職を志望する理由を明確に述べる必要があります。企業を志望する理由だけを述べても、営業や営業事務などの他の職種でもよいのではないかと思われてしまいます。
また、自分が経理職に向いているということを簡単にアピールすることも重要です。企業は人材を採用するとき、その人が企業にどれくらい貢献してくれるかということを注意深く評価しています。経理の志望動機を考える際は、これらのポイントをおさえておくことが大切です。それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
①経理で働きたい理由を伝える
まず、経理を仕事にしたい理由を明確に述べることが重要です。経理を目指す理由を述べることで、熱意ややる気を伝えることができます。
経理として働く場合の仕事内容として、経費や給与の支払い、財務諸表の作成などがあげられます。このような会社のお金を管理する経理の仕事には、経営の改善点を把握する目的があるため、正確性が求められる重要な職種です。
しかし直接顧客に対してコンサルティング提案をおこなうわけでもないため、就活生にとって非常にイメージしづらい仕事といえるでしょう。前線に立って顧客と向き合うのではなく、あくまで裏方の仕事を志望する理由はどこにあるのか、その点を明確にしておかなければ採用担当者の心に響く志望動機にはなりません。
下記の記事では、志望動機の書き出しを魅力的にするためのポイントを紹介しています。
- 志望動機の書き出しを魅力的にするためのポイント3つ【例文付き】
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経理を志望するきっかけとなったエピソードを伝える
経理に関わらず、どのような仕事でもやりたいと思ったきっかけがあるでしょう。志望動機では、志望するきっかけとなるエピソードを述べることで、内容に説得力を持たせることができます。
具体的なエピソードを述べなければ、信ぴょう性のない薄い内容になってしまいます。エピソードでは、いつの出来事か述べることで具体性が増します。例えば「大学で経済を学び、簿記検定で資格を取ったためそれを活かしたい」「学生時代から数字に強かったので、その強みを活かしたい」といった内容です。
資格を取得している人は、そのことをアピールしましょう。仕事に役立つスキルを取得していると、選考で優遇される可能性があります。
こちらの記事で、大学時代の経験を志望動機に結び付ける際の書き方について確認しておきましょう。
②経理に向いていることをアピールする
経理の志望動機の書き方として、自分が経理に向いていることをアピールする方法もあります。経理は正確性が求められる職種であるため、向いている人と向いていない人がいます。
几帳面で細かなところにも目が届く人には、経理としての活躍が期待されるでしょう。反対に大雑把でずぼらな人には、経理職は向いていない可能性が高いです。
経理職の選考で「行動力がある」とアピールしても、採用担当者に魅力的に映らないこともあるでしょう。経理職においては、優柔不断な性格も「慎重な性格」としてプラスに捉えてもらえることがあります。自分が経理職に向いており、その長所を発揮させたいということを志望動機でアピールすると高評価につながるでしょう。
経理に向いている人の性格の例を紹介します。
経理に向いている人の性格
・コツコツ作業に取り組むのが好き
・数字に強い
・物事を論理的に考えられる
・勉強が好き
・多くの人と関りを持つことが嫌ではない
・計画性がある
志望動機の作り方のポイントについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
学生時代の経験を付け加える
自分が経理職に向いているということを裏付けるエピソードを伝えるのもおすすめです。例えば「学生時代に部活動で地道な練習にも真面目に取り組んだ経験」「卒業研究で根気強く取り組んだ経験」などのエピソードです。
几帳面で地道な作業にも音を上げずに取り組むことができるという点を、実際の経験を交えてアピールしましょう。簿記やパソコンの技術を取得していても、地道な作業に音を上げたり、正確さがなかったりすると、経理職としては必要とされません。実際に根気強く取り組んだエピソードを伝えると、内容に説得力を持たせることができます。
下記の記事では、志望理由の書き方について解説しています。
事前に自己分析で性格を把握しておくことが大切
志望動機を書く前に、自己分析を入念におこなうようにしましょう。これまで自分の人生で起きたさまざまな出来事を思い返し、その時々の自身の行動、感情を思い返してみてください。「受験する大学を選ぶ際、即断即決でまったく迷わなかった」という人は大胆な性格でしょう。逆に「受験する大学がなかなか決められなくて苦労した」という人は慎重な性格といえます。
このように自身の経験や行動を思い出してみることで、自分の性格を理解できます。自己分析の結果が正しいかを確認するために、周囲の人に自身の性格を聞いてみるのもいいでしょう。自己分析を通じて自分の性格を把握しておくことが、説得力のある志望動機の作成につながります。
自己分析のやり方はこちらの記事を参考にしてみてください。
③その企業を選んだ理由を述べる
志望動機では、その企業を選んだ理由を伝えることも大切なポイントです。経理として働くにしても、企業によってその働き方は大きく異なります。経理として包括的に業務に携わる働き方もあれば、ひとつの部門に携わる働き方もあります。
企業によってはジョブローテーションを積極的におこなうところもありますし、ひとつの職種で能力を発揮してもらおうとする企業もあります。経理で働くにあたって、どのような働き方を望むのかを自分自身がわかっていなければ、選んだ理由を書くことはできません。
自己分析の中で、自身の望む働き方を明らかにし、その軸に沿って企業選びをおこなうことが大切です。なぜその企業を選んだのか、明確に伝えることで入社意欲の高さをアピールすることができます。
下記の記事で、志望動機で社風を中心に考える方法について紹介しています。ぜひ併せて読んでみてください。
事前に企業についてよく調べておく必要がある
企業を選んだ理由を伝えるためには、事前に入念な企業研究をおこなう必要があります。企業についてよく理解しておかなければ、志望する理由をはっきりと伝えることができないためです。
企業研究の方法は、主に「インターネットでの調査」「会社訪問」「OB訪問」の3つがあげられます。ホームページで事業内容や製品について調べておくことはもちろん、会社訪問をして実際に仕事の様子を見学したり、OB訪問で働く人に話を聞いたりすることも企業研究としては効果的です。
志望動機で「実際に働く経理の人の姿に魅せられて志望した」と述べると、内容が具体的になるでしょう。また自分が日ごろ購入している食品や衣類があれば、「好きな商品だからこそ、経理という仕事を通じてその商品に関わりたい」と伝えると具体的な志望動機になります。
下記の記事では、企業研究のやり方について解説しています。
企業にどのように貢献できるか伝えるのもおすすめ
その企業で経理の仕事をすることで、どのように貢献できるかを志望動機の最後に述べましょう。企業は、自社に貢献できる見込みのある人しか採用しません。自らどのように貢献できるかを伝えることで、採用メリットを提示しましょう。
また、自身の伸びしろを伝えることもおすすめです。入社後、仕事を通じてどのようなスキルを伸ばすことができるのかを述べます。ポテンシャル重視で評価する新卒採用では、成長見込みがあるとアピールすることが効果的です。
経理職は、経営者との距離が近い仕事です。経理の仕事を通じて簿記の知識をさらに習得し、会社の経営発展に貢献したいことを述べるとよいでしょう。
志望動機と自己PRの違いについては、こちらの記事で解説しています。
経理の志望動機例文3選
ここまで経理の志望動機を作成するにあたってのポイントを解説してきました。企業は応募者の熱意を把握するために、志望動機を重要視します。説得力のある志望動機を練り上げることが内定獲得には不可欠といえます。そのため書き方のポイントをおさえて考えることが大切です。
「理屈はわかったけれど、実際に書くとなるとなかなかペンが進まない」と悩む就活生も多くいることでしょう。ここでは、経理の志望動機の例文を紹介していきます。例文を参考にすることで、イメージがつかみやすくなるでしょう。
例文①経営学への興味をエピソードに取り上げた志望動機
経理の仕事を通じて経営のサポートをしたいと考え、志望いたしました。
私は高校時代から経営学に興味がありました。経営学に興味を持ったきっかけは、父親が持っていた1冊の本です。漫画で書かれているため、高校生にもわかりやすい内容でした。それ以来、経営学に関する本を何冊も読み、将来は会社経営をサポートする重要な職種である経理職に就きたいと考えるようになりました。
貴社は人材教育に力を入れており、新卒社員でも努力次第でどんどん仕事を任せていただける環境にあると伺いました。そのような環境で早くスキルを習得し、経営をサポートできる人に成長したいと考え、志願しました。
現在は経理に必要な簿記やパソコンなどのスキルを学んでいます。私が貴社に入社しましたら、その知識を活用して積極的に業務に取り組むことで貢献します。
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この例文では、経理を志すきっかけとなったこととして経営学を取り上げています。企業の会社経営を支える経理には、経営を学ぶ姿勢と探究心が求められるでしょう。
経営学に関するたくさんの知識を蓄えた上で、会社経営をサポートしたいと伝えることで、心強い印象を与えられます。経営学の本について質問される可能性があるため、面接前に内容を確認しておくといいでしょう。
下記の記事では、志望動機の文字数の目安について解説しています。
- 志望動機の文字数の目安|履歴書や面接におけるポイントをご紹介
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例文②経理に向いていることをアピールする志望動機
私の長所である計算力と正確性の高さを発揮したいと考え、経理職を志望いたしました。
私は小学生の頃からそろばんを習っており、計算というものが常に身近にありました。高校2年生までそろばんを習い続け、検定の3段を保有しています。このそろばんで身に付けた計算力と正確性は、経理の仕事で武器になると考えております。
また、貴社の製品は私も日常的に使用しており、生活には欠かせないものとなっております。その製品を生み出す企業の経営を、経理の仕事を通じて支えたいと考え志願しました。
貴社は全国に支社を置くため、本社の経理部門にはより正確で素早い処理が求められると考えています。貴社に入社しましたら、全店舗の経理部門を統括する社員の1人として活躍したいです。
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自分の長所を経理の仕事で活かしたいという例文です。ここでは、計算力と正確性を裏付けるものとして、そろばんを取り上げています。ただ「計算力と正確性がある」というだけでは説得力がないため、このように具体的な検定名や経験を用いると効果的です。
企業が必要としているスキルを取得していることを伝えて、自分が経理に向いていることをアピールしましょう。
志望動機の構成のコツについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
例文③アルバイトの経験をエピソードに取り上げた志望動機
お金の管理を任される仕事に就きたいと考え、経理職を志望しました。
私は学生時代に喫茶店でアルバイトをしており、レジ係と帳簿の管理を兼任していました。2年間のアルバイト生活では、お金の過不足を出したことがありません。店長から経営を支えてもらっているという言葉をいただき、とても嬉しく思いました。この経験から、仕事のやりがいを感じられる経理部門で働きたいと考えるようになりました。
また、貴社の「ご要望にあった魅力的なサービスを提供する」という経営理念に深く共感し、志願いたしました。アルバイトの経験から、サービスを提供することでお客様を笑顔にしたり癒したりすることに喜びを感じるようになったためです。
現在は自主的に簿記の勉強を始めており、日商簿記検定二級取得に向けて頑張っております。
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経理職を志望するきっかけとして、学生時代のアルバイトを取り上げた例文です。金銭の管理は、経営において重要な役割を果たしています。それを理解できていることは、大きなアピールになるでしょう。
2年間お金の過不足を出したことがないというのは、ミスのない丁寧な仕事をしているという意味に捉えられます。自主的にスキルを伸ばす努力をしているという点も、向上心を伝えるうえで効果的です。
事務職の志望動機の書き方については、こちらでも詳しく解説しています。
経理の志望動機NG例文
経理の志望動機としてNGとされる例文を2つ紹介します。経理の志望動機では、性格を長所として書くことが多いです。長所として性格をアピールすることはいいですが、その際に主観的な記述のみでアピールすることはNGです。性格をアピールする場合は、具体的な根拠を用いたうえで「この人はこのような性格なのか」と理解してもらう必要があります。
また、性格やスキルを仕事でどのように活かしたいのかも説明しなければいけません。採用後に企業で働く姿を、採用担当者が想像できるように志望動機をまとめましょう。企業研究をしないこともNGです。企業研究をして自分のスキルがどういったことに活かせるか、活かしていきたいかを事前に考えておきましょう。
NG例文①具体性のない志望動機
私は几帳面な性格なので、経理に向いています。物や数字が整頓されていないと、納得ができません。そしてひとつの業務に集中して、ミスなく仕事をやりきる自信があります。この性格は、経理の仕事で活かせると思います。
貴社では、この几帳面さを活かして正確な仕事をしたいと思い志望しました。
この例文のNGポイントは、具体例がないところです。几帳面なことが経理で活かせることは正しいですが、根拠となるエピソードがありません。その結果、応募者が本当に几帳面なのかどうかを、採用担当者は判断することができません。
性格をアピールするためには、しっかり具体例を入れましょう。説得力のある内容にするためには、根拠に基づいて述べることが重要です。
下記の記事では、志望動機の締めの書き方について解説しています。
NG例文②どのように活躍できるか述べられていない志望動機
私は、自分の持つスキルを会社の経営に役立てたいと考え経理職を志望いたしました。
私は日商簿記2級をはじめ、エクセル検定3級の資格を持っています。経理では表計算、会計などの知識が必要であるため、これらの資格を活かした仕事があると思っています。
貴社の経理で、資格を活かした仕事をしたいと思っています。
この例文のNGポイントは、入社後どのように会社に貢献できるのかが述べられていないことです。経理に関する資格を持っていることは大きなアピールになりますが、それをどのような場面でどう活かすかかが述べられていません。
しっかりと企業研究をして、自分のスキルを活かしてどのように貢献できるかを考えましょう。採用担当者に、入社後働く姿を想像させることが大切です。
下記の記事では、エントリーシートの志望動機の書き方について解説しています。
経理の志望動機には具体性を持たせることが大切
経理の仕事では、簿記やパソコンに関する知識とスキルが求められます。しかしそれだけではなく、経理職の適性があるかどうかも重要視されます。経理職では、几帳面で根を上げない性格の人が求められるでしょう。
そのため志望動機では、資格や技術面だけでなく、自分の性格がいかに経理に向いた性格であるかをアピールするとよいです。その上でその企業を志望するに至った理由を述べることが大切です。
志望動機では、具体的なエピソードを述べることで内容に説得力を持たせることができます。具体性のある志望動機を伝え、採用担当者に入社後活躍する姿をイメージさせることが重要なポイントです。